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欅坂46の魅力は“レジスタンス”の外側にも広がっているーー1stアルバムで花開くもう一方の要素

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/07/29 株式会社ブループリント
© Real Sound 提供

 今回取り上げるのは、初週売上27.9万枚というぶっちぎりの数字(初週の売上が25万枚を超えたのは実に4年5か月ぶりとのこと)で初登場1位を飾った欅坂46の『真っ白なものは汚したくなる』。富士急ハイランドでのワンマンライブも成功を収め、その勢いは止まるところを知らない。3つのタイプで発売された今作に収録されているのは実に40曲。Apple Musicにはその全てを聴けるバージョンもあり、その強烈なボリュームを体感することができる。(関連:欅坂46はまだまだ面白くなるーー『欅共和国 2017』に感じたグループの真骨頂と課題) 今作に先立ってリリースされた4枚目のシングル『不協和音』によって、欅坂46のパブリックイメージは「反抗」「レジスタンス」といった言葉に集約された感がある。「社会に楯突く威勢のいい若者」というのはいつの時代にも求められるものであり、その姿に飛びつくメディアやそれを肯定的に受け入れるファンも現れている。また、グループ側もそのイメージを増幅するような「エキセントリック」「月曜日の朝、スカートを切られた」(『真っ白なものは汚したくなる』に収録されている新曲)をテレビで披露するなど、現状の方向性の強化に躍起になっているふしがある。  個人的には、どうにもこの流れにのれていない。というのも、「欅坂ってそもそもそういうグループだっけ?」という疑念を払拭できないのである。確かにデビュー曲の「サイレントマジョリティー」は若者たちの闘争宣言とでも言うべき力強いメッセージソングで、自分も大いに興奮した。ただ、続く「世界には愛しかない」で描かれていた無根拠ゆえにパワフルな肯定や「二人セゾン」で堪能できる繊細な感情の動き、これらはどこにいってしまったのか。「反抗」だけでなく、「肯定」や「繊細さ」まで含めた少女の感情の機微が多面的に、かつ詩的に表現されていることこそがこのグループのユニークネスではなかったのか。結局のところ「レジスタンス」路線が採用されているのは昨年の3曲の中で「サイレントマジョリティー」が一番うけたからという身も蓋もない話の帰結でしかなく、プロジェクトとしての志は実はスタート当初より著しく低くなっているのではないか。そして、「レジスタンス」路線を着こなそうとアグレッシブなパフォーマンスを続けるメンバーたち(特に平手友梨奈)の消耗度合いはますます高まっているのではないか。  そんな不満を(全部ではないがある程度は)気持ちよく解消してくれるのが、『真っ白なものは汚したくなる』に収録されている「レジスタンス」路線以外の楽曲である。46の清廉な楽曲を作らせたら右に出るものはいない杉山勝彦による「沈黙した恋人よ」(けやき坂46のメンバーによるユニット・りまちゃんちっくの楽曲)、「世界には愛しかない」の正当進化とも言うべき爽快なムードの「太陽は見上げる人を選ばない」、幼さの残る佇まいとは対照的な安定感のあるボーカルが胸に響く今泉佑唯のソロ曲「夏の花は向日葵だけじゃない」、My Little Loverにもパスピエにも聴こえるキッチュなポップソングの「バレエと少年」……枚挙にいとまがないが、彼女たちが訴求ポイントを先鋭化させる中で削ぎ落とされてしまった要素が『真っ白なものは汚したくなる』では美しく花開いている。  商売において「メッセージを1つに絞る」というのは基本的な鉄則であり、また最近では反抗=古典的なロックっぽさを押し出した存在が少ないことも考えると、今の欅坂46の売り出し方は合理的と言えるのかもしれない。ただ、彼女たちの魅力は、「反抗」の外側にもいろいろな形で広がっている。これまでの楽曲を全てコンパイルした『真っ白なものは汚したくなる』で欅坂46の活動は一つの区切りを迎えたと言えるはずだが、次のフェーズでは「反抗」とは異なる側面にフォーカスした展開を期待したいところである。(レジー)

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