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大企業の8割が“デジタルトランスフォーメーションに本腰” その背景は

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/04/06
大企業の8割が“デジタルトランスフォーメーションに本腰” その背景は: 画像:ITmedia © ITmedia エンタープライズ 提供 画像:ITmedia

 「今、まさにパラダイムシフトが起こっている。2017年が変化点になる」――日本企業のデジタルトランスフォーメーションに対する取り組みについてこう話すのは、IDC Japanの木村聡宏氏だ。

 2016年頃から企業の取り組みとして注目を集めるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)だが、現在、日本企業の間ではどのような取り組みがどの程度進んでおり、どんな課題が見えてきているのだろうか。4月6日、IDC Japanが発表した調査結果をもとに木村氏が解説した。

●そもそもDXとは何なのか

 そもそも、IDCではDXをどのように定義しているのか。木村氏によれば「企業が第2のプラットフォーム(クライアントサーバ)から第3のプラットフォーム(クラウド、ビッグデータとアナリティクス、ソーシャル、モビリティ)にシフトし、最新のデジタル技術を生かして新たな製品やサービス、ビジネスモデル、バリューを創出すること」と定義しているという。そして第3のプラットフォームを加速させる技術として注目を集めているのが、ARとVR、IoT、AI、ロボティクスというわけだ。

 こうした変化に伴って企業内でのITの位置付けも変化し、これまでの「生産性の向上」といった役割から、「イノベーションの創出」へとシフト。今後は“ITとビジネスとが対になって”イノベーションを起こすことが重要になるという。

 今や企業の役職者もDXを経営課題として意識しており、IDC Japanが大企業(従業員1000人以上)の役職者に今後3年の最重要経営課題を聞いたところ、回答者の4分の1超が「新規事業/イノベーション創出」と回答しているそうだ。

 IT市場は今、大きな構造変化の過程にあり、2018年には第3のプラットフォームへの企業のIT投資が、第2のプラットフォームを上回ると木村氏。2020年に向けた分野別の傾向を見ると、金融業がFinTechや健康増進型保険、製造業がIoT、小売業がオムニチャネルやモビリティ、IoT、コグニティブ、公共分野は東京五輪の防災、事故削減、渋滞緩和、社会インフラ整備などが顕著だという。

●DXを構成する5つの特性とは

 IDC Japanでは、企業の取り組みレベルを評価するための2つの指標を用意している。1つはDXの5つの特性ごとに習熟度を算出する評価。もう1つは取り組みレベルの成熟度評価だ。

 DXを構成する5つの特性は「リーダーシップ変革」「オムニエクスペリエンス変革」「ワークソース変革」「運用モデル変革」「情報の変革」の5つ。

 DX成熟度ステージは、ビジネスとITが連動しておらず、企業戦略とも整合性がない「ステージ1」、DXの重要性を認識しているもののプロジェクトベースの実行にとどまっている「ステージ2」、ビジネスとITの連動によるゴールは全社に浸透しているが、DXのもたらす破壊的な可能性については検討に至っていない「ステージ3」、DXの思想に基づく製品やサービスを継続的に投入している「ステージ4」、デジタル技術の活用やビジネスモデルの創出で市場に大きな影響を与え、イノベーションをもたらす「ステージ5」で構成されている。

 IDC Japanがこの指標を使って大企業に勤める部長クラス以上の役職者を対象にWebアンケートを実施したところ、2016年に比べて大きな進展があったことが分かったという。

●ステージ3以上が8割に

 調査からは、DXの成熟度が中間以上の企業が8割近くに達していることが明らかになった。この理由について木村氏は、この1年でDXの認知が高まったことや、それに伴って企業の意識が高まっていることを挙げる。しかし一方で、現時点では短期的な取り組みが多く、革新的な製品やサービス、顧客体験を創出するレベルには至っていないことも指摘している。

 特性ごとにDXの進展を見てみると、リーダー変革とオムニエクスペリエンス変革は4割超がステージ3に位置しており、ワークソース改革と運用モデル変革は3割超がステージ4に達している。情報変革はステージ3が5割超という結果となった。

 2016年の調査結果と比較すると、「おおむね全体的に1段階アップしている」(木村氏)といい、大企業のDXに対する取り組みが加速していることが分かるという。

●DXを成功させるポイントは

 今後、DXに取り組む企業に向けて、木村氏は3つのポイントを紹介した。1つはDXを進めるにあたって、“自社がどの段階にあるか”を把握することだ。DXの構成要素それぞれについてポジションを把握することが重要だという。

 2つ目は推進に向けたビジョンとゴールを明確化すること。痛みを伴う改革もあることから、経営層のコミットメントとリーダーシップが重要になると木村氏は指摘する。

 3つ目は習熟度の向上に向けた取り組みだ。現状を踏まえた上で、次のステージに移行するための戦略を策定するとともに、取り組みの進み具合を常にモニタリングすることが大事だという。

 DXはまた、その進展に伴って新たなビジネスプロセスやビジネスモデルへの移行を余儀なくされることから、抵抗勢力の反発にどう対応するかも大きな課題だという。「ここでは企業のトップがビジョンをいかに共有できるかがカギになる」(木村氏)

 DXの推進は、IT部門や経営企画、業務部門など、多くの部署を巻き込む必要があることから、成功企業の中にはDX推進室を設置する企業もあると木村氏。特にステージ3から4、4から5への移行はハードルが高いといい、それを実現するためには、部門ごとに単発の実証実験を行うような形ではなく、全社横断でプロジェクトを進め、“企業のビジネスの中にDXを埋め込んでいく”ことが必要だとしている。

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