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ネコに魅入られた落語家が撮る個性の強い地域猫たち

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/11/14 古知屋ジュン

浅草にある老舗劇場の木戸(入口)で、お客さんを品定めするようにじっと見つめる一匹の猫。その名も「ジロリ」くん。

本日の猫さん。浅草演芸ホールのジロリくん。

木戸にちょこんと座ればお客様が集まる。リアル招き猫。#猫 #ねこ #ネコ  #cat   #浅草演芸ホールpic.twitter.com/RSl6s4EB0B

— 柳家ほたる (@yanagiyahotaru) 2016年10月4日

猫が見せる味わい深い表情をとらえた写真。この投稿は、たちまちTwitterで拡散された。

岩合光昭さんの番組で猫に魅入られた落語家

撮影したのは落語家の柳屋ほたるさん。

ほたるさんはTwitterで、毎日「本日の猫さん」と題した画像をアップしているが、巷で人気を博している飼い猫たちとは異なり、そのほとんどがお店などの看板猫や地域猫(その地域の住民が共同管理している猫)たちなのだ。

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生きもの好きではあったものの、もともとは猫にあまり興味がなかったというほたるさん。

「『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK)の第1回の放送をたまたま目にしたんです。最初は“猫を1時間見て何が楽しいのかな”と思っていたんですが、岩合さんがとらえる表情や仕草を見ていたら『猫ってこんなにかわいいんだ!?』と驚いて。そこですっかり猫に魅入られちゃったんです」

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カメラにも興味があったほたるさんは、地域猫のいる“猫場”を探すかたわら、看板猫がいるお店にも通って写真を撮るようになったそう。ある日、「銀次親分」と呼ばれる看板猫がいる浅草のギャラリー・エフを訪れたところ、お店に入るなりその銀次親分がすーっと寄ってきてお出迎えしてくれた。

「その時に生まれて初めて猫を触れたんですよ。実はそれまで、怖くて猫を触れなかったんです(笑)。銀次親分と出会って、猫ってこんなにかわいくて、あったかくて、フワフワしてるんだ……と思って。それからさらに猫が好きになって」

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看板猫はある程度調べがつくものの、地域猫は多すぎて問題化している地域もあるため、いわゆる猫だまりのような場所はネットで探してもなかなか見つからないのだそう。そのため仕事先である劇場などに早めに行っては、周辺を実際に歩いて勘で探す。

「漁港や市場の周辺だとかてっぱんな場所はもちろんですけど、狭い路地にペットボトルが置いてあったりすると、『あ、ここだな』って」

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地域猫の魅力と撮影のこだわり

地域猫の魅力は、“個性が強いことと、人に媚びないところ”。目ヂカラが強く野生的なのも、撮っていて面白いところなのだという。

「飼い猫ももちろんかわいいんですが、飼われている猫を一番かわいく撮れるのはやっぱり飼い主さんなんです。人見知りをしない子もいますが、飼い主さんにふと見せる表情がかわいかったりするから、やっぱりそれにはかなわないと思うので」

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地域猫撮影のこだわりとしては“猫写真の師”岩合さんも著書などで語っている「猫の目線に合わせて撮影すること」、そして「その猫のテリトリーを侵さないこと」。現在はオリンパスのミラーレスを使い、ズームを使わずに猫が嫌がらないギリギリの距離を守りながら寄って撮るのだそう。

「逆に人懐っこい子はカメラに寄り過ぎてピントが合わないので、嬉しい反面撮りにくいですよね(笑)。猫って縄張り意識が強いので、外で撮っていてもそのエリアで一番強い猫が近くに来るんですよ。傘だとか近くに置いている荷物にマーキングされることもあるし、餌をあげてもいいところだと“僕に餌、ちょうだい!”みたいな感じで前に出てきます」

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気まぐれな地域猫たちは、なかなかカメラのほうを向いてくれないこともある。そんなときには……。

「猫さんたちは音に反応するので、いつもポケットにシーバ(キャットフード)の小袋をしのばせていて、この袋をカサカサさせたりとか。あとは、落語のネタ中に定番でそばをすする“ズルッ”という音を出すんですが、カメラを構えた状態でこの音を出すとてっぱんで振り向いてくれます(笑)」

猫撮影にいそしむほたるさんに落語の師匠は……

落語家としては厳しい前座修行を経て、現在は二ツ目(前座と真打の間)のほたるさん。落語ネタには猫を題材にしたものも多く存在するが、彼もレパートリーとして『猫の災難』と『猫の皿』の二つを持っている。

「落語に出てくる猫って、お話の中でいじめられたり、その中で起きた悪いことを猫のせいにされたりといったパターンが多いんですよ。だから落語の枕(ネタの導入部分)で『落語に出てくる猫たちはあまりいい思いはしてないんです。だけどそれだけ猫は昔から人にとって身近な存在で人とかかわってきたからこそ、そういうお話が生まれたんですよ』とことわってから始めるときもありますね。例えば江戸時代に活躍した歌川国芳の浮世絵にもたくさん猫が出てきますし、昔から猫は作品のテーマにしやすい身近な存在で、きっと昔から犬派、猫派の人がいたんじゃないかなって思います」

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ちなみに、日々猫撮影にいそしむ彼を師匠の柳家権太楼さんはどう見ているのかというと……。

「以前にあるフォトコンテストで準グランプリをいただいたんです。嬉しかったんですけど芸に厳しい師匠には『そんなことより落語の稽古しろ!』って怒られるんじゃないかと思っていたんですよ。でもそれを知った師匠がすごく喜んでくれて、『いいんだよ。猫の写真撮ってる落語家だってことで注目されるなら、それもいいじゃないか』って。今でも、『落語はもちろんだけど、写真も中途半端にやるなよ』『“ビジネス猫好き”はダメだからな』って言ってくれて(笑)、理解があってありがたいと思います」

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お住まいの事情で、現在は猫を飼えないというほたるさん。

「いずれ自分がもしすごく売れたら猫を飼えるところに住みたいですし、保護猫(里親探し中の猫)を何匹か養うような形で猫まみれで暮らしたい……とも考えているんですけど。猫の“好きになり方”にも、いろいろあると思うんですよね。電車に乗り鉄や撮り鉄があるように、私の好きになり方が“撮り猫”だということです(笑)」

(古知屋ジュン)

●柳家ほたるの勉強会<2カ月に1回開催、次回は2017年1月25日(水)>

【日時】2016年11月16日(水) 開場 19:00 開演 19:30

【会場】ミュージック・テイト西新宿(新宿区西新宿7-16-13末広ビル103)

【料金】予約1500円 当日1800円

【出演】柳家ほたる、橘家かな文

【お問い合わせ・ご予約】TEL:090-3205-9432 E-MAIL:bakehotaru@docomo.ne.jp

【特典】ご予約のお客様には撮りおろしの猫さんポストカードをプレゼント。

●ギャラリー・エフ 月夜の森15

【日時】2016年12月15日(木) 開演19:00

【会場】ギャラリー・エフ 浅草

【料金】入場3000円+1ドリンク500円

【出演】柳屋ほたる

【お問い合わせ・ご予約】http://www.gallery-ef.com/ticket_tsukiyo.htm

※このほか「下北落語会」を月1回開催。詳しくは柳屋ほたるブログ/Twitterに掲載

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