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本格展開を開始した「LINEモバイル」 嘉戸社長が語る“ユーザー目線”の戦略

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/03/27 06:00
本格展開を開始した「LINEモバイル」 嘉戸社長が語る“ユーザー目線”の戦略: LINEモバイルの嘉戸彩乃社長 © ITmedia Mobile 提供 LINEモバイルの嘉戸彩乃社長

 2016年9月に鳴り物入りでMVNO市場に参入したLINEモバイルだが、販路がネットのみと狭く、“知る人ぞ知る存在”だった。知名度が抜群に高いLINEの新規参入で、カウントフリー機能も話題を集める一方で、「どこで買えるのか分からない」「契約しようと思っても発送の時間がかかる」といったユーザーの声があったのも事実だ。LINEモバイルにとっても、この約半年は準備期間に近い状態だった。ネットのみでスタートし、徐々にユーザーを広げつつ、反応をうかがっていたというわけだ。

 そのLINEモバイルが、3月についに本格展開を開始した。手始めに、10の家電量販店に即時開通カウンターや専用カウンターを設置。これまでネットのみだったLINEモバイルが、ついにリアルに進出した。合わせて、2017年中にユーザーとの“タッチポイント”を100以上に増やしていく方針だ。家電量販店への拡大と同時に、女優の「のん」さんを起用したテレビCMもスタートさせ、接点と同時に知名度の拡大も図る。

 サービスにも磨きをかけていく方針で、初夏には「MUSIC+」プランのカウントフリー対象を増やすことを明らかにした。同じタイミングで、未導入だった音声通話定額も開始し、万全の体制を整えていく。では、3月以降、どのような方針でLINEモバイルの運営に臨んでいくのか。LINEモバイルの嘉戸彩乃社長に戦略や今後の方針をうかがった。

●社長自ら、量販店に張り込んでヒアリング

―― まず、家電量販店に設置されたカウンターのことをうかがっていきたいと思います。オープン初日にビックカメラ有楽町店を取材しましたが、大きさには驚かされました。

嘉戸氏 リアル(店舗)をやることはずっと決まっていた状態で、いつやるのかというロードマップを半年間チェックし続けてきました。もともとLINEモバイルは、ショップ展開を見すえた企画にしていたんです。立ち上げのとき、量販店などのショップの格安SIMコーナーで、店員さんが説明しやすいものを作るのがキモでした。プランがシンプルだと言われますが、それもショップ展開を見すえたものだったんです。

 店頭にいる方は大変な思いをされています。これをもっと楽にしなければいけないという正義感もあり、お客さんがどうやってプランを決めているのかをずっとヒアリングしてきました。店頭に張って聞き続けていたので、怪しいと思われたかもしれませんが(笑)。

―― えっ。それは、ずっとカウンターの横に立ってたということですか。

嘉戸氏 はい。客としてずっと立っていました(笑)。お客さんは、何を使っているというところから入ります。LINEが中心だからこの1GBプラン、他のSNSも使うからこっちというようなことですね。それをもって、おそらくカウントフリーがウケるだろう判断しました。使い方がいくつかにパターン化されているので、○○プランという利用シーンごとのプランがいけるということですね。

 フィルタリングが無料になっているのも、(有料だと)レ点で説明するのが面倒になるからです。これも、原価的に何%までだったら許容できるのかを考えて決めてきました。

 もともと、ショップ展開は春、CMも春と決めていて、それに絶対合わせるのを目標として持っていました。最初にやるのも量販と決めていました。

―― リアル店舗が始まって2日(取材時)ですが、感触はいかがでしょう。

嘉戸氏 量販店さんも数字的に喜んでいるみたいですよ。週末のイベントも急きょ強化されたようです。量販店さんは初速を見て週末どうするのかを決めますが、場所によってはトップダウンでどんどん決まっていきます。

 展開もさまざまで、18日にオープンした梅田のヨドバシは、8坪近くあってキャラの人形とかも置いてあります。専用カウンターもあれば、キャラクターを置いた大きいところもあり、共通カウンターの中の1つということもある。ショップ展開は最初にやりやすい方法を取ろうと思っていました。ただ、さばく場所がないといけない。お客さんに来ていただかないとどうしようもないですからね。

●LINEだと軽い気持ちで質問できる

―― 100店舗に拡大してく方針ですが、この中には独自ショップも含まれるということですよね。

嘉戸氏 実は100“店舗”とは言ってないんです。あれはタッチポイントで、お客さんがLINEモバイルのことを聞ける場所があったり、契約できる場所があったりで、数タイプあります。はっきりと書けなかったのはそういうところですね。

―― サポートに特化したようなところも含まれるということでしょうか。そこでついでに契約できてもいいような気はしますが。

嘉戸氏 まだ構想段階ですが、エントリーパッケージを買っていただき、無事に開通できなかったときにサポートを受けてもらうというようなことも考えています。これはチャネルさんと話し合わなければなりませんが、タッチポイントに来ていただく流れは作らないといけない。かといって、そこに行き過ぎてもまずいということで、ネットで解決させることも重要です。「いつでもヘルプ」があるのはそのためですね。

 いつでもヘルプはLINEで聞けるもので、あれはクレーム処理ではなく、店舗の役割も持っています。何か聞けないことがあったとき、分からないことがあったときに、その場で聞けるところという位置付けです。

―― ヘルプはAIで返すものと、有人がありますが、比率はいかがですか。

嘉戸氏 AIと有人では、大体7対3ぐらいの割合になります。AIのうち半分が営業時間内、残りは営業時間外ですね。

―― 思ったより、皆さんAIだけで解決してしまうんですね。

嘉戸氏 それは、有人の方が契約者しか使えないサービスだからですね。AIはまだまだ勉強させないといけません。極端な例で言うと、のんさんのCMを流したら、AIに「CMを教えてください」という質問が来ますが、その答えがまだ決まっていない。そういう質問を1つ1つ見て、毎日答えを作っています。お客さんから質問をいただき、答えて、(役に立ったかの質問で)「いいえ」になったとき、こちらからどうしなければいけないのかの分析が始まる感じです。

―― LINEだと軽い気持ちで質問できるので、内容も多岐にわたりそうな印象があります。

嘉戸氏 本当に軽い気持ちで聞いてくるので、ビックリしました(笑)。でも、このサポートには「ありがとう」と言ってもらえるんです。「こんなことにも答えてくれる」と喜んでいただける。メール、電話より、お客さんとのノンバーバルな部分でのコミュニケーションもすごいと思いますし、見ていてすごく喜ばしいですね。

―― LINE全体として見ると、キャラクターショップの「LINE FRIENDS STORE」も運営されていますが、そこでSIMカードを売るというようなことはあるのでしょうか。

嘉戸氏 キャラクターのお客さんはキャラクター目当てで来るので、そこにSIMを置いてもいいのか? というのはあります。それは無粋なことで、お客さんのためにならない。ただ、あれを完全にやり直して、FRIENDS STOREの隣にLINEモバイルショップがあるという形だったらありかもしれません。

●LINEフリーからコミュニケーションフリーへの移行が速かった

―― サービスインから今まで、何か気づいたことはありますか。想定していなかったことなど、何かあれば教えてください。

嘉戸氏 うーん、なかなか難しい質問で、あまり思い浮かばなかったのですが、想定外だったのはLINEフリーからコミュニケーションフリーへの遷移が速かったことですね。あとは、シンプルにこだわるのはこんなに難しいんだというのはありました。1つのことをやるにも、毎回いろいろなオプションを並べて、最終的にお客さんに見せるものはこれだと決めています。Webページを作ったときの言葉の表現も、お客さんがどういうふうに手に取るかを総合的に考えて入れていますが、作りが難しい。

 例えば、MUSIC+を出すときに、LINE MUSICのチケットをバンドルで売るべきという社内の意見も多かったんです。ですが、(MUSIC+のカウントフリーは)将来的に、外部に出すものという意識がありました。そこでチケットが込みだと、他はチケットがなく、(ユーザーから見た際の最終的な)価格が違ってしまう。将来の拡張性を考えると、LINE MUSICのチケットを外すべきとして、無料チケットがもらえる仕組みは入れていますが、Google Playで決済するようにしました。シンプルにどこまでこだわるのかは難しいので、毎回挑戦ですね。

 他には、端末保証もただ出したのではなく、目にしたときにどういうふうな印象を抱いていただけるかが一番大事だと思い、名前1つもすごく考えてもらいました。(LINEモバイルでは、企画を)考えるメンバーは企画者だけでなく、マーケティングチームのメンバーに加わってもらっていて、最終的にどう打ち出すのかまで決めています。

―― シンプルにこだわっていますが、今よりプランを減らすということもあるのでしょうか。

嘉戸氏 それはないです。既存のお客さんがいるので、総合的に考えると難しいです。今入っているお客さんはLINEモバイルがよちよち歩きのころからのファンなので、その方々を裏切るようなことはできません。

 ですから、キャンペーンの設計も慎重になっています。新規ユーザー向けのキャンペーンは、どうしても既存ユーザーの損になってしまいます。毎回やるにしても、谷間に落ちるユーザー(キャンペーンとキャンペーンの間に契約してしまったユーザー)がなるべく少なくなるようにはしています。

―― それでいうと、自分もLINEモバイルを契約していますが、キャンペーン情報が公式アカウントに送られてきます。あれは正直……。

嘉戸氏 (筆者の質問にかぶせつつ)それは、変えようとしています! 開発はそれなりに入れないといけないので、少し時間はかかりますが。ただ、追加でお買い上げいただく方と、契約しているからもういらないという方がいて、振り分けが難しいんです。ここは本当に悩ましい。どのくらい開発を入れるかにもよりますが、アンケートを取るかどうか。

 LINEのアカウントはお客さんとのつながりでもあるので、新規向けとどう分けるかは考えていきたいと思います。いっぱい送られてきて、ウザいと思われたらブロックされちゃいますからね。そうすると、大事な情報が来なくなってしまいますし。請求情報とか(笑)。先ほどの質問の答えにもなりますが、気付きというところだが、そういう細かなチューニングをやらなければというのがあります。

●店舗展開でユーザーが急増しても通信速度は大丈夫?

―― LINEモバイルは、速度の速さに対するユーザーの満足度が高いと思いますし、それは調査結果でも出ていました。一方で、これからリアル店舗でユーザーが一気に増えると、想定外に増えてユーザー数と帯域のバランスが崩れてしまうということはないのでしょうか。

嘉戸氏 それは大丈夫です。1店舗あたり、何人処理できるかの最大値が決まっているからです。ですから、逆にリアル店舗は読みやすいんです。店員さんがいて、店舗のクルーを処理できる1日の量も決まっています。どんなにやっても「こんなもの」というレンジには収まりますし、実際初日の動向も、予測のレンジ内にありました。Webの方が制限のないこともあって、読みづらいですね。もちろん、例えば(ビックカメラのある)有楽町店はサラリーマンの聖地でもあるので、昼は全然いないのに、夜たくさん来てしまったりということはありますが。

―― なるほど。では、必要な帯域は読みやすいと。

嘉戸氏 ただ、人の数は読めても、その人がどのプランにするかの中身までは読めません。実際、コミュニケーションフリーに行き過ぎてしまったこともあります。これについては、ちゃんとやらなければいけないなと思っています。いかに予測を精緻にするか。チャネルによっては、上位プランを選んでも、実際には使わない人もいて難しいのですが……。こればかりは、やってみないとというところです。

 よく「慎重ですね」といわれますが、それはこういうところにもあるんだと思います。あくまで予測の範囲内に収めておく。そうでなく、あまりにも予想が外れるとわれわれも死んでしまいます。カスタマーサポートも受けられなくなってしまいますし。(サービス開始当初)キャップを決めた(2万契約限定とした)のも、どちらかといえばプレミアム感を出すためではなく、品質をどう保つかのためでした。ユーザーが来なかったら来なかったで悲しいんですけどね(笑)。

―― 確かに、量販店だと場所によっても傾向にバラつきがありそうですね。

嘉戸氏 足元で見ると、音声プランの割合が完全に上ですし、MNPの比率も高い。2日の様子を見ていてもそうですね。

―― 帯域は、どの程度用意しているのでしょうか。予測値の最大で用意していくのも、なかなか大変だと思います。

嘉戸氏 帯域については水物ですね。お客さんからも、「有楽町線が使えない」と連絡があったりしますが、よくよく見ていくとドコモさんの問題だったりもしますから……。

―― 確かに、都内の地下鉄の駅間は、通信量が多すぎるのか、そもそも無線部分の帯域が足りないのか、MNOでも通信できなくなることは多々あります。その意味では、切り分けが難しいですね。

嘉戸氏 特にうちは、MVNEもいるので。今おっしゃったように、基地局側で詰まってしまうと、うちがどれだけ帯域を用意しても難しいですからね。

―― 増強スケジュールなどは決まっているのでしょうか。逐一プレスリリースを出すMVNOもありますが、どの程度増やしたのかが分からないとあまり意味がないような気もしています。

嘉戸氏 うちも月3回はやってますからね。でも、これは当たり前で、やらないといけないことなんです。本当はユーザーに、増強したなんて感じさせない方がいい。そうはいっても気にされる方はいるので、ちゃんとコミュニケーションを取るようにはしていますが。そういうお客さんは必ず混んでいる昼間にスピードテストをやるので、正直やめてほしいのですが(笑)。

―― 確かにスピードテスト、帯域を取りますしね(笑)。

嘉戸氏 mineoのようにオープンにしていこうとしているところもあって、お客さんが求めるところへの情報発信としては、いい取り組みだと思います。

 最終的には、ちゃんといい回線を提供してほしいというのが、ユーザーの願いではないでしょうか。一喜一憂させるようなことをしてはいけないと思っています。

●カウントフリーの通信量はプランでまちまち

―― 発表会の際に、カウントフリーで使われるデータ量の割合が27%というデータも出されていました。これはどういう計算なのでしょうか。

嘉戸氏 全プラン、全通信量の中で、カウントフリーになっているものが27%ということです。コミュニケーションフリーもLINEフリーもMUSIC+も全部足しています。もちろん、中ではプランごとのカウントフリーの割合は見ていますが。

―― MUSIC+の方が高いなど、あるのでしょうか。

嘉戸氏 これが毎日変わるんです。3GBのユーザーと7GBのユーザーでもカウントフリーの割合が違うことがありますし。ただ、カウントフリーを使っているからといって、トラフィックに影響があるかというと、そうでもありません。

―― ちなみに、7GBの方が多いのでしょうか。

嘉戸氏 それも分からないんです(笑)。時期によっても違いますし。なるべく分かるようにと分析はしているのですが、MUSIC+にもけっこう波があって……。ですので、全平均という出し方をしました。

―― 27%分、他社よりお得という捉え方もできそうです。

嘉戸氏 ただ、私たちはこれをマーケティングデータとして使うべきではないと思っています。よく「カウントフリーになった容量を教えてほしい」ともいわれますが、そこまでリアルタイムに計算しているわけでもなく、端末側の情報と違うと「違う」といわれてしまいます。出さないのには、そういう技術的な問題もあるんです。謎にすることで、お客さんにもゲーム感覚で楽しんでもらえますし(笑)。実際、「こんなに使ったのに、データ通信はこれだけしか使ってない」という声はよく聞きます。

―― 今、10GBプランまでですが、これをもっと大きくすることはあるのでしょうか。

嘉戸氏 10GBプランの割合の少なさを見ると、入れてどうなるかというのはありますね。

●LINEフリー、意味はあるから!!

―― 次にユーザー層ですが、現状では、やはり「よく分かっている人」や「よく分かってる人が渡した人」が多いのでしょうか。

嘉戸氏 (筆者の)Twitterで「ドヤSIM」(※お得だが、人があまり知らないため、ドヤ顔でオススメできる通信サービスのこと)っていわれてましたよね(笑)。まずは、そのドヤSIMから始めないと厳しいというのは、確かにありました。LINEモバイルがいいと感じてもらい、次はその家族という感じですね。

 現状はそれが圧倒的に多い。シニアがいきなりスマホにするようなときは、多分キャリア(MNO)に行くんです。そもそも、何でスマホにしないというと、周りがしていないことが大きい。その周りは誰かというと、それもまたシニアなので、子どもが「スマホにしてくれ」という話をする(LINEモバイルをオススメする)んだと思います。

―― 家族も含めてコミュニケーションフリーが多いのでしょうか。

嘉戸氏 15歳以下と50代以上は、圧倒的にLINEフリープランが多いですね。70代、80代になると、ほぼ100%がLINEフリーです。使っているのが生存確認に近いのでしょうか。タブレットとセットでという方もいます。

 よくこの辺(手書きのグラフで20代、30代を指しながら)の人たちに、「LINEフリーなんて意味ないじゃん」っていわれますけど、意味はあるから!!(語気を強めながら)  CMではコミュニケーションフリーに寄せていて、それはこの辺に向けたメッセージになっています。

●音声定額を始める意図

―― 次に、初夏に始める新サービスについてうかがいます。音声定額ですが、これはアプリで通話サービスを提供しているLINEがやるのかという意外感がありました。

嘉戸氏 確かに、悩んだところではあります。ただ、固定電話にかけたい、知らない人にかけたいというニーズはそれなりにあります。「LINE Out」のような他のサービスもありますが、使い勝手を考えたとき、どっちがいいのかですね。出してみようという感覚に近いのですが、LINEは結構こういう会社で(笑)。カメラアプリも4つあったり、LINE WOWがあった中で出前館と提携したり(笑)。ユーザーに問うてみようという感じです。

 LINE Outでもいいじゃないかというと、難しいところがあって、あれは前払い方式なんです。ユーザーはどこかに電話するときに、前払いしてまで掛けないですよね。完全にかけ放題にしなくてもできるところが後払いのメリットで、そういう仕様であることが大きいですね。

―― 契約者獲得のための売りの1つにはなるとお考えでしょうか。

嘉戸氏 それで契約者数が3倍になるというようなことはないと思います。定額がなくても音声比率は高いですし、これはどちらかというと、迷っている人に向けたものですね。

―― 次に、MUSICフリー……(と言い間違える)

嘉戸氏 じゃなくて、MUSIC+。間違えますよね(笑)。あれは裏話をすると、商標が取れなかったからで、プラン名には変遷がありました。そもそも、LINEフリー、コミュニケーションフリーも、事業戦略を発表した当初は「Unlimited」でしたからね。あれも、アンケートを取ったら「中二病っぽい」といわれてしまって(笑)。

―― 話がそれてしまいました(笑)。あらためて、MUSIC+で追加するのは、どのようなサービスでしょうか。

嘉戸氏 上から順番にという感じです。ただ、パッケージになったサービスの中の音楽サービスだと、使っている人が多くても、実際に音楽を聴いている人が少なかったりもします。カウントフリーをやるにもコストはかかるので、何がカウントフリーに値するかは、しっかり見ていきます。シンプルをどれだけ貫くか。これはシステムに影響することですからね。

―― Twtiter、Facebook以上に音楽サービスは直接の競合になりそうですが、それでもやるのでしょうか。

嘉戸氏 それを排除するなら、最初からTwitterやFacebookはやってないです(笑)。LINEモバイル自体は結構無邪気なのでやっちゃいます。もちろん、社内調整はしていますけどね……。

●端末にはあまりこだわりがない

―― 他社に比べ、SIMカードのみの契約比率が多いというお話も伺いました。これはなぜでしょう。

嘉戸氏 これは私にも分からなくて……。最近思うのは、そういう売り方をしているからセットが多いのではないかということです。サービス自体に訴求力があれば、完全分離でも買ってくれるのかもしれない。また、(親などに)渡す場合、ご自身が使っているものにそのままSIMを入れて渡すこともあると思います。もちろん、そういう活動をIIJさんやmineoさんが地味にやってきたから、こういう数字になっているのかもしれない。

―― 量販店では基本SIMのみですが、端末も量販店で個別に買うという仕組みですよね。

嘉戸氏 そうですね。量販店さんがわれわれに期待していることの1つで、LINEモバイルがいれば自分たちの端末が売れるというものです。相互送客とでもいうんですかね。ですから、量販の場合はSIMのみになると思いますし、セット比率もWebと、Amazon経由で全然違う。LINEフリーとコミュニケーションフリーでも違ってきます。

―― 今、売れ筋は「nova lite」なんですよね。

嘉戸氏 今後、変わるかもしれないですけどね。ファーウェイさんも高い価格でいいものを出されているので、そういったものがあれば。

―― 端末にはあまりこだわりがなさそうですね。

嘉戸氏 そうですね。そこまではないです。お客さんの中には端末がないと不安という方もいるので、そういう方のために扱っています。ラインアップは絞り始めていますが、一方で、情報はレビューなども含め、しっかりやるようにしていて、欲しいものを選ぶときの情報がそろうようにはしています。そういうものもあれば、どこかで見られていいなと思った際に、うちで買ったりAmazonで買ったりできますからね。

●取材を終えて:3月が真のサービスイン

 嘉戸氏のインタビューで繰り返し出てきたのは、「ユーザーのため」という言葉で、これが最も印象的だった。確かに、料金プランをシンプルにしたのも、カウントフリーを導入したのも、ユーザーの利用動向を見てのこと。サービスインから現在まで、安定した速度も継続している。

 とはいえ、契約者数の総数では、まだ大手MVNOとの差は大きい。今後は、このバランスを損なわないように、規模の拡大にアクセルを踏むことが求められる。その意味で、この3月は、LINEモバイルにとって「真のサービスイン」といえる月になりそうだ。販路が広がり、ユーザー数が加速度的に増えた際に、どうかじ取りしていくのかは引き続き注目しておきたい。

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