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北朝鮮が携帯電話の監視強化

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/03/02 14:21
北朝鮮が携帯電話の監視強化: (AP Photo/Wong Maye-E) © ITmedia NEWS 提供 (AP Photo/Wong Maye-E)

[AP通信] 北朝鮮では、金正恩氏が権力を継承してから5年の間に、携帯電話などのデバイスやメディアの利用者が急増し、人々はかつてないほど多くの情報を外の世界から入手できるようになっている。だが人々が利用している携帯電話網が国営であることから、この長らく孤立を続ける全体主義国家では、国家による前代未聞の検閲と監視が可能になっているという。

 3月1日、米政府が出資した調査の報告書が発表された。それによると、海外コンテンツの流入阻止の取り組みを強化する北朝鮮政府は、IT技術のおかげで「より最新の統制手段」を確保しつつあるという。

 「北朝鮮政府は高度な監視技術だけでなく、国民が使用するデバイスを指図する力をも有し、ハードウェアとソフトウェアを完全に掌握している。基本的には他のどの国もしていないようなことだ」と報告書の共同執筆者である調査会社Intermediaのナット・クレッチャン氏は語る。

 情報通信やインターネットの利用はこの20年間で世界中に広がり、独裁主義国家であれ、民主主義国家であれ、さまざまな方法で国民を監視することが可能となっている。だが北朝鮮のやり方は独特だ。この共産主義政府は一般市民にWebへのアクセスを禁止している。海外のメディアから情報が漏れてくることもあるが、そうした情報の入手は容易ではない。

 北朝鮮政府による情報統制に最初にほころびが生じたのは、1990年代に北朝鮮全土に深刻な飢饉が広がったときのことだ。当時、各地に闇市がたち、一般市民が食料や物品を互いにやり取りするになった。さらにここ10年以上の間に、海外のデジタル機器やコンテンツが中国との国境を越えて北朝鮮へと流れ込み、人々は韓国や中国の連続ドラマなど禁制のコンテンツを視聴できるようになっている。

 Intermediaの報告書は、北朝鮮からの脱北者や亡命者、旅行者への取材を基に作成された。報告書によれば、過去5年間で海外からの禁制コンテンツの流入はますます増加している。正恩氏が阻止のための対策を強化しているにもかかわらずだ。正恩氏は父である金正日氏が2011年12月に死亡した後、政権に就き、それ以来、海外コンテンツの密輸や違法視聴を厳しく取り締まっている。

 報告書によれば、平壌のエリートから内陸部の農民まで、今ではほぼあらゆる社会階層の人たちが少なくともテレビとDVDプレーヤーを所有している。さらに人々はCDの代わりにUSBメモリを使うようになっているという。USBメモリの方が多くのコンテンツを保存でき、隠すのも、貸し借りするのも容易だ。

 国営の退屈な番組ではなく、海外のコンテンツを視聴することで、人々の行動にも変化が表れている。

 報告書は、2014年に脱北したという22歳の建設作業員の発言を引用。この青年によれば、韓国や中国のドラマの影響で、北朝鮮の男性も女性への愛情を言葉で伝えたいと考えるようになっており、またお見合い結婚ではなく、付き合っている女性と結婚する男性が増えているという。

 報告書は、テレビを2台以上所有しているという回答者にも言及している。そうした人たちは、1台を国営放送専用のテレビとして常に部屋の中に置いておき、もう1台は韓国の番組を見るためのテレビとして隠れて使っているという。

 北朝鮮政府は現在、新しい統制手段を摸索中だ。クレッチャン氏によれば、北朝鮮政府は「情報の制御を取り戻すべく」、携帯電話の規制強化を進めている。北朝鮮政府の場合、他の政府のようにインターネットサービス事業者に頼らずとも、自国の通信網の利用者を監視できる。

 北朝鮮は2008年に国内向けの携帯電話サービスの提供を開始。今ではその利用者数は300万人以上に上る。北朝鮮政府は従来、手作業で監視を行ってきたが、こうして国営の携帯電話網の利用者が増えたことで、「当局は国民の通信を監視するためのはるかに大きな力を手に入れた」と報告書は指摘する。

 北朝鮮政府は、人々が携帯電話で無許可のコンテンツを視聴や共有できないようにするための対策も進めている。3年ほど前には、当局は全ての携帯電話が使用するソフトウェアを更新し、無許可のメディアファイルを再生できないようにした。

 さらに当局は、携帯電話利用者のSDデータカードに閲覧履歴を記録するプログラムを導入し、違法コンテンツを隠しづらくしている。ノートPCやデスクトップPCはあまり普及していないが、そうしたPCではOSがファイルに“透かしを入れる”ことで、当局がファイルの出所を追跡できるようになっている。

 実質的に北朝鮮のデバイスは完全に政府の手中にあり、北朝鮮政府は「他のどの国家よりもはるかに効果的」な監視と検閲の手段を有しているということだ、とクレッチャン氏は語る。

 北朝鮮国民が国外に電話をかけるためには、中国との国境付近で、中国の通信網に接続できる違法な携帯電話を使う必要がある。報告書によれば、北朝鮮政府にとっては目下、こうした通話を制限することが最優先事項であり、当局が携帯電話利用者の居場所を特定するための技術力は向上しているという。

(日本語翻訳 ITmedia NEWS)

(C) AP通信

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