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乃木坂46、5年目のバースデーライブで開いた“第2章”の扉

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/02/28 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 「次の5年間も、楽しいことや辛いことがあるかもしれないけど、みなさんと一緒に新たな坂を登っていけたらと思います」(生駒里奈・3日目MCより)  乃木坂46が、2月20日から22日にかけて行なった『5th YEAR BIRTHDAY LIVE』は、グループの転換点を明確に提示した充実の3日間であり、同時に「5年」という大きな変革のタイミングを感じさせるライブだった。全てを取り上げるにはあまりに情報量が多すぎるため、本稿では3日間の中から象徴的だったいくつかの出来事を、分析も交えつつ紹介したい。 ・橋本奈々未卒業公演が「寂しい」が「悲しくはない」理由 「皆さんが帰った後も心にこびりついて離れないライブにしたい。網膜にこびりついてやる!」(橋本奈々未・1日目MCより)  1日目は、『5th YEAR BIRTHDAY LIVE~橋本奈々未の卒業コンサート~』と題されたように、グループ内外で多大なる存在感を発揮し続けたメンバー・橋本奈々未の卒業公演も兼ねたライブだった。彼女が最初で最後の表題曲センターを務めた「サヨナラの意味」でスタートし、橋本が中心となって各シングルから1曲ずつを選抜したというセットリストに沿って進行。とはいえ、自分を中心に据えたセットリストではなく、要所で当時の研究生メンバー曲である「ボーダー」や、自身が好きだというアンダー曲「ここにいる理由」を挟むなどしっかりとグループの未来を提示する優しさも見せた。また、橋本が一番好きな楽曲だと言い続けてきた「生まれたままで」では、念願叶ってパフォーマンスに参加した。  橋本とはシンメトリーのポジションになることが多く、彼女をよきパートナーとして支え合った白石麻衣は、序盤の「偶然を言い訳にして」で本人より先に涙を見せる。ファンの前でめったに泣かない橋本は、本編が終わっても涙を流すことはなかった。このまま最後まで行くのかと思いきや、1人で登場したアンコールの冒頭、自身のソロ曲であり卒業ソングの「ないものねだり」について「<ないものねだりしたくない>って歌ってるけど、こんなに素敵な景色を何度も目の前にしてるのに、別の道を進みたいと思うのが、一番のないものねだりだと感じています」と号泣。最後の最後に見せた彼女の飾らない素顔に、多くのファンがもらい泣きをするなか、橋本はグッと涙をこらえ「自分で選んだ道の先に正解があると信じてます」と同曲を歌唱。その後白石からの手紙が読まれ、最後は再び「サヨナラの意味」。終始彼女の推し色である緑のペンライトが会場を包み込む中、1人のアイドルがその大きな役目を終えた。  橋本奈々未という人は、周囲から「アイドルらしくない」と評されるキャラクターも含め、グループにとっては代替不可能な存在だ。しかし、この公演は決して橋本が不在になることを悲しむのではなく、ある種の寂しさは感じさせつつも、彼女の新たな一歩を優しく見届けるものだった。それはグループが充実期を迎えており、しっかりと送り出す体制が整っているからこそ。決して当たり前の光景ではない、ということは記しておきたい。 ・不在となった「混ざり合い」の象徴  今回のタイミングでは、橋本が卒業を迎えたことに加え、別の場所・代々木第一体育館では、グループに縁のある人物ーーAKB48の小嶋陽菜が卒業コンサート『こじまつり』を行なっていた。小嶋は白石麻衣にとってレギュラー番組での共演歴も長い「アイドルが憧れるアイドル」の先輩であり、2グループが溶け合った「傾斜する」(こじ坂46)や「混ざり合うもの」ではセンターを務めた、いわば乃木坂46とAKB48の橋渡しの象徴だ。  『5th YEAR BIRTHDAY LIVE』の2日目であり、『こじまつり』前夜祭の21日には、生中継をしながら両会場で「混ざり合うもの」がパフォーマンスされた。披露前に横山由依(AKB48)が「(このコラボが)最初で最後になるかもしれない」とコメントしていたことが強く印象に残っているのだが、確かに橋渡しとなっていた小嶋が不在になり、“公式ライバル”という名目で立ち上がった乃木坂46が独自路線で覇権を手にしようとしている現在において、今後2つのグループが「混ざり合う」必然性は薄まっていくのかもしれない。 ・ついに“交わった”3期生、その向こうに見える深川麻衣の存在  そして、去る者あれば来る者もあり。2日目・3日目には3期生が初めて1期生・2期生と同じライブに参加し、グループに新たな彩りを与えてみせた。この2日間で彼女たちが単独で披露したのは6曲で、先日千秋楽を迎えた舞台『3人のプリンシパル』を思い出させる「羽根の記憶」を歌わせるというのもいい演出だったが、さらに意義深いと感じたのは「強がる蕾」、そして「ハルジオンが咲く頃」だ。この2曲は昨年グループを卒業し、現在は女優として活躍する深川麻衣に関連する楽曲であり、「聖母」としてグループの調和を保った彼女が、卒業してもなおその役割を果たした、まさにハルジオンの花言葉である“追憶の愛”を感じずにはいられない瞬間だった。  3期生はこれまで、『3人のプリンシパル』も含めて単独で行動することが多かった。しかし、2日目のアンコールでは先輩たちに混じって「乃木坂の詩」をパフォーマンス。生駒もMCで「ようやく乃木坂46新体制のスタートです!」と話したが、改めてこの瞬間が“新生乃木坂46”の生まれた場面だったことは間違いない。それは、『3人のプリンシパル』で誰よりも“努力”の成果を見せつけ、この日任されたMCを堂々とこなす久保史緒里や、最終日のダブル・アンコールで全員が「ガールズルール」を全力でパフォーマンスするなか、3期生の暫定センター・大園桃子が終始泣きじゃくって歌えず、色んな意味で記憶に残ったことにも表れているように思えた。 (参考:乃木坂46の3期生は“新たな坂の上り方”を示す) ・演出とパフォーマンスに現れた「更新」  グループ全体のパフォーマンスと演出についても言及しておくと、最初に今回乃木坂46のライブで初めて導入された大量のLEDパネルに触れたい。今回は新たに録り下ろされたメンバー映像も存分に使用したり、2日目の「制服のマネキン」ではタブレット端末風のセレクト画面や、プロジェクションマッピング的な演出でメンバー間でのダンスパートを受け渡す様を表現するなど、ライブをより視覚的な意味で充実させた。  曲順に関しては、これまでのバースデーライブが順を追って各シングル・アルバムを披露していくものであったのに対し、今回は橋本の卒業コンサートとの兼ね合いもあってか、「全曲披露」というコンセプトは死守しつつ、あくまで一つのライブとしてセットリストを組み上げていた。だからこそ、3日目の本編ラストでは「何度目の青空か?」「君の名は希望」「きっかけ」といったグループのアンセム3曲をフルオーケストラで披露するという豪華な演出も可能になったと思えば、観る側としてはありがたいことこの上ない。  また、ライブ全体の構成に自由度が増した要因はもう一つあるように思う。生駒が2日目に「アンダー曲から(乃木坂46全体の)ライブがスタートするのは初めて」と述べていたが、これはアンダーに千秋楽を任せ、大成功に終わったクリスマスライブを受けての流れなのではないか。来年以降がどうなるかは不明だが、グループの幅がまた一つ広がったと感じる瞬間だった。  アンダーといえば、当時アンダーにいたメンバーを中心に結成された乃木團も、2日目にはクリスマスライブと同じく他メンバーのダンスに合わせて「月の大きさ」を演奏するパートがあったりと、しっかりアップデートされたパフォーマンスを繰り広げていた。乃木團のツインボーカルの1人である中元日芽香が、体調不良による休養のため不在だったことだけが悔やまれるが、また次のタイミングを楽しみに待ちたい。 ・「次世代」という言葉を振り払う若きエースたち 「『次世代』という言葉に違和感がある。1期生は可愛くて、面白くて魅力的で。次の世代が来なかったらどうしようと思ったし、『次世代』と言うことでチャンスがなくなっていくように感じた。いつも私は『今の世代』になりたかった。飛鳥、みなみ。歳が近い二人がいて嬉しいです。もう私たちは『次世代』ではないですよね」(堀未央奈・3日目幕間映像にて)  「次世代」という言葉は、若い才能をフックアップする際に一番便利で効果的なフレーズだが、ともすればそれは「呪い」にもなる。グループ初期のフロントメンバーであった星野みなみ、7thシングル表題曲「バレッタ」で研究生からセンターへと抜擢され、鮮烈なデビューを飾った堀未央奈、15thシングルでセンターポジションを射止めた齋藤飛鳥。いずれもエース級のアイドルだが、年上メンバーが最前線で活躍する状況と、彼女たちの若さ故に「次」という言葉を与えられがちだ。  だが、3人とも時期は違えど一度アンダーメンバーとしての経験をしっかりと積み、選抜常連メンバーにはない強さを携えていまのポジションへと返り咲いたし、今回のバースデーライブでは多くの楽曲に登場し、大きな役割を果たしたことは間違いない。より対外的な露出が増えるであろう2017年、3人の若きエースはグループの可能性をどこまで拡張してくれるのだろうか。 ・グループは“第2章”の扉を開いた 「ぐるぐるカーテンから始まった乃木坂、本当の第2章は、インフルエンサーからなのかも知れない。」( 生駒里奈ブログ「新しい乃木坂46」より http://blog.nogizaka46.com/rina.ikoma/2017/02/037044.php )  3日目のアンコールでは、17thシングル表題曲のタイトル「インフルエンサー」と楽曲の一部が映像で公開された。一聴した限りでは、これまでカップリングやアルバム曲でトライしてきたラテン調の楽曲で、MCによるとダンスも最高難易度だという。タイトルもこれまでとは毛色を変えてきた印象だ。  生駒がブログで先述のように述べていた通り、グループは5年という節目のイベントを大成功のうちに終え、橋本奈々未の卒業を“きっかけ”に、手をかけていた「第2章」の扉を開いたーーその先に何があるかはわからないが、少なくとも「次の5年」へ向かって走り出したことを確信させるには十分な3日間だった。(中村拓海)

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