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日本で再起を図るMotorola――「Moto Z」や「Moto Mods」の反響は「極めて良かった」

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/12/11
日本で再起を図るMotorola――「Moto Z」や「Moto Mods」の反響は「極めて良かった」: フラグシップモデルの「Moto Z」 © ITmedia Mobile 提供 フラグシップモデルの「Moto Z」

 急成長するMVNO市場を狙い、メーカーもSIMロックフリー端末を続々と発売している。この市場はASUS、Huawei、FREETELが3強だが、市場の拡大に伴い、メーカー数も徐々に増えている。Lenovo傘下のMotorolaもその1社だ。Motorolaは携帯電話メーカーとしては老舗で、携帯電話=音声電話機だったころから端末の開発を続けてきた。

 その後、スマホ時代になり、端末事業はGoogleに買収され、紆余曲折をへたのち、Lenovoに買収されることになる。現在は、Lenovoの一事業という位置付けで、同社はLenovoとMotorolaという2つのブランドを、市場の特性に応じて使い分けている。

 日本では、かつてKDDIやソフトバンクにスマートフォンを納入した実績のあるMotorolaだったが、その後しばらくは“空白期間”が続いていた。Googleブランドで発売した「Nexus 6」はあったものの、Motorolaブランドの端末は市場から姿を消してしまっていた。その間にMVNOが台頭し、SIMロックフリースマホとしてメーカーが独自に店頭に並べるビジネスモデルが、徐々に定着して始めていた。Motorola自身も、「Moto G(第3世代)」や「Moto X Play」など、ミッドレンジのスマートフォンを小規模ながら展開していた。

 そして、そのMotorolaが満を持して投入したのが「Moto G4 Plus」だ。このモデルは、LTEと3GのデュアルSIM、デュアルスタンバイ(DSDS)に対応しており、2社のSIMカードを同時に利用できることが話題を集めた。さらに、10月にはフラグシップモデルとなる「Moto Z」や、その派生機である「Moto Z Play」を投入。日本市場で再起を図るべく、ラインアップの幅を上に広げてきた。

 Motorolaはどのような戦略で日本市場攻略に取り組んでいくのか。Motorola Mobility のダニー・アダモポーロス社長に、お話をうかがった。

●総務省のガイドラインが追い風に

――(聞き手、石野純也) 最初に、このタイミングでSIMフリー市場に本腰を入れ始めた理由を教えてください。

アダモポーロス氏 日本はオペレーター(キャリア)中心のマーケットで、Motorolaは、auやソフトバンクに端末を提供してきました。ただ、今年(2016年)に入って政府がマーケットに介入を始め(実質0円禁止のガイドラインのこと)、SIMフリー端末のマーケットがオープンになりました。これは、Lenovoから見るとチャンスで、1つのきっかけになっています。

 SIMフリーの製品は以前からありましたが、オペレーターはそれを必要としていませんでした。オペレーターのニーズに合っていなかったからです。そこに規制がかかったことで、SIMフリーがコンシューマーのスイートスポットにはまる製品になりました。バリューセグメントの製品を探していたユーザーには、またとない機会だったでしょう。

―― ガイドライン以前もMoto GやMoto X Playを出されていましたが、ガイドラインは追い風になったと見ていますか。

アダモポーロス氏 はい。実際に売上は右肩上がりで、減速の兆しも見えません。インパクトとしては、プラスのものがありました。これが政治的に正しいのかどうかはひとまず置いておきますが、分かっていることとしては、私どもの製品を買っていただいたユーザーの半分が、フィーチャーフォンからの乗り換えだったということです。

 残り半分は、これまでスマートフォンを使っていたユーザーですね。スマートフォンが高すぎて買えないというユーザーが、日本の方針が変わり、ローコストであればということで、SIMフリーを使うようになってきているのは確かです。

●Moto G4 PlusはAndroid 7.0でVoLTEに対応へ

―― Moto GやMoto X Playもそれ以前に出されていましたが、本格展開はMoto G4 Plusからという理解でよろしいでしょうか。

アダモポーロス氏 そうですね。ただ、それ以前から、BIGLOBEや楽天、NTTレゾナントとのディスカッションは始めていて、MVNOとの協業は大成功でした。次のステップとして、パートナー側からデュアルSIMのサポートもしてほしいという要望があり、これに対応したのがMoto G4 Plusです。デュアルSIMであれば、通常のキャリア(ドコモなどのMNO)にMVNOのSIMカードをプラスして使えます。データSIMだけをMVNOにするという形で使えるのです。

―― デュアルSIMサポートはMVNOの声を受けてということですね。

アダモポーロス氏 ただし、何よりもまずはコンシューマーファーストで考えています。最終的に端末を買うのはユーザーですからね。ユーザーが何を求めているのかは、常に注視したいと考えています。

 MVNOからの意見としては、ユーザーが自分のニーズを満たすために、2台も3台も端末を持たなければいけないのは本末転倒だという話があり、カスタマーからの要望が以前からあったことも認識したうえで、Moto G4 Plusを発売しました。

 ちなみに、Moto G4 Plusは、Nougat(Android 7.0)のアップデートで、VoLTEをサポートすることも検討しています。KDDI回線を使ったSIMカードのサポートもできるようにしていきます。

―― VoLTE対応はユーザーにとってもうれしいですね。Moto G4 Plusは、どのくらい売れたのでしょうか。

アダモポーロス氏 台数は言えませんが、8週、9週とランキングでナンバー1(価格.comの人気ランキング)を取ることができました。これは、当然の結果だと思っています。バリュープロダクトを、お得だと思える価格で出せた。それをユーザーに評価していただけた、ある意味当然の帰結です。

―― 日本市場で、シェアをどのくらいまで広げていきたいのでしょうか。目標をお聞かせください。

アダモポーロス氏 近い将来、グローバルでナンバー3になることを目指しているのが、Lenovoの戦略です。日本のマーケットにおいては、ポジションをもっと高めたい。何より、カスタマーにベストバリューなエクスペリエンスを提供したいと考えています。ですから、今、何位、何台という数字は申し上げられません。ブランドを再構築して、1年、1年半ぐらいかけ、MVNO、SIMフリー、大手キャリアへと進み、プレゼンスを高めていく戦略を持っています。

●日本ではカメラのMoto Modsが売れている

―― 次に、Moto Z、Moto Z Playに関して教えてください。反響はいかがでしたか。

アダモポーロス氏 マーケットの反響は、極めてよかったですね。「Moto Mods」(Moto Zシリーズに取り付けられる、機能拡張モジュール)を非常によく理解し、受け入れていただけました。ただ、最近はうれしい悲鳴で、需要が高すぎ、供給が追い付かない状況です。これは日本のマーケットに限らず、グローバル全体で見られる傾向です。Modsに関しては、マーケットの食いつきが非常によかった。私どもにとっても、ある意味で驚きでした。

 Modsについては、マーケットによって要望が異なります。例えば、北米や欧州では、バッテリー(Incipio offGRID Power Pack)を購入する人が80%です。

―― それは高いですね。もともと大容量バッテリーを搭載しているMoto Z Playだと、相当な駆動時間になるのでは。

アダモポーロス氏 もともとバッテリー寿命は45時間と長いのですが、これ(Moto Modsのバッテリー)を付けると、その倍の70時間になります。スマートフォンで3日間電池が持つというのは、考えられないかもしれないですね。

 マーケットによって異なっているという点では、インドやオーストラリアはスピーカーが人気で、バッテリーより売れ行きがいい。そして日本は――。やはりカメラ(Hasselblad True Zoom Camera)です。世界の中で、最もカメラを購入するパーセンテージが高い。

 これによって、マーケットごとに、Modsの人気が大きく違うということがあらためて分かりました。Modsの持つ魅力を再認識しました。これは、逆にスマートフォンメーカーが抱える課題も浮き彫りにしています。それは、1つのモデルで、全ての人のリクエストを満たすのは不可能だということです。お客さまによっては、バッテリーが重要だという人もいれば、カメラの画質が何よりも気になる人もいる。それを1つのモデルで満たすのは不可能だと分かりました。

 Modsプログラムは継続して拡大していきます。間もなく3つの新しいModsを発表する予定です。クリスマスの前にするか、クリスマスにぶつけるかは検討中ですが、今後、数週間で出すことは確かで、今後も出し続けていきます。また、日本も含め、パートナーの裾野は拡大していきたいですね。そのために、「Moto Mods Developer Kit」も用意しています。

●FeliCaやフルセグのModsも登場する?

アダモポーロス氏 ユニークな、日本ならではのコンセプトも議論しています。1つのアイデアですが、FeliCaをアタッチできたり、フルセグのテレビだったり、放射線の線量が検出できるようなModsもあるかもしれません。これらを端末に埋め込むのはかなり複雑ですが、Modsであれば、それを悩むことなくでき、シンプルに開発できます。数年前にソフトバンクが放射線を測定できる端末を出しましたが、それを付けると端末代が上がってしまい、結果としてあまり売れませんでした。こういうものも、Modsにはうってつけだと考えています。

―― FeliCaはいいですね。SIMフリー端末には、まだおサイフケータイ対応の機種が少ないですし。

アダモポーロス氏 それが、まさにModsの魅力です。研究開発を専業としている企業でなくても、アイデアがあれば商品を開発できる。Modsコミュニティーの中でも、いろいろな人をつなげることができます。こういう製品を作りたいが実装テクノロジーを持っていない企業もあれば、ハードウェア開発は素晴らしい一方でニーズが分からない企業もあります。そういうところが出会えば、もっと素晴らしいModsが生まれるのではないでしょうか。

―― Modsは高いものだと3万円を超えてしまいますが、ユーザーとしては継続性が気になるところです。

アダモポーロス氏 Modsのプラットフォームは、下位、上位に互換性を持たせています。2017年に出る端末も互換性を持ちますし、プレミアムからメインストリームまで、サポートの幅も広がっていきます。

―― ローカライズに役立つということですが、逆に、日本生まれのModsを世界に展開することも可能でしょうか。

アダモポーロス氏 今はまだ取り組みを始めたばかりで、日本のニーズを満たすことを考えていますが、そういうことにもオープンです。

―― 例えば、Motorolaはブラジルでのシェアが高かったと思います。一国だけではペイしないかもしれませんが、そういった国に流通させられれば、Modsの開発に参入しやすいのではないでしょうか。

アダモポーロス氏 ブラジルでは20%のシェアを超えていて、インドやブラジルではシェア2位を取っています。フルセグなら、ブラジルでも使えますからね。オープンスタンダードな製品はそういうことができるので、チャンスは生かしていただきたいですし、私どももフルにサポートしていきたいと考えています。

●販路の開拓も行う

―― 販路に関してはいかがでしょうか。量販店などの店頭を見ると、まだMotorolaの存在感がそこまで大きくない印象も受けます。

アダモポーロス氏 ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラなど、大手の販路はありますが、まだフルにカバーできないのは事実です。ですから戦略には、販路の開拓も据えています。全国展開できているわけではありませんが、Modsに関しては専用の器具を作り、量販店に置くようにしました。そこでは、端末とModsを置き、ユーザーがそれを試せるような展示をしています。ビックカメラの店頭にはすでにそういうものが設けられていて、これは今後広げていきます。

 また、店舗によっては横断幕のようなバナーも目立つところに置くことを計画しています。成長戦略は持っていますが、店舗スペースの拡大と合わせてですね。(店舗内の広告は)ほかのベンダーがお金を払っているので、それが終わるのを待たなければならないですから(笑)。

―― MVNOとより密接に連携して、例えばHuaweiのように1社に独占提供するという可能性はありますか。

アダモポーロス氏 パートナーとの協議は常に続けています。特別モデルの要望も受けてはいるので、可能性の中に入れて検討しています。

●取材を終えて:DSDSやMoto Modsで新しい風を感じた

 DSDSのデュアルSIMを他社に先駆けて送り出したり、Moto Modsでスマートフォンの新たな可能性を模索したりと、Motorolaは成熟期を迎えつつあるスマートフォンの市場に、新たな風を吹き込んでいる。インタビューからは、コスト以上に、他社にはない付加価値を求めていることが伝わってきた。FeliCaやフルセグなどのローカライズをMoto Modsによって実現するというアイデアも面白く、実現するのが今から楽しみだ。

 SIMロックフリー市場全体を見渡すと、端末の幅がミッドレンジから上の方向に広がりつつある。価格の高いプレミアムモデルでは、製品ごとの特徴や個性がより重要になってくるはずだ。ここにフィットした製品をタイムリーかつコンスタントに投入できれば、Motorolaがシェア上位に浮上するチャンスは出てくるだろう。SIMロックフリーで人気を高め、キャリア向けの端末を本格展開する可能性もありそうだ。

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