古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

本格セキュリティ家電に“まさか”の技術

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/01/23
本格セキュリティ家電に“まさか”の技術: ウイルスバスター for Home Network © ITmedia エンタープライズ 提供 ウイルスバスター for Home Network

 2016年12月、ちょっと面白い「IT機器」が登場しました。セキュリティベンダーのトレンドマイクロが発売した“家全体を守る”セキュリティデバイス、「ウイルスバスター for Home Network」です。

 これは、自宅のルーターにイーサネット(有線LAN)ケーブルでつなぐだけで、ネットの脅威から家族のスマホやタブレット、デジタル家電を守れるというセキュリティデバイス。最近はゲーム機やNAS、セットトップボックスなど、ネットにつながるさまざまな機器が登場しており、ここに攻撃を仕掛けてくるケースも出始めています。こうした脅威からネット家電を守ろうという製品なのです。

 ちょっとITに詳しい人なら、「ファイアウォール」「IPS」「ディープパケットインスペクション」そして「ペアレンタルコントロール」が1台でできる――というと、理解しやすいかもしれません。「とうとう、こんな機能までが家電向けにも提供されるようになったのか!」と驚いた私は、発売日に自腹で購入。実際に使ってみると、なかなか面白い製品であることが分かりました。

●“家族を襲う脅威”を見える化

 このデバイスの特徴としては、「脅威を可視化できる」ことが挙げられます。自宅でインターネットを使っているときに、何らかの脅威――例えば、問題のあるアプリの利用やダウンロード、Webサイトに仕込まれた攻撃コード、フィッシングサイトへの誘導など――を見つけたときに、管理者のスマホにプッシュ通知を送り、その内容を表示します。

 1カ月ほど利用してみると、攻撃が意外と身近なところで起こっていることが分かって驚きました。表面上は何も起きていないように見えますが、1週間に1回以上は、“脅威とされるもの”が見つかっているのです。あまり見に行かないような海外のWebページを見ると、警告がポンポンと届くようになるのは興味深い光景でした。

 2017年1月下旬の時点では、まだ発売したばかりということもあって、たまに詳細が表示されない場合もありました。そして、「どのURLを開いたときに、どの部分に脅威が存在したのか」までは表示されないようです。もう少し情報が具体的だといいのですが、これまで見えなかったものが見えるだけでも、かなりセキュリティ意識が変わってくるのではないかと思います。

 ゲーム機なども含め「利用者」と「デバイス」の関係を把握するための機能も用意されています。例えば、子どもが使う端末のインターネット利用を19時までに制限したり、家庭のネットワークに接続したとき管理者にプッシュ通知したりすることが可能。これを活用すると、子どもが自宅に帰ってきたことがスマホに通知されるので安心できるでしょう。

●「家庭内デバイスのチェック」も定期的にしてくれる

 注目すべき点はもう1つあります。毎日、家庭内の各デバイスに対してセキュリティチェックをする機能です。これを実行すると、家庭内の機器に安易なパスワードが設定されていないか、不正な通信を受け取ってしまうような設定になっていないかを確認してくれます。

 これは主に、ルーターが対象になるでしょう。ルーターはインターネットからの攻撃を防ぐ役割があるものの、内側からの攻撃はあまり考慮しておらず、「IDとパスワード」に頼り切っているという面があります。ルーターのID、パスワードは初期設定のものから変更し、安易ではないものを設定すべきですから、この機能は役に立つはずです。

 このデバイスのいいところは、設定がとても簡単であることです。電源ケーブルとイーサネットをつなぎ、iOSまたはAndroidアプリをインストールし、個別に設定されたコードを入力するだけで使えます。後はPCやスマホなどのデバイスとルーターとの間に入り込み、通信の中身やURLをチェックし、問題のある通信内容を通知したり、場合によっては通信を止めたりできます。既知のフィッシングサイトならば、見る前に止めることもできます。

●“まさかの仕組み”で動いている!

 しかし、このデバイスは「イーサネット1本」だけでしかつながっていません。それなのに、全通信を“のぞき見”できるのは不思議な気もしますね。実はこれ、“サイバー攻撃”と同じような方法を採っているのです。「ARPスプーフィング」と呼ばれる攻撃手法で使われている技術で、「ルーターに向けた通信内容を“ルーターになりすまして”横取りし、検査した上でルーターに送る」ということをしているのです。

 これを知って私は、「家族を守るために“攻撃の手法”が使われるのは面白い」と思うとともに、「家庭内に入り込みさえすればこういうことも簡単にできてしまうものなんだ」と驚きました。

●「家庭用ルーター」はセキュリティリッチな機能がトレンドに?

 今回紹介したデバイスは、ルーターとは切り離して単独で導入できるのも興味深いところです。多くの人は、なかなかルーターを買い換える機会もないですし、そもそもルーターをレンタルで使っている人も多いのではないかと思います。そういうところにアドオンでセキュリティ機能を追加できるのは面白いと思います。

 そして、こうした技術を実装したルーターが他社からも登場しています。次に家庭用ルーターを買い換えるときには、「いかにセキュリティ機能が充実しているか」が重要なチェックポイントになりそうです。

 「ウイルスバスター for Home Network」は2万円ほどで購入でき、翌年からは毎年6480円で利用可能です。「家族がサイバー攻撃を受けることが不安」という人は、試してみる価値がありそうです。

ITmedia エンタープライズの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon