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デルの「XPS 12」でクラムシェルとタブレットを“くるり”と変えてみた

2014/09/19

フリップスタイルのディスプレイでクラムシェルとスレートをくるりと変える

12.5型ワイド液晶ディスプレイを搭載して重さは1.52キロのUltrabook「XPS 12」

 「XPS 12」は、2012年9月にドイツはベルリンで行われた「IFA 2012」でデルが公開した"コンバーチブル"タイプのUltrabookだ。なお、IFA 2012の発表当初は、製品名をXPS 12 Duoとしていたが、正式発表において、製品名はXPS 12となった。タッチ操作を主要なユーザーインタフェースとして利用するWindows 8の登場にあわせるかのように、多くのノートPC、Ultrabookメーカーが、クラムシェルスタイルとスレートスタイルのどちらでも使えるコンバーチブルモデルを発表している。

 2012年の秋に登場するコンバーチブルモデルの変形ギミックは、スライド式と液晶ディスプレイを360度底面まで開いてしまうタイプが主流だが、XPS 12はディスプレイベゼルを構成する"枠"の部分に液晶ディスプレイをはめ込み、その左右側面中央に設けた軸を中心に回転して裏返すことで、クラムシェルスタイルとスレートスタイルを切り替える。

 この仕組みを採用する参考展示モデルは、2012 International CESのIntel基調講演ですでに登場している。なんとなく「くるくるくるー」と、水車のようにディスプレイが回ってしまいそうなイメージを持ってしまうこの仕掛けだが、XPS 12ではディスプレイユニットの回転角度は180度にとどまる。

 クラムシェルスタイルの状態で液晶ディスプレイの上側を押して回転させると裏返しになり、そのまま閉じるとスレートスタイルのタブレットPCとして利用できる。スレートスタイルの状態でディスプレイを開き、ディスプレイ表側の上側を押すと、今度は逆に回転してクラムシェルスタイルのUltrabookとして利用できる。

デルがフリップヒンジと呼ぶ回転機構と“枠”と用いてディスプレイをくるりと観点してクラムシェルスタイルとスレートスタイルを移行する



 それぞれの状態で、ディスプレイは枠に用意した穴とディスプレイユニットに設けた爪で固定する。ある程度の力を入れないと回転しない。少なくともディスプレイを指でタップしたりなぞる程度の力ではディスプレイは回転せず、かつ、ディスプレイが回転する前にディスプレイのヒンジが動くように、それぞれの固定する力とトルクを調整している。

 また、逆方向に回転させようとした場合、間違って押してしまった程度ではびくともしないばかりか、"意識的"に回そうと思っても回転せず、かつ、壊れてしまうような不安もない。ディスプレイとその枠に用意した回転軸や固定用の爪は、太くも大きくもなく、"ごつさ"感じさせないが、間違えて逆方向に力を加えても耐えられるだけの強度を有していた。

ディスプレイに設けた爪と枠に用意した穴でディスプレイを固定する。回転するには“それなり”の力が必要で、ディスプレイを開いたりタップしたりするぐらいの力では回転しない。回転軸は別部材で枠にパネルを取りつけて補強している

「スレートスタイルのときは置いて使ってください」

 XPS 12の本体サイズは、317.3(幅)×215.4(奥行き)×20.0(厚さ)ミリで、重さは最小構成で約1.52キロになる。12.5型ワイドとUltrabookでは例の少ない液晶ディスプレイを搭載するが、重さはHPの13.3型ワイド液晶ディスプレイ採用のUltrabook「Folio 13」にほぼ相当する一方で、同じデルのUltrabookで13.3型液晶ディスプレイを搭載する「XPS 13」の約1.36キロより重いことになる。

 約1.52キロという重さは、スレートタイプのタブレットPCとして、片手で本体を持って片手でタッチ操作をするにはつらい。デルもそのことは認めていて、立って使うのではなく、本体を机の上において"テーブルPC"のように利用してもらう訴求を考えているという。ただ、現時点では、"テーブルのようにPCを使う"利用方法やそのメリットをユーザーに理解してもらう必要がある。テーブルのようにディスプレイを倒して使えるPCとしてレノボ・ジャパンが訴求するIdeaCentre A720、そして、その小型版といえるIdeaCetre A520では、エアホッケーなどの対面プレイができるマルチタッチ対応ゲームを用意したものの、それ以外の具体的な利用シーンの提案は十分ではない。XPS 12では、そういった"テーブルゲーム"として楽しめるアプリケーションも用意していない。

 デルは、XPS 12の訴求ポイントとして堅牢性も挙げている。ほかの堅牢性を訴求するUltrabookやノートPCのように、工場出荷時における耐衝撃性テストや加圧振動試験、落下テストなどにおける具体的な数値(落下する高さや加える加圧など)は明らかにしていないが、デルは、本体を構成する部材で、その耐久性能を訴えている。XPS 12のボディパネルは天面、底面に炭素繊維強化プラスチップを採用し、液晶ディスプレイの前面をゴリラガラスで覆う。また、液晶ディスプレイを支える枠にはアルミニウムの削りだし部材を、パームレストにはマグネシウム合金をそれぞれ用いている。

天板や底面を構成するボディパネルには炭素繊維強化プラスチックを使っている。評価機に付属するACアダプタのサイズは90×47×21ミリで重さはコード込みで約265グラムになる(写真=左、中央)。なお、ディスプレイは水平までは開かない(写真=右)

 


Core i7に容量256GバイトのSSDを組み合わせるプラチナパッケージ

 XPS 12は、搭載するCPUやシステムメモリ、データストレージの容量が異なる「スタンダード」「プレミアム」「プラチナ」のパッケージを用意し、それぞれに、導入するOSをWindows 8 Pro、または、Windows 8から選べる。なお、実売予想価格は、スタンダードパッケージが9万9980円前後、プレミアムパッケージが11万9980円前後、プラチナパッケージが12万9980円前後となる見込みだ。

 CPUは、Core i5-3317U(1.7GHz、Turbo Boost Technology有効時で2.6GHz)、または、Core i7-3517U(1.9GHz、Turbo Boost Technology有効時で3.0GHz)から選択、システムメモリはDDR3Lを4Gバイト、または、8Gバイトの構成を用意する。また、データストレージはすべてのパッケージでSSDとなり、容量128Gバイト、または、256Gバイトから選ぶ。

 そのほかの構成はすべてのパッケージ、または、BTOで共通だ。液晶ディスプレイの解像度は1920×1080ドットで、タブレットスタイルで複数のユーザーが同時に使うことを想定して視野角を広くできるIPSパネルを採用した。視野角は上下方向左右方向とも170度を確保する。また、10ポイント同時タッチに対応するタッチパネルも内蔵した。グラフィックス機能は、CPUに統合するIntel HD Graphics 4000を利用する。

12.5型ワイド液晶ディスプレイの解像度は1920×1080ドット。IPS方式パネルを採用し、10点マルチ対応タッチパネルを内蔵。前面をゴリラガラスで覆い強度を確保する(写真=左)。キーボードはアイソレーションタイプを採用。評価機は英語キーボードだが、参考までにキーピッチは横縦ともに実測で約19ミリ、キートップサイズは約14.5ミリだ(写真=中央)。キーボードはバックライトを内蔵する(写真=右)


 ボディの厚さが20ミリの本体に搭載するインタフェースは、2基のUSB 3.0とMini DisplayPort、ヘッドセット端子を備えるほか、スレートスタイルでの利用を想定した音量コントロールボタンと画面回転ロックボタンも用意する。有線LANのインタフェースは本体に搭載しない。無線接続では、IEEE 802.11a/g/n準拠の無線LANとBluetooth v4.0が利用できる。

 2基のUSB 3.0とMini-DisplayPortは、すべて右側面に配置している。左側面には、ボリュームコントロールボタンと画面回転ロックスイッチと電源ボタンだけと、クラムシェルスタイルで使うことを考えると、レイアウトが偏っている。ただ、スレートスタイルの状態で手に持って使う場合、画面回転ロックと音量調整は片手で操作しやすいように同じ側面に配置するのが適している。

 そういう意味で、XPS 12の本体搭載インタフェースは、タブレットPCとして使うことを重視したレイアウトといえる。クラムシェルスタイルで使い、USB 3.0やMini Displayにケーブルを接続して使うユーザーは、本体右側にケーブルを取りまわせるスペースを確保する必要がある。

正面と背面にはインタフェースを設けていない


左側面には電源ボタンと画面回転ロックスイッチ、音量コントロールボタンを備え(写真=左)、右側面には2基のUSB 3.0とMini DisplayPortなどを搭載する(写真=右)

参考速報値ながら性能と本体表面温度は"快適"

評価機に導入するWindows 8で測定したWindowsエクスペリエンスインデックス

 評価に用いたXPS 12の機材は、CPUにCore i7-3517Uを搭載してシステムメモリが8Gバイト、データストレージに容量256GバイトのSSD(mSATA接続のSAMSUNG PM830)を搭載するプラチナパッケージに相当する。ただし、量産試作機の前段階、開発試作機のレベルにある英語仕様のため、処理性能や冷却性能は本来の状態に届いていない。評価作業では、ベンチマークテストと非接触タイプの温度計で処理性能と本体表面温度の測定を行ったが、ここでは、開発段階の"速報参考値"として紹介するにとどめておく。

 ただ、測定した結果は、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーのCPUを搭載してWindows 8 Proを導入したUltrabookの開発試作機と同等の値を出している(ただし、グラフィックス性能を評価する3DMark 11ではやや低い値となった)。本体の表面温度は、3DMark 11のデモをループで実行して、3巡目ループのときにパームレストの左右、「F」「J」「Z」「?」各キーのトップ面、そして、底面を9分割した格子の中心を測定している。パームレスト、Z、?キーのトップは30度前後にとどまるが、Fキートップが38.4度、Jキートップが40.2度と突出して高い。底面は、ほとんどの場所で35度以下で、一番高い中央奥側が37.4度と体温をわずかに上回る。

評価機の構成をデバイスマネージャーで確認する



回転機構に強度の不安なし。気になるのはスレートスタイルでの利用シーン?

 XPS 12は、コンバーチブルとしては現在のところ数少ない"ディスプレイ回転式"(デルはフリップヒンジと呼んでいる)を採用する。クラムシェルスタイルからスレートスタイルへの移行は、「ディスプレイを回転して閉じる」だけ、または、「ディスプレイ開いて回転する」だけで済む。その作業はいたって簡単ですぐにできる。ただ、ディスプレイを垂直に開いていないと、回転するときに机の面、または、本体のキーボードに回転するディスプレイがぶつかるので注意したい。

 回転する機構を不安に思うユーザーに対しては、通常の力で使う分には、評価機はまったく問題なかったと伝えたい。タップする力でディスプレイが不意に回転することもなく、無理な力を入れて回転機構がきしんだり歪んだりすることもない。デルは、この部分の耐久性や工場出荷時テストの具体的な内容や数値を明らかにしていないが、"もっと自信をもって"訴求していいのではないだろうか。そうすることで、ユーザーがXPS 12にいだく懸念(そして、たぶん最も不安に思う構造)を解消できるはずだ。

 約1.52キロという本体の重さは、同時期に登場するタコンバーチブルタイプのUltrabookと比べると重い。この重さになると、スレートタイプのタブレットPCとして使うのは難しい。クラムシェルスタイルとスレートスタイルの移行が容易にできるだけに、スレートスタイルの利用場面をうまく考えて使い分けたいところだ。

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