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怪談、業界用語、人見知り…「創作ピクニック部」の活動が凄い!

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/11/24 篠崎夏美/イベニア

「ピクニック」には屋外でシートを広げお弁当を食べるという、よく言えば定番、悪く言えばテンプレートなイメージがある。

そんなありふれた「ピクニック」と、“怪談”、“作り話”、“業界用語”、“詩”など、斬新な要素を組み合わせることで、全く新しいピクニックを作り出している団体が「創作ピクニック部」だ。代表の鈴木さんに話を聞いた。

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震災と「自称アーティスト」植木職人との出会いがきっかけ

―― 設立のきっかけは?

2011年の東日本大震災以降、様々なソーシャルアクションが始まるなかで、2012年に渋谷川流域を拠点に「渋谷リバース」という環境系交流プロジェクトを立ち上げ、ゴミ拾いやピクニック、ペットボトル灯篭づくり、リサイクルガーデニングなど、環境に関する様々なイベントを行ってきました。

そこで知り合ったのが、12歳年下の植木職人で自称アーティストの“ひじりん”です。彼の子供のように大胆で独創的な作品を多くの方と共有したい、彼と一緒に何か面白いことがやりたい、ということで始めたのが創作ピクニック部です。

―― 創作ピクニック部結成のキーパーソンですね。

実際、彼が描く絵はとても独創的です。ぶどうを描けば、一粒が人間の頭と同じ大きさのぶどうを描きますし、龍を描けば、キリンにしか見えないキリン龍を描きます。彼の作品に触れると毎回元気になるんですよ。

上手い下手に関係なく、自分自身で作品を生み出すことがどれほど楽しい体験か、活動を通じて共有していけたらいいなと思っています。

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―― はじめて行った企画はどんな内容でしたか?

最初に行ったのは2014年10月、恵比寿東公園で開催した怪談ピクニックでした。これは、怪談会とピクニックを組み合わせたイベントでした。

―― なぜ怪談だったのでしょうか?

ハロウィンの時期だったため、仮装との相性が良い企画ということで選んだ気がします。ただ、ひじりんには怪談のネタがなく、新宿思い出横丁の居酒屋で一緒に怪談の練習をしました。今でも彼にはこの一本しかなく、怪談ピクニックで話すたびに少しずつ怖さが増していくのが面白いです。

当日の参加者は6名。その時、熱狂的な稲川淳二ファンのみちさんという女性がいたのですが、現在に至るまで全ての創作ピクニックに参加し、「景品部長」として、また会の雰囲気づくりの面で大活躍しています。

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―― 「景品部長」とは変わった役職ですね。具体的なお仕事の内容は?

創作ピクニックには、採点点数による順位付けが発生する企画があります。決められたテーマに沿って絵を描く「絵心ピクニック」、決められたテーマに沿って詩を書く「詩クニック」など。そこで上位3傑に入った方に贈呈する賞品(景品)を、みちさんが用意しています。

主なものは、彼女が頂いた変わったものや、彼女が描いた漫画、彼女が作ったフラワーアレンジメントなど。毎回、予想がつかないものばかりで大変盛り上がります

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―― ところで、これまで行ってきた企画の内容を見ると、2015年6月が「建築アートの特別探訪『近代建築三大巨匠ル・コルビュジエの日本唯一作の国立西洋美術館と上野公園』」。その次が、2016年1月17日「絵心ピクニック」となっています。かなり雰囲気が変わった気がするのですが、何か理由はあるのでしょうか?

鋭いですね! 実はその間に結婚しまして、創作ピクニックをしばらく休止しておりました。雰囲気やコンセプトが変わったという意識はなかったのですが、妻に楽しそうだと思ってもらいたい、できれば参加してもらいたいという深層意識が働き、イベントのコンセプトにも影響を与えたのかもしれません。

妻とも「詩クニック」をきっかけに知り合いました。結局、彼女は事情があり参加できなかったのですが、そのことが縁で仲良くなることができました。新しいピクニックには、新しい出会いが待っているので、毎回楽しみです。

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ひじりんさん、みちさん、さらには奥さま。参加者の方を含めて、いろいろな人との出会いが「創作ピクニック」を作り、さらに進化させているのだろう。

セクシーな同人小説が創作用紙

―― 作り話ピクニックや、業界用語ピクニックなど、とてもユニークな企画が多いですが、どういう風に思いつくのですか?

制作ディレクターやコピーライターの仕事をしていることもあり、企画を考えるのはもともと好きなのです。あとは、運営の相棒でもあり、最初のお客さんでもあるひじりんが楽しんでいる場面を頭に思い描くことで、様々な企画が浮かんできます。

また、会社や学校といったコミュニティで居心地の悪さを感じたり、こぼれ落ちたりする方がいるものです。そういった方が元気になる場がつくれたらという思いもあります。

―― どんな方たちが参加されているのでしょうか?

男女の比率は、ほぼ毎回2:1の割合で女性が多いです。年齢層は20代から40代が中心。職業は、OLが一番多く、デザイナー、コピーライターといった制作に関わる仕事をしている方、漫画家を目指していた方、建築関係の仕事をしている方、大学院で研究をしている方など、多種多様です。

都内、関東の方が多いですが、静岡県から来てくれる方もいます。遠隔地から高速バスに乗って参加してくれる方々のためにも、面白いイベントを企画したいと気合が入ります。海外の方も参加されますよ。特に人気があるのは「詩クニック」で、日本語の詩に混じって英語の詩も発表される、多様性あふれる会になることが多いです。

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―― 「創作ピクニック部コネタ」があれば教えてください

イベントで使う紙は、ひじりんとみちさんが用意するのですが、みちさんの用意する紙はセクシーなシーン満載の同人小説で、会の合間にみんなで読み上げゲラゲラ笑うのが恒例になっています。

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小ネタでもう一つ、自分のことで恐縮なのですが、毎回、山盛りのパスタを作って持っていくので、こんな量のパスタは見たことがない!と初参加の方に驚かれます。

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―― 創作ピクニックをやっていてよかったと思うことは?

何度かやっていて気付いたのですが、創作は心の癒しになります。大半の企画が、作品をその場でつくって評価し合うものなのですが、作品を肯定する=その人を肯定するということにつながるようです。仕事などで嫌なことがあったのが前向きな気持ちに変わったという方にもたくさん出会いました。しかも紙とペンがあれば成立するシンプルさも気に入っています。

そういった創作活動ど真ん中の企画、絵心ピクニック(絵を描くピクニック)、詩クニック(詩を書くピクニック)なども楽しいのですが、一方で、「作り話ピクニック」や「人見知りピクニック」など、変化球の企画に人が集まった時は思わずガッツポーズが出ます。

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タイトルだけでは内容が分からない企画で、考えた本人も果たして成立するかとドキドキしています。もちろんリハーサルもなし。しかし、参加者の大半が企画を理解した上で、前のめりで楽しんでくださるので、ピクニック終了後はやって良かったなという気持ちに必ずなります。

それから、人との出会いですね。社会人になると仕事以外で人と知り合う機会がなかなかありません。ひじりんやみちさんのような方と出会えたのも、こうした活動を楽しみながらやってきたご褒美だと思っています。

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鈴木さんは創作ピクニックを「人生に疲れた、居場所がない、毎日がつまらない、もう限界、という方には一服の清涼剤となる場だと思います」とも話してくれた。「ピクニック」と「クリエイティブ」をほどよくブレンドした大人の部活「創作ピクニック部」は全て参加無料。いつもとは違う休日を提供してくれるだろう。

写真・鈴木章仁

(取材・文 篠崎夏美/イベニア)

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