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年末企画:宇野維正の「2016年 年間ベスト映画TOP10」

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/12/19 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2016年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマの三つのカテゴリーに分け、映画の場合は2016年に日本で劇場公開された洋邦の作品から、執筆者が独自の観点で10本をセレクト。第四回の選者は、リアルサウンド映画部で主筆を務める映画・音楽ジャーナリストの宇野維正。(編集部) 1.『イット・フォローズ』

2.『10 クローバーフィールド・レーン』

3.『最後の追跡』

4.『ボーダーライン』

5.『死霊館 エンフィールド事件』

6.『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』

7.『ザ・ギフト』

8.『溺れるナイフ』

9.『ちはやふる 上の句/下の句』

10.『海よりもまだ深く』

  最初に言っておくと、今年はNetflixの年でした。上記リストは映画とドラマシリーズは別というルールに則ってセレクトしましたが、本当の年間ベスト1は『ストレンジャー・シングス』。『The OA』、『ナルコス』シーズン2、『ハウス・オブ・カード』シーズン4もベスト10クラス。3位に入れた『最後の追跡』は国外では今年最もヒットしたインディーズの長編作品ですが、これも日本ではNetflixでしか観ることができません。「お前はNetflixの回し者か?」と言われそうですが、来年以降はいよいよオリジナルコンテンツに本腰を入れてきたAmazonプライム、米HBOとストリーミングの独占契約を結んだHuluの作品も上位に入ってくるはず。海外の有力な映画関連メディアに関わっているジャーナリストにとっては当たり前になっているように、来年以降は映画ベストとドラマベストの2つのリストを出す必要があるかもしれません。  ドラマシリーズにフレッシュな企画や人材を吸い取られ、フランチャイズ作品と一部の特権的な立場にある監督が主導した作品以外の「普通の映画」が痩せ細りつつある海外の映画界ですが、そんな中で相対的に浮き上がってきたのがジャンルとしてのホラー映画。かつてホラーは若手監督にとってキャリアの踏み台となるジャンルでしたが、『死霊館』シリーズのジェームズ・ワンのようにメガ・フランチャイズ(『ワイルド・スピード』)での抜擢を経てホラーに回帰するような頼もしい存在も現れています。興行的にも批評的にも、現在最も国内外の映画界において温度差が激しいのがこのジャンル(日本の配給会社の中には作品を宣伝する上で「ホラー」をNGワードする動きもあります)。その温度差を埋めることに、少しでも貢献できたらと思っています。 『ちはやふる』を筆頭に、今年の春から秋にかけての東宝作品の企画力と質的向上には興奮を覚えましたが、年末近くになってみるとすっかり平常運転に戻っていて「あれはなんだったんだ?」という気持ちにも。ただ、世界的成功を収めた『君の名は。』を含め、今年は日本映画界において確実に地殻変動が起こった年。企画を立ち上げてから作品が公開されるまでタイムラグがあるので、変化が顕在化するのは来年というより2018年以降かもしれませんが、いい作品とどうしようもない作品のコントラストはこれまで以上にはっきりしてくるはず。松竹、東映の奮起にも期待。同じ失敗をするなら、新しい才能の抜擢を。今の日本のインディーズには優れた映画監督がたくさんいます。(宇野維正)

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