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新生bonobosが5人で鳴らすバンドアンサンブル 『23区』ツアーファイナル公演レポート

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/11/17 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 昨年6月、辻凡人(Dr.)が脱退し、オリジナルメンバーが蔡忠浩(Vo./Gt.)、森本夏子(Ba.)の2人のみとなってしまったbonobos。以前からサポートを務めていた田中佑司(Key.)、小池龍平(Gt.)、bonobosと親交のあった梅本浩亘(Dr.)を正式にメンバーとして迎え、新たな編成で始動した。新生bonobos初のアルバムとなる『23区』は、蔡が「今のメンバーを紹介する意味も込めて、デビューアルバムを作るくらいの気持ちで取り組む」(http://www.cinra.net/interview/201609-bonobos)と語るように、新メンバーの音楽的バックボーンが随所に滲み出た、これまで以上に「黒さ」を感じさせる作品に仕上がっている。そして、『23区』のリリースツアー『ハチャメチャ☆くる〜じんぐ!』のファイナル公演が、10月30日、恵比寿LIQUIDROOMにて行なわれた。  蔡を除く4人がステージに現れ、導入としてアルバム唯一のインスト曲「Paper(jam)」が披露される。曲の途中に蔡がステージ脇から登場すると、間を置かずに始まったのはバンドの代表曲「THANK YOU FOR THE MUSIC」。現在の編成になったことで、同曲はリアレンジされたバージョンで演奏されており、より洗練された印象を受ける。梅本のファンク、小池のジャズ、田中のネオソウル・ヒップホップと、新メンバーがバンドに持ち込んだエッセンスははっきりとサウンドに現れており、このリアレンジがバンドを『23区』の音楽性に導いたのだろう。ここでの小池の流麗なギターソロはこの日のベストシーンとも言えるほどの素晴らしさだった。  メンバー紹介を挟んで、複雑なリズムが展開される「葡萄の森」「うつくしいひとたち」とアルバム収録曲を聴かせる。レコーディング時にはライブでの再現性を考えていなかったという今作だが、その象徴とも言える複雑な曲構成を持った「東京気象組曲」「Hello innocence」は、生演奏を聴くと音源からは感じられない緊張感がひしひしと伝わってくる。「Hello innocence」は音源では打ち込みが使用されているが、ライブでは全て人力で演奏されており、スネアに深くディレイが掛けられドリーミーな空間が生み出されるなど音響的なアプローチも見られ、ライブならではのアレンジを楽しむことができた。  そして、前作『HYPER FOLK』収録のローテンポバラード「三月のプリズム」を蔡が歌い上げる。新たなメンバーを迎えたことにより、蔡のボーカリストとしての意識も、これまで以上に高まっているように感じられた。歌声は力強く、バックのグルーヴを乗りこなしている。続いてアルバムのハイライトともいえる、リードトラック「Cruisin’ Cruisin’」のイントロが流れ始めると、会場の盛り上がりは最高潮に達した。その後に披露されたもう一つのリードトラック「23区」も、新生bonobosを象徴する黒いバンドサウンドで、いわゆる現在のシティポップ・シーンとの共鳴も感じられる出来だ。この2曲が新たなリスナーを獲得し、今後ライブでの定番曲となることは間違いないだろう。  アンコールを受け、再びメンバーがステージに登場すると、キーボードの伴奏のみで蔡が歌う「メトロポリタン・ララバイ」を聴かせ、「あなたは太陽」「GOLD」とライブの定番曲を続けて演奏。現在の編成になってから、過去作もサウンドがはっきりし、これまでとは違った色が出ているように思える。  MCでは「今年はいい録音が出来た。来年も頑張りましょう。早めに新しい作品作ろうか」と次作への意欲を見せた。大編成でのチェンバーポップを実践していた近年から、5人でのバンドサウンドを追求し始めたbonobos。次々と音楽性を変化させながら進化し続ける彼らが、今後どのような方向に向かっていくのか、目が離せない。(渡邊魁)

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