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心の病が悪化するかも…家族の間違った接し方

All About のロゴ All About 2017/08/17

心の病を持つ人と暮らす家族は、不安や不満、怒りなどの激しい感情を抱えてしまいがちです。 © AllAboutMedical 提供 心の病を持つ人と暮らす家族は、不安や不満、怒りなどの激しい感情を抱えてしまいがちです。

家族が感情的になると再発しやすくなる

家族に心の病が生じると、冷静ではいられなくなるもの。「どうしたらいいの!?」「接し方が悪かったのかしら?」とオロオロしたり、「苦労ばかりかけて!」「どうして治らないの!?」と苛立ってしまうこともあるでしょう。しかし、家族が動揺し、感情的に接してしまうと、患者のプレッシャーとなり、病状の悪化につながってしまうのです。

1960年代、イギリスのブラウンらが統合失調症の再発と家族の感情表出との関係を研究したところ、感情表出の高い家族と接する人ほど再発率が高くなっていることが分かりました。その感情表出には、次の3つのタイプがあるとされています。

1. 批判タイプ

「いつまでも寝ていていいの!?」「“なまけ病”なんじゃない?」など、批判を露わにすること

2. 敵意タイプ

「一緒になるんじゃなかった」「もう世話なんてしたくない!」など、敵意を露わにすること

3. 巻き込まれタイプ

「私のせいかしら」「私だけが楽しんではいけない」など、相手の状態に情緒的に巻き込まれること

いつも身近にいて、心から心配している家族だからこそ、このような激しい感情を抱えてしまうのでしょう。しかし、統合失調症に限らず、心の病を抱えた人にとっては、この家族の思いが非常に強いプレッシャーとなり、回復の妨げになってしまうのです。

抑圧しすぎると感情は暴走しやすくなる

とはいえ、素直な感情を抑圧し続けると、家族まで病気になってしまいます。では、常に複雑な感情を抱く家族は、どのようにその感情をコントロールしていくとよいのでしょうか?

まず、患者に感情をぶつけやすいのは、家庭という「密室」の中だけで、家族の心の病の問題に向き合っていることが大きな要因になっていると考えられます。つまり、患者に対する不安や心配、苛立ちを、自分の胸の内、あるいは家族間だけで抱えてしまい、外に向かって表出していないことが、影響している場合が多いのです。家族としては、「誰かに話したいけど、興味本位で聞かれたくない」「プライバシーの問題だから、気軽に話せない」という気持ちがあるのかもしれません。あるいは、「私がしっかり支えなければ」「弱音を吐いてはいけない」という気負いで、自己を律しているのかもしれません。

しかし、素直な気持ちを抑圧したままでいると、いずれは我慢が限界に達し、苛立ちや不安を患者本人にぶつけるリスクが高くなります。また、自分だけ、家族だけで介護を背負うことで、その介護生活に過剰適応し、患者に対して過保護、過干渉になるリスクもあります。いずれにしても、そのままの状態を続けていると、患者には過剰なプレッシャーとなり、悪循環になってしまいます。

「家族会」で気持ちを共有し助け合う

そこで、家族にとって必要なのは、素直な気持ちを安心して話せる場所を確保することです。その一つとして定評のある場所が、同じ問題と悩みを抱える家族の自助グループである「家族会」です。

家族会の最大のメリットは、同じ悩みを持つ家族同士が忌憚なく語り、相手の話を聞くことで、「悩んでいるのは自分だけではない」と共感できることにあります。また、治療や回復に必要な情報、家族としての関わりを聞くことで、自分の態度を客観的に振り返ることもできます。家族会は、病院や地域のさまざまな場所で開催されています。病院のソーシャルワーカー、精神保健福祉センター、保健センターなどに問い合わせると紹介してもらえるでしょう。

聞くだけの参加でもいいのですが、体験や思いを話して、それが誰かの役に立てば、自分自身が救われることも多いものです。これを「ヘルパーセラピーの原則」と言います。誰かを助けることで、援助した人が大きな癒しを得るということです。

地域にはたくさんの社会資源がある

また、患者と接する家族は「私しかこの人を支えられないのではないか」と考えがちですが、けっしてそうではありません。地域には、心の病を抱える人と家族が利用できるたくさんの社会資源があります。そうした資源には、患者と家族をスタッフやボランティアが支え、また患者同士で支え合う仕組みがあります。

たとえば、市町村にある「地域活動支援センター」を利用すれば、患者は日中、仲間との交流や文化活動、運動などの活動を行いながら、社会とつながり、自立に向けて活動することができます。その間、家族は「自分の時間」を持つこともできるでしょう。

ちなみに、地域活動支援センターは「障害者自立支援法」(2013年4月からは障害者総合支援法)によって制度化された施設で、通院中の精神疾患患者であれば、障害程度区分認定も必要なく利用でき、原則的に相談、利用は無料です。その他、障害者自立支援法のサービスには、相談支援や日中活動、居住支援、就労支援、訪問サービスなどが充実しています。利用方法は、病院のソーシャルワーカーや、市町村の窓口に問い合わせると教えてもらえます。

このように、家族会を通じて素直な気持ちを話したり、地域の社会資源とつながることで、患者に対する批判的な感情や敵意を解消したり、「家族だけが頑張らなければ」「私ばかり楽しんではいけない」という思い込みを解放することができます。こうして家族自身が楽になることで、感情を患者にぶつけることもなくなり、症状の悪化や再発を防ぐことができるのです。

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