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審査員が選ぶ「2016年を代表するスマホ」は?(前編)

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/12/28
審査員が選ぶ「2016年を代表するスマホ」は?(前編): 審査会の模様 © ITmedia Mobile 提供 審査会の模様

 ITmedia Mobileは12月上旬、2016年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2016」の審査会を開催しました。

 選考対象となるスマホは2015年12月から2016年11月までに発売したもので、最終選考に残ったのは以下の10機種です(機種の発売日順に掲載、かっこ内はメーカー名)。

・ロボホン(シャープ)

・Galaxy S7 edge(サムスン電子)

・HUAWEI P9(Huawei)

・arrows M03(富士通コネクテッドテクノロジーズ)

・iPhone 7(Apple)

・iPhone 7 Plus(Apple)

・ZenFone 3(ASUS)

・honor 8(Huawei)

・Moto Z(モトローラ・モビリティ・ジャパン)

・Xperia XZ(ソニーモバイルコミュニケーションズ)

 2016年の選考委員は、1年を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、すずまり氏、房野麻子氏、村元正剛氏、山根康宏氏、らいら氏(五十音順)の10人と、ITmedia Mobile編集部(2人で1人扱い)です。

 審査に先立ち、選考委員がそれぞれ5機種ずつノミネート候補を挙げました。各委員が推薦した5機種は、以下の通りです。

 審査会では、出席できなかった山根氏を除く委員の皆さんに、2016年の携帯電話業界の動向を振り返りつつ、推薦した機種とその理由を語っていただきました。この記事では、島徹氏、石川温氏、石野純也氏、佐野正弘氏、村元正剛氏、房野麻子氏のコメントをご紹介します。

●島氏:2016年の象徴は「格安スマホ」 無理して高いものは買わなくていい

島氏 2016年を象徴する話題といえば、「格安スマホ」です。その中でも、各キャリアのSIMが使えるSIMロックフリー端末ですが、ASUSの「ZenFone 3」は3万円台で少し前のハイエンドに迫る高い性能と、USB Type-CやDSDS(Dual SIM Dual Standby)対応などの面において、今年の格安スマホの進化と、その速さを代表する存在であると思います。低価格かつ高性能という点では、6月発売の「HUAWEI P9 lite」も外せません。世の中の7割くらいの人はこれで十分だろうと思える仕上がりです。この2機種は店頭で「安かろう悪かろう」という格安スマホの印象を変える力があります。

 「honor 8」は、カメラや性能面のコストパフォーマンスに加えて、取り扱うMVNOの楽天モバイルの評価も含めて選びました。楽天モバイルは、honor 8の独占取り扱いだけでなく「arrows M03」など他機種の発表も自社における発表日にリンクさせるなど「メーカーと一緒に市場を動かしたい」という意思の見せ方が面白いです。「HUAWEI P9」も選ぼうか迷ったのですが、価格を抑えたhonor 8のほうがHuaweiらしさ、純粋な強みが出ていて良いと思ったのです。

 キャリアのスマホでは、auの「isai Beat LGV34」を挙げました。今年のハイエンドモデルはキャッシュバックや割引に対する規制で、実質価格が高くなりました。高価格帯には、高性能に加えて価格に見合ったこだわりが欲しいところです。isai Beatでは、内蔵DACとアンプを生かしてハイインピーダンスのヘッドフォンを試したり、DSD音源の再生など遊んだりする余地があります。デュアルカメラのマニュアル撮影も面白い。isai Beatは高いなりのこだわりに取り組む姿勢が見えました。

 iPhoneでは「iPhone 7」ではなく「iPhone SE」を挙げました。iPhone SEは低価格でありながら、十分な性能を有しています。ヘッドフォン端子も付いていて、(SIMロックフリー版は)SIMロックフリー端末としても競争力のある価格を実現しています。格安スマホもiPhoneもそうですが、全体的に無理して“高いスマホ”を買わなくてよくなった、というのが2016年だと思います。

●石川氏:2016年はデュアルカメラの年 でも本当の人気端末は「5s」かも

石川氏 スマホが差別化しづらくなってきている中、カメラに力を入れている機種が増えていますよね。カメラはみんなが使うし、違いが分かりやすい。そのような中で、2016年はカメラのレンズを2つ付けてきた機種、「HUAWEI P9」と「iPhone 7 Plus」が面白くて候補に挙げました。これらの機種は、2つのレンズの使い方がそれぞれ違っています。そういう意味では、2016年は「デュアルカメラ」「ダブルレンズ」の年と言えたんじゃないかな。

 そんな業界の動きの中で、シャープはスマホ自体はあまり目立っていなかったけれど、「ロボホン」という“とんでもないモノ”を出してきました。経営的に厳しいタイミングだったし、約20万円という値段もとんでもなかったし、大勝負と言えるのだけれど、「苦戦している」という話がある一方で、コアなファンをつかんで、シャープのCMにも出て、シャープを代表する製品になったので挙げました。

 「iPhone 5s」は急きょ候補に挙げたものです。もともと、iPhone 5sは3年前(2013年)の端末ですが、2016年にY!mobileから発売されて、そこそこ売れています。それに触発されたのか、KDDIグループの「UQ mobile」からも発売されました。これらの動きは、格安スマホやSIMロックフリーのスマホが盛り上がっているけれども、なんだかんだ言って「安いiPhoneがあればいい」ということを示しているのかもしれません。特に、(iPhone率が高いと言われている)学生のニーズに合っているでしょう。これだけ各メーカーが頑張って新製品を出しているのに、3年ぐらい前の機種でいいのか……というガッカリ感もあるけれど、本当に人気のあるスマホはiPhone 5sなのではないか、って思っています。

●石野氏:スマホの次の世界、次の形を提案できたか? 正当進化では無難すぎる

石野氏 2016年前半は「Galaxy S7 edge」が頑張っていたな、と思います。「Galaxy Note 7(日本未発売)」のバッテリー発火問題が9月に起きてしまいましたが、S7 edgeは「Gear VR」を推しつつ、「Galaxy S6 edge」での不満――microSDや防水非対応という弱点を克服しました。ハイエンドモデルとして隙のない形で進化を果たし、VRを通してスマホの次の世界を提案している機種だと思います。

 そういう意味では、「Moto Z」もそうです。オプションの「Moto Mods」というアタッチメントを取り付けて機能を拡張するというギミックは、スマホの新しい差別化のやり方なのかな、と思います。Moto Modsはローカライズすることもできるという話で、「おサイフケータイ」や「フルセグ」に対応するというのも、アイデアとしてはあるようです。他のスマホでも、Moto Modsと似たような考え方の端末はありましたが、Moto ZとMoto Modsの場合は、電源を入れたまま取り換えられる(ホットスワップに対応している)点が賢いと思います。

 honor 8を挙げたのは、島さんと同じくMVNO市場を考えてのことです。この性能でこの値段を実現できたのは、グローバルで一定のシェアを持つHuaweiだからこそですよね。iPhone 7は形こそ変わっていなくても、FeliCaと防水に対応したことが大きな進化であると捉えています。一方でiPhone 7 Plusを選ばなかったのは、iOSのユーザーインタフェース(UI)が大画面のiPhoneに最適化されているとはいえないから。ボディーのつくりもそうで、ただ単に大きくした、というだけなので……。Galaxyなら、大画面でもedgeスクリーンにすることで持ちやすくしている。そういう配慮がiPhone 7 Plusには無いですよね。

 ロボホンは実はスマホの次の形なのかな、と思うこともあります。ロボットという形に変わったことでコミュニケーションの形も変わり、ロボホンが置いてあるとつい話しかけてしまう。持ち運ぶスマホよりも、固定電話の置き換えにすると家の中が楽しくなるな、と。スマホのAQUOSの元気がないので、余計に今年のシャープはロボホンだったな、と思うのです。シャープに限らず、日本メーカーのスマホは正当進化過ぎて無難な感じであったとも思います。

●佐野氏:5.2型はイケるが5.5型はキツい SIMフリーは「au VoLTE」も注目

佐野氏 石野さんの話にも出ましたが、Note 7の問題が起こるまではGalaxy S7 edgeがダントツだったと思います。完成度の高さはもちろん、(発売前予約特典として)Gear VRを付けたのもそう。ユーザーに対する提案が優れていました。その点を評価しています。

 ただ、私が選んだスマホは、S7 edge以外に5.5型画面の機種がありません。今のスマホユーザーの多くがiPhoneを使っていることを考えると、4.7型から5.5型に行く(買い換える)と、サイズ的なギャップはかなり大きい。5.2型なら何とかいけると思いますが、いくらハイエンドでも5.5型のスマホにすんなり移行できるのは一部のユーザーだけだと思うんです。そう考えると、iPhone 7 Plusのカメラと大画面よりもiPhone 7のFeliCa・防水対応という進化がユーザーとしてはありがたいのかな、ということでiPhone 7を選びました。

 HUAWEI P9を選んだのはやはりダブルレンズ、モノクロ撮影という新しい提案が大きいです。「arrows M03」は、デザイン的に思うところはあるのですが、メーカーの「スマートなデザインで頑丈につくる」という姿勢がずっと一貫していることは評価できますし、SIMロックフリーのスマホで「au VoLTE」に対応したことが重要なポイントです。arrows M03の存在が、UQ mobileを始めとするau回線を使うMVNOにとって助けになっている部分もあるのではないかと思います。

 ミドルレンジやミドルハイのSIMフリースマホは、たくさん出ています。その中で、どれを選ぼうか迷いました。最終的にZenFone 3を選んだのは、性能や値段のバランスがよく考えられた端末であることと、au VoLTEへの対応など、日本市場をよく考えたことを評価しました。ASUSには「ZenFone 3 Deluxe」もありますが、あちらはハイエンドな分、高価格帯で買いにくいですからね。例年では、Xperiaのコンパクトモデルも評価しているのですが、2016年の「Xperia X Compact」はハイエンドモデルではなくなったので少し残念です。

●村元氏:カメラで競い合う一方で、ユーザビリティには改善の余地あり

村元氏 2016年のスマートフォンは、カメラの性能を競い合っていたので、HUAWEI P9をまず挙げました。個人的にも発売日に即入手したかった久しぶりの端末で、使う中での楽しさがあります。2015年までのHuaweiのスマホは、“価格の安さ”でヒットしている面があり、今年もそういう観点ではP9 liteという選択肢もありました。P9は、そういった安さではなく、「ライカのレンズを試してみたい」という理由で購入したんですよ。それが、使ってみるとライカの力だけでなく、Huaweiのこれまで培ってきたものも感じられました。ハイエンドのスマホが欲しい人に、iPhoneやGalaxy、Xperia以外に「新しい選択肢が増えた」という意味でも評価しています。

 「Xperia XZ」は、「Xperia X Performance」とスペック的には似ていますが、カメラが違っていて、XZのそれは相当色味が良くなっています。特に、木陰を撮るときはきれいに撮れます。サイズ感も良好で、日本メーカーのスマホを選ぶのなら「間違いのない1台」ではないでしょうか。

 性能を細かく見ると、Galaxy S7 edgeが1番なのでは、と思っています。しかし、本当はedgeではないモデル(Galaxy S7)も日本で出してほしかったと思います。エッジスクリーンの使い勝手についてはそれぞれ好みがあるわけなので。サムスンは(海外限定モデルも含めると)たくさんのラインアップを出せる力を持っているわけで、2015年はS6 edgeとS6の両方が日本でも出しましたが、2016年こそ、S7 edgeとS7の2機種を出すべきだったと思うのです。

 iPhone 7 Plusはカメラが楽しいのですが、5.5型のサイズ感ではやはり持ちにくい。個人的にはiPhone 7を買ったけれど、4.7型は4.7型で、今度は文字が小さい。迷った結果、7 Plusをノミネート候補として選びました。

 arrows M03はキャリアからSIMフリーに乗り換えた人でもスムーズに使えるスマホということで挙げています。2016年には、数多くのSIMロックフリーのスマホが出ました。それらを「取扱説明書」のような細かい部分も含めて見ると、人気のある機種でもまだまだ努力が必要だと感じることがあります。また、日本語入力システムとして「Google日本語入力」しか入っていないものもあります。Google日本語入力が悪い、というわけではないのですが、固有名詞の入力においては、どうしてもイライラする場面が多くなります。その点、arrows M03はジャストシステムの「Super ATOK ULTIAS」を搭載しているので安心です。一番キャリア端末に近いSIMロックフリー端末といえます。

●房野氏:SIMフリーを追った1年 iPhoneは次の「8(?)」に期待

房野氏 振り返ると、キャリアのスマホよりもSIMロックフリーのスマホばかり見ている1年でした。格安スマホは“格安”ではなくなってきましたが、その代わりに使って快適な機種が増えてきたと思います。

 そんな中で、私がキャリア端末として唯一挙げている「Qua phone PX」ですが、これはキャリアが企画したオリジナル端末ということであえて選びました。そのような観点では、NTTドコモの「MONO」もありますが、12月発売なので今回は選べませんでした。Qua phone PXは、ガラスとメタル(金属)を使った端末が多い中で、プラスチック素材を使っているのでとても軽量です。ケータイ(フィーチャーフォン)みたいな感覚で使えるのが、今となっては逆に新鮮というか。デザインも昔の「au design project」や「iida」の雰囲気があって懐かしいんですよね。モバイルSuicaなど、「おサイフケータイ」を使うときにちょうどいいのです。

 Galaxy S7 edgeも挙げましたが、これは皆さんが言っているように弱点をつぶして使いやすくなったことを評価しています。ただ、Suicaの反応がいまひとつだったり、急な発熱で電源が落ちたりといった弱点もあります。そんなことありませんか?(「ああー」と頷く人数名) だから、本当は2017年に発売されるであろう「Galaxy S8(仮)」シリーズに期待しています(笑)。

 あとはこれも皆さんがカメラを評価しているHUAWEI P9を挙げました。私自身はスマホのカメラにあまり関心が無かったのですが、P9で撮ると色合いが深くて、最近のスマホによくある「明るく撮れるカメラ」とは違っていいな、と思います。それとP9の動きはとても気持ちがいいんですよ。指紋認証のロック解除が速くて、今一番使っている端末です。

 Moto ZはMoto Modsを装着するときにマグネットで簡単にくっつくのがいいですよね。それでいて格好よくて面白い。iPhone 7はやはり皆さんが言うようにFeliCa、防水対応が良かったですよね。あと私はあまり使いこなせていないのですが、Mac(macOS)との連携も評価しています。デザインが変わっていないので新しさには欠けますが、これも次の「iPhone 8(仮)に期待しています(笑)。

石野氏 「8に期待って」便利な言葉ですね(笑)。

一同 (笑)。

 後編では、太田百合子氏、すずまり氏、らいら氏とITmedia Mobile編集部のコメントをご紹介します。また、審査会に出席できなかった山根康宏氏のコメントも別記事で掲載します。お楽しみに!

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