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情報BOX:与党圧勝から敗北まで、英総選挙のシナリオ

Reuters のロゴ Reuters 2017/05/31

[ロンドン 30日 ロイター] - 6月8日投票の英下院選挙は、メイ首相率いる与党保守党が野党労働党に支持率で追い上げられており、保守党が圧勝するという1カ月前の予想は揺らいでいる。

ここ数日の各種世論調査によると、保守党の優勢は変わらないものの、同党のリードは5%ポイントから14%ポイントの範囲に散らばっており、幅広い選挙結果シナリオが想定されるようになった。

◎保守党の圧勝

メイ首相が4月に選挙前倒しを発表したのは、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)交渉を控え、次回選挙を2020年から22年に延ばして時間的な余裕を持たせるとともに、議席を増やして党内における求心力を強化する狙いがあった。

発表当初、当時の支持率を踏まえれば保守党が圧勝し、離脱交渉を巡る不透明感が薄れるとの期待から、通貨ポンドは上昇した。圧倒的な過半数議席を確保すれば、単一市場へのアクセスよりも移民や貿易問題を優先する現在のような強硬姿勢をとる必要がなくなり、EUに歩み寄りやすくなるとの期待もある。

米銀シティのストラテジストは、過半数を100以上上回る議席を確保すれば、EU離脱交渉の不透明感が薄れるため、ポンド/ドルは短期的に1.34ドルに向かって上昇するとの予想を示した。

◎圧勝ではないが議席を増やす

キャメロン前首相の下で戦った2015年の選挙で、保守党は過半数を12上回る議席を確保した。今回はさらに議席を伸ばすとの見方が依然として支配的だが、足元の世論調査を踏まえると、過半数を100議席以上超える圧勝は難しいかもしれない。

情報BOX:与党圧勝から敗北まで、英総選挙のシナリオ © REUTERS 情報BOX:与党圧勝から敗北まで、英総選挙のシナリオ

アナリストによると、こうした予想通りの結果であれば、過去1カ月のポンド高を支えてきた中心的シナリオは揺るがないが、現在の相場水準からは下がる可能性がある。

RBCキャピタル・マーケッツのG10通貨ストラテジー責任者、アダム・コール氏は「市場は現在、過半数議席を100以上上回る勝利を織り込んでいるため、これが50─100議席程度なら初期の反応はポンド安だろう」と述べた。

◎与党勝利でも議席は増えず

保守党が、15年の選挙で確保した過半数プラス12議席に比べ、議席を明確に増やせないようなら、選挙前倒しというメイ首相の賭けは失敗したことになる。EU離脱議論を巡る議会内での求心力が衰え、EUに対する立場も弱くなる。

これとは反対の見方もある。国内で立ち回る余地が狭まれば、EUが出した妥協案をはねつけ、より強硬な姿勢で交渉に臨めるかもしれない。EU側は、メイ首相が条件で合意しないままの離脱をちらつかせることを望んでいないからだ。

投資家から見て何より大きな要因は、EUと合意に至るか否か、またその内容を巡る不透明感が高まることだ。

シティは「メイ首相がEU離脱強硬派や残留強硬派などの少数勢力に頼らざるを得なくなるとすれば、『混乱に満ちたブレグジット』のリスクが高まる一方で、首相が現在目指しているよりずっと穏健なブレグジットになる可能性も高まる」と見ている。

シティは、この場合にはポンド/ドルが中短期的に1.20ドルに下がるが、その後1.50ドルまで上昇する可能性があると予想した。

◎宙ぶらりん議会

保守党、労働党のいずれも明確な過半数を確保できない場合、次期政権の構成と少数政党の支持を得るため次期首相がどのような妥協を強いられるかを巡り、大きな不透明感が広がるだろう。

現状では親EU派のスコットランド民族党の影響力が増しそうだ。EU離脱を巡る保守党の姿勢を踏まえると、保守党との連立に喜んで応じる少数政党は見当たらず、労働党主導の政権が誕生する可能性が高い。

JPモルガンによると、この場合には不透明感が高まるにもかかわらず、ポンドは上昇するかもしれない。アナリストのポール・メギーシ氏は30日のノートで「ハングパーラメント(宙ぶらりん議会)になり、ブレグジットについて現在より穏健な姿勢をとる中道左派連立政権が誕生したり、その可能性が見えてくれば、実際にはポンド高要因になるとの議論も成り立つ」とした。

◎労働党が勝利

労働党が快勝した場合、投資家はEU離脱と財政政策の両方でシナリオの再構築を迫られるだろう。労働党はコービン氏が党首に就任してからの2年弱、党内が割れ、造反派が反旗を翻すなど失態続きだった。

過去を振り返ると、労働党が支持率を大きく伸ばすとポンドは下がる傾向がある。

シティは、労働党勝利という「政治的な地震」が起これば、ポンドは反射的に急落し、1.10ドルをつける可能性があると見ている。

より長期的には、景気対策費によって政府借り入れが増え、EU離脱交渉ではメイ首相よりもEUとの緊密な貿易関係を維持する交渉を行う可能性が指摘されている。

ノムラのアナリストはノートで、最初はポンドが下落するとしても、「実質利回りが上昇し、ソフト・ブレグジット、あるいは離脱撤回の期待が生じることから、最終的にはポンドの支援材料になるはずだ」との見方を示した。

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