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タッチ対応で、Windows 8時代のスタンダードマシンに進化――「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」を試す

2014/09/20 02:13

"家ノートPC"でもタッチ操作を

HPの秋冬モデルでは唯一のタッチ対応Ultrabook「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」。10点マルチタッチに対応するディスプレイを備える

 Windows 8発売と同時に、タッチパネルを搭載するノートPCがメーカー各社から登場した。"マウスとキーボードで十分。ノートPCでタッチ操作なんて面倒だな"と感じる人もいると思うが、これからはタッチ操作も徐々に普及していくと思われる。

 Windows 8発売時の家電量販店でも、多くの人がノートPCでタッチ操作を試していたが、タッチパネル非搭載のモデルでもディスプレイを触っている様子が多く見られた(一応、タッチパネル非搭載と書かれたシールをベゼルに貼っていた)。実機に触れば、「ああ、ノートPCのタッチ操作もアリだね」と納得する人は少なくないだろう。


 新OSの機能を満喫するという観点でも、これから新しくノートPCを買うならば、タッチ対応マシンの方が色々と楽しめそうだ。今回は、日本HPの「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」を紹介しよう。本機はタッチパネル付きの14型ワイド液晶ディスプレイとWindows 8を搭載したUltrabookだ。

 同社の2012年夏モデルで投入した14型Ultrabook「ENVY4-1000」の姉妹機にあたり、デザインや仕様の多くは共通する。夏モデルのENVY4-1000を継続販売している状況下では(秋冬モデルではENVY Ultrabook 4-1100に名称を変更)、本機の存在意義は、Windows 8をタッチで楽しむということに尽きるだろう。このレビューでは、そのタッチ操作の使い勝手に注目してチェックする。

デザインは従来機を継承

 タッチパネルで重量、厚みがやや増加 ENVY TouchSmart Ultrabook 4のボディカラーはブラック/シルバーのみ。天面や底面、側面がブラック、パームレストとキーボードベゼルがシルバーとなる。ボディの素材はアルミニウム合金で、天面とパームレストにヘアライン加工を施すデザインは従来機と変わらない。天面、パームレストともに光沢を抑えており、落ち着いた印象を受ける。

 黒と銀ということで、基本的にはどんな場所に置いてもなじむデザインだが、特に自宅の書斎など、静かな場所によく合いそうだ。ちなみに、タッチパネル非搭載モデルのENVY Ultrabook 4-1100は、パームレストやキーボード部がブラック、側面や底面がレッドとなるカラーバリエーション「ブラック/レッド」も用意する。こちらは黒と赤のコントラストが魅力的なモデルで、欲を言えば、ENVY TouchSmart Ultrabook 4でも用意してほしかった。

天面にはヘアライン加工を施している(写真=左)。光沢を抑えたブラックの天面には左下にある「HP」のロゴがよく映える(写真=右)

 ボディのサイズは342(幅)×237(奥行き)×23(厚さ)ミリ、重量は約2.1キロだ。一方、従来機のサイズは340(幅)×236(奥行き)×19.8(厚さ)ミリ、重量は約1.77キロとなる。幅と奥行きはほぼ変わらないが、タッチパネルを搭載した分、厚さは3.2ミリ、重量が約330グラム増えている。

 重量が2キロを超えたことで、持ち歩きにはかなり不利になったと言える。家の中で持ち運ぶならいいが、外に持ち出すのには向かない。厚さが23ミリと増えたことも、バッグに入れる際にはマイナスだ。本機はモバイル用というよりも、自宅で気軽に利用するPCとして使うのが妥当だろう。

 厚さは23ミリだが、インテルが定めるUltrabookの要件から外れているわけではない。Ultrabookを名乗る本体厚の条件は、ディスプレイサイズが14型以上の場合は厚さ21ミリ以下、14型未満の場合は厚さ18ミリ以下、となっているが、タッチパネル搭載機においては、厚さが2ミリ増えても要件を満たすことにしているため、ギリギリで条件を満たしている。

 インタフェースについても従来機と変わらない。USB 3.0を2基、USB 2.0を1基(電源オフ時の給電に対応)、HDMI出力、音声入出力、メディアカードスロット(SDXC対応SDメモリーカードとMMCが利用可能)、約92万画素のWebカメラ、デジタルマイクを搭載する。通信機能はギガビットLAN、IEEE802.11b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0を利用可能だ。基本的に家の中で使うには、必要十分な機能がそろっている。

本体の前面と背面にはインタフェースを搭載しない。従来機とインタフェースの種類や配置は共通する(写真=左)。液晶ディスプレイのヒンジ部に"Hewlett-Packard"と刻印されている(写真=右)

 

左側面には有線LAN(下側が開閉するコネクタを採用)、HDMI出力、USB 3.0×2、メモリカードスロット、電源ランプ、ストレージのアクセスランプを配置(写真=左)。右側面には電源オフ時の給電に対応するUSB 2.0と音声入出力、盗難防止(ケンジントンロック)ポートを備える(写真=右)


Windows 8を快適に使える10点マルチタッチ対応ディスプレイ

 液晶ディスプレイのサイズは14型ワイドで、最大解像度は1366×768ドットだ。昨今のUltrabook製品は1600×900ドットやフルHD(1920×1080ドット)対応の製品もあるので、少し物足りなく感じるものの、家の中で使うメインストリーム層向けのノートPCとしては標準的といえる。Windowsストアアプリのスナップ機能を利用できる解像度(1366×768ドット)は満たしており、Windows 8の操作は問題ない。

 表面は光沢仕上げなので、外光や照明などは映り込みやすい。液晶パネルはTN方式で、上下方向の視野角が狭い傾向にある。液晶ディスプレイのチルト角度は最大で約135度まで開くので、画面の角度は調整しやすい。

14型ワイド液晶ディスプレイの表示解像度は1366×768ドット。階調の再現性は悪くないものの、色味は青が強い。液晶ディスプレイの上部には約92万画素のWebカメラを内蔵する(写真=左)。液晶は最大で約135度まで開く(写真=右)


 このディスプレイに10点マルチタッチに対応した静電容量方式のタッチパネルを搭載する。ディスプレイの表面には強化ガラスが張ってあり、液晶ディスプレイの画面とフレーム間に段差はない。画面の右端から内側にスワイプして(触れた指を滑らせて)チャームを呼び出したり、左端から内側にスワイプしてアプリケーションを切り替えたり、といったWindows 8特有の動作が自然に行える。

 ヒンジの固さについては、タッチ操作の際にはディスプレイが多少ぐらつくところが気になった。筆者が画面上部を軽く押すだけで、奥に最大5ミリほど傾いてしまう。タッチ操作を意識したモデルとして、もう少し配慮がほしかったところだ。例えばAcerのAspire S7など、ディスプレイが一定の角度でゆるく固定されるようなモデルもあり、こうしたタッチを意識した設計があれば、より快適にタッチ操作が行えただろう。

液晶ディスプレイは、10点同時のマルチタッチに対応した静電容量式のタッチパネルを備えている(写真=左)。Windows 8のスタート画面やWindowsストアアプリはタッチ操作を強く意識したデザインで、Windowsストアアプリ版のInternet Explorer 10など、プリインストールするアプリケーションもタッチ操作に最適化したUIを採用している(写真=右)

 

キーボードは6段配列、大きなタッチパッドを装備

 キーボードは、6段配列のアイソレーションタイプを採用する。Enterキーの右側にPgUp/PgDnキーなどが並ぶレイアウトや、縦の長さが約9ミリと短めの上下カーソルキーといった特徴は従来機(ENVY4-1000)と同様だ。

 キーストロークは約1.5ミリとUltrabookとしてはまずまずの深さだ。キーを意図的に強く押し込むとキーボードモジュールごとわずかにたわむが、普段のタイピングではたわみは感じない。キーの戻りはよく、確かな押下感があり、キーピッチも縦横19ミリを確保しているため、心地よくタイプできる。

 タッチパッドのセンサー面は、110(横)×70(縦)ミリと幅広く、マルチタッチジェスチャーを行うには十分なサイズを確保している。ドライバはシナプティクス製で、2本指を使ったスクロール機能のほか、3本指でのタッチ、スワイプ(指定したプログラムの起動など)や4本指でのスワイプ(ウインドウの切り替え)が可能だ。もちろん、チャームの呼び出しやアプリケーションの切り替えにも対応する。

 タッチパッドは放射線状に光が反射するスピンフィニッシュ加工を施しており、表面に細かな突起があるおかげで、指の滑りは非常によい。左上をダブルタップすると、タッチパッドの有効/無効を切り替えられるのは、HPのノートPCではおなじみの一工夫だ。

キーボードは6段配列のアイソレーションタイプだ。Enterキーの右側にPgUp/PgDnキーなどが並ぶ(写真=左)。他のENVYブランド製品と同じく、Beats Audioブランドのステレオスピーカーを採用する。スピーカーはキーボードの奥に備えるほか(写真=中央)、底面奥側にサブウーファーを備える(写真=右)

 

Windows 8の高速起動設定で、起動時間は30%短縮

 Windows 8は、起動やスリープからの復帰の早さ、ディスプレイを開けばすぐに使えるという快適な使用感を目指したOSだ。Windows 7マシンとどれほど動作時間に差があるのか、従来機にあたるHPの15.6型Ultrabook「HP ENVY6-1000」(2012年夏モデル、CPUやメモリ、ストレージ構成などの仕様は本機と共通する)と、起動時間(電源ボタンを押してから、デスクトップ画面またはスタート画面が表示されるまで)、休止/スリープ状態への移行時間と復帰時間(電源ボタンを押して復帰、ログイン画面の表示まで)をそれぞれ比較した。

従来機よりも起動時間は30%ほど短くなった。そのほか、休止状態への移行/復帰の時間が短縮しているのにも注目だ(写真=左)。電源オプションから高速起動の設定が行える。デフォルトで有効になっている(写真=右)


 測定の結果は、確かにWindows 8の方が起動時間は早かった。従来機が起動に20秒程度かかるのに対し、本機は約13秒で起動している。しかし、一方でシャットダウン時の時間は従来機よりも倍近くになっている。これは、Windows 8に搭載されている高速スタートアップ機能(電源オプションから設定可能)によるもので、この機能を無効にすると、起動が約20.5秒、シャットダウンが約11.5秒と、起動とシャットダウンともに従来機と同様のタイムとなる。

デバイスマネージャでENVY TouchSmart Ultrabook 4の構成を確認した。ストレージの情報をCrystalDiskInfo 5.0.3で確認すると、HDDはシーゲイトの「ST500LT012-9WS142」、SSDはサムスンの「MZMPC032HBCD」だった

 

 

ベンチマークスコアは従来機と同程度だが、使い勝手は向上

 本機のスペックは、CPUがTDP(熱設計電力)17ワットのCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリが8Gバイト(4Gバイト×2、PC3-12800)、ストレージが500GバイトHDD+32GバイトSSD(mSATA、Intel Smart Response Technology対応)、グラフィックスがCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000、プリインストールOSが64ビット版Windows 8となる。Ultrabookでは珍しく、メモリを8Gバイト搭載しているのはうれしい点だ。

 Windows 8標準のWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、グラフィックスのサブスコアが最も低く5.7だった。これはCPU統合グラフィックスを利用しているためで、データストレージもキャッシュ用SSDの効果は出ないため、プライマリハードディスクのスコアは5.9にとどまっている。そのほかのスコアは6点台で、8Gバイトメモリを採用していることもあり、メモリのスコアが7.4と高い。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。グラフィックスのスコアが低いのは、CPU統合グラフィックスコアを使っているためだ(写真=左)。CrystalDiskMark 3.0.1の計測結果。HDD搭載Ultrabookとしては標準的なスコアだ(写真=右)


 ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、3D系ベンチマークテストの3DMark06、ストリートファイターIV ベンチマークなどを行った。参考として、CPU、データストレージ、グラフィックスといったスペックが共通する、ENVY6-1000のスコアと比較してみたが、基本的にスコアはあまり変わらなかった。ただ、ENVY6-1000のOSはWindows 7なので、参考適度にみていただきたい。

PCMark 7(グラフ=左)、3DMark06(グラフ=中央)、3DMark Vantage(グラフ=右)のスコア。スペックが変わらないこともあり、総合スコアをはじめ、各スコアにも違いはあまりない


ゲームタイトルベンチマークのスコア。ストリートファイターIV ベンチマーク。低負荷は解像度1280×720ドット、アンチエイリアス:NONE、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:低、モーションブラー:低、パーティクル:中、エクストラタッチ:OFFに設定。高負荷は解像度1366×768ドット、アンチエイリアス:4x、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:最高、モーションブラー:高、パーティクル:高、エクストラタッチ:OFFという設定だ(グラフ=左)。モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコア(グラフ=右)

 

 ベンチマークテストのスコアは同程度となったが、起動を含めた操作感など、スコアには表現できない部分で、新OSの効果は発揮される。タッチ操作を含めた基本操作のレスポンスは軽快で、プログラムの起動も待たされる感じはない。Windows 7マシンの感覚でスペックを判断せず、家電量販店などで実機を試してみてほしい。

家用PCとして十分なバッテリーを搭載、発熱と騒音は問題なし

 本機は、ベンチマークテストを実行しているときなど、システムに高い負荷がかかると、底面奥側にある排気口から温かい排気が吹き出す。PCMark 7を実行している最中の騒音レベルを計測したところ、40デシベル(環境騒音30デシベル、本体手前5センチの位置で計測)と高負荷時の動作音もうるさいとは感じなかった。もちろん、Webブラウズなどの普段使いにおいては、騒音はまったく気にならない。

 ファンが回るような高負荷時には、キーボード左側が熱を持つ。室温約23度の環境下で、PCMark 7実行中に表面温度を測ったところ、キーボード中央部で約34度、キーボード上部にあるスピーカーは最高で38度まで温度が上がった。もちろん普段使いではここまで温度は上がらないし、このような状況でもパームレストの温度は室温(約23度)くらいだったので、特に問題はない。

付属のACアダプタは、実測のサイズが約45(幅)×106(奥行き)×30(高さ)ミリと比較的コンパクトだが、電源ケーブルが3ピンで太いので少しかさばる(写真=左)。ウォールマウントプラグも付属する。本機を外に持ち出すことがあれば重宝するだろう(写真=右)


 搭載するバッテリーは4セル式で、ユーザーによる着脱には対応しない。バッテリー動作時間の公称値は約7時間15分で、実動作時間の測定は、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」で、PCは無線LANに常時接続、電源プラン「バランス」(ディスプレイ輝度は11段階中下から3段階目)という設定でテストを行ったところ、バッテリー残量7%で休止状態へ移行するまで、6時間22分だった。

 公称値の7時間15分には及ばないが、6時間以上動作するので、家の中で持ち歩いて映画や音楽などのコンテンツを楽しんだり、SNSを使う分には、バッテリーの心配をすることはなさそうだ。

タッチ対応で、より"気軽に使うUltrabook"にふさわしく

「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」はタッチパネルとWindows 8という要素が加わったことで、従来機よりもPCの入門機という性格を強めた

 本機のタッチパネル非搭載機種となるHP ENVY6-1000(2012年夏モデル)は、初めてPCを購入する人への入門機にふさわしいモデルだった。10万円以下の価格帯で家庭向けPCとして必要十分なスペックを確保しつつ、起動の速さや持ち歩きやすい薄型のボディといったUltrabookの恩恵も味わえるという、新世代のスタンダードノートPCとして使い勝手がよかったからだ。

 その入門機に、Windows 8とタッチパネルが加わることでどうなったか。Windows 8のタッチ操作を意識したUI(ユーザーインタフェース)が生きるのは、例えばWebブラウジングであったり、ゲームで遊んだり、地図アプリを使ったりといった普段使いの場面だろう(もちろんタッチ操作でプレゼンなど仕事で活躍する場面もあるが)。スマートフォンやタブレットと同じ感覚で、Windowsストアアプリを使えるところが、タッチ対応ノートPCの強みだ。

 また、家で使うならばディスプレイが大きい方がコンテンツは見やすいし、キーボードやさまざまなインタフェースがあった方が使いやすい。タッチパネルを搭載し、少し厚く、重くなってしまったのは惜しいが、「家でちょっと使うくらいのPCがほしい。でも、性能や機能が不足しているのは嫌」というニーズに、Windows 8世代のPCとしてしっかり応えられるマシンになった。

 実売価格は10万円前後と、オフィススイートを搭載しないことを考慮すれば、一般的な売れ筋の15.6型ノートPCと同程度だ。自分でカジュアルに使うタッチ対応の大画面Ultrabookとして、または家庭用PCの買い替えを相談された場合の選択肢として、そして初めてPCを購入する人にお勧めするモデルとしても、ちょうどいい1台ではないだろうか。

 

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