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ドコモ夏モデルとVoLTEの狙い/好発進の「au WALLET」/au回線を活用した「mineo」の新しさ

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/23 ITMedia
ドコモ夏モデルとVoLTEの狙い/好発進の「au WALLET」/au回線を活用した「mineo」の新しさ: ドコモの発表会には、CMキャラクターを務める松坂桃李さん、堀北真希さん、渡辺謙さん、石原さとみさん(左から)も駆け付け、華を添えた。スマートフォンは、「GALAXY S5」や「Xperia Z2」「AQUOS ZETA」など、注目モデルを全7機種取りそろえた © ITMedia 提供 ドコモの発表会には、CMキャラクターを務める松坂桃李さん、堀北真希さん、渡辺謙さん、石原さとみさん(左から)も駆け付け、華を添えた。スマートフォンは、「GALAXY S5」や「Xperia Z2」「AQUOS ZETA」など、注目モデルを全7機種取りそろえた

 ドコモの夏モデル発表会、ケイ・オプティコムのMVNO参入、au WALLETのサービス開始、ヤフーのイー・アクセス買収中止と、モバイル関連のニュースが目白押しだった5月12日から23日にかけての2週間。その間、KDDIが発表した夏モデルや、ソフトバンクの「AQUOS Xx 304SH」など、新端末も続々と店頭に並び始めている。

 今回は、ドコモの夏モデルの発表内容を取り上げるとともに、一足先にサービスを開始したau WALLETの影響力を考察する。また、KDDI回線を活用したケイ・オプティコムの発表についても、MVNOの新たな動向として注目した。

●「オススメは全機種」のドコモ、その狙いは?

 ドコモは5月14日に、夏モデルの新商品発表会を開催した。新たに投入されるのは、スマートフォン7機種、タブレット2機種、フィーチャーフォン2機種の計11機種。単体で通信可能な端末としては、ほかにスマートデバイスでのテレビ視聴を行うための「TV BOX」が加わり、計12機種をラインアップする。「GALAXY S5 SC-04F」は、この会見の翌日に発売。本稿執筆時点までに、スマートフォンは「Xperia Z2 SO-03F」「AQUOS ZETA SH-04F」が、フィーチャーフォンは富士通製の「F-07F」が店頭に並んだ。

 Xperia Z2に関しては、加藤社長があえて「日本で扱うのはドコモだけ」と述べるなど、“ドコモ色”を出すことに注力している姿勢がうかがえた。「Xperia A2 SO-04F」や「ARROWS NX F-01F」「Disney Mobile on docomo」なども、今シーズンはドコモにだけしかないブランドとなる。過去には「ツートップ」や「おすすめ3機種」というように、一部の機種の割引額を増し、販売を促進してきたが、今年の夏モデルではその方針を改め、「おすすめは全部」(代表取締役社長 加藤薫氏)とうたった。その理由は、「それぞれに特徴があり、その特徴をうまく選んでいただけるようなラインアップにしたつもり」だからだという。過去に比べて、機種数を絞り込めてきたため、特定の機種だけを推す必要性もなくなっているようだ。

 また、ドコモ関係者によると、夏モデルは「新規、MNP、機種変更で、それぞれ実質価格を変えている」という。例えば、Xperia Z2はMNPに月々サポートが厚めにつけられている半面、「Disney Mobile on docomo SH-05F」は新規の実施価格がMNPより安い。「この機種は新規が取りやすい、この機種はMNPに強いとったふうに、傾斜をつけている」(同)というわけだ。「プレミア10年特割」や「Xiデビュースマホ割」といった既存ユーザー向けのキャンペーンも用意し、これを適用すると機種変更の方が安くなる機種も多い。加藤社長の「おすすめは全機種」という発言からは、MNPだけでなく、既存ユーザーに向けても端末を訴求していきたい狙いが透けて見える。

 6月1日に開始される新料金プランと連動した「TV BOX」も、面白い端末だ。TV BOXは、スマートフォン、タブレットのテレビチューナーとして使える端末で、OSにはAndroidを採用する。テレビに出力すると、これ自身をAndroid端末として利用できる。さらに、通信機能も備えているため、Wi-Fiルーターにもなる変わり種のデバイスだ。このTV BOXは、新料金プランの「デバイスプラス」に対応。月500円の追加料金で、メイン回線とパケット通信料をシェアすることが可能となる。

 夏モデルは、「らくらくスマートフォン3」と先に挙げたXperia A2、Disney Mobile on docomoを除き、新サービスのVoLTEに対応する。VoLTEとは、LTEの通信網にデータとして音声を乗せる技術のこと。専用の帯域を確保しているため、現状の音声通話と同様、ネットワークが混雑している場所でも安定して通話できるのが、ほかのIP電話アプリとの大きな違いだ。加藤社長が「通信会社ならではの高品質なテレコミュニケーション」と述べていた理由は、ここにある。

 やり取りする声の周波数が広がるため、「特に高音域、女性の声が伝わりやすい」(加藤社長)。発着信時に3Gに切り替える「CSフォールバック」の必要がなくなるため、発信も速くなる。このほか、映像つきの「ビデオコール」にも対応する。

 VoLTEを導入するメリットは、ドコモにもある。加藤氏によると「VoLTEは周波数効率が3倍になり、リソースを節約することができる。その空いた分をデータ通信に利用でき、データ通信がさらに快適になる」という。具体的には、「今現在4つある道路(5MHz幅×4で合計20MHz幅の帯域のこと)のうちの1つを、LTEに回せると考えている」と、加藤氏は囲み取材で語った。VoLTEの導入によって3Gに接続するユーザーが減れば、LTEを5MHz幅増やせるため、LTEを37.5Mbps分だけ高速化できる。その布石として、VoLTEを導入したともいえるだろう。

 音声がきれいで、周波数利用効率も高いというVoLTEだが、現時点では課題も残る。1つは対応端末。先に述べたように、夏モデルの中にも未対応の機種があり、完全な切り替えには時間がかかりそうだ。しかもXperia A2やDisney Mobile on docomoは、グローバルモデルのXperia Z2やGALAXY S5よりも“ドコモ向け”を意識して開発されている。この2機種が、ネットワークサービスと歩調が合っていないのは、筆者が疑問に感じた部分だ。

 また、サービス開始後も、高音質の恩恵を受けられるのは、ドコモのVoLTE対応端末同士だけとなる。加藤社長は「まずはVoLTE−VoLTEを中心にする」と述べており、KDDIやソフトバンクといった他社との話し合いもこれからだとした。つまり、しばらくは、限られたユーザー同士の通話でしかVoLTEの効果を体感できないということだ。せめてグループ内で連携して、固定電話との通話は今までより音質が高いなどの付加価値は出してほしかった。

 「プッシュトーク」や「Hello Messenger」のように、1社に閉じたネットワークサービスは過去にもあったが、どれもあまり成功していない。これに対して、キャリアやプラットフォームを超えたコミュニケーションサービスの成功事例は、枚挙にいとまがない。これらと異なり、音質は落ちるものの、VoLTEは他社の回線ともつながるため、端末が増えれば自然と普及は進むだろう。ただし、本当の意味で音質のよさがユーザーに評価されるには、ドコモ以外の回線とどれだけ連携できるかが鍵になりそうだ。

●申し込み数20万を超え、「au WALLET」が好発進

 ドコモより一足先に発表会を行ったKDDIは、5月21日に「au WALLET」のサービスを開始した。ただし、システムは稼働させたが、肝心のカード自体は21日から生産を開始したという。事実上、今週末から来週にかけての開始と見てよさそうだ。なお、イベントにゲストとして駆け付けた所ジョージさん、藤本美貴さんには特別にカードが発行されており、利用もできたという。

 21日のイベントに登壇した、取締役専務執行役員の石川雄三氏によると、21日時点でau WALLETカードの申し込み数が20万2299件に達したという。このペースは「5.3秒に1枚が増えている。今しゃべっている間にも枚数が増えている」と自信をのぞかせた。店頭での申し込みが21日からだったことを考えると、このペースはさらに上がる可能性がある。

 au WALLETは、MasterCardと提携した、リアルな店舗で利用できるプリペイド型の電子マネー。「使われる回数でいえばクレジットカードの3割、相当な市民権を得てきた」(石川氏)という電子マネー市場を意識して開発されたサービスだ。マスターカードのクレジットカードと同様、磁気ストライプのカードとなり、同ブランドに対応するリーダーであれば、どこでも読み取ることができる。世界3810万の加盟店で使えるのは、そのためだ。

 とはいえ、電子マネーはau WALLETが持つ2つの顔の、片面でしかない。au WALLETはauのポイントプログラムと連携しているためリアルな店舗でポイントを使えるのと同時に、リアルな店舗での買い物でポイントがたまる。これまでは、端末の買い替えや周辺機器の購入などにしか使い道のなかったポイントが、通貨に近い感覚で利用できるところにインパクトがある。

 20万を超える申し込みは、キャンペーンが功を奏した。申し込みをするだけで1000円がプレゼントされたり、au WALLETへの初回チャージが10%増額されたりと、さまざまな施策を用意。これらを組み合わせれば、最大で総額4750円を受け取ることが可能だ。20万のユーザーすべてがこの額を受け取れるわけではないが、仮にこれらのキャンペーンを全員が活用したとすると、その額は9億5000万円。これに加えて抽選で当たる4億円(1万人に4万円)や、店舗でのポイント増額などを考えると、KDDIの気合の入れ方が理解できるだろう。

 店舗での申し込みが始まった21日からはさらにペースが上がっている可能性もありそうだ。また、KDDIが三菱東京UFJ銀行と共同で設立したじぶん銀行とのシナジー効果もあったようだ。石川氏によると、「じぶん銀行の口座開設がデイリーで3〜4倍ぐらいに増えている」と言い、チャージ額が5%増えるキャンペーンが成功していたことが分かる。

 au WALLETは、石川氏が「auポイントから移行していただくもの。自動移行はしないが、せっせとご案内を出している」と述べているように、既存のポイントプログラムを置き換えるものだ。また、「au WALLETにしかポイントもつかなくなる」(同)。auのポイントは4月利用分から付与が終了しており、11月末までにau ID発行の手続きをしないと消滅する予定だ。

 ポイントはau IDさえ発行していれば「WALLETポイント」としてたまっていくが、カードを作ることでのデメリットは特にない(しいて言えば、財布の中のカードが1枚増えてかさばるぐらいだろう)。こうした事情を考えると、auポイントからWALLETポイントに移行したユーザーが、どうせならとカードを発行することも十分考えられる。発行数のペースはさらに上がっていきそうだ。

●au回線を活用した「mineo」が6月から開始、端末のセット販売も好調

 5月12日から23日にかけての2週間は、ドコモやKDDIといったMNOだけでなく、MVNOにも大きな動きがあった。関西圏でFTTHのサービスを提供するケイ・オプティコムは、5月15日にMVNOとしてモバイル通信事業に参入することを発表した。新サービスの名称は「mineo」。料金はSIMカードのみで、1Gバイト月額980円(税別、以下同)となる。音声通話つきは月額1590円で、通話料は30秒20円。どちらのプランも、1Gバイトを超えた場合は、通信速度が128Kbpsに制限される。100Mバイトあたり150円で追加容量を買うことも可能だ。

 格安SIMとしてにわかに注目を集めているMVNOだが、そのほとんどがドコモから回線を借りている。今回発表されたケイ・オプティコムのmineoが他社と大きく異なるのが、KDDIの回線を利用している点だ。もともと、KDDIとケイ・オプティコムは「auスマートバリュー」で連携していたが、mineoでau回線を選んだのは「希少価値があるから」(ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏)だそうで、次のように語った。

 「今のMVNOはドコモさんの回線が大半だが、我々がドコモさん以外の事業者を選ぶことで、MVNOの提供するサービスを利用したいお客様の選択肢が広がる。また、今、ドコモさんのMVNOをやっても、すでに先行しているところがある。逆に希少価値のあるauと組んだ方が得策と考え、今回auを選んだ」

 MVNOはMNOから回線を借りて事業を行うが、この貸し出し料ともいえる「接続料」が今最も安いのはドコモだ。そのような中、あえて割高なKDDIを選んだのは、他社との差別化になるという判断が働いたからだ。LTEのエリアが実人口カバー率で99%を超えてる点も、評価されたのかもしれない。

 ケイ・オプティコムがもう1つの差別化要素として考えているのが、端末の提供だ。mineoでは、京セラ製の「DIGNO M」をセットにしたプランを用意。端末価格は4万8000円で、24回払いの場合、通信量と込みで月額3590円となる。1000名限定でこの料金が2610円になる先行予約キャンペーンも開始したところ、翌朝には予定数に達してしまったといい、好評を博していることが分かる。

 京セラ製の端末を用意したのは、もともとauで販売されていたからというのはもちろん、分かりやすさを重視したため。先の津田氏も「各社端末とのセット販売をしているが、海外製だったり、速度が出なかったりいろいろ。MVNOを使っているから端末の魅力が劣るというのでは、楽しく豊かなモバイルライフに到達できない」と述べ、他社との違いを強調した。

 実際、MVNOでも端末をセットで販売するケースも増えているが、まだLTE対応のものは数えるほどしかない。単体で販売されるSIMフリー端末も、LTE対応となると「iPhone 5s/5c」「Nexus 5」「TORQUE」などに選択肢が限定されてしまう。こうした中で、LTEにきちんと対応した、MNOと同じ端末をセットで販売するというのがケイ・オプティコムの戦略だ。こうした差別化が功を奏し、予約数は端末あり、なしを合わせて6000(5月20日時点)を突破した。

 一方で、いくら回線が安くても、端末が大手キャリアと同じではコストに敏感な層は動かない。ケイ・オプティコムもこうしたユーザーを狙い、「機能を絞ってできるだけ安くしたものと、最新のもの、2面でそろえていきたい」(津田氏)とラインアップは拡充していく方針だ。料金プランについても、「今は1Gバイトのみだが、2Gバイト、3Gバイトともっと容量の大きなもの。ほかには1日だけといったプリペイド方式など、いろいろなメニューを検討している」とのことで、期待が持てる。

 ケイ・オプティコムは「黒字化して軌道に乗せる節目が100万。5年以内に100万契約を突破したいという希望はある」(代表取締役社長 藤野隆雄氏)といい、MVNOを事業の次の柱にしていく方針だ。予約数は5月20日時点で端末あり、なしを合わせて6000を突破したそうで、好調な滑り出しとなった。ただし、当面のプロモーションは「Webを中心に展開していく」(津田氏)ため、量販店などのリアルな店舗では販売されない。プロモーションなどもWebに絞って行われるため、すでに店頭販売やテレビCMを行っている他社とどこまで渡り合えるのかは未知数だ。とはいえ、これまでドコモ回線一辺倒だったMVNOに選択肢が広がり、料金やサービスに多様性が生まれることを、まずは歓迎したい。

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