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小説家の手作り「豆本」が凄い! ため息出るほど小さく精巧

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/12/15 前田郁/イベニア

豆本作家である赤井都さんの個展「手のひらの中のアリス〜小さな宝物・豆本アートの世界〜」が、東京・中野のGALLERYリトル・ハイで12月19日まで開催されている。

豆本と聞いて、小さい本、通常サイズのミニチュア版なのだろうと思って行ってみた。しかし、そこで分かったことは単なるミニサイズの本ではないということ。豆本の世界は奥が深く、そして広かった。

豆本は通常サイズの縮小版ではない

小説を紙の本ではなくデジタルでも読める現代だからこそ、本の持つ紙の質感、装丁の丁寧さ、活版印刷の温かみにこだわっている赤井さんの作品。大きさは手のひらに収まるサイズだ。

© Excite Bit 提供

国際ミニチュアブックコンペティション2016(アメリカ)で最高賞を受賞した「月夜のまひる」をはじめ、さまざまな作品が展示されている。小瓶に入ってしまうくらい小さいのに、ページ番号がちゃんとふってあったり、皮表紙に銀色箔押しがされていたり、装丁はしっかりしている。ため息が出るほど小さいのに非常に精巧だ。

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自分の小説を際立たせるのが豆本だった

赤井さんは小説家で「すばる文学賞」の最終候補に残ったこともある。「文学フリマ」に自作を出そうと考えた時、経費を節約するため自分で製本をしたのをきっかけに製本に興味を持つようになったそう。

赤井さんの小説は短編が多く、例えばA4用紙に印刷すると、物語の結末が読む人の目に入ってしまう。そこで小さいサイズ、いわゆる豆本に印刷すれば、短い話でも次のページをめくりたくなるワクワク感を味わってもらえると考え、豆本の自作へと進んでいった。

そして、小さくても読みやすい文字の大きさ、間隔、字体、そして印刷する紙や手にとった時の感触も考えた装丁へと世界を広げていく。

文字を活字組版で印刷しているのも特徴だ。挿絵も赤井さんが自ら描いている。赤井さんのオリジナルストーリー「航海記」は、挿絵は雁皮紙に、文字は楮紙に印刷。雁皮紙だけでは自立しないので、楮紙に貼りこんでいる。

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手作りが信条の赤井さんだが真円にこだわり、レーザーカットで円を切り抜くことも。こだわる姿はもはや職人。小説でも絵画でもクリエイティブを追求すると職人になるのかもしれない。

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一冊作るのに一週間

一つの作品を作る時には、複数の試作品を作るそう。紙の質感、表紙の素材、そして色の組み合わせ。無限大に広がる世界。「時にはビジネス的な決断をすることもありますよ」と赤井さん。

それでも、角をヤスリでとったり、皮の折り返しの部分は薄くしてもらったりと、普通サイズの本を縮小しただけではない手仕事が施してあることが、豆本というジャンルを成立させているのかもしれない。個展のタイトルにもなっている「不思議の国のアリス」は赤井さんの豆本への真摯な姿勢が現れた作品で、国内外の豆本コレクターからの評価も高い。

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作品イメージは「箱に入っているところ」から

豆本を作る時、内容から考えるのか、本として出来上がったところをイメージして作っているのか尋ねたところ、「雨ニモ負ケズ」は箱に収まっているところから考えたという答えが。

特装版にはハードカバー版とそのページを印刷するための組版を撮影した本と、その他に活字そのものが入っている。三段重ねの箱には磁石がついているので、ぴったり重なるのも心地いい。

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箱側面に赤井さんの手描きデザインがある作品は、二つとして同じものがない。また、中身と表紙を印刷しただけのものも販売しているので、自作も可能だ。タイトルにローマ字が併記されている本は、外国人に上下を間違えられないようにする目的もあるのだとか

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豆本は総合芸術

赤井さんは、今後は稲垣足穂の「一千一秒物語」の豆本化に取り組んで行きたいと話してくれた。

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赤井さんは小説を書き、その世界を形にするために豆本を作る。挿絵も装丁もすべては赤井さんの世界を表現するもの。それが総合芸術と言われる所以だと実感できる個展だった。

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