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不満もあるAirPodsがカッコよくなるかはApple製品次第

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/09/09
不満もあるAirPodsがカッコよくなるかはApple製品次第 © KADOKAWA CORPORATION 提供 不満もあるAirPodsがカッコよくなるかはApple製品次第

 今年前半(2017年6月末)までに発売されたトゥルーワイヤレスイヤフォン14機種を比較してきた。まだ新しいカテゴリーにもかかわらず、数千円台の通販専売品から、4万円近いプレミアムクラスまで、すでに様々なバリエーションが存在している。  それらを較べて浮き上がってきたのは「AirPodsとそれ以外」というくくりだ。「世の中のトゥルーワイヤレスイヤフォンには、2種類しかない」。そう言い切ってしまうのはいささか乱暴だが、そうした視点で整理した方がわかりやすい部分もある。 Apple AirPods 1万8140円 Apple AirPods 1万8140円  ではAirPodsはほかと何が違うのか。イヤフォンの機構としては、開放型と密閉型の違いであり、そこから来るメリットとデメリットの違いでしかないが、それだけではない部分もある。  トゥルーワイヤレスイヤフォン比較の締め括りとして、AppleのAirPodsを半年以上使ってきた印象と、そのポジションを考えてみたい。最初にまずAirPodsの何がいいのか。 Apple機器間の連携  世間一般で言われている通り、AirPodsの使い勝手は最高だ。  iPhoneとペアリングするだけで、iCloudにログインしている機器の設定が更新され、それぞれのメニューからAirPodsを選ぶだけで接続できる。そして耳に装着すれば再生機器と接続され、取り外せば音楽は一時停止、装着しなおせばまた再生する。素晴らしい。  そうしたソフトウェアパワーにAppleの強みがあるのは確かだが、世間の大多数を占めるAndroid端末では、そうしたApple風おもてなし機能は一切効かない。それでも素のトゥルーワイヤレスイヤフォンとしてAndroidでも使えるし、その際にもAirPodsのハードウェア的アドバンテージはかなり大きい。 連続再生時間が2倍  AirPodsの重量は片側4.0gで、トゥルーワイヤレスイヤフォンの中では最軽量の部類だ。こうした小型軽量モデルは、バッテリー容量が限られるため、通常は2時間から3時間程度しかパワーは持たない。  ところがAirPodsの連続再生時間は5時間。ほかの機種のおおむね倍だ。AirPods本体のバッテリー容量をAppleは明らかにしていないが、これは省電力設計が行き届いた結果と推察できる。というのも、たった15分の充電で3時間使えるのだ。他社の製品は、3時間動作させるにはフルチャージが必要で、それには2時間以上かかる。 ※ 分解専門サイトのiFixitによると93mWh(単位がmAhでないことに注意)だったそうだ AirPodsのケース内蔵バッテリーの容量は398mAh(スペックデータとしては公表されていないがケースの蓋の裏に印字がある)。ケース併用での再生時間は24時間以上 AirPodsのケース内蔵バッテリーの容量は398mAh(スペックデータとしては公表されていないがケースの蓋の裏に印字がある)。ケース併用での再生時間は24時間以上 AirPodsと同じ本体4gの「ERATO APOLLO 7s」の最大再生時間は3時間。300mAhのケース内蔵バッテリーで約2回のフルチャージが可能。ケース併用での再生時間は最大9時間 AirPodsと同じ本体4gの「ERATO APOLLO 7s」の最大再生時間は3時間。300mAhのケース内蔵バッテリーで約2回のフルチャージが可能。ケース併用での再生時間は最大9時間 音ズレ&フェージングなし  AirPodsのレイテンシー(信号遅延)の低さは特筆ものだ。レイテンシーはまず動画再生時の映像と音声のズレとして現れるが、テストしたAirPods以外の製品は、多かれ少なかれすべてがこの問題を抱えていた。  ただ、音ズレは音楽のみを聴く場合はなんの問題にならない。もっと深刻な問題はフェージングだ。これは左右イヤフォン間の位相差で起きる音場の揺れで、コンテンツが音楽でも動画でも同じように起きる。これも程度の差は大きいが、中には音が回り続けて止まらないものもあった。果たして音場のセンターが定まらないものを、ステレオ再生装置と呼べるのかどうか。  だから、あまりにフェージングがひどいものは記事にしなかった。「あのメーカーのあの機種はなぜレビューしないのか」という疑問については、すべてとは言わないが事情があったということでご理解願いたい。  AirPodsはそうしたレイテンシーに起因する2つの問題を、まったく意識させなかった。レイテンシーの低さと省電力設計。これがAirPodsのハードウェア的アドバンテージだ。 遮音性とボリュームアップによる歪み  では、AirPodsのダメなところを挙げていこう。これも山ほどある。  まず遮音性だ。広く一般に使われることを前提にしたApple製品は、ユニバーサルフィットこそ正義だ。だからAirPodsも、有線のEarPods同様、開放型のインイヤー型として設計されている。このタイプのイヤフォンは、装着性の点で多くの人に優しい。  しかし耳孔との気密性が確保できないため、外から音は入り放題。低域もスカスカに抜ける。地下鉄の車内のようにノイジーな場所では、特にベースやキックのボトムが良く聴こえない。  だから音楽に没入したいリスナーは、イヤーモニターに使われる密閉型のカナル型や、ノイズギャンセリングシステムを求め、そうしたニーズがiPod以降の高級イヤフォン・ヘッドフォンブームにつながった。  メーカーもそこはわかっているので、どうやらAirPodsはDSPで低域をブーストしている。それである程度までの音量なら整ったバランスで聴ける。しかし周囲の騒音に合わせて音量を上げていくと、平板さが目立つようになり、やがて歪みが気になり始める。  AirPodsは、どんな条件でも音に没入したいというニーズには応えられない。 Siriに委ねた操作系統  AirPods以外のトゥルーワイヤレスイヤフォンは、イヤフォン本体にマルチファンクションボタンがあり、長押しや連打で音量の調整、曲のスキップやリワインドなどが操作できるようになっている。  AirPodsには、そうしたボタンが一切ない。代わりに内蔵センサーでタッピング操作を受け付け、Siriを呼び出し、音量や選曲の操作をする。Siriが受け付けるコマンドは幅広い。単に曲を飛ばしたり戻したりするだけでなく、曲名やアーティスト名で聴きたい曲を指示したり、再生中の曲名を確認したりもできる。  だが「次の曲をかけてください」「この曲のタイトルはなんですか」などと電車の中で言う勇気は私にはない。それにアナル・カントのような、口にするのもはばかられるようなバンド名を、公衆の面前でどう指示したらいいのか。  結局は単に曲をスキップするだけの操作でも、カバンやポケットからiPhoneを取り出することになるのだ。クラウドAIとの連携は、先進的なのか、余計なお世話なのか、私にはよくわからない。 ※ Apple Musicのライブラリにも入っている実在のバンド 防水機能はない  多くのトゥルーワイヤレスイヤフォンは、IPX5程度の防沫性能があり、シャワーくらい浴びても平気なことになっている。お風呂に入りながら、再生装置本体を持たずに音が聞けるのは、ワイヤレスイヤフォンのメリットのひとつだ。  しかしAppleはAirPodsに耐水性があるとは言っていない。開放型のイヤフォンにそれを望むのは難しいのかもしれないが、防水機能はない。 デメリットが転じればスマートイヤフォンに  以上、プンスカ文句をたれてきたが、列挙した難点のいくつかは、条件を変えればメリットに転ずる。  たとえば開放型のイヤフォンは環境音が適当に入り、長時間装着しても異物感が少なく、音量を上げる必要のない室内では快適に使える。開放型のトゥルーワイヤレスイヤフォンは、一部AirPodsのデッドコピー(いわゆるパチモン)にあるくらいで、貴重な存在だ。  そこで自宅でAirPodsを使い始めてみたら、結果としてBluetoothスピーカーの出番がなくなってしまった。スピーカーと違ってどこにいてもステレオ音場が成り立つし、音声の明瞭度も高い。それに自宅で一人なら、誰に気兼ねすることなく、なんだってSiriにお願いできる。  クラウドAIのインターフェースとして、各社続々とスマートスピーカーを発表しているが、ああした製品には環境音から話者の声を抽出するため、マルチマイクを始めとした様々な技術がつぎ込まれている。  AppleもHomePodという製品の発売を今年12月に予定しているが(販売地域に日本は含まれていない)、あれはスピーカーをどこに設置しても最適なバランスが得られるよう自動でチューニングするらしい。  いずれも技術的には非常に興味深いが、ステレオヘッドセットなら同じことが確実にできるし、羞恥心さえなければ、そのまま公衆環境で使ってもいい。そう、羞恥心さえなければ。  その際に不満なのは、ダブルタップのセンシングがイマイチで、Siriの起動がワンテンポ遅れることだけだ。 エコシステムの一員として考えると操作性は向上  AirPodsがほかのトゥルーワイヤレスイヤフォンと違うのは、小さくて安くても、やはりAppleのエコシステムを構成するパーツのひとつということ。つまり、うっかりすると無駄な物欲を招来する。  たとえばApple Watchとの組み合わせで、操作性は向上する。watchOSのミュージックアプリで選曲することにすれば、電車の中でSiriに向かって声を出す必要も、iPhoneをポケットから出す必要もない。  だから、もしウワサされているように、Apple Watch Series 3がLTEに対応し、万が一にでもストリーミングで音楽の再生が可能で、どう考えても無理とは思うがバッテリーが1週間も持つようなことにでもなれば、普段腕時計を着ける習慣がない私でも、つい買ってしまいそうな気がする。なにしろ腕時計とイヤフォンだけで再生装置が成り立ってしまうのだからカッコいいではないか。なんなら普段使っているGoogle Play Musicをやめて、あまり好きになれなかったApple Musicに入り直してもいい。 写真はApple Watch Series 2 写真はApple Watch Series 2  クラウドAIを後ろ盾に持ち、音楽配信サービスからスマートウォッチ、そしてイヤフォンまでを擁するメーカーはほかにない。AirPodsを選ぶなら、そこはぜひ気をつけたいところだ(と自分に言い聞かせている)。 ■関連サイト アップル 著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)  1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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