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プレゼン戦国時代を勝ち残るために――新世代ポインタ「Spotlight」がすごい

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/04/10
プレゼン戦国時代を勝ち残るために――新世代ポインタ「Spotlight」がすごい: ロジクールSpotlightプレゼンテーションリモート © ITmedia PC USER 提供 ロジクールSpotlightプレゼンテーションリモート

 Appleの前CEOである故スティーブ・ジョブズ氏、Microsoftの前CEO、ビル・ゲイツ氏――彼らを引き合いに出すまでもなく、優れたビジネスマンは優れたプレゼンターでもある。多くの著名人が講演を行う世界的な講演会、TED ConferenceやTEDxの盛況ぶりはプレゼンテーションのスキルがビジネスという枠を超え、非常に重要なものになってきていることの現れだろう。

 規模の大小を別にすれば、ビジネスマンなら社内外でのプレゼンテーションを行う機会は珍しくない。学生でもゼミなどで発表したり、あるいはセミナーやカンファレンスでの講演、短時間プレゼンのライトニングトークなど、プレゼンテーションを行う機会は非常に多くなってきている。

 そういったプレゼンテーションのツールとしては、MicrosoftのPowerPointやAppleのKeyboteが広く利用されている。基本的には資料を複数のスライドにまとめ、それを順次切り替えながら講演者の話す内容を視覚的にサポートするというスタイルが多い。講演者はスピーチと同時にプレゼンテーションツールの操作を行う。

 準備した資料は事前にいくらでも時間をかけ、完成度を高めることができるが、その場での変更はスライドを割愛することくらいしかない。逆に講演者のパフォーマンスはいくら準備をしても緊張などによって満足いく結果にならないこともあるものの、聴衆の反応を見て臨機応変に内容を変えたり、身振り手振りで感情に訴えかけたり、と、魅力的で聴衆を引き込むポテンシャルを秘めている。

 そのため、優れたプレゼンテーションは講演者の話術が主であり、資料は従となることが多い。だからこそ、話をしながらそのテンポ、雰囲気を邪魔することなく講演者自身が自分の意思を的確に反映させることのできる資料操作が不可欠だ。

 そこで、最近よく使用されているのがプレゼン用のキー操作をワイヤレスでできるリモコンだ。そのリモコンにレーザーポインタの機能を持たせたものも多く、プレゼンターは壇上を歩きながらでも、一つのツールで自由にスライドを操作し、強調したい部分を指し示すことができる。

 だが、リモコン機能はともかく、実はレーザーポインタは、大規模なプレゼンにはあまり向いていない。広い会場の特徴がことごとくレーザーポインタに不向きだからだ。具体的には以下の3点が挙げられる。

1、ポイントしているところが分かりにくい

 広い会場では大きなスクリーンとプロジェクターを利用することが多い。問題はスクリーンサイズが大きくなってもレーザーポインタの光点の大きさは変わらないことだ。

 例えば、広いカンファレンス会場で200型程度のスクリーンを使う場合は、小さな会議室で40型程度のディスプレイを使うときの5倍の大きさの光点でないと同様の視認性は得られない。だが、もともと指向性・収束性が高いレーザーゆえに、多少講演者の立ち位置が変わった程度では光点のサイズはほとんど変わらない。

 また、日本人男性の場合は、赤を判別しづらい人も5%程度いると言われる。そのような人にとって、現在広く利用されている赤いレーザーポインタは非常に見えにくい。

2、複数のスクリーンに対応できない

 さらに広い会場や、天井の高さに制限がある会場では、スクリーンを複数利用することもある。聴衆は自分の見やすいスクリーンを見ればいいが、レーザーポインタの光点が表示されるスクリーンはそのうちの1つだけだ。それ以外のスクリーンを見ていた聴衆はプレゼンターがレーザーポインタを使っていることすら気づかなかったり、気づいたときにはすでに遅く、どこのことを話していたのか考えているうちに次のスライドに移ってしまって、置いてけぼりになることもある。

3、講演者からポイントを操作・確認しづらい

 レーザーポインタの場合はスクリーンを向いて操作しなくてはならず、時として体をねじってポイントすることもある。そのときに、どこを指しているのか、講演者自身がスクリーンを見て確認しなければならないのも難点だ。聴衆に背を向けてしまうと意識も資料主体になってしまい、講演者の話が従になってしまいかねない。

 これらの問題を解決するのが、レーザーを使用しない新世代のプレゼン用ポインタ「ロジクールSpotlightプレゼンテーションリモート」(以下、Spotlight)だ。

●センサーとソフトウェアでレーザーポインタの問題を解決

 Spotlightの使い方は簡単だ。レーザーポインタのようにスクリーンを指せば、フォーカスしたい部分をハイライトしたり、ズームして強調することができる。

 その仕組みは加速度センサとジャイロセンサによって動きを検出し、専用ソフトウェア「Logicool Presentation」でポインタ周辺を強調表示して表示するというもの。PCからの出力自体を加工するため、スクリーンやディスプレイによって見えやすさが左右されることがない。

 そのため、前述の大スクリーンだけでなく、レーザーポインタの光点が乱反射されてしまうノングレア加工の液晶ディスプレイでも問題なく利用できる。もちろん、複数スクリーンにミラーリング表示した場合もすべてのスクリーンで同じように表示される。

 ロジクールは約10年前に、空中で使えるマウス「MX Air」を発売しているが、Spotlightはその機能を限定し、専用ソフトウェアとともにプレゼン用に特化、洗練した製品といった印象を受ける。手ブレが補正されるのも、キャリブレーション等が不要なのも同様だ。

 Spotlightは上部のボタンを押し続け始めたときのポジションを基準とした、相対的な向きでカーソルを操作する。そのため必ずしもスクリーンを向く必要はない。PCの外部ディスプレイを複製表示モードにしておけば、どこをポイントしているか、手元のPCを横目で確認しながら操作することも可能だ。聴衆の方を向いてプレゼンの主導を握りつつ、ジェスチャーによって資料のポイントに意識を向けさせる、というような演出も難しくない。

 ポインタによるフォーカスには、ポインタ周辺以外を暗く表示する強調表示、ポインタ周辺をルーペのようにズーム表示する拡大、円形を表示する円、の3種類がある。それぞれのモードに有効/無効を設定しておき、上部ボタンを2度押しして順次切り替えるようになっている。強調表示を使うと、ポインタ付近を強調するというよりは、それ以外を見えづらくするので、より意識を集中させることができる。表中の数字やグラフの特異点などを示すには拡大が有効だ。

 また、Spotlightの操作有効範囲は約20メートル。ハンズオンセミナーなど、受講者の席から操作する場合にも十分対応できる。

●実際にSpotlightを導入する

 Spotlightの機能を100%利用するには専用ソフトウェア「Logicool Presentation」(Windows/Mac用)が必要だ。Spotlightを接続する前にインストールしておこう。インストーラはチュートリアルも兼ねており、その中で充電も行われる。1分間で3時間利用可能なので事前に充電しておかなくてもよいのは便利だが、2台目以降でも同様に充電の時間がかかるのは少々歯がゆい。バッテリー残量によってスキップできればよいのに、と感じる。

 Spotlight下部のストラップは専用レシーバーとなっており、これを取り外すとその奥に充電用のUSB Type-C端子が見える。付属の充電ケーブルでは問題にならないが、かなり奥まった部分にあるため、一般的なUSB Type-Cケーブルだと挿しにくいかもしれない。

 Logicool Presentationは、Spotlightが接続されると自動的に有効になり、強調表示などの機能が使えるようになる。有効にする機能、ボタン長押し時に割り当てる機能などはシステムトレイのアイコンをクリックして設定する。ポインタとしての機能以外にはタイマー表示機能、設定時刻5分前のバイブレーション通知などがある。

 Spotlightのボタン面を横にして使うか、上にして使うかは人によって異なると思うが、たとえ操作中に本体をひっくり返しても、必ず天地の方向が上下になる。持ち方によって方向が変わってしまわないのは感覚的にもマッチするので使いやすい。一方、本体の向きはそのままで水平・垂直に動かしてもポインタの位置は変わらない。ここはレーザーポインタとは若干操作感の違うところだ。

 なお、上部ボタンを長押ししたときのSpotlightのポインタの位置は、初期状態ではマウスカーソルの位置になっている。その後はSpotlightの上部ボタンを離したところから再開される。Spotlightのみを使用する場合には問題ないが、マウスを併用する場合などはマウスカーソルを動かしてもSpotlightのポインタの位置は変わらないので注意してほしい。詳細設定画面で5分間使用しないとポインタを中央に戻すよう設定することもできる。

 Logicool Presentationの対応アプリにはPowerPoint、Keynote、Google Slides、PDF、Preziが挙げられている。だが、「進む」「戻る」ボタンはそれぞれカーソル移動キーの右と左に割り当てられており、その2つのキーで操作できるアプリであれば利用可能だと思われる。Spotlightの特徴的なポインタ表示はアプリを問わずに利用可能だ。

 また、SpotlightをBluetoothで接続すれば、AndroidやLinuxなどでも利用できる。ただし、Logicool Presentationが提供されていないOSではSpotlightはマウス+Page Up/Page Downのみのキーボードという扱いであり、強調表示などは利用できない。

●スマートなプレゼンテーションツール

 Spotlightは気品のあるゴールド、スレート、シルバーの3色のカラーバリエーションで展開されている。緩やかな曲面、電源ボタンすらない、ボタンを極力減らしたデザインは非常にエレガントな仕上がりだ。

 広いカンファレンス会場では目立つサイズではないものの、発売されたばかりの製品ということもあり、今はまだ実際にSpotlightを使ったプレゼンテーションを目にした人は少ないだろう。そのとき、スクリーンの強調表示に驚いてプレゼンターの手元を見る聴衆は少なくないはずだ。洗練された美しい最新機器をスマートに扱う姿もまた、プレゼンの演出の1つと言える。

 その一方で、専用ソフトウェアのLogicool Presentationは洗練されていない印象はある。メイン画面はアクティブでなくなった瞬間に終了してしまうが、メイン画面から設定アイコンをクリックして開く詳細設定画面は「×」をクリックして閉じる。また、詳細設定画面を開くと同時にメイン画面が消えてしまう。

 つまり、メイン画面と詳細設定画面はネストした関係ではなく、メイン画面から詳細設定画面が起動できる(そしてそれと同時にメイン画面は終了する)という分かりにくい関係にある。「次へ」ボタンの設定画面のタイトルが「進む」となっていたり、「Logicool Presentation」と「SPOTLIGHT」という名称が混在していたりと、用語が統一されていないのも気になった。

 それから、以前からESETのセキュリティソフトはロジクールのマウス・キーボード設定ツール「Logicool Options」をウイルスと誤検出していたが、このLogicool Presentationも同様にウイルスと検出してしまうようだ(原稿執筆時点)。個人用途ならともかく、企業用途では管理者権限がないユーザーではどうしようもなくなってしまう可能性もある。企業としてぜひ、解決に向けて働きかけをしてもらいたいところだ。

 もっとも、一部に不満があるとはいえ、プレゼンテーションの場においてそれらが問題になることはないはずだ(スクリーンにESETの警告が出ると目も当てられないが)。直販サイトで1万3910円(税込)という価格は、レーザーポインタの代替としてはやや高いが、その効果はレーザーポインタよりもはるかに大きい。プレゼンスキルの価値を知る人にこそ、注目してほしい製品だ。

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