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歯石で分かったネアンデルタール人の食生活と医療

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/03/09
歯石で分かったネアンデルタール人の食生活と医療: ネアンデルタール人たちが暮らしていたエル・シドロン洞窟(Antonio Rosas/Paleoanthropology Group MNCN-CSIC via AP) © ITmedia NEWS 提供 ネアンデルタール人たちが暮らしていたエル・シドロン洞窟(Antonio Rosas/Paleoanthropology Group MNCN-CSIC via AP)

[AP通信] 原始人の食事といえば何を思い浮かべるだろう。ベルギーの原始人は毛サイ(ケブカサイ)やヒツジの肉をがつがつと頬張り、スペインの原始人はキノコや松の実、コケなどをムシャムシャと食していたようだ。原始人の食事内容が住む地域によって違っていたことが、新たな研究で確認された。

 研究者らは今回、ネアンデルタール人の食事風景を垣間見るべく、3人のネアンデルタール人の歯にこびりついた歯石をこそげ取り、DNAを解析した。その結果は、「原始人は肉ばかり食べていた」というよくある誤解を打ち砕く内容となっている。さらに3人のうちの1人は病気がちで、原始的な方法ながらペニシリンやアスピリンの効果で苦痛を和らげようとしていたことを示す手掛かりも発見された。

 この論文の共同執筆者である豪アデレード大学オーストラリア古代DNAセンターのアラン・クーパー所長によれば、歯石はネアンデルタール人たちが口にしていたものや、彼らの内臓に生息していた細菌の一生分の記録を提供してくれるという。

 「化石のようなものだ」と同氏。

 ネアンデルタール人の雑食性は過去の研究でも指摘されてきたが、今回は遺伝子検査によって、彼らが具体的にどのような肉やキノコを食べていたのかを特定できた、とクーパー氏は語る。ベルギーの4万2000年前のネアンデルタール人が毛サイやヒツジを食べていたという痕跡からは、このネアンデルタール人が暮らしていた草原で当時どのような生物が歩き回っていたかを知ることができる。この研究は3月8日付で学術誌「Nature」に掲載された。

 「毛サイはどんな味がするのだろう。ヒツジはあまり好きではないので、私は毛サイのほうがいい」とアデレード大学の古微生物学者でこの論文の主執筆者であるローラ・ウェイリッチ氏は語る。

 スペインで暮らしていた5万年前の2人のネアンデルタール人からは、肉を食べていた痕跡は見つからなかった。ただしクーパー氏によれば、だからと言って彼らをベジタリアンと呼ぶのは言い過ぎだとう。2人の骨からは、彼らが仲間に共食いされたことを示す痕跡が見つかっている。

 ウェイリッチ氏によると、2人のネアンデルタール人は1人が成人女性で、もう1人は10代の若い男性。DNAによれば、男性はこの女性の息子や兄弟ではないが、2人には何かしらの血縁関係があったとみられる。

 男性は病気にかかっていたようで、歯石からは口内感染症や怪我の痕跡が見つかった。ウェイリッチ氏によれば、この男性だけから見つかった残留物が2種類あるという。1つは、ポプラの木に由来するもの。医師らは後世、ポプラの木からアスピリンの主成分を取り出している。もう1つ、抗生物質ペニシリンのもとになるカビも、この男性の歯石だけから見つかった。

 「原始の時代にペニシリンとは驚きだ。カビが治療のために使われたと判断するのは時期尚早だが、驚くべき発見であることは確かだ」とクーパー氏は語る。

 今回の研究は、ネアンデルタール人の多様な食生活や薬の使用に関するこれまでの考察の直接的な証拠となる。コロラド大学自然史博物館のパオラ・ビッラ氏はそう語り、この研究を「非常に重要」と評価した。同氏はこの研究には参加していない。

 ビッラ氏によれば、ネアンデルタール人は約3万7000年前に絶滅し、彼らが食べていた毛サイはその約2万6000年後に絶滅したと考えられている。

(日本語翻訳 ITmedia NEWS)

(C) AP通信

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