古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

成海璃子、トリンドル玲奈、水野美紀……不倫劇で新境地! 『黒い十人の女』女優たちの熱演を読む

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/11/09 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 『黒い十人の女』は1961年に公開された市川崑監督(脚本・和田夏十)の同名映画を原案にバカリズムが脚本を手がけた、話題の深夜ドラマだ。 参考:『校閲ガール』なぜ“泣けるドラマ”に? 石原さとみと江口のりこ、正反対キャラの友情物語  いよいよ、役者は揃った。6話目を終え、物語は佳境を迎え、プロデューサー・風松吉(船越英一郎)が女たちに倒されるという終幕に向けて加速している様子は、まるで、シェイクスピア演劇を観ているようだ。風という王様と美しい王妃、そして9人の愛妾たちとでも言うような。それは、時折見せられる舞台女優・如野佳代(水野美紀)の劇中劇のせいかもしれないが。  個性溢れる愛人たちの熾烈な戦いがバカリズムによる緻密な心理描写によって、激しく美しく、かつ面白く繰り広げられている。  このドラマの魅力は、なんといっても女優陣の熱演とリアルな女性の心理描写だろう。  テーマは、今年最もワイドショーを賑わせた「不倫」。どこが魅力的なのかが謎だがなぜかモテるテレビプロデューサー・風松吉には、美しい妻(若村麻由美)だけでなく、9人の愛人がいる。AP、舞台女優、若手女優、若手女優のマネージャー、ヘアメイク、脚本家、受付嬢、部下の妻、部下の妻の部下と、どうしてこうも身近なところばかりに手をつけたのだとツッコミを入れたくなる。  特に、古株メンバーのAP・弥上美羽(佐藤仁美)と舞台女優・佳代(水野美紀)の2人が曲者で面白い。佳代は、なぜか愛人たちと仲良くなりたがり、片っ端から連絡をとっていく。それがきっかけで互いに知らなかった愛人同士が相まみえることになり、余計に事が大きくなっていくのだが、彼女に悪意は全くないという、どうにも困ったキャラクターである。そしていつも怒った愛人にカフェラテやあんかけをかけられるというなんだか可哀想になってくる役を、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』でパッと見誰かわからないほどの魔女役を熱演するなど最近突き抜けている女優・水野美紀が演じていて実にハマッている。  一方、美羽は、風を独り占めにしたいがために、あの手この手を使って愛人を減らそうと暗躍する。これもまた佐藤仁美が、敵にしたら面倒な憎たらしい女を熱演している。被害を被った愛人たちがこれでもかと美羽を懲らしめる6話は、佐藤仁美が悪役女優としてたびたび出演している『痛快TVスカッとジャパン』かと思わせるほどスカッとする回だった。  そして、もう1人注目すべきは、「まだ染まりきれていない愛人」受付嬢・神田久未(成海璃子)である。久未はこの物語の中心人物ではあるが、1人の男を巡る女のバトルの傍観者であることが多かった。不倫から抜け出したいと思っているが抜け出せずに、ただ巻き込まれている。彼女の「心の声」が緊迫した状況を実況することで、修羅場をコミカルに俯瞰で見つめることができるという点で、最も視聴者に近い存在であると言えるだろう。  しかし、何でも相談していた親友・彩乃(佐野ひなこ)が実は愛人の1人だったことを知った時、彼女は怒り狂う。成海璃子の、端正な顔立ちが激しく歪むことを物ともしない演技は思わず笑ってしまうほど凄まじい迫力だった。未だに清純派のイメージが付きまとう成海の新境地とも言えるのではないだろうか。  他にも、可愛い笑顔で周囲の男たちを虜にしながら心の中で毒を吐くトリンドル玲奈や、舌戦にとことん強いMEGUMIなど、それぞれの持ち味を活かした配役で女優陣の好演が光る。  女たちの熾烈なバトルはこれからどのように動いていくのだろうか。それまで「9人の愛人を持つ男」としか描かれていなかった風が、迫ってくる相手に対し、いかに巧妙にのらりくらりとかわし物事を自分に有利に仕向けるかというズルさが明るみになってきた。また、無自覚ではあるが常に事件の発端にいて、常に中立的立場でバトルの仲裁に入っていた佳代が、「悪いのはあの男」と言って諍いを終わらせていることが注目すべき点である。  女は、共通の敵を作ると団結する。女性の多い組織に所属していると否が応でも感じるあるあるネタだ。佳代がまたも無自覚に新たな事件の発端を作ろうとしているのなら、風は本当にこのまま女たちに倒されるのか。拳を交えることで妙に結束したようにも見える彼女たちには、もう一波乱あるのか。次の展開が気になるところである。(藤原奈緒)

Real Soundの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon