古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

ノートPCとタブレットを1台で済ませたい人は「TransBook TX300CA」なら満足できるか?

2014/09/19

画面を外せば大判タブレットになる新感覚ノートPC

ASUSTeK Computerの「TransBook TX300CA」は、ディスプレイ部分を着脱でき、ディスプレイ部分単体でタブレットとして使えるノートPCだ。フルHD(1920×1080ドット)表示に対応する液晶ディスプレイのサイズは13.3型ワイドとタブレットとしては大型で、キーボードドックにもストレージを内蔵するなど、タブレットとしてもノートPCとしても興味を引く個性的な仕様となっている。

ラインアップはCore i7-3537U(2.0GHz/最大3.1GHz)を搭載する上位モデル「TX300CA-C4021HS」と、Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)を備える下位モデル「TX300CA-C4006H」の2種類だ。今回は上位モデルを入手したので、性能や使い勝手を検証しよう。

ASUSTeK Computerの「TransBook TX300CA」。13.3型のディスプレイ部分は単体でタブレットとして使える


ボディのデザインは、ZENBOOKなど同社のモバイル系ノートPCのそれを踏襲している。天板は同心円状に、パームレストや底面は直線にヘアライン加工を施すなど、金属の質感を生かした高級感のある表面仕上げや手前側をシャープに絞り込んだフォルムが印象的だ。

本体サイズはタブレット部分が340(幅)×213(奥行き)×4~11(厚さ)ミリ、キーボードドックが340(幅)×219(奥行き)×2~12.9(厚さ)ミリ。重量はどちらも約950グラムだ。合体させると340(幅)×219(奥行き)×6~23.9(厚さ)ミリ、重量は約1.9キロとなる。実測では画面側が974グラム、キーボード側が949グラムで、合計重量が1923グラムと、ほぼカタログ値通りだった。13.3型のディスプレイはタブレットとしてもかなり大きいが、それだけにインパクトも大きい。

タブレット部分の背面には同心円状に(写真=左)、パームレストや底面は直線状にヘアライン加工を施している(写真=右)

 


豊富なインタフェースを装備するキーボードドック

ディスプレイをキーボードドックのヒンジ部にある溝に合わせて押し込み固定する

タブレット側は電源ボタンと音量調整ボタンのほか、microSDカードスロット(SDXC対応)、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク兼用端子、92万画素のWebカメラといったインタフェースを備える。キーボードドック装着時はそれらに加えて、2基のUSB 3.0、ギガビットLAN、Mini DisplayPort出力、SDXC対応SDメモリーカードスロットが利用可能だ。

タブレット部分とキーボードドックの着脱ギミックは、同社のAndroidタブレット「TF」シリーズでおなじみのものだ。タブレットをキーボードドックの溝に合わせて差すだけでしっかりと固定できる。取り外しもヒンジ部のロックをカチャッと解除すれば取り外せる。サイズが大きく重い分、10型クラスの同類製品ほどスムーズではないものの、着脱操作自体は簡単で強度面も不安はない。

タブレット部分の上面(横置き時)は電源ボタンのみで、下面にSDXC対応のmicroSDカードスロットがある


左側面には音量調節ボタンやMicro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク兼用端子を備える(写真=左)。右側面にインタフェースはない(写真=右)


キーボードドック装着時の前面と背面。厚さは6~23.9ミリとなる


キーボードドックの左側面にはSDXC対応SDメモリーカードスロットを配置し(写真=左)、右側面には2基のUSB3.0、ギガビットLAN、Mini DisplayPort出力を備える(写真=右)


ACアダプタのサイズは75(幅)×75(奥行き)×29(厚さ)ミリ。プラグを収納できる

バッテリー動作時間のカタログ値はタブレットのみで約5.5時間、タブレットとキーボードドック合体時で約6.1時間となっている。「タブレット本体には約38ワットアワー、キーボードドックには約23ワットアワーのバッテリーを搭載している」(ASUS)という。ただ、CPUID HWMonitorで調べたバッテリーの容量は、タブレット単体時でも合体時でも約38ワットアワーと変わらず、Windows 8のバッテリー情報を見ても、合体時にキーボードドックのバッテリーがセカンドバッテリーとして認識されなかった。

付属のACアダプタはスクエア型のフォルムで、大きさは75(幅)×75(奥行き)×29(厚さ)ミリだ(実測値)。モバイル系ノートPCとしてはやや大きめだが、重量は235グラムと軽く、プラグが収納できる点もいい。ACアダプタ接続用のDC入力端子は独自の形状で、タブレットとキーボードドックそれぞれに用意する。

Ultrabookと同等の基本スペック

それでは本機の仕様を確認しよう。評価機(上位モデル)のCPUはCore i7-3537U(2.0GHz/最大3.1GHz)、チップセットはIntel HM77 Express、グラフィックス機能はCPU統合のIntel HD Graphics 4000を利用する。メモリの容量は4Gバイト(PC3-12800)で増設はできない。デュアルチャンネルアクセスに対応しており、CPUのメモリコントローラのフル性能(メモリ帯域25.6Gバイト/秒)を発揮できる。なお、光学ドライブは内蔵しない。

上位モデルの評価機はCore i7-3537Uを搭載している。動作クロックは800MHzから最大3.1GHzまで可変する。CPUパワーが必要なときだけ無理のない範囲でクロックを上げて処理する。デュアルコアCPUでHyper-Threading Technologyに対応しており、4スレッドの同時実行が可能だ(写真=左、中央)。メモリはDDR3-1600 SDRAMを採用しており、容量は4Gバイトで増設はできない。デュアルチャンネルアクセスに対応しており、メモリ帯域は25.6Gバイト/秒と高速だ(写真=右)


キーボードドック接続時のデバイスマネージャ(接続別表示)。HDD、有線LANコントローラがUSB 3.0接続であると分かる

データストレージはタブレット側に容量128GバイトのSSDを内蔵するほか、キーボードドック側にも500GバイトのHDDを搭載する"Wストレージ"仕様。これは同種の他製品にない特徴だ。このHDDはデバイスマネージャで「Hitachi HTS545050A7E380 USB Device」と認識されており、接続別表示でも「SuperSpeed USBハブ」「USB大容量記憶装置」の下に表示されている。つまり、HDD自体は2.5インチのSerial ATA対応HDDであるが、変換アダプタを介してUSB 3.0で接続しているということだ。

通信機能はタブレット側にIEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0を内蔵するほか、キーボードドックにギガビットLANも装備する。この有線LANは、HDD同様にUSB 3.0ハブを介した接続となる。

下位モデルはCPUがCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)となる。Core i7-3537UともどもUltrabookでの採用例が多いモデルだ。上位モデルのみオフィススイートのOffice Home and Business 2013が付属する。なお、OSはどちらも64ビット版Windows 8だ。


フルHD表示対応の13.3型IPS液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイのサイズは13.3型で1920×1080ドット表示に対応する。色味はややシアンが強い。液晶ベゼル上部の中央からやや右よりにWebカメラを内蔵している

液晶ディスプレイのサイズは13.3型で1920×1080ドット(フルHD)表示に対応する。視野角が広いIPSパネルを採用しており、斜め方向から見ても色味の変化が少なく、画面全体をしっかり見渡せる。表面は光沢仕上げであるため写真などを鮮やかに表示できるが、照明などは映り込みやすい。色味はやや青っぽい印象だ。

この液晶に10点マルチタッチに対応したタッチパネルを搭載しており、指で操作可能だ。表面はCorning「FIT Glass」という硬質なガラスを採用している。タッチパネル表面の指の滑りや感度、タッチ精度はどれも良好で、指紋も付きにくい部類に入る。

液晶ディスプレイは約125度まで開く(写真=左)。10点マルチタッチ対応のタッチパネルを内蔵する(写真=右)


ディスプレイ裏面の両端にスピーカーを装備しているが、試聴した限りではステレオ再生ではなく、モノラルスピーカーを2基搭載しているように思えた。Wavesの音響処理・高音質化技術「MAXX Audio」に対応しており、なかなかパワフルな音を出すが、多少立体感や繊細さには欠けるように感じる。

デスクトップのショートカット、あるいはキーボード右上のキーを押すと起動するTransBookのポータルメニュー。各種設定にアクセスできる(写真=左)。Waves MAXX Audioに対応しており、コンテンツに応じて自動的に最適なモードが選択される(写真=右)


Webストレージ特典は付加されていない。Live Updateでは、ドライバやプリインストールアプリケーションのアップデートを一括で確認できる(写真=左)。Splendidでは3つのプリセットから画質設定を選べるほか、色温度も調整できる。デフォルト設定がやや鮮やかさに欠ける色味のため「Vivid」が最もクセがない色味に感じた(写真=中央)。キーボードドックのキーボードとタッチパッド以外の機能(USBや有線LANなど)を無効にしてバッテリー動作時間を延ばす「Battery UP」というモードも用意されている(写真=右)

ゆとりあるキーボードとWindows 8の操作に対応したタッチパッドを装備

キーボードはアイソレーションタイプの6段配列だ

キーボードドックのキーボードは、キートップのみを露出させたアイソレーションタイプを採用している。標準的な6段配列で配置もクセがない。主要キーのキーピッチは19(横)×18(縦)ミリと縦が少し狭めだ。

13.3型という本体サイズの割にカーソルキーがやや小さいが(横13×縦9ミリ)、打ちにくいほどではない。キーの構造もしっかりしており、強めにタイプしてもたわむことはなかった。スイッチの感触も悪くなく、打ちやすいキーボードといえる。LEDバックライトも装備しているのもいいところだ。

キーボード手前にはクリックボタンが一体化したタッチパッドを搭載する。パッドの左下と右下が沈み、左右のクリックボタンとして機能する。本機は「ASUS Smart Gesture」ユーティリティを導入しており、パッド右端から内側へのスワイプでチャームの表示(非表示)、左端から内側へのスワイプでアプリケーションの表示切り替えなど、Windows 8特有の操作に対応したエッジ機能も備える。

ASUSオリジナルのタッチパッドユーティリティ「ASUS Smart Gesture」が導入されている。スクロールや回転、デスクトップの表示に加え、チャームバーの表示/非表示などWindows 8特有の操作など、さまざまなジェスチャー表示が可能だ


本機の構成をデバイスマネージャで確認した

 


Windows 8を快適に利用できるパフォーマンス

では、本機のパフォーマンスをベンチマークテストで確認しよう。まずSSDの性能をCrystalDiskMark 3.0.2で確認してみた。シーケンシャルリード/ライトは速い部類だが、512K、4Kのランダムリード/ライトは、最近のSerial ATA 6Gbps対応SSDとしては少し物足りないスコアだ。キーボードドック側のHDDについては、接続はUSB 3.0であるものの、Serial ATA接続のHDDと比べても特に見劣りしないスコアとなった。

Windows 8エクスペリエンスインデックスにおけるプライマリストレージのサブスコアは7.6とこちらもトップクラスのSSDからは少し見劣る数字だ。とはいえ決して低いスコアではなく、Windows 8を快適に利用できる水準は大きく上回っている。

Windows 8エクスペリエンスインデックスでは、プロセッサのサブスコアもCore i7としては低めだ。システムの中核部分がタブレット側に集中しているため、放熱などの関係からIntel Turbo Boost Technologyによるクロックの上昇が抑えられていると思われる。

CrystalDiskMark 3.0.2で計測したSSD(写真=左)とHDD(写真=中央)のデータ転送速度。Windows 8エクスペリエンスインデックスのスコア(グラフ=右)


PCMark 7や3DMark、ゲームタイトルベンチマークの結果もCore i7搭載機としてはやや低い。Core i5-3337U(1.8GHz/最大2.7GHz)を搭載する「ICONIA W700D」に近いスコアになっており、やはりCore i7のフルパフォーマンスは発揮できていない。CINEBENCH R11.5のスコアも2.19だった(ICONIA W700Dは2.07)。もちろんWindows 8タブレットとしては最速レベルであり、ノートPCとして見ても十分高速ではあるが、スペックの見た目ほどの性能ではないことは留意しておきたい。

PCMark 7(グラフ=左)と3DMark(グラフ=中央)、3DMark Vantage(グラフ=右)のスコア。参考としてCore i5-3337Uを搭載するWindows 8タブレット「ICONIA W700D」のスコアを併記した。CPUのコア数が異なるものの、両者のスコアはほぼ同じくらいだ


ストリートファイターIVベンチマーク(グラフ=左)とモンスターハンターベンチマーク【絆】(グラフ=右)のスコア。こちらも両者のスコアはあまり変わらない。とはいえタブレット単体で使えるWindows 8マシンとしては最高クラスのスコアだ

タブレットのみでも6時間のバッテリー動作

電源管理ユーティリティとして「Power4Gear Hybrid」が導入されており、デフォルトではオリジナルの電源プランが適用される。ACアダプタ装着時は「Power4Gear High Performance」、バッテリー動作時は「Power4Gear PowerSaving」に切り替わる

バッテリー動作時間は海人氏のBBench 1.01を利用して測定した。無線LANで常時接続し、Bluetoothオン、電源プランは「バランス」(ディスプレイの輝度は40%)を使用し、照度センサーによる「画面の明るさを自動的に調整する」オプションは無効にしている。BBench 1.01は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」に設定。WebブラウザはInternet Explorer 10を指定し、タブブラウズはオフにした。

テストの結果は、バッテリー残量が5%で休止状態へ移行するまで、タブレットのみで6時間7分、ドッキング状態で5時間1分だった。カタログ値とは逆にドッキング状態の方が短くなったが、これはカタログ値の計測がキーボードドックのHDDやインタフェースを無効にして動作時間を優先する「Battery Up」モードで行っており、本計測ではBattery UPを無効にしたためだ。タブレットのみではほぼカタログ値どおりの動作時間であり、ディスプレイのサイズなどを考慮すれば十分健闘しているといえる。

通常、電源管理はASUS独自の電源プランが利用され、バッテリー動作時は「Power4Gear PowerSaving」となるが評価機の設定が、CPU性能60%、ディスプレイ輝度100%という内容で、バッテリー動作時間の測定には適切でないと判断したため、今回はOS標準の「バランス」でテストを行った。

高負荷時の騒音レベル(ドック状態でキーボード手前5cmの距離で測定)

動作音は、低負荷時でもファンの回転が分かる程度の音はするが、高い負荷をかけてもそれほど大きくならない。電源プランのPowerSavingを選択したときは高負荷でも十分に静かだ。発熱はディスプレイ裏面の左上を中心にじんわりと熱を持ち、3DMark実行時には最大で37度になった。タブレットスタイルの際に横位置で持つ部分については、左端の下部が33度になるのが最高だった。

電源プランをPowerSavingにした場合は最大で34度、左端下部は32度前後と少し温度が下がり、若干暖かみを感じる程度になる。もちろん電源プランにかかわらずキーボード側はほとんど熱を持たない。


新感覚タブレットと完成度の高いノートPCの要素を合わせ持つ

13.3型ワイドという画面サイズはモバイルノートPCではごく一般的だが、ディスプレイ部分だけ取り出して手元に引き寄せると、大きさが際立つ。Ultrabook並のパフォーマンスは備えており、タブレットとしての使用感は実に新鮮だ。

パフォーマンスを優先した分重くなり、携帯性を重視する用途には不向きといえるが、これまでにない新しい可能性を感じる製品だ。少人数でのミーティングなどでは視野角の広い大きなディスプレイが大いに活躍しそうだ。

キーボードドック装着時のノートPCとしても完成度は高い。13.3型クラスでフルHD表示のIPS液晶を搭載している製品はまだ少ないだけに、画面の見やすさ、美しさという点でアドバンテージがあるほか、画面に触れてタッチ操作できるという点もWindows 8 PCとして使い勝手のよさに貢献している。

上位モデルが14万円前後、下位モデルが10万円前後とスペック相応の値段ではあるが、充実したインタフェース、セカンドストレージとしてHDDを搭載するなど、メインのPCとして使える装備も魅力で、さまざまな用途に活用できる。

image beaconimage beaconimage beacon