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ドラマ『あなたのことはそれほど』、原作との違いでどうしても気になるアレ

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/05/02 田幸和歌子
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原作はいくえみ綾の人気コミックで、波瑠が主演するW不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』。

「爽やか不倫」「キラキラ不倫」と言われたり、東出昌大演じる嫉妬に狂う夫の“冬彦さん化”が注目されていたりするなか、原作ファンからは「イメージと違う」という声が放送開始前から多数あった。

最も多いのは、「いい人だけど、見た目はサエない“子熊”のような夫」をスラリ長身で、どう見ても目立つ東出が演じていること。

放送が開始されてからも、この違和感はどうしても拭えないものの、妻の携帯を盗み見する目の表情などはかなり原作に忠実で熱演していると思う。

その一方で、個人的にはどうしても気になって仕方ないのが、主人公・美都と「初恋の人」有島の関係性、初恋の描き方の違いだ。

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原作と異なる美都と有島の関係性

ドラマでは「抱きしめられそうになった美都が、とっさに有島を突き飛ばしてしまい、それ以来、口をきいてもらえないまま、有島が引っ越してしまう」という展開だった。

だが、原作では有島は美都にとって「初めての人」。しかも、美都に部屋に誘われ、なんとなく「騒音(カラオケ)をBGMに わけがわからないまま無我夢中で終わった 中2の冬」という初体験だった。

それどころか、もともと有島を好きな美都がいつも目で追っていると、有島はそれを感じて友人に「あいつきもちわりィ なんかいつも目ェ合う……ずっと見てる」とこぼしているくらいだったのだ。

それなのに、なぜドラマでは「ヤッちゃってない」し、「美都に拒まれた」ことになっているのだろうか。

これって下世話かもしれないが、非常に大きな違いだと思う。そして、美都というキャラクター、有島というキャラクターを理解する上で、変更してしまっては成り立たない要素だったのではないだろうか。

変更した理由の一つには、「初恋を美化」することによって、「不倫」が視聴者から反感を持たれ、そっぽを向かれてしまうことを防ぐ意図があったのではないかと思う。

実際、ドラマで不倫に走る過程については「即ラブホ、ありえない」などという声があがっていた。しかし、原作ではそれどころでなく、何の躊躇もなく、サクッと不倫に走っている。

だからこそ、「運命」「宿命」「必然」「奇跡」が大好きで、「思い込みが激しい」美都という女性像が見えてくるのだが、ドラマでは「不倫に対する躊躇いはあるけど、でも、大好きな気持ちが止められない」お花畑系の女性になっている。

もう一つには、それぞれのキャラクターを深く掘り下げている原作と違い、視点を美都に固定したという違いが大きいだろう。

美都の「思い込みの激しさ」は本人には自覚がないのだろうし、自分の中で初恋の思い出を勝手に美化していると思えば、爽やかでキラキラなのも仕方ないかもしれない。

ただし、原作と同様にドラマにも登場する、美都がいまでも有島の誕生日を覚えていることについて、有島に驚かれて返す言葉「そりゃ…………ねえ?」は、「初めての人」という設定がなくなっているドラマにおいては、ちょっと無理がある。

たかだか抱きしめられそうになって突き飛ばした相手の誕生日を、会わないまま15年近くも覚えていることが、「そりゃ、ねえ?」の共通認識とは考えにくい。

ただ、それも「思い込みが激しく、自分側の視点からしか物事が見えず、記憶していない」女性のセリフと考えれば、なくもないか?

それに、有島のキャラクターも、「ただチャラい」印象になっているが、それも美都視点なら仕方ないのか。

ともかく、「美都の視点」に固定されたこと、初恋の美化によって、不倫の動機がやや薄っぺらく見えてしまった『あなたのことはそれほど』。この設定変更が今後の物語にどんな影響を与えていくのかに、注目したい。

(田幸和歌子)

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