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仮想環境における「うるさい隣人」問題

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2016/11/21
仮想環境における「うるさい隣人」問題: 画像:ITmedia © ITmedia エンタープライズ 提供 画像:ITmedia

 最近、よく話題に上がる、仮想化環境における“うるさい隣人(ノイジーネイバー:Noisy Neighbours)問題”についてお話します。

 IT市場では近年、オンプレミスで自ら物理サーバを構築して維持管理するという従来の手法から、仮想化されたサーバを利用することで効率化を図る企業が非常に増加しつつあります。

 しかし、その用途が拡大するにつれて、当初の予想をはるかに超えるさまざまな用途のサーバが仮想化された1つのストレージを共有することになってしまうこともあります。すると、ストレージのI/Oリソースを取り合うという、導入当初にはあまり想定されなかったクリティカルな状況が増加し問題となってくるのです。これが「ノイジーネイバー」、日本語でいうところの「うるさい隣人」と呼ばれるものの正体です。

●既に市場ではさまざまなうるさい隣人問題が顕在化

 仮想マシン(VM)では、特に大規模なDB処理などが一斉に行われると、ストレージへの短時間でのアクセスが急増し、他の仮想マシンのレスポンスの急低下やレイテンシ増大などが実際に生じるケースが非常に増えることになってしまいます。

 ERPなどは仮想化マシンに移行するとサーバの管理面やコストパフォーマンス面で優位性があることから実行する企業も増えていますが、いざ使い始めてみると、想像をはるかに超えるほどパフォーマンスが上がらないという問題に直面することも目立ちはじめています。

 また、最近、多くの企業が仮想デスクトップ環境を利用しはじめ、ホームワーカーなどに対応した環境構築に取り組み始めていますが、朝の始業時に一斉に従業員がPCを機動することにより、サーバやストレージに負荷がかかって処理が追い付かなくなるブートストームと呼ばれる状況も見られるようになっています。

 さらにウイルス対策ソフトの定期的なスキャニングやセキュリティパッチの一斉適用などが実施される場合にも、ストレージI/Oの競合からパフォーマンスが著しく低下する問題が現れるようになってきているのです。

●パフォーマンス維持のためにチェックすべきポイントとは?

 こうした仮想化環境でのパフォーマンス低下は、「使ってみたら低下してしまった」では話にならないので、利用当初からパフォーマンスを保つような施策を実施することが必要になります。具体的には5つほどのポイントをチェックします。

1. End to Endレインテンシ分析が実現できているか?

 世にいうハイパフォーマンスストレージのシステムといえども、ホストCPU、メモリ、ネットワーク、ストレージなど、あらゆる場所で障害が発生する可能性を秘めていますから、I/Oのレイテンシや、その分析についてエンドツーエンドで瞬時に理解し、レイテンシの問題やその根本的原因を瞬時に特定できるようにする必要があります。

2. アプリケーションのパフォーマンスのレーン分け

 I/Oの適正なスケジューリングと低レイテンシを実現し、必要なパフォーマンスのレーン分けとQoSを実現することは最重要課題となります。そのためには、ストレージはアプリケーションを十分に理解している必要があるといえます。

3. SSD搭載ストレージに対する適切な対応

 最近ではSSD搭載のストレージも多く登場していますが、SSDは独自の動きをしますので、SSD向けのI/O処理ができており、フラッシュの持つパフォーマンスをフルに生かせているストレージ設計になっている必要があるのです。

4. アプリケーションのワーキングセットに対する適切な対応

 最近、仮想化環境は実行されるアプリケーションのアクセスパターンやワーキングセットについて自動的に分析を行い、それに対して最適化を実現できるものが登場していますが、こうした独自の最適化ができているかどうかは、しっかりとチェックする必要があります。

5. 重複の最大限の排除と圧縮の実現

 インライン重複排除や圧縮の実現は、加速化環境のパフォーマンス向上の最大のポイントともいえます。最近ではストレージ側がこうしたことを行うことでホストに負荷をかけない仕組みを提供し始めており、このあたりも実際に利用するストレージがどのようなサービスを提供しているのか、しっかりチェックする必要があります。

●仮想マシン単位のパフォーマンス保証を行うストレージも登場

 複雑化、高度化する「うるさい隣人問題」に対応すべく、仮想化環境を前提として開発されたストレージもマーケットに登場し始めています。

 こうしたストレージの場合には、VM単位でQoSの自動化を実現することから、VMは全体のリソースから割り当てを受けて利用できるようになり、LUNやボリューム単位での管理は不要となり、RAIDやブロックサイズなどの設定もその必要はなくなっています。

 各仮想マシンのパフォーマンス要件を常に自ら計算し、まわりの仮想マシンのパフォーマンス要件も視野に入れながら、それぞれの仮想マシンのパフォーマンスを最適化できることになれば、「うるさい隣人問題」も一気に解決がつくことになるわけです。

 また専用パフォーマンスレーンを設けることができれば、特定の仮想マシン上のデータベースに急激な負荷が掛かっても、その他の仮想マシンに影響が出ないようにすることも可能になり、このパフォーマンス問題は新たなストレージ商品の登場によって解決の方向性に向かいつつあることが分かります。

●著者プロフィル:羽鳥正明

外資系ITベンダーを渡り歩き、PC、サーバストレージのマーケティングを20年以上間担当。現在はティントリのマーケティング。詳しいプロフィルはこちら。

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