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人気プロ絵師による「Cintiq Pro 16」発売直前レビュー

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/04/17
人気プロ絵師による「Cintiq Pro 16」発売直前レビュー: 画像:ITmedia © ITmedia PC USER 提供 画像:ITmedia

 ワコム「Cintiq Pro 16」が発売されます。発表当時から、すでに表示品質では抜きんでていることが分かっている「MobileStudio Pro 16」ほど高額でなく、同等の圧倒的な4K表示が得られるものとして期待されながら、発売間際になってその4Kが簡単には得られないことが判明して騒ぎになった本機。実際はどうなのか、もしできないとしたらその価値は変わってしまうのか、「Cintiq Pro 16」は天使か、鬼子か……深くのぞき込んで解き明かしていきます。

 みなさんこんにちは、イラストレーターのrefeiaです。今回、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq Pro 16」をレビューさせていただくことになりました。発表時からとても興味を持っていた製品でしたし、イラストレーター仲間の中でも注目度が高いので、良い情報をお伝えできるようにがんばります。

 私は、9年ほど前にワコム「intuos 2」から「Cintiq 21UX」に移行して、ずっと液晶ペンタブレットでイラストのお仕事をしてきました。また、現行世代である「Cintiq 22HD」の使用経験あり、他社のワコムデジタイザ搭載のWindowsタブレット機や、「iPad Pro」なども所有しています。なので、ある程度の確かさをもって「Cintiq Pro 16」を見ることができると思います。ついでにガジェットオタクなので最新機種を触るのはとても楽しみです。

 それでは、よろしくお願いします!

●ワコム初の4K対応Cintiqは新フォームファクタ

 Cintiq シリーズは、21UXで大型化して以来、22、24、27型と、スペックを上げながら大型化を続けてきました。なので自分も大型=上位機と思い込み、「次は27型の4Kだな……」と勝手に想像していました。ところが、同社のWindowsタブレット「MobileStudio Pro」シリーズと同時期に発表された4K対応Cintiq は15.6型。いわばモバイルとデスクトップの中間のようなサイズでした。

 思い返してみれば、各社の液晶ペンタブレット、筆圧スタイラス付きタブレットPCやスマートフォンは、ざっくりと2つの群れに分かれていました。1つが13型以下の「モバイルの群れ」、もう1つが大型の「デスクトップの群れ」です。中間的なものがなかったわけではないですが、それほどでもなかったと思います。15.6型の「Cintiq Pro 16」は、サイズのエアポケットのようなところに飛び込んできたわけです。

 Cintiq Pro 16が発表された当時、今まで大きい液晶ペンタブレットに慣れてきた自分は、「確かにすごいがこんなサイズでは無理だ、自分向けではないな」という印象を抱きました。しかしその後もずっと「Cintiq Pro 16」と「MobileStudio Pro 16」が頭の隅に残ります。そして、「もしかしたら大きくないといけないのは錯覚で、自分も15.6型で行けるのでは?」「もし15.6型で済むならとても楽になるのでは?」と思い始めたのでした……。

 そこに降って沸いたレビュー依頼。なんということだ、危険すぎる(気に入ってしまったら買っちゃうので原稿料でカバーしても赤字じゃないか)などと思いながら、飛びつくようにお受けしたのでした。

 というわけで、読者の方にも、家用メイン機としてはもう少し大きいものが良いのではと思われている方も少なからずいらっしゃると思います。そのあたりを、以下で解き明かしていこうと思います。

●とにかく軽快なセットアップ

 まずは、評価機と一緒にお借りしたドスパラ「raytrek debut! NUC-S7」と接続して、使える状態にしてみます。「raytrek debut! NUC-S7」とは、Intel NUCベアボーンキットのゲーマー向けモデルをベースに、ドスパラが「raytrek」ブランドで仕上げたものです。髑髏(どくろ)マークじゃないフェイスパネルも付属しているので安心(?)です。

 本当に楽です。以前の Cintiq シリーズだと、DVIコネクタを逆向きでゴリゴリと摩擦させたり、ネジ止めしたり、アダプタを噛ます必要があったり、またペン信号用のUSBを挿す必要がありました。それが今回は特にロック機構もなく、表裏も前後ろも関係ないUSB Type-Cケーブルをプチ、プチ、と差し込むだけです。電源入力は付属のACアダプタから別途挿す必要がありますが、これもType-C端子なので楽です。

 USB Type-C非対応PCの場合は、付属のアダプタ「WacomLink」を使用して接続します。PCからの DisplayPort信号とUSB信号を1つのType-Cポートに統合する小箱です。やはり手元が始末のよいType-C端子になっているのは美点だと思います。

●付属品や内蔵スタンドも優秀

 また、デスクに設置するタイプと本体にくっつけるタイプの2種類のペンスタンドが付属して、どちらもが、ペンを横または縦に置いたり差し込んだりすることができます。設置型のペンスタンドは替え芯ケースと芯抜き機も兼ねていて、しっとりとした描き心地のエラストマー芯と、サクサクとしたタッチで若干摩擦が大きいフェルト芯が付属しています。

 自分は摩擦が大きいものが好きなので、フェルト芯が好きです。使い終わった芯は、金属の土台の中央の穴に差し込んで斜めに引っ張るだけで気持ちよく抜けます。古い毛抜きタイプのしんどさを知っている身としては感涙ものです……。

 内蔵スタンドも優秀です。普段は本体に埋め込まれていて、ワンタッチで引き出すことができます。角度は選べませんが、持ち上げられる高さに対してはとても安定感があって、描画の妨げになりません。人によっては別売のスタンドを買わなくても事足りると思います。

 そして自分の普段の利用スタイル「キーボードを少し潜り込ませながら左右に置く」に完全対応しているのもうれしいところです。このスタイルはお絵かき中も楽な姿勢で左手ショートカットを構えられ、その楽な姿勢のまま文章入力もフルスピードでできるので、便利でずっと続けています。腕を広げてタイプできるのは気持ちが良いです。半面、22型以上の横幅が広いタブレットへの移行を渋っていたのも、このスタイルのせいです。

●制限や注意点も多数

 とても楽な接続や親切な仕様に感動しているのですが、いくつか気を付けなければならない点もあります。

 まずは、ケーブルを差し込む位置です。Cintiq Pro 16は、左側面に2個、右側面に1個のType-C端子がありますが、そのうち左上の1個だけが、4Kの映像入力に対応しています。他のポートを使用すると、WQHD (2560×1440ピクセル) が最大解像度になります。また、「WacomLink」使用時は、接続するポートに関わらず、WQHDが最大解像度になります。詳しくは後述します。

 また、右側面のポートが1個なので、電源入力とあわせて2本を接続すると、必ず左手側からケーブルが出ることになります。これは平置きで使おうとすると邪魔になるかもしれません。従来の小型Cintiqでは逆向きに置くことで左右が選べましたし、大型Cintiqはもともと側面からケーブルが出ない仕様でした。なので、従来機を使っていた方は自身の利用スタイルと合うかどうかを検討しておくべきでしょう。ただし、本体埋め込みのスタンドがとても優秀なので、平置きをしない限りは大きな問題にはなりづらいと思います。

 13HDユーザーが気を付けなければならない点がはもう1つあります。13HDのようにロックケーブルではないので、膝で抱えたり回し描きをしようとするとケーブルが抜けやすいです。基本的に設置して使うものと考えたほうが良いでしょう。

 また、見たままですが、ファンクションキーとタッチホイールがありません。相当の機能が必要な場合は「ExpressKey Remote」を別途購入する必要があります。用途によっては他の左手デバイスでも代用できるでしょう。

 自分はキーボードマクロが必要だったので、設定画面から「オンスクリーンコントロール」を作成して、ペンのサイドボタンに割り当てて表示させています。横長で始末がよくて、場所を選んで常時表示させることができます。これはもしかしたら物理ファンクションキーより使い勝手が良いのでは……。

●ワコム製液晶タブレットの最大の利点の1つ、低ジッター

 ジッターという言葉は初めて聞く方もいるかもしれません。現象だけを簡単にいうと、ゆっくり引いた斜め線が、ゆらゆらと曲がる現象のことです。

 ペンタブレットは基本的に、縦横に張り巡らされたセンサーで座標を検出しています。ここで斜め線を引くと、センサーに近い状態、遠い状態が縦方向、横方向で独立して起こるので、センサーからの距離によって特性が変化し、それによる誤差が目に見えてくる、というものです。縦線と横線の場合は縦方向もしくは横方向のセンサーとの距離が一定のため、線のゆらぎとしては目に見えません。

 これがなかなかの難物で、素早く線を引けば手ブレ補正機能などで滑らかになるものの、丁寧に描こうとするほど線が不規則に曲がり。短いハッチングなどは角度すら一定になりません。

 これを調べる方法は、斜めにゆっくりと平行線を引きます。これがパターン状に曲がっていたら、手ブレでなくジッターが起きているということです。以下は現象が起きている他社製品の例です。

 実際のところ、有名メーカーも含めて、筆圧ペンを搭載したタブレット機はほとんど全滅状態、ワコム製デジタイザを搭載した製品でもメーカーがキャリブレーションをサボっているのか、油断ならないといった状況です。

 Cintiqシリーズはもともとジッターが起こりにくい方式を採用していたので、個人的には旧Cintiq製品ではテストすらしていなかったのですが、今回はフォームファクタが小さくなって4Kにもなって、微妙な揺らぎの影響度が増しているので、確かめておくことにしました。

 その結果がこうです。ペンを立てて描いた状態では察知できるジッターはなし、極端に寝かせて描いたときには、無視しがたいジッターがある、普通に持つ角度(より少し意識して傾けていたと思います)では、あるようにも見えるけど気にするほどでもない、という結果でした。ほとんどの人は、ジッターはない、または、なくはないとしても自分の手ブレのほうがずっと影響が大きいと考えて使うことができると思います。

●仕事のメイン機として使ってみた

 さてさて、やっと本題です。やはり興味があるのはがっつり使っていけるのかという事だと思います。そこで、評価機をお借りしている間に実際にお仕事のメイン機として3枚ほど、着手から完了まで使ってみました。

 まずは慣れた姿勢で使いたかったので、それまで使っていた液晶ペンタブレットにマウントします。マウンターはアクリル板を曲げた自作です。アクリル板カッターと曲げヒーターを持っていると、これ以外にもスマホスタンドやタブレットスタンドを好きなように作りまくれるので大変便利です。

 描き味は滅茶苦茶に良いです。高解像度も相まって、相当に小さい表示サイズで指先をちょこちょこ動かすような、いわゆる「ノートにシャーペン」スタイルで描いても、粗さを気にせずに描くことができます。

 また、ガラスの大変細かいアンチグレア処理が滑らかな摩擦にも寄与していて、従来機よりも止まった時から動き出しへの引っかかり、動静の摩擦係数の差が小さいように感じました。

 細かいアンチグレア処理はスマホなどで試してギラツキで懲りた方もいるかと思いますが、これは画素と凹凸のサイズが近いことによって起こる干渉です。Cintiq Pro 16では、画素に対して十分に細かい凹凸にすることでこれを回避しています。正確には、のぞき込めば微妙に色がザラついているのは分かるけれども、印刷物の網点より細かいぐらいなので気にならないし、目が疲れる感じでもないです。一定の摩擦と目に優しい状態が両立されていて、とても丁寧な仕様だと思います。

●「プロペン2」の描き味は?

 Cintiq Proシリーズと、MobileStudio Proシリーズから、8192段階の筆圧を検知できる新仕様の「プロペン2」が導入されました。正直なところ、ワコム製品の筆圧レスポンスは元々完成度が高く、計測でもしない限り「滑らかになった!」などと分かりやすいものではないので、自然に感じるならそれでいいのだと思います。実感としては弱い筆圧を積極的に使いやすくなったと感じています。

 ペンは普通に筆圧をかけているときの正確さだけでなく、筆圧ゼロに限りなく近いときに、いかに自然に描けるかも大事です。数千段階といった大きい数字でアピールすることはできませんが、ワコムのペンは少し前からその領域が主な強みになっているように感じます。ペンが紙に振れればインクがつく、鉛筆で紙を薄く撫でればごく薄い線がつく、こういう当たり前だったことが、取り戻されてきているんじゃないでしょうか。問題はそういう描き方を忘れたデジ絵師の自分なんですが……。

 仕様表を見ると読取分解能や読取精度は旧機種から変わっていないように見えるのですが、実感としては高精度になったように感じられます。iPad ProとApple Pencilを使った時にも圧倒的な精度感を感じたのですが、もしかしたらこういった精度感は、画面解像度とデバイスの精度がそろった時に感じられるものなのかもしれませんね。

●サイズは問題なし。そもそもintuos Largeより広い

 15.6型というサイズについては、21型からの移行ですがほとんど問題ありませんでした。まだ腕を振って描くクセが残っているので拡大して描いてしまって、なかなか高解像の部分を生かせませんでした。また、縦原稿が多いので画面の横幅には常に余裕を感じ、縦幅には余裕のなさを感じていました。実際に、12.9インチiPad Proを横置きしたときの画面高さと15.6型の本機の画面高さがほぼ同じですが、iPad Proは容易に縦置きができるので縦原稿では余裕があります。

 横幅に対して縦が短いのは仕方ないですが、総合的に見て狭いのではないかという心配については杞憂(きゆう)でした。そもそもモバイルでない用途の、intuosのLargeの読取範囲よりも広いのです。これで足りないとはあまり思えませんでした。ただし、大型液晶ペンタブレットの伸び伸びと描ける感覚も気持ちの良いもので、これより大きいものが不要ということも全くないと思います。

●タッチ操作は気持ちいい、ペンと合わせて使うには引っかかりも

 本機はタッチ入力にも対応しています。今までタッチ操作とは無縁だった自宅デスクトップ機ですが、接続したとたんにWindowsタブレットと同様の操作感が得られるようになります。これは楽しいですね。

 ただし、ペンを使いながらのタッチ操作はそのままでは少し難しいです。ペンを持っている間は基本的に手は画面を触りまくるので、誤検出の防止のために、「ペンのカーソル付近には反応しない」「ペンが検知範囲外に出て少し経つまで反応しない」などの処理が組み込まれているようです。それがタップやピンチ、アプリ毎に一貫性を感じない状態で作動するように見えて、描きながら拡大縮小・移動のピンチ、ツール選択のタップなどを手早く行おうとすると、多くの場合失敗します。基本的にペンを置いたタッチオペレーションで恩恵があると考えるのが良いでしょう。

 ワコムの「タッチ設定」で「Windowsのジェスチャーを使う」を使うと一部のタッチ反応が良くなって、描きながらタップでツール選択、ぐらいまでは問題なくできるようになります。いずれにせよ先述のように設置して使う用に作られているので、描いている間は素直にキーボードや左手デバイスを使うのが良いと思います。

●お仕事完成

 そして完成です。絵の初出が本来は雑誌になるはずが、自分の無理なお願いで順序が入れ替わってしまいましたので、ここではトリミングした状態で表示しています。少し変更を施して全体が見える状態で、近日発売の雑誌「E☆2」に掲載されます。

 これ以外にも2枚ほど、着手から完成まで「Cintiq Pro 16」の評価機をメイン液タブとして使って試させていただきました。自分の印象としては、21型からの移行に心配なしです。ただし、最終品質やスピードが上がるかというと「謎」です。良い機材を買ったら絵の神様が画力上げてくれないかなあ。

●4K表示できるパソコンがない!?

 それでは……ゴクリ……ある意味一番の本題である「4K」表示についてです。「Cintiq Pro 16」は、

・DisplayPortオルタネートモードに対応したUSB Type-C端子で直接PCと接続した場合に4K解像度を入力することができます

・WacomLinkを使用してDisplayPortから映像入力をした場合には、WQHDが上限になります

 DisplayPortオルタネートモードとは、USB Type-Cの信号線に直接DisplayPort映像信号を乗せる方式です。まずこの条件を読んで、「ああうちのPC、4Kいけるね」と確信できる方よりも、「ああうちのは無理だ」と「無理なのでは」の方のほうがずっと多いと思います。

 ここで疑問が生じます。じゃあ4K表示できる機種は具体的にはどれだということです。正直なところ自分にも分かりません。確実なのはワコムが動作確認をした「MacBook Pro (Late 2016)」と、「raytrek debut! NUC-S7」です。そのへんで売っている、 Type-C端子がついただけの拡張カードを差すだけではダメで、そうでなくて元々オンボードにType-C端子がついている機種ならば、おそらく対応していてオンボードGPUからの映像が出力できるのではないか、と推測できます。これまでそういった接続の需要があまりなく、訴求できる点でもなかったので明示されていなくて「分からない」というのが正直なところです。

 また、Thunderbolt 3を提唱している AppleとIntelの機種でしか動作確認されていないことと、FAQやWebサイトの記述から一時期疑われた「実はUSB Type-CじゃなくてThunderbolt 3必須なのでは」という点については、ワコムに質問したところ、そうではないという返答が得られました。合わせてFAQの記述もアップデートされています。

 もう1つの疑問が生じます。WacomLink を使用してなんとか4K表示できないか、というものです。結論としては「できるとは考えないほうが良い」だと思います。次の章で詳しく書きますね。

●Cintiq Pro 16に4K表示する方法は?

 Cintiq Pro 16に4Kを表示する方法は、正規、正規でない方法を含めて、いくつかあります。

1. 素直に動作確認が公開された機種を買う

2. WacomLink経由でなんとか無理やり出力する

3. 対応のマザーボードや、拡張カードを買う

 まずは最初のもの、これが一番確実だと思います。現状、知る限りでは先ほど述べた2機種がワコムのFAQで公開されています。現行機の情報の拡充を願いたいところです。

 次に、WacomLink経由で4K出力をする場合です。DisplayPort 1.2対応かつ短いケーブルを買ったり、カスタム解像度を作成したり、電源投入のタイミングを工夫したり、これらの方法の組み合わせで、成功例があることは分かっています。手元にある3台の4K対応PCで試してみたところ、

・低くないリフレッシュレートで表示できる機種もがあったが、接続に失敗したり

・トーンジャンプ(色数の減少)が発生したり

・「MobileStudio Pro 16」での4K接続成功したものほど上手くいくわけでもなく

・新しいものほど上手くいくというわけでもない

 といった状況でした。3台のうちいずれも、手元で試す限りは 4K@60Hzで接続することはできませんでした。これらから、WacomLink経由の場合は何かの間違いで実用的な4K表示が得られることもあるけど、基本的に期待してはいけない考えておいたほうがよさそうです。

 次は、対応マザーボードや拡張カードについてです。最近はUSB Type-C端子を搭載したものもあり、中には DisplayPort入力があるマザーボードや、「ASUS ThunderboltEX 3」や、「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」のように、DisplayPort入力がある USB Type-C拡張カードも存在します。これらを使えば、最新のハイパワーGPUを使いながら、4K出力ができる可能性があります。

●というわけで、日本ギガバイトさんに行ってきた

 というわけで、本製品あまりにも個人的に興味があるもので、うっかり日本ギガバイトさんに凸してしまいまして……、事務所にうかがって「GC-ALPINE RIDGE」の動作確認をさせていただきました。この写真は、グラフィックスカードからの映像出力を拡張カードに入力して、それを拡張カードがUSB Type-Cとして出力して、Cintiq Pro に繋げています。

 日本ギガバイトさんはTwitterアカウントで拡張カードやマザーボードのCintiq Pro 16での動作確認を公開されているので、興味がある方は見に行ってみると良いでしょう。

●4Kにまつわる結論として:WQHDも良いのでは

 以上のように、自分も含めて、現状ほとんどの方が、そのままではCintiq Pro 16で4K表示は出来ないことが分かりました。ならばWQHDではダメなのか、というとそうでもありません。というのも、今まで黙っていましたが……先に書いた「お仕事3枚」というのは、実はずっとWQHDでやっていたからです。実際に得られないものを試しても仕方ないですからね!

 4KパネルでのWQHD表示については、さすがにドットバイドットではないため、エッジが少し眠いです。ただ、ドットバイドットではないというのは、低DPI時代では致命的だったのですが、4K時代になるとずっとインパクトがやさしくなります。

 確かに4K表示のディテールは圧倒的ですし、エッジがシャキッと立ち上がる感じでもありません。それで緩くてみていられないかというと、そうでもなく、いうなれば電子ペーパー端末のような優しい表示になります。電子ペーパーも、ドットより細かい粒子で画像を表現するものでした。WQHDをより細かい4K画素で表現するこの状態も、似ているのかもしれません。

 自分の場合、「ディスプレイ設定」でシャープネスを1段あげることで、ちょうどよい状態になりました。

 また、1ピクセル単位の縞模様を表示させるテストチャートを表示してみたところ、WQHDの状態でモアレやジャギーは見られませんでした。画像の、グレーの十字になっている部分が該当の部分です。これが滑らかな表示になっていればOKです。

 悪いスケーリングの状態も載せておきます。もやもやしているのが分かると思います。

 以上から、本機の4KパネルにWQHDを表示させたときのスケーリングは、ちゃんとしたスケーリングだということが分かります。

 WQHDで使うことにはほかにもメリットがあります。4K状態では表示などのパフォーマンスが若干落ちるアプリや、そもそもスケーリングをさせてくれないアプリがあるからです。

 特に自分はPhotoshop CS6をよく使っているのですが、4KではWindowsの拡大設定に関わらずケシ粒のようなUIになります。これがWQHDだと等倍で普通に使える状態になります。現状、高DPIスケーリングに対応したPhotoshopというと、大変に動作が遅いPhotoshop CCしかありません。軽いCS6を使えることとで、今の自分はWQHD状態のほうが生産性が高いです。

●まとめ:天使でした!

 それでは最後に、実際の仕事で使ったときの感想をまとめておきます。

好きな点

・シンプルで上質な外装

・圧倒的な4K解像度と、扱いやすい15.6型の組み合わせ

・描き味もよく安心感も高いプロペン2

・WQHDで表示させたとしてもメインにし得る表示能力

・WQHDで使いながら、4KやType-Cの普及に備えられる将来性

・Cintiq シリーズ上位機としては買いやすい値段

・Adobe RGBカバー率94%で、印刷の発色にこだわりたい人に向いている

・簡単にsRGBモードに切り替えられてスマホやPCに合った制作ができる

・品質や節度感の高いアンチグレア処理

人によっては難点になりえる部分

・費用をかけて環境を整備しないと4K入力ができない

・接続がケーブル1本で済まない

・据置型にも関わらず、左右からケーブルが出ている

・ペンと同時にタッチ操作を使用したときの、反応の一貫性のなさ

・縦置き、回し描き、膝上での描画がしづらい

・ケーブルが抜けやすい

 といったところでしょうか。自分としては、WQHDでも生産性は落ちず(若干上がる)、コンパクトで設置も片付けも楽、必要に応じて運搬もでき、仕様に対して割安感すらある値段設定ということで、とても気に入っています。未来を見すぎて結果的に気難しめの仕様になってしまっていることを差し引いても、自分はこれは名機の予感をもって使っていました。

 蛇足ですが、ソニー「DSC-RX100」というコンパクトデジカメがあります。それまで、小さな1/3〜1/1.7型のセンサーの「モバイルとコンパクトの群れ」と、大きな4/3以上の「一眼の群れ」しかなかったところに、隙間を埋める1型センサー、かつ2000万画素という、当時の平均的な一眼を超える高画素で飛び込んできた機種です。初カテゴリということで色々言われるところはありましたが、圧倒的なサイズ・画質比の名機で、初代は特別高くもなく、現在は5世代目まですべてが併売される一大シリーズになっています。自分は「Cintiq Pro 16」に、「RX100」を重ねて見ずにはいられないのです。

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