古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

山田涼介『カインとアベル』は“隠れた名作”になる!? セオリー破った作風は吉と出るか

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/12/05 株式会社サイゾー

 Hey! Say! JUMPの山田涼介が主演を務める月9ドラマ『カインとアベル』(フジテレビ)が、物語後半に向けて盛り上がりつつある。第3話では平均視聴率6.9%と、月9としてはかなり苦戦している本作だが、11月21日に放送の第6話では9%、第7話では8.8%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。連続ドラマは一度視聴率が下がると、その性質ゆえになかなか視聴率が回復しないもので、今回のケースは珍しい。 参考:Hey! Say! JUMP 知念侑李、その才能は“飲み込みの早さ”にアリ 俳優として飛躍の時期へ  同作は、親の愛を巡る兄弟間の確執を描いた旧約聖書の「カインとアベル」をモチーフにしたドラマで、山田涼介演じる弟・高田優と桐谷健太演じる兄・高田隆一が、高嶋政伸演じる父・高田貴行が率いる大手不動産会社「高田総合地所株式会社」を舞台に、複雑な人間模様を描き出す物語。前半は仕事ドラマの色合いが強く、未熟な優が悪戦苦闘しながらも結果を出し、徐々に周囲に認められる様を丁寧に描いていた。山田の初々しさや危うさが、そのまま劇中での仕事ぶりにも反映されていて、観ている側としてはハラハラさせられるのだが、それが本作の醍醐味でもある。優は社会人としてまだまだ至らないものの、だからこそ瑞々しい感性を持っていて、それが時として大きな成果に繋がるのだ。  第6話では、優が仕事で成果を出しつつある一方で、しっかりものの兄・隆一がとあるプロジェクトで壁にぶつかり、ふたりの関係性が逆転しつつある様子が描かれた。さらに、倉科カナ演じるヒロイン・矢作梓は、隆一との婚約に疑問を抱き始めると同時に、優とは仕事のパートナーとして深い信頼関係を築き始める。優も梓に仕事のパートナー以上の感情を抱き始め、いつふたりが結ばれてもおかしくない状態だ。面白くない隆一は、険しい表情とともに徐々に嫉妬をむき出しにしていく。  この回が高い視聴率となったのは、もちろん山田涼介と倉科カナのキスシーンが披露されるかもしれないという、視聴者の期待が募った結果でもあるだろう。しかし、それ以上に重要だったのは、これまで丁寧に描かれていた各々のキャラクターが一気に動き出し、予想を超えるスピードで物語が展開したことではないか。何より印象に残ったのは、その怒涛の展開の中で3人がそれぞれ自分の得意な部分で演技力を発揮していた点である。山田が倉科を見つめる表情は、まさにトップアイドルのそれであり、自然に涙をこぼす倉科は演技派女優としての力量を見せつけた。『アウトレイジ ビヨンド』などの作品で存在感を発揮してきた桐谷は、次第に狂気に陥る隆一の内面を、その瞳で語っている。  仕事と恋愛、ふたつの軸で兄弟間の確執を描くのが本作のテーマだとすると、本格的に物語が始まったのは第6話だったと言えよう。そして第7話では、優が社運をかけたプレゼンテーションに挑み、高嶋政伸演じる父・高田貴行のアドバイスを無視しながらも、結果として会社に大きな利益をもたらし、取締役にまで一気に上り詰めた。隆一はいよいよ冷たい表情で優を無視するようになり、梓はふたりの間で大きく揺れ動いている。原案となった「カインとアベル」の通りなら、この後、隆一は優を陥れ、殺害するというのだろうか?  華やかな印象が強い月9ドラマとしては、かなりハードな作品となりそうな『カインとアベル』。一部では昼ドラのような展開だと指摘する声もあるが、ジャニーズ俳優を起用してセオリー通りの恋愛モノを作るのではなく、チャレンジングな作風としたところは評価できるだろう。そのうえで、役者の力をちゃんと引き出しているのだから、本作から学ぶことは少なくないはずだ。今後、ラストに向けてさらなる波乱が予想される本作は、隠れた名作となるポテンシャルさえあるのではないか。(松下博夫)

Real Soundの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon