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日本の中古iPhoneが海外へ転売されている? 実態を見てきた

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/04/05
日本の中古iPhoneが海外へ転売されている? 実態を見てきた: 深センの電脳街を訪れた © ITmedia Mobile 提供 深センの電脳街を訪れた

 はじめまして、中古携帯事業を展開する「携帯市場」の粟津浜一と申します。ここ最近、日本で盛り上がりつつある中古携帯の市場について、事業者だからこそ分かる視点で、コラムを書いていきたいと思います。初回は「iPhoneの海外転売」についてです。

 2012年9月にソフトバンクが開始した中古携帯電話の下取り。その後、ドコモとauが続きました。下取り対象機種は、iPhone、Andoridスマートフォン、タブレット、さらにはガラケーまで広がりました。

 このような下取りに関して、まことしやかにウワサされていることがあります。それは、「下取りしたiPhoneが海外に流れているのではないか?」です。このウワサを検証するため(日本版のiPhoneを見つけるため)に、世界最大の中古携帯電話流通のハブといわれる、香港と深センに潜入取材してきました(取材日:2017年3月上旬)。

●香港では日本のiPhoneは見つからず

 最初に訪れたのが、香港の中古スマホの聖地といわれる旺角(モンコック)の先達広場。地下鉄旺角駅D2出口を出て徒歩数分で到着しました。

 多くのお店でiPhoneの取り扱いがあるものの、香港のSIMロックフリーモデルばかりでした。ちなみに、香港の店舗は開店時間が遅く、14時から15時。午前中はシャッター街なので、行かれる方はお気を付けください。

 旺角では約50店舗を回り、「日本版のiPhoneはないですか?」と聞き続けるも、見つかりませんでした。理由は以下の通りです。

・日本版はSIMロック解除料金がプラスされるので、香港版や米国版に比べて価格が高い

・日本版はカメラのシャッター音を設定で消音にできず、敬遠される

・香港人は香港版が好き

 どこのお店に行っても同じことを言われました。

 続いて、古い電気街の深水ホへ向かいました。深水ホは、若者やおしゃれな店が多い旺角の雰囲気とは180度異なり、シニア層が多い町です。お店は露店メインの歩行者天国で道の両サイドだけでなく、中央にも店が並んでいます。

 自分の好きな携帯電話番号を選べるSIMカードを販売しているお店もあり、まるでチケット屋さんのようです。日本では同じ数字が続くぞろ目や、語呂の良い番号、「7」「3」という数字が人気ですが、香港では「8」が縁起の良い番号のようです。

 旺角よりもiPhoneの販売展示数は多かったですが、日本版iPhoneは見つかりませんでした。

 結局、香港滞在中に100店舗以上を訪れ、1万代以上のiPhoneを確認しましたが、日本のモデルは1台も見つかりませんでした。

●深センで発見!

 気を取り直して、中国の深センへ。深センといえば、電脳街の華強北路(ファーチャンペー)。筆者はここに何回も視察に行っていますが、再整備されてとてもきれいになっていて、マーケットは華強南路まで広がっていました。

 建物に入ると、2〜3坪の店舗がずらり。ショーケースの中に携帯を陳列して、まるでアクセサリー販売のような売り方でした。

 店舗スタッフは10代がほとんどで、学校に通わずに店主として商売をしているのが当たり前のようです。店舗でご飯を食べたりゲームをしたり、日本では考えられない接客スタンスでした。また、日本では見たことのない偽物の携帯電話も販売されていました。色が変色していますが、機動戦士ガンダムの百式色でした。

 足がパンパンになりながら日本版iPhoneを探し回ると、ついに見つけました! しかも思った以上の量でした。

 モデルが「J/A」になっているのが、日本版の証拠です。下記写真の端末は、IMEIから検索するとドコモ版であることが分かりました。

 こちらの端末にはしっかりと「ソフトバンク」と表示されています。

 深センでは1000以上の店舗を回り、推定台数150万台のiPhoneを見つけました、そのうち日本版と表記があり、店員に確認したのが30万〜40万台。予想以上に多く驚きました。しかも、販売されていた日本版iPhoneは全てSIMロックが解除されていました。本体の状態がいいものと悪いもの、液晶が割れている機種もありました。

●どこでSIMロックを解除したのか?

 気になるのが、深センで売られていた日本のiPhoneが、どこでSIMロックを解除されたのか? という点です。SIMロック解除は、日本国内の正規ルートのキャリアショップでしかできません。それも、auを除いて契約者本人しかSIMロック解除できないため、中古事業者が行うのは難しいのが実情です。

 それを踏まえると、SIMロックが解除されたiPhoneの深センへの流入ルートは、以下の2つが考えられます。

1. キャリアまたは関連業者がSIMロック解除後、香港経由で深センへ

2. SIMロックiPhoneを日本から香港へ輸出、香港または深センでSIMロックを解除する

 ロック解除の価格をヒアリングしたところ、最も安いものは約6000円で、作業時間は2日です。これはかなりの金額です。ロック解除手法はかなり怪しいものでした。

 香港、深センの店舗からの回答の傾向として、2の方法ではSIMロック解除をやりたがりません。SIMロックの掛かった日本版iPhoneを仕入れて自分でロックを解除するより、最初からSIMロックフリーの香港版や米国版などの方が作業時間とコストが掛からないし、手離れがいいからです。

 華強北路で発見した30万〜40万台の日本版iPhone。この台数が売れ残り累積でたまった数なのか、通常の流通数なのかを確認しましたが、どこも答えてもらえませんでした。また、これらの端末がキャリアの下取りによるものなのかどうかも、今回の調査では分かりませんでした。

●なぜ中古iPhoneを海外に転売するのか

 転売元がどこかは置いておいて、なぜ中古iPhoneを海外へ転売するのか、疑問に思われる方もいると思います。

 中古事業者の視点から言うと、

A.海外の相場が国内相場より高いから

B.海外じゃないと大量数がさばけないから

C.ネットワーク利用制限がかかりそう、またはかかった機種だから

 この3つが考えられます。

 Aの場合、

・為替レート

・関税

・輸送料

・SIMロック料

 を加味して、国内相場より高いかどうかの判断になります。SIMロック解除された日本版iPhoneの販売価格を調べましたが、今回は、上記4点を加味しても国内相場より高い数字は出ませんでした。

 全ての会社や店舗を回ったわけではないですし、タイミングもあるため、Aが転売の理由ではない可能性はあります。また、他の国や地域では、国内相場よりも高いところがあるかもしれません。Cは欠陥のある端末なので、香港、深センに販売を限定していると考えると、Bが主な理由になりそうです。

●海外に転売される影響

 海外に流れると、国内の消費者は恩恵を受けるのでしょうか? 筆者は現時点では、マイナス面の方が大きいと考えています。

プラス面

・ネットワーク利用制限のかかった端末が国内に流通しない

マイナス面

・国内流通される台数が限られるため、市場原理に沿って販売価格が下がりにくい

・中古端末の数が少なくなる

 総務省が「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の中で、SIMロック解除期間を見直しました。SIMロック解除が今よりもより安価かつ手軽にできるようになれば、SIMロック解除された端末がより多く流通します。そうなると、海外で転売される数がさらに増える可能性があります。

●「Xperia Z3 SO-01G」も香港で発見

 今回、中古iPhoneのゆくえと同時に、日本メーカーのスマホが流通しているかも探したところ、ドコモの「Xperia Z3 SO-01G」を香港の深水ホで発見しました。

 売られていた端末は、SIMロックが解除されていました。どこから入手したのかと店長に聞くと、「香港で働いている日本人から買ったけど、全然売れないから困っている」とけげんそうな表情で答えました。なぜ買ったのかと聞くと、「SIMフリーと言われたから」とのこと。国内メーカーのスマートフォンも、SIMロック端末は敬遠されることが分かった瞬間でした。

※初出時に、「SO-01Gは、日本ではキャリアの手続きではSIMロックを解除できない」との記述がありましたが、誤りでした。おわびして訂正いたします(4/5 23:00)。

●著者プロフィール

粟津浜一

株式会社携帯市場 代表取締役

 1979年岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。その後ブラザー工業にて、さまざまな研究開発業務に従事。2009年株式会社アワーズ設立、社長に就任。2017年株式会社携帯市場に社名変更。中古携帯を日本中に文化として広めることをビジョンとして、中古携帯市場動向セミナー、事業説明セミナーを行い、これまでに1000以上の店舗に中古携帯事業を展開、コンサルティングを行っている。

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