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テレパシー、動物コミュニケーション──時代を先取りしたGoogle Glass開発者が語る、ウェアラブルデバイスの未来

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/01/20
テレパシー、動物コミュニケーション──時代を先取りしたGoogle Glass開発者が語る、ウェアラブルデバイスの未来: 会場風景 © ITmedia ニュース 提供 会場風景

 「ウェアラブルは、ハンズフリーでコミュニケーションできるテレパシーのようなもの」──1月18〜21日に東京ビッグサイトで開催中の「ウェアラブルEXPO」で、「Google Glass」(グーグルグラス)の開発に携わったサド・ スターナー教授(米ジョージア工科大学)が未来のウェアラブルデバイスについて語った。将来は、発声せずに操作や文字入力ができるかもしれない。

●5年前に「Google Glass」ができなかったこと

 2011年に米Googleが発表したGoogle Glass(以下、Glass)は、スタンドアロンで動作するメガネ型のウェアラブルデバイス。装着したユーザーの視界上にさまざまな情報を表示し、タッチや音声入力によって操作できる。

 ウェアラブルデバイスの可能性を世に大きく示し、ガジェットを愛する者を興奮させた画期的な製品だった。しかし、2014年に米国などで先行発売された開発者モデルは、内蔵カメラによるプライバシー問題によって、多くの公共施設で使用禁止になるなど、社会的な逆風が強まっていった。ついには個人向けの発売がお蔵入りとなり、現在はビジネス用途特化にかじを切って再出発している状況だ。

 スターナー教授は、20年以上ウェアラブルデバイスの研究を進めていた人物だ。2010年にGlass開発へ合流し、重さが4キロあったGlassのプロトタイプを、45グラム未満まで軽量化させることに成功した。同教授は、Glassの登場がウェアラブルに大きなインパクトを与えたのは間違いないと話す。

 「Glassのプロトタイプが出回ったときは、われわれが予想しなかった使い方を多くの開発者が生み出してくれた」(スターナー教授)

 会場で紹介されたのは、消防士がGlassの活用を目指した例だ。消防士が着用したGlassでは、火災が発生した建物のフロアマップや事故車両の切断ポイント、消火栓の位置を音声入力で呼び出せる。同じようなことはスマートフォンでもできるが、使い勝手に天と地ほどの差があるのは明らかだ。

 スターナー教授は、一般発売こそかなわなかったGlassのコンセプトが失敗ではなかったとアピールする。さらに、Glassが登場した5年前と現在では大きくテクノロジーの変化があったと話す。

 「当時はLTEが普及する前段階で、3Gのレイテンシ(通信遅延)が大きく、クラウドを利用した音声認識はイライラするものだった。現在は通信環境も改善し、ジェスチャー入力や低消費電力なBluetooth(BLE)、効率的なバッテリーも利用できる」(スターナー教授)

●未来のウェアラブルでできること

 スターナー教授はGlassの技術をベースにしながら、未来のウェアラブルデバイスを形成する研究中の技術を紹介した。

 1つ目は、発声せずに口の動きから何を喋ったかを認識できる「Silent Speech Recognition」というインタフェース技術だ。紹介の前に、まずは耳の穴に指を入れて口を動かしてみてほしい。かすかに内部が動いていることが分かるはずだ。

 磁石を取り付けた舌の動きと、先ほど体験した顎の動きによって引き起こされる外耳道の変形をセンサーで読み取って文字を入力する。つまり、“読唇”をコンピュータが行える。病気で発声ができなくなった障がい者や、騒音が激しい飛行中の戦闘機パイロットなどに有効としている。

 2つ目は、脳波から自然言語を取得する「Brain Sign」だ。事前に言葉を思い浮かべたときの脳波を記録しておき、後から判別できるようにしておくもの。現在は言葉のフレーズを読み取れるようにすることから研究を進めているという。

 これら技術は、いずれもウェアラブルの課題である入力インタフェースを改善できるアイデアとして非常に期待できるものだ。「屋外で音声入力するのは恥ずかしい」という日本人ならではの悩みを解決できる可能性がある。

 3つ目に紹介されたのは、スターナー教授が現在主に取り組んでいる「Facilitating Interactions for Dogs with Occupations」(FIDO)だ。一言でいえば、動物とのコミュニケーションを補助するセンサーデバイスだ。

 例えば、聴覚障がいを持つ人を助ける聴導犬は赤ちゃんの泣き声やドアのチャイム、アラーム、警報などを判別できる。盲導犬なら、階段の前で立ち止まり、階段を下りなのか上りなのかを理解している。しかし、判別はできても人間にそれを伝える手段がなかった。

 そこで、犬の「鼻で触る」「かむ」といった動作を検知できる犬用のウェアラブルデバイスを装着してもらい、内容に対応する動作を覚えさせることで、犬が人間とコミュニケーションできるようにするのだという。

 「テクノロジーの進歩によって、ウェアラブルで実現できる技術は大きく広がっている」(スターナー教授)

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