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ビッグデータ活用で「バンキング2.0」を掲げるスコットランド銀行

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/06/10 ITMedia

 英Royal Bank of Scotland(RBS)は、企業顧客のサプライチェーン全体のリスクを評価する分析用ニューラルネットワークを構築した。

 同行は、銀行取引の付加価値を引き出すためにもデータ分析を取り入れている。2013年、同行は経営陣や顧客対応チームに有益な情報を提供することを目的に、Customer Solutions Group(CSG)を編成した。CSGは約150万の企業顧客データにアクセスし、1日70億ポンド(117億ドル)、年間1.5兆ポンド(2.5兆ドル)を超える取引を監視する。

 RBSの最高分析責任者(CAO)のアラン・グローガン氏は「高度な分析を使ってデータを自在に扱いたい」と話す。

 RBSでは、顧客が優れたビジネス戦略を策定できるよう支援するため、マクロ経済の広範な状況や、顧客が抱えるクライアントの動向を詳しく洞察する必要があった。同氏によると、分析は銀行の企業顧客だけでなく、RBSのリスク管理プロセスにとってもメリットになるという。

 RBSが米Gartner主催のBusiness Intelligence Summitに招かれてこのプロジェクトについて講演を行ったグローガン氏は、RBSでは銀行業界でも独特の方法で分析を活用していると述べた。

 「どのようなビジネスにもサプライチェーンがある。支出の流れをつなぎ合わせていけば、ニューラルネットワークになる」

 取引を追跡し、金銭の流れを追いかけることによって、RBSは同行の企業顧客のサプライチェーンを導き出すことができた。

 同氏は、サプライチェーンの把握が重要な理由を、「顧客がさらされているリスクを顧客自身が理解できるようにするため」と話している。例えば、同氏によれば、製造業は英国経済において1600億ポンドの価値があるという。この業界が内包するリスクは、英国経済に直結する。「スマートフォンに使われる貴金属の供給元が外国、例えばウクライナなどの場合、供給が途絶えれば英国経済に影響する」

 これは、2011年、東日本大震災により米General Motors(GM)などの自動車メーカーが陥った状況だ。「震災の影響で衛星ナビゲーションシステムやコンピュータシステムの半導体の供給が滞ったため、GMなどの自動車メーカーの生産に遅れが生じた」とグローガン氏は話す。

 これまで、顧客のサプライチェーンのリスクに対してアドバイスを行っていた銀行はなかった。しかし同氏によれば、「RBSは多数のデジタル情報を所有しているため、ほぼリアルタイムにサプライチェーンのリスクを調査できる」という。

●収益拡大の推進力としての分析

 グローガン氏は、このような分析の利用方法を「バンキング2.0」と表現している。「バンキング2.0」では、同行がビッグデータと分析を活用して、事実に基づいて全ての決断を下す。これにより、取引関係を協力関係に変えることができると同氏は話す。

 RBSは、この新しい分析機能を活用したビジネスを立ち上げるのだろうか? それについて、グローガン氏は次のように述べている。「われわれは銀行であり、データ販売会社になるつもりはない。だが、顧客のニーズを満たす手伝いをしたいと考えている。その結果として、当行のリスクも減少するのが望ましい」

 データ分析を利用して顧客の事業基盤をより磐石にすることにより、企業顧客への貸し付けに関連するリスクに対して、精度の高い洞察ができるようになるとグローガン氏は言う。「当行の事業基盤が安定し、収益がもたらされるだろう」

 データの収益化については同行の顧客と一緒に判断する必要がある、というのがグローガン氏の考えだ。そもそも、分析エンジンに取り込まれるデータは、顧客の取引データだ。サプライチェーンのリスク分析に使用する、ほぼリアルタイムのデータに課金する企業もある。しかし、同氏は、顧客とRBSとの取引が増加すれば、RBSが得る価値も増加すると考えている。「現時点では課金に反対だ。資金を貸し、返してもらうのが銀行の仕事だ」分析によってRBSにもたらされる真の価値はそこにある。

 数Tバイトのデータと複雑なクエリをより効率的に処理するため、RBSは「Microsoft SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse(PDW)」を導入した。これにより、RBSでは従来4時間かかったクエリの処理時間を15秒未満に短縮できた。

 RBSは、複数のサプライヤーのソフトウェアで構成された分析エコシステムを運用している。一部の機能には米Teradata製ソフトウェアを使用しており、米Oracle製ソフトウェアも組み込んでいる。当初、グローガン氏のチームは既存のデータベースシステムを使用していたが、複数のソースから50Tバイトのデータを読み込んでからクエリが終了するまで何時間もかかるのが不満だった。

 「2013年に、当行史上最も複雑と思われるカスタムクエリを実行したところ、終了まで3日かかった」

 Microsoft製品は同氏が求める性能を上回っていた。新たな分析エンジンは、HP AppSystemアプライアンスにプリインストールされたMicrosoft SQL Server 2012 PDWで構築されている。このようにすることで、システムの導入が容易になると同時に、大幅なコスト削減を実現できる。グローガン氏は次のように話す。「私のチームにとって、SQL ServerからSQL Server 2012 PDWへの移行は簡単で、他のサプライヤーの製品よりも約85%コストを削減できることが分かっていた」

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