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村上春樹ら文豪の文体模写本 著者に(なぜか)牧場でインタビュー

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/06/03 ちぷたそ
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もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら――。

村上春樹をはじめ、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石といった文豪から、星野源、小沢健二らミュージシャンまで100パターンの文体模写によるカップ焼きそばの作り方を収録した書籍『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』(略称:もしそば)が6月7日に宝島社より発売になります。

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目次だけ見ても楽しく、松尾芭蕉「麺の細道」から三島由紀夫「仮面の焼きそば」、国語の問題「平成29年度 焼きそば高等学校 入試過去問題 国語」など文体模写のバリエーションも豊富。何故そんなユニークな発想をすることができたのだろうと気になったので、この本の共同著者であるライター・編集者の神田桂一さん、菊池良さんにインタビューを敢行しました。「村上春樹といえば羊」という二人の発案により、牧場で。

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出会って「こいつはただ者ではない」と思った

――まずは「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」出版についての経緯を教えてください。

神田 2年前、共通の知り合いの主催した飲み会で菊池くんと出会って意気投合しました。僕の向かいに菊池くんが座って、名刺交換したら肩書きに「コンテンツボーイ」と書いてあった。その時に「こいつはただ者ではない」と思った。

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神田 笑いのセンスに自分と近いものを感じた彼とは「面白いことできたらいいね」とは言っていたんですけど、ある朝突然、「村上春樹のマニュアル本を作ったら面白いのでは?」というひらめきが突然舞い降りました。

菊池 天啓ですね。ヤナーチェクのシンフォニエッタに導かれたわけだ。あるいはいなくなった女性から手紙がきた。

神田 村上春樹的に言うとね。それで、これはヤバイと思って、企画書作って出版社に単行本の企画を送ろうと思った。で、その頃ちょうど菊池くんがツイートした「もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある『作り方』を書いたら。」という投稿が話題になっていました。

もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら。 pic.twitter.com/La376O749Y

— 菊池良BOT 6月7日に本が出ます (@kossetsu) 2016年5月15日

神田 それでこの本を出すなら菊池くんと一緒にやりたいと思い、「村上春樹マニュアルを作ろう」と誘ったんですよ。

菊池 そうですね。これが去年の夏──ちょうどリオ五輪でエリウド・キプチョゲが金メダルと取ったころ──ぐらいです。

神田 そこからぼくらの“企画をめぐる冒険”がはじまり、当初から企画内容が変化したり、出版社も変わったりしてなんとか今回の形で出せることになりました。企画当初は村上春樹氏の文体を研究して、「ハルキのような振る舞いをしたら女の子は寄ってくるのではないか?」という内容の自己啓発本を想定してたんですよ。

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神田 ぼく、本や雑誌で笑わせたいという欲求があって。そういうことができないかなと思って今回やってみたんですよね。本を使って笑わせるみたいなのをこれからもやっていきたいし、最初の企画も諦めていないので第二段、第三弾で出せたらいいなと思っています。堅めの表紙で、一見ビジネス本とか自己啓発本みたいだけど読んでもあんまり役に立たないみたいな。

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菊池  ぼくもどんどん楽しいものを作っていきたい。いい意味でくだらない本を作っていきたいですね。あとディズニーランドみたいなテーマパーク作りたいです。文体模写ランド。

――文体模写ランドとは(笑)

菊池 みんなで文体模写するランドですよ。作家のテーマパークとか、いいじゃないですか。そういうのも考えつつ、文章で笑わせていけたらと思っています。

村上春樹がつなげてくれた縁

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――お二人ともハルキスト(村上春樹氏のファンの通称)ということですが、その点で意気投合したというのもあるんですか?

神田 いや、そこはたまたまですが、二人とも村上春樹の文体模写をしていたという共通点がありました。ぼくは三年前、『ケトル』という雑誌の村上春樹特集で文体模写ページをやったんですよ。村上春樹の小説のタイトルがつくお店を全国探して行く、というルポを村上春樹文体でやったんです。それが結構評判が良くて、基本的に署名が入らない雑誌だったんですが署名が入ることになりました。そういう経緯もあり、「文体模写」が自分的にきていたので、菊池くんを誘ってやりました。

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菊池 ぼくも独自にずっと村上春樹の文体模写をやっていて、たまたま共通して二人同じことをやっていたという。

神田 「たまたま共通してやっていた」。

菊池 ハルキ的な相槌ありがとうございます。そういうわけで、ハルキが繋げてくれたんですね……。感謝しかないです。千葉方面に向かって祈りを捧げています……。ギリシャの可能性もありますね。青山に住んでいた時期もあるそうです。その方面に祈りを捧げています。

神田 可能であれば、村上春樹氏に一言お礼を言いに行きたいですね。会ってくれるのであればいつでも行きます。

――それにしても村上春樹氏をはじめ、100パターンの文体模写ってすごいですよね。お二人は昔から本をよく読まれていたんですか?

菊池 本は大学入るまでもよく読んでいたのですがノンフィクションや評論書が多かったです。あ、ライトノベルは読んでいましたね。『ブギーポップは笑わない』、『キノの旅』、『R.O.D.』とか。いわゆる文学を意識し始めたのは、それこそ村上春樹がきっかけですよ。

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菊池 ぼくが村上春樹に出会ったのは大学生の時です。教室で友達と話していたんですが、話題が尽きた。それで友達が机の上に本を置いた状態で話していたんで、これは繋ぎになるぞと「何読んでいるの?」と聞いたんです。それが『海辺のカフカ』でした。沈黙が生まれないようにあれこれ話していたら、借りることになったんですね。そこからすごくハマってしまった。「海辺のカフカ」は上下巻なんですけど、小説で上下巻を最後まで読めたのは初めてでした。その前にダヴィンチコードを100ページくらいで挫折していたんですよ。なので、長い小説に対して苦手意識を持っていたんですけど、ハルキはそれを溶かしてくれた。そこからほかの作品も全部読んですごくはまりました。

――ちなみに、その友達とは交流は?

菊池 今は何してるんだろう。連絡はとれます。嵐のようにいなくなったわけではない。今度「君のおかげで本を出せたよ」って電話してみます。今度は話が続くといいけど。 

神田  ぼくも本は好きです。特にノンフィクションが好きで、小説はあまり読まないんですけど特定の作家は全部コンプリートするという読み方をしてます。繰り返し、徹底的に何回も読む。村上春樹もそういう読み方をしている作家のひとりなのでフレーズとかも覚えています。

――そうそう。先ほど牧場をうろうろしていた時も、二人からポンポンフレーズが出てくるので驚いたんですよね。

これからは「文体模写」がくる

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――本日はありがとうございました。「もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら」ですが、どんな方々に読んでもらいたいですか?

菊池 王様のブランチを見るような流行感度が高い人。佐々木希さん。

――それ佐々木希さんに会いたいだけじゃないですか。

菊池  これから文体模写がくるんで、流行に敏感な人たちにゲットして欲しい。そしてカバーを付けずにそのまま読んでもらいたい。田中圭一先生に描いていただいた渾身のカバーなので。

神田 スティーブ・ジョブズは「iPhoneは裸のままで使うのが美しい」と言いました。それと一緒です。全国の書店で買っていただいて、希望としては台風が来ようともオープンテラスのカフェで読んでほしいですね。

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そんなお二人が書かれた「もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら」は6月7日に発売、価格は1058円(税込)です。Amazonでも予約受付中。カバー絵は田中圭一先生で、帯コメントはクリープハイプの尾崎世界観氏によるもの。田中圭一先生は「もし手塚治虫先生を太宰治を描いたら…を田中圭一が描いたら」なども寄稿されています。「もしも」からはじまる文体模写の面白さを知ることができる一冊、必読です!

(ちぷたそ)

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