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夫婦・親子・嫁姑…「あいまいな境界線」によるトラブル

All About のロゴ All About 2017/04/23

日本の伝統的家庭に多い「あいまいな境界線」によるトラブルケース、そして、上手な境界線のつくり方についてお伝えします。 © AllAboutMedical 提供 日本の伝統的家庭に多い「あいまいな境界線」によるトラブルケース、そして、上手な境界線のつくり方についてお伝えします。

家庭トラブルの背景にある、あいまいな「境界線」

嫁姑問題、夫婦関係の希薄化、親子の依存、子どもの問題行動……こうしたトラブルの多い家庭によく見られるのが、「境界線」(バウンダリー)のあいまいな家族関係です。特に、家庭内の「世代間」の境界線があいまいなケースです。

たとえば、トラブル家庭の定番である「嫁姑問題」。これは、姑が嫁の家事に口を出し、嫁が姑の味にケチをつける。嫁が姑の世話を焼き、姑が嫁の言いなりになる……このように、世代間の境界線があいまいな同居家庭では、嫁姑の確執がよく見られます。

また、「母と子の依存関係」。これは、夫婦関係が冷える→母親の心がうつろになる→子どもに干渉する、というように、夫婦関係の希薄化を端緒として、母が子の境界線に侵食することで、しばしば起こります。

ちなみに、こうした親子関係の依存によって、子どもが妙に大人びたり、逆に子どもっぽい行動から卒業できない子がいます。大人びた子どもは、無意識のうちに険悪な夫婦関係を察知して、「親思いのしっかり者」を演じる。一方、子どもっぽい行動から卒業できない子どもは、空虚な母親の心を満たすために、無意識のうちに「手のかかる子」を演じる……こうした子は、家庭の中ですら「ありのままの自分」でいられないため、自分の本当の感情や願望に気づきにくく、自分らしい人生を送りにくい傾向があるのです。

三世代同居、核家族でも問題は起こりやすい

世代間の境界線は、特に日本の家庭ではあいまいです。特に、三世代同居家庭ではその傾向が顕著です。姑に家事・育児の干渉をされた嫁は、子どもにグチを垂れ流す。幼い子どもは「いい子」になってそんな母を支えますが、そうした「いい子」は、思春期頃からさまざまな問題を起こしやすくなります。

核家族家庭でも、例外ではありません。夫婦間の問題で生じた心の溝を、子どもに埋め合わせをさせているケースはたくさんあります。たとえば、夫に愛想を尽かした母が娘に依存する「一卵性母娘」の問題。こうした母親の依存と支配に苦しむ娘が、思春期になって摂食障害や不登校を起こす例は、カウンセリングケースの定番です。

このように、家庭内の「あいまいな境界線」によって起こった問題は、最終的に子どもが背負わされることが多いのです。そうした子どもは成長してから、「アダルトチルドレン」として生きにくさを抱え、親になったときに子どもに連鎖を受け継ぐ例が少なくありません。

では、家族がそれぞれに充実し、居心地のよい円満な家庭を築くためにはどうしたらいいのでしょう? 対策はたくさんありますが、私は特に次の3つのポイントが大切だと考えます。

家族で「境界線」を守るための3つのポイント

1. 干渉されたくない気持ちを「アサーティブ」に表現する心が空疎になると、つい家族の行動が気になり、干渉してしまう人がいます。そうした干渉を受けて息苦しくなったときには、「イヤだ」「不快だ」という自分の気持ちを大事にしましょう。その気持ちは、境界線を侵されて感じる危機感なのです。

そこで、お勧めしたいのが「アサーション」です。たとえば、姑に干渉されて不快な場合、「教えてくれてありがとうございます」と、まずは相手の気持ちを受け止める。次に「私は自分のペースでやりたいんです」というように、「私」を主語にして自分の気持ちを主張する。このように、相手も自分も大切にした自己主張法を「アサーション」と言います。

「干渉しないで」と拒否するだけでは、相手を傷つけてしまいます。「相手の気持ち」と「自分の気持ち」の両方を大切にすれば、相手に配慮しながら自己主張でき、境界線を守ることができます。

2.安易な優しさで家族の「責任」を背負わない

境界線があいまいになっている家庭では、家族の誰かの「責任」を他の家族が背負っているケースが多いものです。たとえば、親世代が子世代に干渉するのは、自分が向き合うべき「空虚な心」の問題を子どもに背負わせる「責任の押し付け」と考えられます。

自分の心の問題は、カウンセラーに相談したり、家庭の外に楽しみを持つなどして、自分の責任で解決するのが基本です。問題の背景に夫婦関係の問題があるなら、コミュニケーションを取るなどして、夫婦の責任で解決することです。

「かわいそうだから」「自分しか支えられないから」となどという安易な優しさで、家族の「責任」を安易に背負わないこと。自分自身が境界線を意識することで、家族に「自分(夫婦)の問題は、自分(夫婦)で解決する」という責任感を持ってもらうことができます。

3.「バリア」ではない「境界線」を家族全員で認め合う

境界線は英語で「バウンダリー」と言い、個とパートナーシップを重んじる欧米では、夫婦、そして家族それぞれの境界線をとても大切にしています。ところが、日本ではこれを「バリア」(防壁)と捉え、拒否されているような寂しさを感じてしまう人が多いもの。しかし、実はいちばん親しい仲であるからこそ、境界線を意識し、個としての自分、プライバシーを大切にしていくことが長くよい関係を保つための秘訣なのです。

境界線は、「バリア」(防壁)ではなく「線」なので、お互いの様子にすぐに気づくことができます。家族としてお互いを見守りながらも、個としての境界線を尊重していく……そんな居心地のよい関係をつくることを、家族で話し合い、合意しておくことが大切です。

境界線は世代間、そして、家族それぞれにあります。そして、自他の境界線を大切にするからこそ、一緒に暮らしていても息苦しくならず、居心地のよい関係を保つことができるのです。長く円満な家庭を続けるためにも、ぜひお互いの境界線を尊重していきましょう。

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