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今さら聞けない「プロジェクター」選びのポイント(その2)

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/29 10:00 ITMedia
今さら聞けない「プロジェクター」選びのポイント(その2): プロジェクターの台形補正機能。上段がタテ方向、下段がヨコ方向の補正だ。投写した映像がゆがんでいた場合、ゆがんだ部分をカットして一回り小さく表示することで、画面を正しい形状に整えられる。投写が部分的にカットされるぶん、本来の解像度より画質が劣化するため、ホームシアター用途では避けるべき機能だが、すぐに正しく設置してプレゼンを行う必要があるビジネスシーンでは有用な機能だ © ITMedia 提供 プロジェクターの台形補正機能。上段がタテ方向、下段がヨコ方向の補正だ。投写した映像がゆがんでいた場合、ゆがんだ部分をカットして一回り小さく表示することで、画面を正しい形状に整えられる。投写が部分的にカットされるぶん、本来の解像度より画質が劣化するため、ホームシアター用途では避けるべき機能だが、すぐに正しく設置してプレゼンを行う必要があるビジネスシーンでは有用な機能だ

 前回は明るさや接続方法など、ビジネス用プロジェクターを選定する際に重要なポイントを紹介した。今回も引き続き、SOHO/中小企業向けにプロジェクター選びのポイントについて解説する。またプロジェクターという製品をよく知るため、各社の製品が持つユニークな付加機能についても合わせて見ていく。

●台形補正機能

 投写時に台形にゆがんでしまった画面を正しい長方形になるよう補正する機能は、常設した場合を除き、プロジェクターを使うにあたって必ず利用する機能の1つであり、プロジェクターの使い勝手のよしあしに直結する。ローエンドの製品になってくると、途端に機能が貧弱になりがちなだけに、製品選びの際は入念にチェックしたいポイントだ。

 台形補正機能は、一般的に「タテ方向の補正」と「ヨコ方向の補正」に分けられる。プロジェクターを設置する場合、その多くは下から投写先のスクリーンまたは壁面を見上げる形になるので、タテ方向の台形はほとんどの場合において発生する。そのため、タテ方向の台形補正機能はほぼすべてのプロジェクターに備わっており、また手動だけでなく自動補正に対応していることも多い。

 一方、ヨコ方向の台形補正が必要になるのは、正面ではなく斜め方向から投写した場合に限られる。本体の位置を左右にずらして対応できることが多いため、ヨコ方向の台形補正は機能として必須というわけではない。それゆえヨコ方向の台形補正機能を省略した製品も多く、また備わっていても手動であることがほとんどだ。

 こうしたことから優先順位としては「タテ方向の補正」の使いやすさ、次いで「ヨコ方向の補正」となる。特に設置場所が毎回変わるモバイルプロジェクターに関しては、タテ方向の補正機能は自動化されていたほうが、設置にまつわる所要時間を短縮できる。まずは自動補正機能で形状を合わせ、微妙なズレは手動で補正するというわけだ。

 実際に各メーカーの製品の特徴を見てみると、上記の機能をミックスして使い勝手を向上させた独自の補正機能をアピールしている。例えばエプソンであれば、ボタン1つでタテ/ヨコのゆがみを自動補正してスクリーンの枠に画面を合わせる「フレームフィット」機能や、画面の角ごとにゆがみを補正する「クイックコーナー」機能などがあり、タテ/ヨコの台形補正とは別の機能として提供されている。一般的に、より多くの補正機能を備えていればそれだけ使い勝手が優れた製品と言えるが、それぞれの機能は排他利用となっている場合もあるので注意したい。

 いずれにせよ、これら補正機能はローエンドの製品ではおそろしくシンプルで、かえって設置場所を制約するようなケースも少なくない。単に「補正機能:あり」とだけ書かれているような場合は、具体的にどのような補正機能を備えているのか、しっかり確認したほうがよいだろう。

 もちろん、こうした補正機能が使いやすいかどうかは付属のリモコンや操作メニューの作りにも依存するので、機会があれば、実機で確認するのがベターだ。

●投写距離

 プロジェクター本体から、画面を投写するスクリーンまたは壁面までの距離を表すのが「投写距離」だ。懐中電灯を思い浮かべると分かりやすいが、壁に近づけば光は強くピンポイントになり、壁から離れると光は広がってそのぶん弱くなる。プロジェクターの場合、どこからどこまでの距離がきちんとスクリーンにピントが合い、なおかつ実用的な明るさが得られるかを、この投写距離という項目で示している。

 投写距離は「〜型の画面が、〜メートルの距離で投写可能か」で表す。例えば60型の画面を投写する場合、最低でも2メートル離れなくてはいけないのと、1メートルあれば十分というのでは、狭い会議室での使い勝手がまったく変わってくる。そのため、「60型投写時:2.0〜2.4メートル、100型投写時:2.9〜4.2メートル」といった具合に、表示したい画面サイズごとにどれだけの距離が必要かを明示するわけだ。

 この場合、なるべく短い距離で、なるべく大きな画面を投写できる製品のほうが、より利便性が高く、こうした「短焦点モデル」は、昨今のトレンドの1つになっている。特に設置先が毎回変わるモバイルユースの製品では、設置先に合わせて調整の自由度が高いほうが望ましいので、これらの値にある程度の幅があるほうが使い勝手がよい。また最短投写距離はなるべく短いほうが、通された会議室が狭くプロジェクターを使おうにも壁面にピントが合わなかった……という失敗をなくせる。

 ちなみに「60型投写時:2.0〜2.4メートル」といった具合に、投写距離にある程度の幅があるのは、光学ズーム機能を併用して距離が変更できることを表している。この例であれば、2メートルの距離から60型相当の投写をしている際に、プロジェクターが備える1.2倍の光学ズーム機能を使うことで、画面サイズを保ったままで距離を2.4メートルまで離せるという意味になる。製品によっては2倍もの光学ズームを備えた製品もあり、距離を2倍離せるので、設置の自由度が高まる。

●コントラスト比

 画面の明暗差を表す「コントラスト比」は、その数値が大きくなるほど、明暗のメリハリが効いた画像になる。例えばコントラスト比「3000:1」と「1800:1」を比べれば、前者のほうが明暗がくっきりと分かれた鮮明な画像が得られるというわけだ。最近は映像の内容に応じて絞りを自動調整するオートアイリス機能などにより、1万:1を超えるような高コントラスト比をうたう製品も増えている。また構造上、DLP方式のプロジェクターは真っ黒を表現しやすく、コントラスト比が高い。

 もっともビジネス用プロジェクターに関しては、映画鑑賞で高い画質や黒色の再現性が求められるホームシアター用とは異なり、コントラスト比はそれほど重要なポイントではない。どちらかというとクッキリ明るいほうが、プレゼンは見やすく、ストレスにもなりにくいだろうが、照明をつけたままの部屋で投写映像を見たい場合はコントラストが大きく下がることもあり、コントラスト比より明るさ(ルーメン)のほうが重要だ。

 まったく考慮しなくていいわけではないが、色の再現性が重要な業種だったり、プロモーションの動画を再生する機会が多いといった場合を除き、コントラスト比の優先順位は低めでよいだろう。

●消費電力

 プロジェクターは本体にランプを内蔵し、強力な光を発するため、その消費電力はかなり高い。本稿で取り扱う会議室などで使うビジネス用プロジェクターは、プロジェクター全体から見るとローエンド〜ミドルクラスに当たるが、それでも消費電力は200〜300ワット前後の製品が多く、標準的な液晶ディスプレイの10倍近くにもおよぶのが普通だ。

 国内メーカーの多くは「エコモード」(低輝度モード)などで省電力にも配慮しており、各社とも同クラスの製品であれば極端な違いはないのが実情だが、海外メーカーでは相対的に消費電力値が高い傾向もある。とはいえどちらかというと、本体のレンズカバーを閉めることですばやく待機状態へ移行できるなど、未使用時にこまめに消費電力を抑える工夫を備えた製品のほうが、消費電力の最大値だけで判断するよりも、トータルでは電力の消費量を抑えられるはずだ。

 なお中長期での運用コストを考えると、消費電力だけでなく、ランプの寿命と交換用ランプの価格についても確認しておきたいところだが、ビジネス用プロジェクターで標準的な水銀ランプの寿命は約2000時間以上で、一般的な用途で約5年かそれ以上は持つ計算だ。昨今は光源にLEDやレーザーを用いた製品も登場し、これらは水銀フリー設計で約2万時間以上もの長寿命を誇る。

 もっとも5年間使い続けられれば、ランプを交換して古い製品を継続利用するより、新世代の製品に買い替えたほうが性能、機能、省電力といった恩恵を得られるため、トータルコストの視点でメリットがあることも少なくない。常設用の高級モデルなどは別として、使わないときに収納しておくような低価格帯のモデルでは、ランプ寿命の長さにあまり執着しなくてもよいだろう。

●騒音レベル

 プロジェクターは高温になるランプの排熱が必要なため、運転中はファンの音が聞こえるのが一般的だ。特に狭い会議室で、すぐ脇に本体を置いて使用する場合は、うるさく感じられることも多い。仕様欄に記載されている騒音レベルのdB(デシベル)数は必要に応じてチェックしておこう。ちなみにビジネス向けのスタンダードモデルだけを見ていくと、国内メーカーは20dB台の前半が多いのに比べて、海外メーカーでは30dB台が多く、中には40dBを超える製品もある。

●その他の付加機能

 ここまでビジネス用プロジェクター選びにおいて知っておくべきポイントを紹介したが、これ以外に各社の製品が備える便利な機能についても紹介しておこう。いずれも付加価値的な機能であり、必須というわけではないが、このような機能が存在することを知っておけば、製品選びで迷った際の1つの指針になるだろう。

前面排気

 ユーザーの至近距離にプロジェクターを設置する場合、排気口から出た熱風がちょうど体に当たる位置だと、不快なことこの上ない。例えば、それが営業先で商談している相手だったら、せっかくのプレゼンも台なしになってしまう。こうしたことから、ファンのレイアウトを工夫し、体に当たらないようにした製品が増えつつある。

 具体的には、排気が前面に出るように設計した「前面排気」をうたう製品がそれだ。というのもプロジェクターはその仕組み上、光を発する本体のすぐ前に人が座ることはまずないからだ。最近はこの前面排気を採用した製品が一般的になりつつあり、排気口を側面に備えた製品は、徐々に減少しつつある。

クールダウン不要

 プロジェクターを使い終わった後、ランプおよび本体から発せられた熱を逃がす行為をクールダウンという。据え置きで使用している場合は、そのまま放置して自然に冷えるのに任せればよいが、出先でプレゼンを行って終了後すぐに会場を撤収しなくてはいけない場合、クールダウンに数分もかかるようだと、下手をするとプレゼンそのものを早めに切り上げなくてはいけなくなる。それゆえクールダウンが不要であることは、特にモバイルユースでは重要なチェックポイントだ。

2画面投写

 前回も触れたように昨今のプロジェクターはワイド画面化が進んでいるが、ワイドならではのメリットの1つに2画面の投写機能がある。つまり、横長の投写画面を生かし、左右に分割して2種類の映像を映し出す機能だ。

 セミナーのプログラムを表示しながらプレゼンを行ったり、プレゼンをしながらWebページを参照するなど、用途は数多い。片方の画面だけを拡大して強調することもできるので、うまくコントロールして参加者の視線を引き付けることも可能だ。製品選びの決定的なポイントにはならないだろうが、購入した製品に付属していれば、ぜひ試してみたい機能だ。

カスタムロゴ表示

 ホーム用にはない、ビジネス用プロジェクターならではの機能と言えるのがこのカスタムロゴだ。プロジェクターの起動時や画面を切り替える際に、画面を真っ暗や真っ青にするのではなく、あらかじめ指定しておいた企業ロゴやメッセージを表示できる機能をそう呼んでいる。

 例えば、複数人が順番にプレゼンする場合など、プロジェクターと接続するノートPCを入れ替えることはよくあるが、交換作業に手間取り、プレゼン中に画面が真っ暗や真っ青な状態が続くと、見ているほうは時間の無駄だし、トラブルで唐突に中断したように感じられがちだ。ここで企業ロゴが表示されれば、間を持たせやすくなり、次のプレゼンへの切り替わりもシームレスに感じられるメリットがある。

カウント表示

 こちらもプレゼン用途が主となるビジネス用プロジェクターならではの機能で、プレゼンの進行時間を投写画面に直接表示できる。プレゼンのリハーサル時に所要時間のチェックに役立つのはもちろん、本番時になかなか手元のタイマーに目が行かない場合に投写し、登壇者の注意を喚起するといった使い方もできる。例えば、カシオのプロジェクターの場合、表示位置は画面の上下左右から選べるほか、リモコンを使って機能のオン/オフが行える。

 次回は、前回および今回紹介したポイントを踏まえつつ、利用シーンに応じた各社のおすすめ製品を紹介していく。

[山口真弘,ITmedia]

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