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写真と動画で見る「ThinkPad Helix」──分解モデルも公開

2014/09/19

Ultrabookもタブレットも、どちらも妥協しない設計──「ThinkPad Helix」

 

着脱機構を備えたハイブリッドUltrabook「ThinkPad Helix」。ディスプレイとキーボードを分離でき、単体でWindowsタブレットとして活用可能、机上ではThinkPadシリーズならではのキーボード操作性や第3世代Core iシリーズ+UltrabookのパフォーマンスとともにノートPCとして使える

仕事で使うなら、これだ──。レノボ・ジャパンが示す“ハイブリッドUltrabook”、「ThinkPad Helix」が国内でも販売される。ThinkPadシリーズを生み出すレノボ開発拠点の1つ“大和研究所”が追求した、PCのこれからのカタチにどんな工夫を込めたのか。さっそく外観をチェックしてみよう。

ThinkPad Helixは、ノートPC(Ultrabook)のフラグシップと位置付ける「ThinkPad X1 Carbon」、ThinkPadの新しいカタチとして提案するタブレット型「ThinkPad Tablet 2」、それぞれのメリットを融合した着脱スタイルのThinkPadだ。

キーボードドックに差しノートブックモード/スタンドモード/タブレット+モードで、着脱してタブレット単体として使える


ディスプレイサイズは11.6型とX1 Carbonより小型だが、高精細な1920×1080ドット表示でデジタイザ+タッチパネル内蔵のIPS液晶ディスプレイを採用。さらに既存Ultrabookと同じ第3世代Coreプロセッサー・ファミリー(Core i5-3427U、Core i7-3667U)+Windows 8 Proのシステムを、概念としてはTablet 2の中に入れてしまった──という感じとなる。レノボ・ジャパンが提案するHeliXの利用スタイルは、

  • 一般ノートPC(Ultrabook)として使う「ノートブックモード」
  • キーボードを外してタブレット単体で使う「タブレットモード」
  • ディスプレイ部を逆に差して使う「スタンドモード」
  • ディスプレイ部を逆差しし、閉じて使う「タブレット+モード」

の4つが想定されている。

本体左側面から。やや重量のあるタブレット/ディスプレイ部のため、ディスプレイ開閉のヒンジの軸をやや手前にずらしている。開閉してもまったく不安なく、普通のノートPCである。その後ろのカバーよりシステム冷却のための冷気を取り入れる(カバーはディスプレイ開閉と連動する)

まずはノートブックモードから。一般的に、ディスプレイ/キーボード着脱式のハイブリッドPC/タブレット機器はディスプレイ部分にPCの基本システム(CPU、マザーボードや電源制御・インタフェース基板、バッテリー)をすべて入れる仕組みため、頭でっかちなバランス感になりがちだが……Helixは、昨今のUltrabookと比べると若干厚めではあるものの、その印象をあまり受けない。ディスプレイ開閉の角度やヒンジの位置や重さ(開閉の抵抗感)に違和感がなく、いわゆる普通のノートPCとして活用できる。

これは、冷却システムを含む着脱機構とともに「システムの転倒は許されない。工夫して重心設計を行ったため」とレノボ大和研究所 ThinkPad Helix製品開発統括担当の伊藤貴志子氏は述べる。ヒンジの軸をわずか手前側にオフセットさせ、若干重いディスプレイ部もプラプラせず、安定して自立する絶妙なヒンジ抵抗感に調整されている。ディスプレイ開度は少し浅めの最大125度だが、こちらも机上利用/ヒザ上利用においてさして不足ない範囲であり、仮に(これまでのThinkPadシリーズのように)180度開いて対面会話したいシーンでは、カチャッと外して相手に見せればいいわけである。

機構設計について説明するレノボ大和研究所の伊藤氏


もう1つはキーボード+ポインティングデバイス。Ultrabook+薄型化の推進により、キーボードの操作性がとても残念な、あるいは妥協せざるを得なかったモデルが意外と増えているのだが、Helixはしっかり深めのキーストローク、赤いポッチのトラックポイント、さらに新採用の「5ボタンクリックパッド」により、キー入力環境は「ThinkPad X1 Carbonと同等」とうたう。「ここを妥協してはThinkPadではない」(同上)。

キーボードは、ThinkPad X1 Carbonの使い勝手と“同等クラス”という。写真=左はThinkPad Helix、写真=中央はThinkPad X1 Carbon。US配列のキーボード(写真=右)もBTOで選択可能だ


新たに採用した5ボタンクリックパッドは、中央に支点を置き、シーソーのように動くことで上部にもクリックできるようにした。タッチパッド操作時/トラックポイント操作時で動作モードを動的に遷移する制御を行うのが大きなポイントで、X1 Carbon比で小型化したボディとしつつ、機能は省くことなく実装している。トラックポイントに指を置くと上部に、タッチパッドに触れると下部にクリックボタンの機能が自動的に移動するよう動作する。

ThinkPad Helixは新タッチパッド「5ボタンクリックパッド」を実装。トラックポイント+タッチパッド、2つをしっかり備えるのはX1 Carbonと一緒だが、中央のトラックポイント用クリックボタンをタッチパッド上部に内蔵した仕組みにより、よりスマートな外観に、かつタッチパッドの面積を広くできる効果も生まれた


 

可変TDPとDual Direction Cooling Technology スタイルに合わせた最適なパフォーマンスを得るための仕組み

ThinkPad Helixは小型薄型のタブレットボディながら、Ultrabookと第3世代Core iシリーズのシステムを内蔵する。動作には相応の冷却性能が必要だ。この点、3世代Coreプロセッサー・ファミリーに実装するConfigurable TDPと呼ぶ機能によりTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)を仕様モード別に切り替える仕組み、かつ2種類のファンで効率的に制御する「ThinkPad Helix Dual Direction Cooling Technology」を開発し、熱設計をクリアした。

ThinkPad Helixには2種類/計3つの冷却ファンがあり、このうち2つのセカンダリーファンはキーボードドック(ヒンジ部中央)に備わる。パフォーマンスを要する作業を行うノートブックモードはTDP 17ワットに設定。プライマリファンで内部の熱を排出しつつ、セカンダリファンで外部の冷気を内部に導入する仕組みで、静音を維持しながらCPUの持つ最大限のパフォーマンスを得る。一方、ドックから外すタブレットモードは内蔵ファン(プライマリファン)でまかなえる範囲のTDP 10ワットに落とすことで、冷却性、ついでにバッテリーの長時間動作を確保する。

Configurable TDPとThinkPad Helix Dual Direction Cooling Technologyの仕組み。キーボードドック内蔵するセカンダリファンにより、ハイパフォーマンス動作するノートブックモードの放熱性を確保する


ディスプレイを逆差しして利用するタブレット+モードはTDP 13ワットで動作する。こちら、最大の冷却性能が得られるノートブックモードに対し、天面パネルで得られる放熱分を確保できないための施策とのことだ。「冷却設計ノウハウが多くある弊社がここまでやっても、冷却性能は正直ギリギリ」(説明員)。排熱処理はかなり苦労して実現したことが伺える。

ThinkPad Helixは、タブレットモードで最大8時間、ノートブックモードで最大12時間とする長時間のバッテリー動作を実現する(ワールドワイド記述に合わせたMobile Mark 2007での測定時。国内PCでの記述に用いられるJEITA動作時間測定法での測定においても最大11.5時間ほどとのこと)。タブレット本体に11.1ボルト/3785mAh・42ワットアワー、キーボードドックに14.8ボルト/1895mAh・28ワットアワーのリチウムイオンバッテリーを内蔵する。公開された分解モデルを見ると、どちらも1センチにも満たない極薄のシートバッテリーで、特に本体内蔵のものは内部の半分をバッテリーが占めている。

ThinkPad Helixの分解モデル。内部の半分はバッテリーで占められている。本体内蔵バッテリーは42ワットアワー、キーボードドック内蔵バッテリーは28ワットアワー。特にキーボードドックのバッテリーはペラペラの薄さだった

 

角形DC端子仕様の45ワットACアダプタが付属する


なお、2つバッテリーとユーザー行動を想定し、工夫した設計により「スペアバッテリーも標準で付いている」と考えるのもアリかもしれない。

まずThinkPad X1 Carbon(やYoga 13、あるいは……NECの「LaVie Z」など)で採用した角形のDC入力端子をタブレット、キーボードドックそれぞれに実装し、ノートブックモードはもちろん、それぞれ単体も充電可能。ACアダプタは専用の小型デザインとした「ThinkPad Helix 45ワットACアダプター(0A36686)」(20ボルト/2A出力)を用いる。

「基本は持ち歩く機会の多いタブレットを優先して充電するようバッテリーチャージ機構を工夫した」(大和研究所の伊藤氏)とし、充電はタブレット→キーボード、使用はキーボード→タブレットの順で行うよう制御。さらにバッテリー動作時はキーボードからタブレットに充電しながら動作する。こういった制御により、タブレットモードの実動作時間をかしこく延長できるようにしている(逆にキーボードのバッテリーがない場合は、タブレットのバッテリーでキーボード操作分の電力を確保する動きもする)。

本機はバッテリー内蔵型のためバッテリー着脱はサポートしないが、現時点のUltrabookとして最長時間クラスとなる12時間動作の仕様ならスペアもたいていは必要ないだろう。そして延長/スペアバッテリーが標準搭載されていると考えると、なるほどなるほど……と思える良ポイントである。

バッテリーの充電/使用ともにタブレットを優先するイメージ。さらにキーボードドックのバッテリーでタブレットのバッテリーを充電しながら使うこともできる。“サブバッテリー”として使えるのはかなり使い勝手がよさそうである

意外と軽い。2048段階の筆圧感知対応デジタイザー+ペン環境の実装も◎

タブレットとしての単体重量は約785グラム(最軽量構成時)。Core i7搭載のWindows 8タブレットとして魅力的な軽さである。「ハイパフォーマンスなWindows PCをそのまま手軽に持ち運べるイメージ。デジタイザーペン入力環境も使い出すと戻れなくなる快適さが得られるはず」(レノボ・ジャパン ThinkClient Brand Managerの土居憲太郎氏)

続いてタブレットモードを。……想像より軽く感じる。タブレット単体利用時の重量は約785グラム(最軽量構成時)だが、Core i7+8Gバイトメモリ+256GバイトSSD+Windows 8 Pro(高性能志向の構成時)のPCを700グラム台で携帯できることを意識してしまった期待値は大いにあるが、重量バランスのよさや天面つや消し塗装の手触りなども影響していると思う。もちろんタブレット単体ではThinkPad Tablet 2のほうが軽量(約565グラム)だが、重い処理も行う機会が多い業務マシンとしての導入を想定すると問題ないと判断できる範囲だ。

搭載インタフェースはキーボードドック接続用I2Cバス(60ピン)、USB 2.0×1、Mini DisplayPort、DC入力端子、SIMカードスロット(ただし、国内販売モデルではWWAN/WiMAX内蔵モデルは用意されない。残念ながら「現時点では予定はない」とのことである)がある。他には両端にドック接続ガイド用の穴、その隣は必要項目(技術基準適合証明など、各国の適合性評価認証マークや番号)を記述した収納式ラベル、中央は排熱口、そして他方のI2Cバス逆指し用避け穴となる。認証マーク類は「入れなければならないものですが、見えると……格好悪いですよね。だから隠しました」(土居氏)

タブレット部のインタフェースはキーボードドックとも併用するので、過度に欲張らず必要最低限にとどめている印象。ディスプレイ出力端子はHDMIではなく、Mini DisplayPortを選択したのも今後の利便性を考えてのこと、とのことだ。SIMカード(標準サイズ)スロットもあるが、国内仕様では残念ながらワイヤレスWAN(3GやLTEデータ通信機能)内蔵モデルは用意されない。下部に吸気口(ノートブックモードはキーボードドック内蔵ファンより導風)、上部に排熱口と電源ボタン、デジタイザーペン収納、側面にボリューム、3.5ミリマイク/イヤフォン端子が備わる

 

このサイズでフルHD解像度の高解像度IPS液晶を備えるのもうれしいポイント(タブレットでは、より高精細のを! という声もあるにはあるが)。2048段階筆圧感知対応のワコム製デジタイザーを内蔵、さらにNFCも内蔵できる。キーボードドックに接続すれば、12時間バッテリー動作、USB 3.0×2なども利用できる


ワコム製デジタイザ内蔵による快適なペン操作にも対応し、ペンをしっかり収納しておける工夫もThinkPad Tablet 2譲りだ。なお、筆圧感知はThinkPad Tablet 2の2倍となる2024段階に強化した。Windows 8タブレットとしては同1024段階のデジタイザを内蔵する「Latitude 10」(筆圧1024段階で5万円台のWindows 8タブレット――「Latitude 10」は漫画家を満足させられるか?)もあるが、それよりハイスペックと思われるThinkPad Helixのペンタブ機能は漫画家をも満足させられる性能か。プロの道具たるThinkPadシリーズには、こういったクリエイティブ層ニーズもカバーしてくれる取り組みにも期待したい。

ThinkPad Yoga 13で好評だった「スタンドモード」にできるのも、ギミック好きとして意外に利便性が高そうだ。ノートPCはほぼパーソナルユースだが、タブレットはパーソナルユースながら複数人でのぞき込むようにして使うケースもある。タブレットを逆にも差せるよう着脱機構を工夫し、ユーザーの「これができればなぁ」がないよう、しっかり利用シーンをカバーしているのがえらいところである。

「人は、何かを手にして腕をずっと上げておくのは不可能。適当なテーブルやヒザに置いても自然に使えるようヒンジ/着脱機構を工夫している。ビュワーとして使用するなら、このスタイル“でも”活用できることを強く訴求したい」(土居氏)

標準オプションでノングレアフィルム(約3500円)、3M製4方向のぞき見防止フィルター(約9000円)も用意する。ノングレアフィルムを張ると、写真=右のようになる。指紋が目立たずよい感じだ

 

ビジネスユースを想定するなら省けない「セキュリティロックポート」は収納式。引き出すと、キーボードドックの着脱スイッチも連動してロックされる仕組み。なるほど。(写真=左)。ディスプレイ端子変換、有線LANアダプタ、ThinkPad USB 3.0ドックといったこれまでのThinkPad用オプションも利用できる


今後、PCはどう進化していくのか、そして行くべきか

なぜ「ハイブリッド」なのか。

スマートデバイスの普及とともに、PCを取り巻く状況は大きく変わってきている。これまではPCで「何でもできる」ことが重要だったが、スマートフォンやタブレットも使いこなすユーザーは、それぞれの画面(機器)をシーン別に使い分けるスタイルを自然に取り入れるようになった。

「ただ、先だってスマートデバイスを導入した企業に聞くと……結局、PC・タブレット(特にiPad)・スマートフォン、計3台もの機器をどう管理すればいいか──、結果として複数の個別の機器を使いこなす必要があるとを悩まれている。それならWindowsマシン1台でOK。しかもどのニーズにおいても妥協をしないパフォーマンスで。を目指して開発されたのがThinkPad Helixだ」(土居氏)

「技術や環境の変化に応じ、今あるPCを明日を見据えて少しずつ変えていき、常に最高のパーソナルデバイスを提供する。これがLenovoが推進する“PC+”のキーコンセプト。ThinkPad Helixは、PCとタブレットのハイブリッドであるのはもちろん、ユニークさとイノベーションについても両方の性質を惜しみなく投入した、現時点“最高”のデバイス。自信をもって送り出したい」(レノボ・ジャパン Think製品事業部の仲西和彦部長)

 

つまり、PCとスマートデバイス、どちらかだけではすべてをカバーできない。それならそれぞれのいいところを融合したらどうだろう──。インテルが推進するUltrabook、さらにタッチ操作もサポートするWindows 8の登場を機会に、PC各メーカーより登場した新たなPCのカタチが「ハイブリッドUltrabook」だ。

もちろんタブレットかノートPCか、どちらの比率を高くするかは各社/機器別に異なる。その中でThinkPad Helixは軽量・長時間・パフォーマンス・視認性・操作性・セキュリティ性・業務導入向け施策、それぞれの項目が高くバランスされているのが分かる。

今後、PCはどう進化していくのか、そして行くべきか。それがはっきり分かる時期──そう遠くはないと思われる。

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