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ユーザーの声に応えて進化――商品企画担当者が語る「Galaxy Note8」

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/10/04
ユーザーの声に応えて進化――商品企画担当者が語る「Galaxy Note8」: 日本の報道関係者とのグループインタビューに臨むソ・ジン氏 © ITmedia Mobile 提供 日本の報道関係者とのグループインタビューに臨むソ・ジン氏

 Samsung Electronicsが8月23日(米国東部夏時間)発表したAndroidスマートフォン「Galaxy Note8」。世界のほとんどの市場では、販売中止に追い込まれた「Galaxy Note7」以来1年ぶりとなる新モデルとなる(※)。日本での発売は未定だが、仮に発売が決まれば「Galaxy Note Edge」から約3年越しの新モデル投入ということになる。

 Galaxy Noteシリーズのユーザーは、他のGalaxyシリーズと比較するとロイヤルティー(製品に対する忠誠度)が高いと言われている。Galaxy Note8は、そのユーザーの声に応えて開発されたものだという。

 複数の市場でこの機種が発売される中、筆者は韓国・水原(スウォン)市の同社本社で行われた日本の報道関係者向けのグループインタビューに参加する機会を得た。この記事では、Galaxy Note8の商品企画を担当したグローバル商品企画グループ Senior Professionalのソ・ジン氏に話を伺った際の模様をお伝えする。

※ 海外の一部市場では、Galaxy Note7をベースにバッテリー容量を削減した「Galaxy Note Fan Edition」をNote8に先だって発売している

●大画面:「ノート」と「スマホ」のバランス感に配慮

 「大画面のもたらす体験」を訴求すべく、Galaxy Note8では「Galaxy S8」「Galaxy S8+」と同様に「Infinity Display」と呼ばれるSuper AMOLED(有機EL)ディスプレイを採用している。画面サイズはS8+よりもわずかに大きい6.3型で、解像度はQHD+(1440×2960ピクセル)となっている。画面の左右が湾曲している点もS8/S8+と同様だが、「Sペン」での操作性に配慮してエッジの角度をより急にしている。

 Sペンの操作性を考えた場合、「画面のアスペクト比(縦横比)をもう少し実際のノートに近づけても良いのでは?」という疑問も湧いてくるが、「ノートとしての使い勝手とスマホとして手に持った時のバランスの良さに配慮した」(ソ氏)結果、S8やS8+と同じ9:18.5の比率に落ち着いた。

 大画面を生かすために、Note8ではApp Edgeに2つのアプリをマルチウィンドウで起動できる「App Pair」という機能が新たに追加された。この機能は、ユーザー調査を通して「Noteユーザーはマルチウィンドウの利用率がより高い」(ソ氏)ことが分かり、その結果生まれたものだという。

●Sペン:実用性をより向上

 Sペンに関するハードウェア的な仕様は、Note7とほぼ同様となっている。筆圧検知は4096段階で、そこそこしっかりとした絵も描けるレベルだ。本体と同様に防塵(じん)・防水性能を確保しているため、ぬれた状態でもペン操作ができる。

 その使い勝手をさらに高めるべく、Note8ではソフトウェア面での改善を進めている。例えば、日常的にSペンを使ってもらうべく、スリープ状態でもSペンでメモが取れる「画面オフメモ」や、Sペンで描いた(書いた)絵や文字をアニメーション化する「ライブメッセージ」に新規対応した。

 画面オフメモは「Noteユーザーの『Galaxy Notes』(Galaxyオリジナルのメモアプリ)の使い方を調べた」(ソ氏)ところ、ペンを取り出したらすぐメモを取りたいというニーズが多かったため搭載したという。メモの最大保存数を100件に拡大したり、メモした内容をAlways On Displayに表示できるようにしたりして、利便性の向上にも努めている。

 ライブメッセージでは、作成したアニメーションをGIFファイルとして保存できる。そのため、メッセンジャーアプリのスタンプ代わりに使うこともできる。ソ氏も友人とのやりとりに活用しているという。

 その他、ペンを文字列にかざすと任意の言語に翻訳できる機能では、センテンス(連続した言葉)の翻訳も可能になった。また、絵を描く際に使う「PENUP」アプリもバージョンアップし、クリエイティビティを向上している。

●カメラ:Galaxy初の「デュアルカメラ」に

 「ユーザーのニーズが高まった」(ソ氏)ことから、Galaxy Note8では「デュアルカメラ」をGalaxyシリーズとしては初めて搭載している。

 デュアルカメラは「通常レンズ」と「望遠レンズ」という組み合わせで、2倍の光学ズームを実現している。いずれのレンズにも光学手ブレ補正機能を備えており、ブレを軽減している。

 2つのレンズがあることを生かして、背景のピンボケ補正をいつでも調整できる「ライブフォーカス撮影」機能を搭載している。通常の写真と望遠写真を同時に撮影する「デュアルキャプチャー」にも対応しており、ライブフォーカス撮影中も利用できるという。

 その他、Galaxy Note8ではGalaxy S8/S8+に搭載されている「Samsung DeX」「非接触充電(Qi)」「防水・防塵」「microSDメモリーカード対応」といった機能的特徴をキープしている。

●質疑応答

 Galaxy Note8についての機能説明が終わった後、ソ氏は日本の報道関係者との質疑応答に臨んだ。主なやりとりは以下の通り(一部順不同)。

電源回りは「万全」

―― Galaxy Note8の急速充電方式は何か。

ソ氏 S8/S8+と同じく「Quick Charge 2.0」「USB Power Delivery(USB PD)」「Adaptive Fast Charge(※)」に対応している。

※ Samsung独自の急速充電方式で、日本仕様のGalaxy S8/S8+では非対応

―― 過去に(電源回りで)不幸なことがあった。USB PDのように電圧を高めて急速充電をする方式だけに対応した方が安全性がより高まると思うが、電流を増やして急速充電をするQuick Chargeも採用した理由はどのにあるのか。

ソ氏 弊社では3つの急速充電方式いずれにおいても同等の安全性を確保するべく取り組んでいる。バッテリーの安全性を高めるために充電のアルゴリズムに工夫を加え、(Note7のバッテリー発火問題を受けて策定した)「8-point Battery Safety Check」において、バッテリー自体の耐久性チェックなども行っている。

担当者 既に同様のチェック体制を取っているGalaxy S8/S8+については、ある程度発売から時間が経過しているが、同じような事故は発生していない。このことは、弊社のチェック体制や制御アルゴリズムがしっかり機能していることを意味している。

 Note8もグローバル発売から2週間ほど経過したが(筆者注:インタビューは9月26日に実施した)、バッテリーに関する問題は発生していない。心配なくご利用頂けるものと考えている。

―― バッテリーの検査は、全数実施をしているのか。

担当者 製品に組み込む前に、全数検査を実施している。

「ペン」へのニーズでGalaxy S8+とのすみ分けはできる

―― 画面サイズがほぼ同じ「Galaxy S8+」が存在することで、「ファブレット(スマホとタブレットの中間サイズの端末)」としてNote8を買う人は減ると思う。純粋に「Sペンが欲しい」という人だけがNote8を買うことになるとも思うのだが、御社としてはそのような認識を持っているのか。

ソ氏 同じ大画面を求める人でも、S8+とNote8を求める人の特性は異なると考えている。Note8を求めるユーザーなら、生産性や創造性をより強く求めている。Note8においてApp Pairを搭載したことや、PENUPをバージョンアップしたことは、そのようなユーザーニーズに応えるためでもある。

―― Noteユーザーがより大画面を求めるのであれば、Note8の画面を(S8+との差別化要素として)もっと大型化する選択肢もあったと思う。検討はしなかったのか。

ソ氏 Note8では“Phone(電話)”を諦めたくなかった。「大画面」と「電話」とのバランス、「手に握った時の利便性」と「バッテリー容量」とのトレードオフなどを総合的に考えた結果、6.3型に落ち着いた。

―― 「ノート」として使うには、Note8は少し縦長すぎる気もするが、これで最適であると考えているのか。

ソ氏 ノートとして考えると、他のアスペクト比にも検討の余地はあった。しかし、スマホとして手に持った時のことを考え、あえて「18.5:9」とした。

「白」「赤」はグローバルでは不人気?

―― Note8は、グローバルでは4色展開となっている。ホワイトやレッドといった日本で人気のカラーは検討しなかったのか。

ソ氏 端末のカラーは、社内での検討や消費者リサーチを行った上でモデルごとに最適化している。このプロセスを経て、Note8では4色を(グローバルで)展開することになった。

 ただ、一定のニーズがあれば、色を追加することはある。例えば、あるモデルに一部の国でピンクを追加したこともある。

―― Note8は195gと、若干重たくなったように思う。従来の機種ではなるべく重量を抑えようという傾向にあったと思うのだが、今回はそう考えなかったのか。

ソ氏 画面が大きくなり、実装部品の点数が増えると重くなることは致し方ないと考えているが、継続的に軽量化への取り組みを行っている。

デュアルカメラの“強み”とインカメラの“足踏み”

―― デュアルカメラの採用で、スマホカメラのトレンドにキャッチアップした感がある。他社のデュアルカメラと比べて、どこに優位性があると考えているか。

ソ氏 Note8では、2つのカメラで深度を把握できるので、背景とオブジェクトを分離してよりきれいな写真が撮れることと、ズーム撮影がきれいになることの2点にフォーカスを当てている。

 広角(通常)側にはF1.7の明るいレンズを使っているので、暗くてもきれいな写真が撮影できる。望遠側にも光学手ブレ補正機構を導入しているので、ブレの少ない写真が撮れる。そしてライブフォーカスを使ってボカシの調整もできるので、より深みのある写真を撮影できる。

―― ここでデュアルカメラの採用を決意した理由は。

ソ氏 Galaxy S7では、「明るいレンズ」「デュアルピクセルセンサー」というアプローチを使ってカメラの画質を大幅に改善してきた。

 今回は「人物がより目立つ写真を撮りたい」というニーズに応えるべく、デュアルカメラを採用することにした。

―― インカメラについては、あまり変わっていない(性能に進化がない)ように見える。次世代モデルのために進化を「控えた」のか。

ソ氏 Note8では、デュアルカメラを使った画質改善に注力した。

 インカメラの改善は検討したが、今回はS8/S8+と同様にライブステッカー機能の追加を行うことにした。

Samsung DeXの日本上陸は?

―― Samsung DeXについて、何か新しいことをしているか。

ソ氏 Note8では、DeXモードにおけるソフトウェアの最適化をより進めている。最適化が進んだことで、ある会議アプリではDeXモードと通常モードの間でシームレスに会議を継続できるようになった。

―― Galaxy S8/S8+と機能面における差分はないのか。

ソ氏 現時点ではないが、今後は検討していくことになると思う。

―― そもそもDeXを使うために必要な「DeX Station」は販売地域が限定されている。日本は現時点では“対象外”だが、販売の検討はしていないのか。

担当者 さまざまな角度から検討はしている。(Galaxy S8/S8+の時点における)調査の結果、単に他の国よりニーズがなかったために発売を見送った。

 ただ、現在日本国内で行っている「Galaxy Studio」では試験的にDeX体験コーナーを設けてみて、アピールしつつニーズを探ってみている。その上で、販売を検討したいとは思っている。

生体認証は「虹彩」がベストと考える

―― Galaxyシリーズにおける指紋認証センサーの位置付けはどうなっているのか。S8/S8+で正面の一等地(ホームキー)から背面に回ってしまったが……。

ソ氏 Note8では、S8/S8+と比較して、(同じ背面ではあるが)カメラやLEDライトと合わせて位置や間隔を調整して使い勝手を改善できたと考えている。

 ただ、(今の位置だと)不便であるという意見もあるので、さらなる位置の調整、あるいはディスプレイ面での指紋認証といった技術的イノベーションなど、改善の努力は絶え間なく続けていく。

―― iPhone Xでは顔認証(Face ID)を採用した。この認証では顔のパターンを記憶するなど、複合的にセキュリティを担保しようとしている。その他の生体認証も含めて、御社としてはどのようなアプローチを取ろうと考えているか。

ソ氏 弊社では「Samsung Knox」という独自のセキュリティソリューションを持っている。これにより複合的なセキュリティレイヤーとして情報を保護している。

 複合的な認証方法については、検討を進めていく。

―― Appleは(複合的な)顔認証の方が虹彩認証よりもセキュアと言っている。御社の場合はそのまま虹彩認証を使い続けるのか。

担当者 そもそも、AppleがiPhone Xで採用した顔認証技術と、弊社が顔認証として使っている技術は方法や用途が異なっている。弊社の顔認証は利便性を重視しており、よりセキュアな認証を求める人には虹彩認証や指紋認証をおすすめしている。

 それぞれの会社は、それぞれの考えに基づいてよりセキュアな認証方法を考えて、さまざまな進化を遂げていくのだと思う。

―― 御社としての(生体認証の)推奨順はあるのですか。

ソ氏 虹彩認証が(他人受入率の面で)一番で、指紋認証、顔認証と続く。前二者は、金融機関やデータセンターなどでも使われていて、実績もある。

 Galaxy Note8は、現時点でのSamsungの“本気”を全て詰め込んだスマホだ。1年前のバッテリー問題を乗り越えて、同社のお膝元である韓国はもちろん、既に発売済みの国・地域では好調な滑り出しを見せているという。

 筆者が以前に取材したMVNOサービスを利用する女性へのグループインタビューでは「GALAXY Note II SC-02E」から「GALAXY Note II SC-02E」、つまり同じ機種にわざわざ買い換えた人もいたが、その理由の1つが「ペンと大画面」だった。この女性と同様に、日本にも熱心なGalaxy Noteファンは確実に存在する。

 日本でのGalaxy Note8発売を祈りつつ、この記事を締めたいと思う。

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