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ハマの星たち・地元選手手記…荒波翔選手

毎日新聞 のロゴ 毎日新聞 2014/05/07 毎日新聞

 ◇「骨折離脱を成長の糧に」荒波翔選手(28)

 沖縄での春季キャンプ期間中の2月23日の練習試合で右手薬指を骨折。ライナーの打球に対してグラブに添えた右手にボールが直接当たってしまいました。けがをした瞬間は、強い痛みと共に出血が止まらなかったので、その日の試合は交代しないといけないとは思いましたが、骨折のような大きなけがとは思いませんでした。しかし、診断は全治約1カ月。翌日には沖縄を離れて横浜に戻り、すぐに手術を行うことが決まりました。

 もしかしたら3月28日の開幕には間に合うかもしれないとは言われていましたが、開幕前の大事な期間に1カ月もチームを離れることになるわけですから、やはり最初はショックでした。指は体の末端なので、体を動かしたり、患部を動かさない範囲の軽いトレーニングはすぐに開始できるだろうと思っていましたが、実際は違いました。手術をした傷口が化膿(かのう)してしまうので、術後2週間ほどは軽めの運動もほぼ禁止。安静にしていることしかできませんでした。指のけがを甘く見ていましたね。その当時は、チームのキャンプやオープン戦の報道などを見る度に、悔しい思いや焦りが募っていきました。

 そんな状況の時に落ち込みがちな気持ちを切り替えさせてくれたのがファームでも黙々と調整を続けているベテラン選手たちの存在でした。当時はファームにいたゴメスさん(後藤武敏選手)には食事に連れて行っていただき励ましの声をかけていただきました。自分よりも実績や経験のある選手たちが、自分にできることに集中して黙々と準備しているのだから、自分も早く気持ちを切り替えて、なるべく早くチームの力になれるように、集中して準備をしなければいけないと考えさせられました。

 そこからは、前向きな気持ちになり、自分の回復状況を判断しながら、その時にできる範囲のトレーニングを考えて積極的に取り組めるようになりました。投手が練習しているブルペンでバッターボックスに立たせてもらって、投手が投げる速球や変化球に目だけでも慣れさせておいたり、イチローさんなど素晴らしい打者の映像を見てイメージトレーニングをしていました。

 練習や試合で実際にバットを振っている時は、どうしても結果が付いてくるので、焦りや不安などから打撃フォームが崩れてしまうことがあります。でも、負傷離脱中はバットを振ることがないので、良いイメージしか生まれません。素晴らしい選手たちの映像を見て参考にしながら、自分自身のプレーをもう一度見つめ直して良いイメージを作り上げる。離脱中は本当に苦しいし焦りましたが、いま思えば自分にとって有意義で貴重な時間になったと思います。

 実戦に復帰できたのは3月29日のファームの公式戦。最初の打席からヒットが出ましたし、離脱中の準備のかいがあったのか、1カ月間実戦から離れていたわりには、すんなりと試合に入っていくことができました。ファームではそのまま良い感触を維持し5試合に出場して16打数の8安打。やはりチームの状況は気になりましたが、自分としては良い準備ができていたので、けがをした時のような焦りやいら立ちなどを感じることはありませんでした。

 1軍に呼んでいただいたのは開幕から8試合目の4月8日に甲子園球場で開催した阪神タイガース戦。結局、開幕には間に合いませんでしたが、スムーズに復帰することができ、リハビリを支えてくれたドクターやトレーナー、家族、裏方のスタッフの方々には本当に感謝しています。チームに合流した大阪の宿舎で中畑監督の部屋にあいさつに行った時には「チームは苦しい戦いが続いているから、起爆剤になってくれ」と声をかけていただきました。

 監督の言葉の通り、チームは最下位と苦しい戦いが続いています。自分としても『起爆剤』のような活躍はできていません。でも、シーズンはまだ100試合以上残されています。今シーズンが終わった時には、目標のクライマックスシリーズ進出、その先の優勝をしっかり実現させて、開幕直後のあの苦しい時間があったからこそ今があると思えるように、しっかりと歯を食いしばって戦いたいと思います。

 ◇あらなみ・しょう

 1986年生まれ。横浜高卒。背番号4、外野手。身長179センチ、体重78キロ。右投げ左打ち。2010年ドラフト3位で入団。12年シーズンから中堅手としてレギュラーに定着。13年は打率2割5分8厘。俊足を生かした広い守備範囲が評価され、2年連続でゴールデングラブ賞を受賞している。

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