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戦後最大のミステリー「三億円事件」の謎にせまるタクシーツアーに参加してきた

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/12/13 村中貴士/イベニア

いまから48年前、1968年12月10日に発生した日本犯罪史上最大のミステリー、三億円事件。1975年に時効が成立した未解決事件である。

「裏ヨコハマツアー」、「心霊スポット巡礼ツアー」など、一風変わった企画でおなじみの三和交通が、三億円事件の犯行現場を案内するタクシーツアーを開催すると聞き、参加してみた。

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現金輸送車が出発した銀行、事件発生現場、犯人がクルマを乗り捨てたとされる駐車場などをタクシーでたどる。

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第一地点、銀行前からスタート

まずは国分寺駅近くの、銀行があった場所へ。現金輸送車は日本信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行) 国分寺支店から出発した。銀行があった場所は、現在携帯電話ショップと100円ショップになっており、銀行は存在しない。

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犯行当日は豪雨であった。現金輸送車は、東京芝浦電気(現・東芝)府中工場へ向かう。中には工場従業員のボーナス、およそ三億円の現金が積まれていた。犯人が乗っていたとされる、1台目のカローラは現金輸送車の前を走行し、途中から脇道に逃げ込む。

実はこの事件には伏線がある。事件発生4日前の12月6日、日本信託銀行国分寺支店長あてに脅迫状が届いた。「7日午後5時までに指定の場所に300万円を女性行員に持ってこさせろ。さもないと支店長宅を爆破する」という内容であった。しかし当日、犯人は現れなかった。

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現金輸送車はまっすぐ進むが、犯人は右ななめの道へ。その先の駐車場に停め、あらかじめ準備してあった「偽の白バイ」に乗り換える。犯人はカローラを乗り捨てるが、ワイパーは動いたまま、半ドアの状態で放置されていた。

事件発生現場へ

白バイはスピードを上げ、現金輸送車の前方で少しずつ速度を遅め、やがて止めるよう促す。

強奪現場となった府中刑務所裏にやってきた。前方に見える歩道橋は現在も残っているが、壁の上にあった監視塔は防犯カメラに替わっていた。

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ここでニセ警官(犯人)がバイクを降り、現金輸送車の窓をたたく。

「日本信託銀行の方ですよね? ただいま緊急連絡が入りまして、支店長宅が爆破されました。このクルマにも爆弾が仕掛けられているという情報が入ったので、調べさせてください」

行員たちは4日前の脅迫状の件を聞いていたので、あわてて車内を調べ始める。ニセ警官が「あったぞ」と叫び、その直後ボンネットのあたりから白い煙と青い炎があがった。行員たちはあわてて外にでて、物陰にかくれる。その隙に犯人は現金輸送車を奪い去った。

当時は交通量も少なく、また激しい雨が降っていたため、目撃者はほぼいなかったとされている。行員たちは「警察官が爆弾からクルマをさけてくれた」と思い、見送ってしまった。実際には煙はただの発煙筒で、バイクも盗難車であった。

現金輸送車が乗り捨てられていた場所

次の地点へ。国分寺史跡・七重塔跡ちかくの本多家墓地の横が、現金輸送車(セドリック)が乗り捨てられていた場所である。現在はひらけた空間となっているが、当時は草木が生い茂っていた。

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奥には七重塔跡がある。犯人を見ていたのだろうか。ここで犯人はあらかじめ用意してあった2台目のカローラ(紺色)にジュラルミンケースを詰め替え、次の場所へ逃走する。

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当時の写真を見ると現金輸送車の手前にはゴミが写っていた。当時ここはゴミ捨て場になっていたと思われる。

乗り捨て現場の横にある墓地は現在も残っていた。

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警察は「乗り捨て」で逃走することを想定していなかったため、捜査が遅れたと言われている。なお、ジュラルミンケースに鍵はかかっていなかった。当時の現金管理のずさんさが伺える。

狭い道を抜けて団地へ

次に小金井市本町の団地駐車場へ向かう。乗り換えたカローラが乗り捨てられていた場所である。残念ながら団地サイドの許可がおりなかったため、タクシー内から撮影。フェンスの向こう側に駐車場がある。 

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駐車場の一番奥に、犯人が乗り捨てた2台目のカローラがあった。シートカバーで覆われていたため、発見されるまでに4か月もかかってしまった。

トランクからは「空のジュラルミンケース」が発見された。犯人はさらに別のクルマに乗り換えて逃亡したが、ここからの足取りはつかめていない。ちなみに奪われた三億円は保険により補てんされ、従業員のボーナスは遅れて支給された。

容疑者の人生を狂わせる事件

三億円事件の犯人については、複数の容疑者が浮上した。もっとも有名なのが「少年S」だ。立川の不良グループの一人で、過去に窃盗や爆弾騒ぎを起こしている。父親が白バイ隊の警察官で、家庭内暴力(今でいうDV)を受けており、その恨みで犯行に及んだのではないかと推測された。Sは事件の5日後に自殺。しかし、その後の捜査検証で警察は少年Sを「シロ」と断定した。

S以外にも自殺者が出ている。別の容疑者として浮上した「府中市の運転手」だ。地理に詳しいこと、またタイプライターを使う能力を持っていたことなどから疑われ、一旦逮捕された。後にアリバイが証明され、完全なシロとして釈放。しかし、その後もマスコミに疑われる。仕事はクビ、個人情報を暴露されるなど悩まされ続け、2008年に自殺した。

遺留品のバイクはヤマハで、白バイのように作り変えられていた「改造バイク」。しかし、当時警察で使われていたバイクはホンダのみで、ヤマハの白バイは存在しなかった。書類箱もクッキー缶を利用するなど、素人でもできるお粗末な改造であった。

ツアーは再度事件現場に戻る。すると突然、後方から「白バイ」があらわれ、停止するように指示された!

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これはもちろん、今回のツアーの演出。最後にスタッフの方と記念撮影。バイクは三和交通さんによる「手作り白バイ」だそうだ。犯人さながらの演出がニクい。

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今回の「三億円事件ツアー」は受付を開始するとすぐに予約が埋まり、抽選となってしまった日もあったそうだ。案内役の中川さんは「年配の方が多いのでは? と思っていたのですが、参加者は20代の若い人中心。事件の時にはまだ生まれていないので、ちょっと意外でしたね」と話していた。

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捜査本部が置かれていた小金井警察所跡も通る。現在は使用されていない。

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筆者も生まれる前の出来事であり、あまり詳しくは知らなかったのだが、これほど謎の多い犯罪だったとは。事件を題材とした小説・ドラマ・映画等が数多く制作されているが、それもうなずける。

極めてミステリアスな「三億円事件」。今後も永く語り継がれていくに違いない、と思わせるツアーだった。

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(村中貴士/イベニア)

※ツアー内容については、あくまで三和交通独自の見解となります。

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