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時間の使い方を可視化し、AIがアドバイス 「MyAnalytics」は働き方をどう変える?

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/02/24
時間の使い方を可視化し、AIがアドバイス 「MyAnalytics」は働き方をどう変える?: 日本マイクロソフト Officeマーケティング本部の輪島文氏 © ITmedia エンタープライズ 提供 日本マイクロソフト Officeマーケティング本部の輪島文氏

 政府が提唱する働き方改革に呼応するように、ワークスタイル改革に着手する企業が増えている。しかし、単に残業禁止や週休3日制といった制度を導入したり、2月24日に初回を迎えたプレミアムフライデーを奨励したりしても、業務の効率化を考えずに働く時間だけを短くするだけでは仕事を残したまま帰宅したり、自宅で作業をするためにこっそり仕事のデータを持ち帰ったりといったことになりかねない。その結果、仕事に遅れが生じてビジネスの成長に歯止めをかけたり、情報漏えいによるセキュリティリスクが高まったりするのでは本末転倒だ。

 「生産性の向上に目を向けることなく単に労働時間だけを減らしても、ビジネスの成長を伴った働き方改革は実現できない。無駄な作業時間をITの力で削減し、本質的な仕事に時間を使うことが働き方改革の第一歩につながる」(日本マイクロソフト Officeマーケティング本部・輪島文氏)――。これが長年、働き方改革に取り組んできた日本マイクロソフトの考えだ。

 そんな同社が提案するのが、「Office 365」の1機能として提供する「Microsoft MyAnalytics」を活用した働き方改革。MyAnalyticsは、自分がいつ、誰と、どれくらいの時間を会議やメールに費やしたかを可視化し、分析するツールだ。

 Office 365のメールボックスと予定表の情報を基に、社員それぞれのメールの送受信数や会議の時間などのデータを収集し、その数値をダッシュボード上に表やグラフを使って表示する。これを見れば、「どのメンバーと何時間、どんなテーマで会議をしたのか」「誰と何通メールをやりとりしたのか、開封率は何パーセントで返事をするまでにどれくらいの時間がかかったのか」といったことが分かる。

 こうした傾向を把握することで共同作業の時間を把握したり、作業に優先順位を付けて時間をより効率的に使ったりできるようになると輪島氏。毎週の目標を設定すれば、時系列で進捗状況を測定することも可能だ。

 「メールの内容や予定の詳細を他の人に知られてしまうのではないか」と不安に思う人もいるだろうが、メール本文や予定表の詳細は収集しないので心配は無用だ。

 ダッシュボードに表示されるデータは、最もメールで連絡を取り合った相手や会議やメールで共同作業していない同僚、メールの送信と閲覧に使った推定時間を会社の平均時間と比較した数値、個人目標と比較した数値など多岐にわたる。

 メールの推定時間は、送信メールを1通当たり5分、閲覧メールは1通当たり2.5分の作業時間で換算。ノートPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、利用している全てのデバイスから情報を収集して時間を算定しているという。

 さらに、送受信メールの既読率や、自分が送ったメールに相手が返信するまでにかかった時間と、自分が他のユーザーに返信するまでにかかった時間までも可視化する。

 ほかにも、残業時間や、2時間以上集中して仕事をした時間などを自動で集計。会議もテーマや参加者、時間から分析を行えるので、ムダな会議が行われていないかどうかをチェックできる。

 会議中に多重タスク(いわゆる内職)をしていた回数まで分かるのも面白い。ちなみに多重タスクの判断は、会議中に送信したメールの数が1時間あたり2通を超えているか、読んだメールの数が1時間あたり4通を超えている場合に下される。

 輪島氏によれば、MyAnalyticsから得られた気付きが生産性の向上につながるという。「会議中に内職をするのは、自らに発言権がなかったり、議決権がない場合が多い。ダッシュボードを見れば、出席しなくてもいい会議に出ていることに気付いたり、会議を行わずにメールを通じた情報共有で済ませた方が効果的なことが分かったりするので、対策すれば時間を効率よく使えるようになる。また、時間をかけて送ったメールが読まれていないのであれば、内容を精査したり、対面の会議やビデオ会議に切り替えたりする、というように働き方を変えられる」(輪島氏)

 オフィスワーカーの1週間の仕事のうち、約3割がメール関連の作業といわれており、この作業を効率化することが生産性の向上に直結する。同社 Officeマーケティング本部の冨士野光則氏は、「日本マイクロソフトでは、会議の時間を減らしてアイデアを創出する時間に充てたり、コミュニケーションを強化したりといった変化が起きている。また、日本マイクロソフトで定例となっている上司と部下の1対1の面談にも、MyAnalyticsのデータから得た気付きが生かされている」と話す。

 同氏はまた、フォーチュン500の企業でMyAnalyticsの個人用ダッシュボードを利用したユーザーは、メールと会議に費やす時間を週に2時間削減できたといい、「1カ月あたりに換算すると8000時間の節約ができたということ。これは従業員50人の増員に匹敵するものであり、月に1営業日が増加するのに相当する」(冨士野氏)と、効果のほどに自信を見せた。

●AIの指摘で働き方改革がステップアップ

 MyAnalyticsは、AIを活用して社員に気付きを与えることも可能だ。

 例えば、自らが残業時間中に発信したメールが、受信者に対して、多くの残業を強いる結果になっていることをAIが指摘。「緊急性がないメッセージは翌朝まで保存しておきましょう」と指示する。また、会議のデータをもとに、同じ部門の特定の人と3割以上の会議に重複して出席している場合はそれを指摘し、「分担することで両方の予定表に余裕ができます」と提案する――といった具合だ。

 日本マイクロソフトはMyAnalyticsのAI機能を強化する方針で、2017年春のアップデートでグループ分析への対応を計画している。具体的には、チーム単位での時間の使い方とコラボレーション状況を可視化するグループ分析機能を追加する予定だ。また、2017年夏には、有償の早期導入特別プログラムにおいて、事業優先順位に沿ったカスタマイズレポートの作成による詳細分析を行う機能を提供。これを「Workplace Analytics」とし、CRMや人事システムと連携させることで、組織を横断した分析をさまざまな視点から行えるようにするという。

 同社コーポレートコミュニケーション本部の岡部一志本部長は、「今回のMyAnalyticsの採用をきっかけに、働き方改革を次のステップに進化させることになる。働き方改革の第2章が始まる」と意気込む。

 同社では、2011年2月の本社移転を機に、フレキシブルワークスタイルを導入。フリーアドレス制の導入に加え、モバイルワークや在宅勤務に対応すべく、制度面やシステム面の刷新を行った。

 2012年にはテレワークの日を設定し、全社員が本社に出社せずに、在宅勤務やリモートワークをする取り組みを行った。2014年からはテレワーク週間として、他社を巻き込んだテレワーク推進に取り組んでいる。テレワーク週間は毎年の恒例行事となり、2016年には833社の企業が賛同企業として参加するまでの規模に拡大した。

 岡部氏は、「働き方改革は、AIによる気付きを生かして仕事の質を向上させる第2章に入った」と説明。社員の健康管理や長時間労働の抑制、会議の効率化を目指し、そこに最新技術を活用していくという。これには、MyAnalyticsの採用だけでなく、業務に適した資料やコラボ相手をレコメンドする“知の共有のためのツール”「Office Delve」の活用や、会議室へのスタンディングデスクの導入、Surface Hubの活用なども含まれるという。

 Office 365は、単なるWordやExcelのクラウド版だと思われがちだが、実は自分自身の働き方を見直し、働き方を変えるヒントを与えてくれる機能を備えているのだ。

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