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安田顕、“人間臭さ”感じさせる演技の魅力 『嘘の戦争』第7話を振り返る

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/02/22 株式会社サイゾー
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 安田顕扮する二科晃が、草なぎ剛扮する一ノ瀬浩一によって破滅に追い込まれた『嘘の戦争』第7話(2月21日放送回)。TEAM NACS所属の安田にスポットを当てた回ということもあり、札幌地区では視聴率14.7%を記録し、全国主要8地区の平均視聴率は12.3%(ビデオリサーチ調べ)と、第1話から2桁をキープ。第7話では、市村正親と草なぎ剛の“視線”だけの演技合戦シーンや、安田顕のうなだれる姿、水原希子の涙の告白シーンなど、繰り返し何度も観たくなる役者陣の本気の芝居が詰まった回だった。 参考:『カルテット』宮藤官九郎の夫役に賛否両論 男と女はなぜすれ違うのか?  本作は、幼い頃に家族を殺された主人公・一ノ瀬浩一(本名:千葉陽一)が、首謀者・二科興三に近づき、事件の関係者および二科家に復讐を果たしていく物語。浩一の最終ターゲットである興三が、心臓発作で倒れる衝撃的な展開で終わった第6話の緊張感そのままに、第7話は病室のシーンから始まる。浩一の適切な救命処置によって、興三は命を取り留めるが意識不明状態。なぜ、あのまま死なせなかったのかというハルカ(水原希子)たちの問いに対して、「泣いて後悔させて、大事なもの壊して奪って会長(興三)の目に焼き付けたい、本物の絶望を」と浩一は返す。表情の些細な動き、台詞に込められた意志の強さなど、回を重ねるごとに復讐に取り憑かれた者として、“一ノ瀬浩一”として、研ぎ澄まされていく草なぎに“恐怖”すら感じてしまったのは筆者だけではないだろう。  特に、興三が意識を取り戻し、病室で浩一と相対するシーンの演技には凄まじいものがあった。興三は浩一の姿を視界に捉えると、この世のものとは思えないものを見たような怯えた表情を見せる。一方、浩一は呼吸器を付けられベッドに寝ている興三を上から見下ろす。大ベテラン俳優・市村正親による文字通り“顔”だけの演技と、悪意のある薄っすらとした笑みを浮かべる草なぎの演技は、まさに“戦争”と言っていい重厚なシーンだった。  浩一と興三を筆頭に、闘う男たちが登場する本作の中で、“愚鈍”な存在して描かれているのが安田顕演じる興三の長男・二科晃だ。安田は晃を演じるにあたり、「見た目からわかる“バカ”ではなく、セリフから伝わるようにしています。視聴者の皆さんが一番気心地よいと思ってくれる嘘をつきたいです」とコメントしている(『嘘の戦争』公式サイト)。“脇役俳優”を演じた『俳優 亀岡拓次』に代表されるように、一癖も二癖もある役をさらりとこなし、そこに実在感を与えてくれるのが安田の演技の魅力だろう。  晃は、浩一にあっけなく騙され、2000万円を奪われ、弟から会社のクビを言い渡されたにもかかわらず、浩一を一切疑うこともせず、助けすら求めてしまう。しまいには、「俺ってツイてない、俺は悪くないのに……」という自己責任逃れ。ましてや、晃は浩一が家族を失った事件の元凶でもある。しかし、そんな安田が演じる晃に、誰よりも人間の弱さ、人間らしさを感じてしまうのだ。救いがたい愚かさと、憎むことができない純粋さ。ある種、一番“正直”な男・晃は、嘘にまみれた本作の登場人物たちの中で、一番私たちに身近な存在なのかもしれない。  そんなどこまでも人間臭い晃に、浩一自身も少なからず惹かれていた部分があったのだろう。だからこそ、浩一が晃に放った最後の言葉、「地獄に落ちろ」が、どうしようもなく突き刺さる。晃への呆れなのか、哀れみなのか、怒りなのか。そのすべてが詰まった表情を見せた草なぎの演技に、思わず息を飲んだ。  ひとり、またひとりと復讐を達成していく浩一。30年前の事件の実行犯と思われる六車が浩一の罠にハマるのか、ハルカの告白に浩一どう答えるのか、興三は浩一の正体を話すのか、気になることを残したままで終了した第7話。予告編を見る限り、次週は更なる驚きが待っていそうだ。(石井達也)

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