古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

トランプ大統領の移民規制令に大手企業トップが相次ぎ懸念を表明 一部の企業は沈黙

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/01/31
トランプ大統領の移民規制令に大手企業トップが相次ぎ懸念を表明 一部の企業は沈黙: GEのイメルトCEO(AP Photo/Steven Senne) © ITmedia NEWS 提供 GEのイメルトCEO(AP Photo/Steven Senne)

[AP通信] ドナルド・トランプ米大統領の移民規制令に対し、「非アメリカ的であり、ビジネスに悪影響を及ぼす」として、世界的な大企業の経営者らが相次ぎ反対を表明している。

 トランプ大統領が先週イスラム圏7カ国からの米国への入国を一時停止とする大統領令に署名したことを受け、Apple、Ford、Goldman SachsのCEOは「この大統領令を支持しない」と反対を表明し、Googleは移民支援団体への寄付を発表した。他にも複数の企業が、この大統領令の影響を受ける従業員を支援する方針を表明。Starbucksは難民を雇用する計画を明らかにした。

 メキシコへの工場建設を計画する企業を公然と批判したり、戦闘機の開発費用が高すぎると不満を表明したりなど、トランプ大統領と企業との関係は既に複雑だ。一方、過度な規制を緩和し、法人税を引き下げるというトランプ大統領の政策に賛同し、米国での雇用計画や投資を発表している企業もある。

 だが今回の大統領令に対する企業の反応は、激しく、迅速で、手厳しいものとなっている。

 「前代未聞の事態だ」とコロンビア大学ビジネススクールの非常勤教授、ビル・クレッパー氏は語る。

 トランプ大統領は27日に署名したこの大統領令について、「イスラム過激派などのテロリストの米国への入国を阻止するために必要な措置だ」と説明。この大統領令には、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの国民の米国への入国を90日間停止する項目や、難民の受け入れを120日間停止する項目が含まれる。コメントを求めて30日にホワイトハウスに問い合わせたが、返答は得られなかった。

 トランプ大統領は自らのTwitterアカウントを使って企業に反撃したり批判したりすることを好む。そのため、企業が公然と反対を表明する行為はリスクを伴う。だが広報の専門家によれば、企業に選択の余地はないという。今回の大統領令が自社の従業員や顧客にマイナスの影響を及ぼすのであれば、なおさらだ。

 「顧客と従業員を最優先に考えたせいで廃業に追い込まれた企業はない」。メディア広報企業Tanner Friedman Strategic Communicationsの共同創設者であるマット・フリードマン氏は、そう指摘する。

●各社CEOが発言

 最初に声を上げた人たちの中には、多くの移民を雇用するIT企業のCEOらが含まれた。AP通信はAppleのティム・クックCEOが従業員に宛てたメモを入手した。クック氏はこのメモで、Appleはこの大統領令を支持しないと明言し、「移民がいなければ現在のAppleは存在していないだろう」と述べている。

 Amazon.comやeBay、Etsyといった電子商取引企業のCEOや動画ストリーミングサービスNetflixのCEOも、この大統領令を支持しないとの立場を表明した。

 Coca-Colaのムーター・ケントCEOもこの大統領令への反対を表明。世界最大のコングロマリットであるGeneral Electric(GE)のジェフ・イメルトCEOは、新政権と議会に「自分たちの声」が届くように努める、と述べている。

 Ford Motorはマーク・フィールズCEOと創業家出身のビル・フォード会長の共同声明を発表し、この移民制限政策への反対を表明。今回の政策も含め、「企業として私たちの価値観に反する政策は一切支持しない」と述べている。ただし、General Motors(GM)や日産自動車、本田技研工業などの自動車メーカーは沈黙を守っている。

 海外への雇用流出をめぐりトランプ大統領に怒りの矛先を向けられることが多い自動車業界には、厳しい関税措置を回避しつつ、法人税と燃費基準の緩和は引き出したいとの思惑があり、難しい舵取りを迫られている。

 Goldman Sachs Groupは新政権の複数の要職に同社出身者が就くなど、これまでトランプ大統領とは親密な関係を築いてきたが、今回の政策には異を唱えた。

 Goldman Sachs Groupのロイド・ブランクフェインCEOは従業員宛てのボイスメールで、「当社はこの政策を支持しない」と述べている。

●Googleは現金を寄付

 Alphabet傘下のGoogleは、移民への法的支援などのサービスを提供する4つの団体に対し、最大400万ドルを寄付する計画を発表した。この緊急基金にはGoogleが200万ドルを寄付し、従業員から200万ドルの寄付を募る。Googleは今回の大統領令が同社の多くの従業員とその家族を傷付けるだけでなく、今後優秀な人材を米国外から雇用することを難しくする可能性があると懸念している。

 配車サービスのLyftは、今後4年間でアメリカ自由人権協会(ACLU)に100万ドルを寄付すると発表した。Lyftの共同創業者であるローガン・グリーン氏とジョン・ジマー氏は、「私たちのコミュニティの価値観を脅かす問題には黙っていない」と述べている。

●法律や金銭面で従業員を支援

 製薬会社Merck & Co.は、従業員に法律上の助言などの支援を提供すると発表した。家具販売大手IKEAも同様の方針を発表している。

 配車サービスのUberは、この大統領令の影響を受ける従業員を金銭的に支援すると発表。Uberのトラビス・カラニックCEOはトランプ氏の経済助言チームのメンバーであり、今週金曜日にワシントンを訪れる際にトランプ大統領にこの問題を提起する方針だという。

 ただしUberをめぐっては29日、TwitterでUberの利用者にUberアプリの削除を呼びかける騒動が発生した。タクシー運転手らがニューヨークのJFK国際空港で大統領令への抗議デモを支持するために1時間のストライキを決行している最中に、Uberが同空港付近では「割増料金を停止中だ」とツイートしたことが、「抗議デモに便乗して、タクシー運転手のストライキ中に利益を得ようとしている」とみなされたことが原因だった。

●難民を雇用

 Starbucksは世界中の店舗で今後5年間に1万人の難民を雇用する計画であることを明らかにした。当初の採用では、米軍で通訳業務に従事したことのある人たちを優先する方針だという。だが政治的な問題への立場を表明することは、企業にとってリスクを伴う。Starbucksがこの方針を発表すると、Twitterでは30日、#BoycottStarbucksというハッシュタグがトレンド入りした。

 Starbucksのハワード・シュルツCEOは、今後は従業員ともっと頻繁にコミュニケーションを図りたい考えだという。

 「これまで長い間当然とされてきた礼節や人権が脅かされている。私の耳には、皆さんからのそうした警鐘が届いている」と同氏は従業員に宛てたメールで述べている。

(日本語翻訳 ITmedia ニュース)

(C) AP通信

ITmedia NEWSの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon