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反トランプデモ「女性たちの行進」への問題発言で公職者のソーシャル炎上相次ぐ

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/01/26
反トランプデモ「女性たちの行進」への問題発言で公職者のソーシャル炎上相次ぐ: 「母の名誉のために私たちは行進している」のプラカードを掲げる女性たち(Cinde Ingram/The High Point Enterprise via AP) © ITmedia ニュース 提供 「母の名誉のために私たちは行進している」のプラカードを掲げる女性たち(Cinde Ingram/The High Point Enterprise via AP)

[AP通信] 米ドナルド・トランプ大統領に対する抗議デモ「女性たちの行進」をめぐりTwitterで女性を侮蔑する発言をしたとして、ヒラリー・クリントン氏の地元で教育委員会の委員が辞職した。イリノイ州では、性差別的なツイートをしたとして教師が教室を追われ、インディアナ州では、“太った女性たち”を揶揄するコメントをFacebookに投稿した新人議員に批判が殺到した。

 先週末に世界中で行われたトランプ大統領就任に抗議する大規模デモ「女性たちの行進」をめぐっては、こうした騒ぎが全米各地で勃発。デモに関するSNSへの投稿が原因で、主に男性を中心に公職者が叱責や非難、懲戒処分を受けるケースが相次いでいる。

 不作法なものからひどく下品なものまで、こうした問題発言の多発は、米国を2つに分断した2016年の大統領選挙以降、政治に関する議論がいかに不快なものになり下がったかを物語るものだ。だが「ポリティカルコレクトネス」の対極にある暴言を武器とするトランプ大統領が誕生した今の時代に、こうしてソーシャルメディアでの不用意な発言が公職者を相次ぎ苦境に追い込んでいる状況は、「人は誰しも自身のインターネットでの発言のせいで痛い目にあいかねない」という現実をあらためて思い出させるものでもある。

 「トランプ氏は許された。だが公職者が同じことをして許されるはずがない。いくら今日のような状況にあってもだ。こうした男性たちは一体何を考えて発言したのだろう」。インターネット時代の政治について研究するジョージ・ワシントン大学のマイケル・コーンフィールド教授は、そう指摘する。

 SNSでの不用意な発言が激しい批判を招くのは、今に始まったことではない。思慮に欠ける不快な発言や、人種差別的な発言をした結果、窮地に立たされ、ときには辞職に追い込まれる公職者は何年も前から存在する。今回の件は厳密には党派の問題でもない。人気バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の女性ライターであるケイティ・リッチ氏は今週、トランプ大統領の10歳の息子バロンくんに関する攻撃的なツイートが原因で、番組を解雇された。リッチ氏のツイートに対し、SNSでは激しい抗議が巻き起こり、一時はこの番組を見ないようボイコットを呼びかける動きにまで発展。リッチ氏は当該ツイートを削除し、自身のアカウントを一時的に削除した後、謝罪した。

 週末の抗議デモは民主党支持者の多い州だけでなく共和党支持者の多い一部の州でも行われ、各地の広場には大勢の賛同者がつめかけた。この大規模デモに関する発言がきっかけとなり、各地で議員や教育関係者が厄介な立場に立たされている。実際のところ、問題発言かどうかの線引きはあいまいだ。

 インディアナ州下院議長のブライアン・ボスマ氏(共和党)によれば、同州では侮蔑的な投稿をした少なくとも2人の州議会議員に対し、SNSの利用について個別に指導したという。

 インディアナ州のジム・ルーカス州下院議員(共和党)は先週末、顔に催涙スプレーを吹きかけられている女性の写真を「参加賞は液体で」というコメント付きでFacebookに投稿。

 同じくインディアナ州の新人議員であるジャック・サンドリン州上院議員(共和党)は、「トランプ大統領はたった1日でミシェル・オバマさんが8年間で達成したよりも多くの太った女性たちを歩かせた」と、前大統領夫人による子供の肥満撲滅キャンペーンを揶揄するコメントをFacebookに投稿した。

 その後、サンドリン議員のFacebookページには批判が殺到。同氏はこの投稿を削除した上で謝罪し、「故意に広めようとしたわけではない」と弁明した。「今回の件は、ソーシャルメディアを使って広く意見を伝えようとすることの予期せぬ結果に関する強烈な教訓になった」と同氏は語る。

 州下院議長のボスマ氏は、こうした問題発言には「トランプ大統領の怒涛のツイート」も影響していると指摘。「そのせいで人々はこれが適切なコミュニケーション手段だと感じている。だが私たちは選挙で選ばれた公職者であり、私たちにはもっと高い基準が課されている」と同氏は語る。

 ヒラリー・クリントン氏が育ったイリノイ州パークリッジでは1月23日、週末の抗議デモについて「金切声の女性たち(vagina screechers)による茶番だ」(vaginaは女性器の意)とツイートしていた教育委員会の委員デイサン・パターノ氏が辞職を表明した。

 パターノ氏にコメントを求めて問い合わせたが、返答は得られなかった。学校区教育長のローリー・ハインツ氏によれば、パターノ氏はその後複数のSNSアカウントを削除しており、辞表には「誤解されても当然のツイートだった」と書かれていたという。

 イリノイ州とアイオワ州の州境に位置するクワッドシティでは、SNSへの投稿が原因で1人の教師が教室を追われた。「学校の価値観とは異なる女性観」を投稿したため、と地区職員は声明で説明している。

 教室を追われたのは、教師のマーク・カツマレク氏だ。1950年代の主婦の写真を、「デモ参加者は皆、夕食を作るために家に帰った」というコメントとともに投稿したことが問題視された。

 オンラインではカツマレク氏に対する処分に抗議する陳情活動が始まっている。署名ページには、「同氏が教室で何か性差別的、人種差別的、あるいは同性愛嫌悪のヘイトスピーチをしたという証拠は何もない」と擁護する声が掲載される一方で、同氏のツイートは「容認できるものではない」との意見も寄せられている。

 カツマレク氏の連絡先とみられる番号に電話をかけたが、電話に出た人物にはコメントを断わられた。

 ネブラスカ州では25日、デモの写真に写る3人の女性を「全く魅力がないからわいせつ行為の心配は不要だ」と揶揄するコメントをリツイートしたことがきっかけとなり、ビル・キントナー州上院議員が辞職を表明した。同議員は2016年には、公用のPCでサイバーセックスをした上にその後相手の女性から恐喝されかけたことを認めている。同議員は今回、懲戒免職処分について話し合われる前の段階で、自ら辞職を選んだ。

 このほかミシシッピ州やロードアイランド州、ニューメキシコ州などでも、問題発言をめぐる同様の案件が報告されている。

 政治学教授のコーンフィールド氏によれば、ソーシャルメディアへの投稿で踏み越えてはならない一線について、多くの人たちはメールが登場した初期の頃にとっくに学んだはずだという。

 「だが現実にドナルド・トランプ氏が大統領となった今、当時の教訓を思い出さなければならない人たちもいる」と同氏は語る。

(日本語翻訳 ITmedia ニュース)

(C) AP通信

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