古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

ラスベガス銃乱射事件の全貌

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/10/03
ラスベガス銃乱射事件の全貌: 逃げまどう人々(Shawn Kilgore via AP) © ITmedia NEWS 提供 逃げまどう人々(Shawn Kilgore via AP)

[AP通信] 米ネバダ州ラスベガスで10月1日夜(現地時間)、何千人ものコンサート客に向けてホテルの32階から発砲するという米国史上最悪の銃乱射事件が発生した。捜査当局は単独犯とみられるこの事件の容疑者について調べを進めているが、その動機は翌2日になっても謎のままだ。

 この事件では少なくとも59人が死亡し、数百人が負傷。事件が起きた1日夜、現場では「ルート91ハーベストフェスティバル」が開催され、カントリーミュージックの人気シンガー、ジェイソン・アルディーンが演奏中だった。容疑者はこの野外コンサート会場の向かいにあるカジノホテル「マンダレイベイ」の窓を叩き割り、部屋に隠しておいたライフル銃で発砲を始めた。警察がホテルの部屋に突入したときには、既に容疑者は自殺していたという。

 この悲劇的な事件の捜査状況と米国内での反応をまとめる。

●捜査状況

 事件を受け、イスラム過激派組織ISが犯行声明を出したが、捜査当局は今回の事件に国際テロ組織が関係している可能性は低いとの見方だ。

 仕事を引退し、ネバダ州メスキートで余生を過ごしていたスティーブン・クレイグ・パドック容疑者(64)は、特に警察に目をつけられるような人物ではなかった。当局はパドック容疑者が単独で犯行に及んだとみているが、同居していた女性(62)に事情聴取をする方針だという。

 「現時点ではサイコパスの心に入り込むことができない」とラスベガス警察のジョゼフ・ロンバルド保安官は語る。

 捜査状況に詳しい2人の関係筋によると、当局はパドック容疑者が滞在していたホテルの部屋から少なくとも17丁の銃を押収したという。

 現在、ラスベガス警察が捜査を指揮しており、ジェフ・セッションズ司法長官はFBI(連邦捜査局)など複数の連邦政府機関に協力を指示している。

●犠牲者

 事件では少なくとも527人が負傷し、59人の死亡が確認されている。

 正看護師のソニー・メルトンさんは、死亡が確認された犠牲者の1人。ソニーさんの妻で整形外科医のヘザー・メルトンさんも夫と一緒に事件の現場にいたが、ヘザーさんは助かった。

 ヘザーさんはテネシー州ナッシュビルのテレビ局WZTVの取材に応じ、「夫は自分の命と引き換えに私を助けてくれた」と語っている。ヘザーさんによれば、ソニーさんはこれまでに出会った中で一番心の優しい愛情深い男性だったという。

 他にも、アラスカ州アンカレッジの漁師エイドリアン・マーフィットさん(35)、ニューメキシコ州ギャラップの高校事務員リーサ・ロメロさん、カリフォルニア州マンハッタンビーチ警察の情報記録技術者レイチェル・パーカーさん、カナダのブリティッシュコロンビア州メイプルリッジの機械工実習生ジョーダン・マクルドゥーンさんなどが今回の事件の犠牲となり命を落としている。

●容疑者

 フロリダ州に住むパドック容疑者の弟エリックさんによれば、「兄は大富豪で、カジノで気前よくお金を使い、食事や部屋代が無料になるサービスを何度も受けていた」という。

 エリックさんは自分の兄について、「他の人たちとは違い、彼はお金持ちで、クルーズ旅行やギャンブルを楽しんでいた」とも語っている。

 パドック容疑者はネバダ州メスキート在住。当局によれば、少なくとも2004年から2012年まではテキサス州ダラス郊外のメスキートに住んでいた。さらにブライアン・パリシュ警部補によれば、パドック容疑者は不動産登記によると少なくとも3件の賃貸不動産を所有していたという。

 捜査当局は2日にネバダ州メスキートの自宅を捜索。ネバダ州当局もテキサス州当局も、これまでパドック容疑者と接触したことはないという。ただしパドック容疑者の父親ベンジャミン・ホスキンズ・パドックは名うての銀行強盗であり、かつて服役中の1968年に刑務所から脱走し、一時はFBIの最重要指名手配犯とされていた。

●ラスベガスの治安

 今回の事件では、銃などの武器をホテルに持ち込むのがいかに簡単かが明らかになった。容疑者がどのようにしてホテルの部屋に銃や弾薬を持ち込んだのかはまだ定かではない。だがセキュリティの専門家は、スーツケースやゴルフバッグなど、ごく普通の手荷物に隠すのは簡単だったであろうとの見方を示す。

 「この男が発砲した弾薬の量からすると、複数回にわけて部屋に運び入れたか、あるいは全部まとめてカートで運んだかだろう」。元シークレットサービス(大統領護衛官)で現在はメジャーリーグ球場などプロスポーツ向けのプライベートセキュリティコンサルタントを務めるアンジェラ・ハードリチカ氏は、そう指摘する。

●トランプ大統領の対応

 事件を受け、ドナルド・トランプ米大統領は4日に現地を訪れると表明。「自分にとっても、皆さんにとっても、とてもとても悲しい1日になるだろう。皆さんがどこにいようと、どのような思想信条であろうともだ」とコメントしている。

 大統領は2日午前にホワイトハウスで演説し、この銃乱射事件を「極めて邪悪な犯行だ」と強く非難。

 2日午後には、メラニア夫人とともにホワイトハウスの南庭で犠牲者に黙とうを捧げた。大統領はこの事件について、電話でテリーザ・メイ英首相とも話をしたという。

 一方で米民主党は2日、新たな銃規制法の必要性を訴えた。だが全米ライフル協会が支持する共和党法案もたなざらしとなる中、銃規制強化の動きに弾みがつく兆しは見られない。

●カントリーシンガーが相次ぎコメント

 カントリーミュージック界では、スター歌手たちが相次ぎ、事件の犠牲者らにお悔やみの言葉を送っている。

 「不幸にも犠牲になった全ての人たちのこと、彼らの愛する人たちの苦悩を思い、胸が痛む」。1日夜のイベントに参加したルーク・コムズはInstagramでそうコメントしている。

 キャリー・アンダーウッドはTwitterで次のようにコメント。「朝起きて知った。なんて痛ましい事件。犠牲者のご冥福をお祈りし、ご家族に心からお悔やみを申し上げます」

 キース・アーバンは「言葉にならない。事件に巻き込まれた人たちに心からお見舞いを申し上げます」とツイートしている。

●かつての銃乱射事件の遺族は

 今回の事件には、2012年に起きたサンディフック小学校銃乱射事件で家族を失った遺族も心を痛めている。

 サンディフック小学校銃乱射事件で6歳の娘アナ・グレースを亡くしたネルバ・マルケス-グリーンさんは、今回の事件を受けて一連のツイートを投稿。人種問題や一般大衆の激しい怒りなど、銃による暴力の問題についてコメントしている。

 「子供を亡くした母親としては、犯人の肌の色などどうでもいい。でもどうして誰も、銃を持った怒れる白人たちについて語ろうとしないの?」とネルバさんはツイート。「なぜ自分たちに都合のよい事件についてしか話そうとしないの? お願い。母親が自分の子供を銃による暴力から守れるようにどうか協力して」と続けている。

(日本語翻訳 ITmedia ニュース)

(C) AP通信

ITmedia NEWSの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon