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歴代の“人間工学キーボード”に恥じない製品か? アルカンターラ採用の「Surface エルゴノミクス」実機レビュー

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/04/10
歴代の“人間工学キーボード”に恥じない製品か? アルカンターラ採用の「Surface エルゴノミクス」実機レビュー: 製品名は「Microsoft Surface エルゴノミクス キーボード」。ボディーカラーは同社のキーボードとしては珍しいグレー。本体サイズは460.14(幅)×229.22(奥行き)×34.73(高さ)ミリ、重さ1012g © ITmedia PC USER 提供 製品名は「Microsoft Surface エルゴノミクス キーボード」。ボディーカラーは同社のキーボードとしては珍しいグレー。本体サイズは460.14(幅)×229.22(奥行き)×34.73(高さ)ミリ、重さ1012g

 日本マイクロソフトがSurfaceアクセサリーファミリーの1つとして製品ラインアップに用意した「Microsoft Surface エルゴノミクス キーボード」は、Bluetooth接続のフルサイズキーボードだ。製品名からして同社Surfaceシリーズ専用の周辺機器と思われがちだが、実際にはWindows 10を搭載すると組み合わせて使う「Surfaceと共通の意匠を採用したハイエンドなキーボード」という位置付けの製品である。

 3月に発売されたばかりの本製品を実際に使ってみたので、レビューをお届けしよう。

●高級素材のパームレストと一体化した「エルゴノミクスデザイン」

 同社製のキーボードと言えば、起伏のあるエルゴノミクス形状の製品が有名だ。今回もその路線に属する製品で、キーボードの中央がハの字に開いているのが特徴だ。過去製品のような、キーボード手前が持ち上がった大胆なフォルムではなく、中央部が緩やかに隆起しただけの比較的おとなしいフォルムとなっている。

 手前が持ち上がったタイプは人間工学的には正しいとされていても、従来のキーボード形状とはかなり違いがあるため、使い始めた当初や他のキーボードと併用する使い方ではどうしても違和感が強い。その点、今回の製品はこうした違和感が最小限で済むように配慮されている。

 キーボードと一体化したパームレスト部には「アルカンターラ」という、天然スエード風の素材が用いられている。これは同名の東レの子会社が製造する素材で、自動車の内装にも使われているファッション性の高い素材だ。Surface Pro 4向けのキーボードカバーである「Signature タイプ カバー」などでも採用されているが、パームレストとして使われるのは珍しい。

 同社のキーボードは、キーボードとパームレストが一体化した製品がしばし見られるが、本製品はこれらと違ってキーボード本体との段差がほとんどなく、高さが変わるのが苦手なユーザーでも快適に使える。弾力性は指先で押すとわずかに沈みこむ程度で、スエード調ということもあって、合皮などに比べ汗ばみにくい。このあたりは本体が高価なだけあって相応の質感と言ったところだ。

●一般的な日本語配列のアイソレーションキーを採用

 PCなどのデバイスとペアリングを行うには、本体底面にあるBluetoothボタンを長押しする。専用ユーティリティーなどをインストールする必要はないため、製品を開封してものの1分程度で使い始められる。駆動は単4電池2本で、最大12カ月駆動するという。

 キーボードの配列は一般的な日本語配列だ。Enterキーのサイズこそ小ぶりながら、2段にまたがる日本語キーボードならではの形状となっている。このEnterキーを除けば、サイズが特別小さいキーは見受けられない。

 なお同社の製品ページに掲載されている写真はUS配列であるため、日本国内で流通する製品とは異なる。間違えないよう注意したい。

 最上段のファンクションキーはマルチメディアキーと共用になっているほか、右端には電卓やアクションセンターの起動、デスクトップの表示、画面ロックを行うためのショートカットキーが備わっている。これらは専用ユーティリティー不要で利用できるが、それゆえ任意の機能を新しく割り当てることはできない。

 キーは俗に言うアイソレーションタイプで、キートップにへこみがないフラットな形状だ。キートップがへこんでいる、かつてのキー形状にこだわるユーザーにとっては違和感となりやすい部分だが、最近のノートPCはこのタイプが主流になりつつあるため、長い目で見るとこちらに慣れていくほうがいいだろう。

 あえて気になる点を挙げるならば、最上段のファンクション/マルチメディアキーが、通常のキーと区別しづらいことだ。同社過去製品のマルチメディアキーは丸みを帯びた形状にすることで他のキーと区別しやすいよう工夫していた。本製品は他のキーと同じ質感および形状で、違うのはキーの高さだけだ。せめてその下の数字キーとは若干間隔を広めに取るなど、指先でなぞって区別できる配慮が欲しかったところ。

 ちなみに本製品の隠れたメリットとして、エルゴノミクスキーボードとしては幅がコンパクトなことが挙げられる。一般的にエルゴノミクスを名乗るキーボードは本体が巨大なことが多く、それゆえ従来使っていたフルキーボードと取り換えるとデスク上に収まりきらないことがある。本製品は奥行きこそ相応にあるものの、横幅は一般的なフルキーボードと大差ない。デスク上のスペースにあまりゆとりがない環境ではメリットになるだろう。

●機能よりもデザインを優先する人向けの一品

 実際に使ってみると気になる点もある。多くのフルキーボードではキーのブロックごとで広めに取られている間隔が、本製品では通常のキー間隔と変わらないことだ。

 一般的なフルキーボードでは、正面にQWERTYキーのブロックがあり、その右側にInsert/Deleteキーや上下左右キーのブロック、さらにその右側にはテンキーのブロックが並ぶ。これらブロック同士の間隔は、通常のキー間隔に比べて、やや広めにとられていることが多い。

 アルファベットや数字以外のキーを押す際は、キーの位置を頭の中で覚えているように見えて、実際には指先でこのブロック間隔を読み取ってキーの位置を判断しているケースが多い。例えばBackSpaceキーを押す場合、その右側にあるInsertキーとの間隔が通常のキー間隔より広いことから、その間隔の左側にあるのがBackSpaceキーだと判断している、といった具合だ。

 しかし、本製品はこのブロック同士の間隔が通常のキー間隔と同じなので、この方法が使えず、基本的にホームポジションからの距離のみでキーの種類を判断する必要がある

 同社の過去の製品では「Sculpt Comfort Desktop(L3V-00029)」をはじめ、ブロックの間隔が設けられていることが多いのだが、そうではない本製品は使い勝手はかなり異なる。筆者は本製品を数日ほど使う中で、この点だけはどうしても慣れることができなかった。

 もう1つ、本製品はエルゴノミクス形状で長時間の打鍵を苦にせず使えることがセールスポイントとされているわけだが、トラックパッドやトラックポイントなど、ポインタを操作する機能は搭載されていない。マウスを操作する際はホームポジションから右手を離す必要がある。

 仮にキーボード手前、パームレストの中央位置にトラックパッドなどが配置されていれば、ポインタの操作はそこで済ませ、細かい作業の時だけキーボードから手を離してマウスを使うという役割分担ができるわけだが、本製品はトラックパッドに相当する機能はないので、手にフィットするせっかくの形状が生きていない。この点は、機能とコンセプトにややズレがあるように感じられなくもない。

 また同社の過去製品に見られた、戻る/進むボタンは、上下スクロールのためのキーもないので、こうした部分の付加価値を求めるのであれば、若干物足りなさを感じる可能性もなくはない。

 機能よりもデザインを優先した部分がいくらか見られるが、この2点がクリアできれば、手が置きやすく、操作性を向上させる多数のホットキーも搭載、またデスク上への収まりのよい本製品は満足できる一品になりうるだろう。最近のキーボードがホワイトもしくはブラックのほぼ二択という中、グレーのボディーが醸し出す高級感もなかなかのものだ。店頭であまり展示を見かけないのが残念だが、もし見かけることがあれば、パームレストの質感の高さなどをぜひチェックしてみてほしい。

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