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海外プリペイドSIM導入マニュアル――「中国TD-LTE 2014年」編

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/04/28 ITMedia
中国各都市では4Gの広告が目立ち始めている 中国各都市では4Gの広告が目立ち始めている

 中国でも4Gサービスが相次いで開始され、日本同様に高速な通信回線をプリペイドで入手できるようになった。今回は中国移動のTD-LTEを利用すべく、プリペイドのデータSIMとWi-Fiルーターのセットを購入してみた。

●3社がTD-LTE方式で4Gサービスを開始

 中国では2013年12月に中国移動(China Mobile)が、そして年明けの2月3月に中国電信(China Telecom)、中国聯通(China Unicom)が相次いで4Gサービスを開始している。各社の通信方式はTD-LTE。中国以外ではFDD-LTE方式が主流であり、中国以外でTD-LTEを採用するのは日本のソフトバンクグループのAXGPや、インド、香港、オーストラリアの一部通信事業者などに限られる。とはいえ、人口13億を有する中国がTD-LTE方式を本格的に開始したことで、今後TD-LTEスマートフォンの種類も増え、海外での普及も広がっていくだろう。

 中国の携帯電話契約で特徴的なのは、ほとんどがプリペイド契約ということだ。だがプリペイドといっても3Gや4Gサービスでは月決め契約が基本となっており、毎月一定の基本料金がかかる。そのため、あらかじめプリペイドSIMの中に残高を入れておき、一定額が毎月引かれていくのだ。例えば毎月30元のプリペイドプランに加入したなら、先に90元を入れておけば、向こう3カ月間はそのまま利用できるわけである。残高が基本料金以下になればその月は使えず、料金を追加しておかねばならない。

 このように「使っただけを払う」という課金方式ではなく、月額料金になってはいるものの、プリペイドであるため海外からの渡航者でもパスポートを提示すれば契約することが可能だ。契約時に住所を求められる場合もあるが、13億の人口に対して毎月通信事業者が郵便物を送ることはなく、ホテルなどの住所を提示しても構わない。なお、蛇足ながら中国では駐在員などがホテル住まいをするケースもよくあることだ。

 さて、今回は開始されたばかりの中国のTD-LTE回線をプリペイドで入手してみることにした。TD-LTE対応のプリペイドSIMもすでに販売されており、前述したように外国人でも契約ができる。ただしTD-LTE方式に対応したSIMフリーのスマートフォンはまだ海外ではほとんど販売されておらず、そのためプリペイドSIMだけを入手しても現時点ではそれを入れる端末を入手するのが困難な状況だ。もちろん中国国内で購入することも可能だが、Googleサービスが搭載されていないなど使い勝手はイマイチである。

 そのため、今回は普段自分が使っているスマートフォンやノートPCでインターネット接続できるよう、TD-LTE対応のWi-FiルーターとプリペイドSIMのセットを購入してみた。なお、ルーターに装着されたSIMは単体でも利用可能なので、将来TD-LTEスマートフォンを入手できればそちらに入れ替えて使うこともできる。

 ちなみに、中国各通信事業者が2014年4月時点で採用する4Gと3Gの通信方式は以下の通り。4Gエリア外では3G回線を利用できる。また中国聯通と中国電信にはFDD-LTEの免許が将来交付される予定だが、現時点では時期は未定だ。両社のFDD-LTEの周波数は2100MHz(B1)と1800MHz(B3)の予定で、FDD-LTE方式がサービスインされれば、海外で販売されているSIMフリーのFDD-LTE端末を中国に持ち込み、4G回線で利用することも可能になるだろう。

●中国移動でルーターとSIMのセットを購入

 中国移動は国内主要都市でTD-LTE方式による4Gサービスを開始しており、年内には地方都市を含む200都市以上で利用できるようになる予定だ。今回は香港に接する広東省の深センを訪問し、中国移動でTD-LTE対応ルーターの契約を行ってみた。TD-LTEに最も力を入れている事業者であることから、購入後の他都市での利用も安心できそうだ。

 深センは香港中心部から電車で1時間ほど、またバスでの入国もできる。中国返還後も一国二制度により国境があるため、パスポートの持参が必要だ。深セン市内は地下鉄が走っており、繁華街を結んでいるため移動も楽。中国移動の営業所は街中に多数あり、香港から電車で国境の駅である羅湖で下車、中国に入国後深セン地下鉄の羅湖駅に向かうと、旅行客でもにぎわう中国移動の中型店舗が地下コンコースにもある。

 街中の売店のような小型の店舗は中国移動の看板を掲げていてもSIMだけ販売するような代理店であり、端末は基本的に販売していない。2014年4月時点での為替レートは1元=約16.5円。中国ではクレジットカードの利用はほとんどできないので、現金を用意しておいた方が無難だ。

 今回は深セン市中心から若干郊外に出た竹子林エリアにある中国移動の店舗を訪問してみた。店舗入り口にはTD-LTEルーターの広告も大きく掲げられており、4Gに力を入れていることが分かる。店内に入り「4Gルーターを契約したい」と伝えると、さっそく店員が説明してくれた。ちなみにルーターは中国では「MiFi」と呼ばれており、これは某メーカーの製品名がそのまま一般名詞化されたものだ。

 と、このように書くとスムースに話が通じているようだが、中国では基本的に英語は通じず、中国語(北京語)での会話が必要となる。そのため実は、知人の中国人に付き添ってもらって中国移動の店舗を訪問したのだ。実は最初の問いかけはその中国人にしてもらった。ところがこの店舗ではなんと片言の英語ができる店員がいて、こちらが外国人と分かるとそのまま英語で説明を続けてくれた。筆者も何度も中国を訪問しているが、通信事業者の店舗で英語が通じる店員に遭遇したことはほとんどない。今回はたまたまであるが、通訳不要で契約ができて非常にラッキーであった。

 しかし実際のところは筆談レベルでもなんとか購入はできると感じた。それはルーターの販売方法が「ルーターと1年間の料金の一括払い」であるからだ。契約時にお金を払えばそれですべて終了。あとは1年間、毎月基本料金に含まれる無料データ分を利用できる。今回も結論からいえば959元(約1万5800円)を契約時に払い、ルーター本体と1Gバイト/月の1年契約ができた。あとは毎月追加料金を払うことなく、そのまま1年間使い続けられる。営業所を訪れ店員が中国語しかできない場合でも「我是日本人」「我想買4G MiFi」と書いた紙を店員に見せれば筆談での説明や契約作業を行ってくれるだろう。訪問時は客が少なく、混雑していないときの方がよい。

 今回訪れた店舗にはHuaweiの「E5375」と和新の「Mi560」の2種類のルーターが販売されていた。大唐電信のルーターも広東省では販売されているが、在庫なし。店内に料金表などがあり、E5375は699元、Mi560は499元だった。ところが話を聞くと、E5375は659元で販売しているとのこと。Mi560の方が約2000円安いものの、ルーターの管理などを考えると海外でも多数の製品を販売してるHuaweiの方が安心できそうだ。

 ということでHuawei E5375を購入した。また1Gバイト/月プランに対し、2Gバイト/月プランにする場合は総額で120元(10元/月)がプラスされるという。わずかな差だが、今回はたまの訪問だろうと考えて1Gバイトプランを選択した。両ルーターとプラン選択の総額は以下にまとめた。支払いは現金か銀聯(ユニオンペイ)カードのみとなる。

 一括払いではあるものの、その内訳は「ルーター代金」−「ルーターの割引金額」+「毎月の基本料金×12カ月分」だ。また今回選んだ1Gバイトプランは、600Mバイトが中国全土、400Mバイトが同一省内(深センなら広東省)となる。2Gバイトプランもあるが、その場合も全国1Gバイト+省内1Gバイトとなる。このあたりの細かい説明は英語ではしてくれず、さすがに同行の中国人に中国語で聞いてもらった。だが割引などのややこしい話をされても外国人はもちろん中国人も分からないだろう。そのため店舗では「一括でいくら、毎月何Gバイト使える」と単純な説明を行っているのだ。購入時も支払いの明細を気にすることなく「今、いくら払うのか」「1カ月で何Gバイト使えるのか」が分かれば、実用上は問題ないだろう。

 ということで、端末とプランを決めたあとは、カウンターに向かいパスポートを提示して先方が作成した契約書にサイン。なお自分の利用実績をあとからネットで確認できるよう、パスワードを必ず確認しておくこと。パスワードは中国語では「密碼(読みは「みーま」)。契約書を戻されて、どこかに「密碼」と書かれていなければ「みーま」と伝えれば先方も教えてくれるだろうし、設定していなければそこで設定を行ってくれる。なおパスワードは6桁だ。

●TD-LTEの通信速度は10〜20Mbps、ネットで利用管理も可能

 ルーター契約後は、すぐに使い始めることができる。SIMはその場で店員がセットしてくれ、電源を入れれば「4G」の表示とアンテナバーが立つはずだ。ノートPCやスマートフォンからWi-Fiを検索すれば、ルーター製品名のE5375にちなんだSSDが見つかるはずだ。あとはルーターのリアカバーの裏に記載されているパスワードを入力すれば、接続完了だ。

 接続速度は深セン市内で下り10〜20Mbpsと快適だ。ただ繁華街の夕方は数Mbpsと速度が落ちることもあり、利用者の多いエリアではまだ安定しないかもしれない。それでも同じ場所で3Gを使うと、ほとんどデータが流れなかったことを考えると、やはりLTE回線の方がはるかに使いやすかった。

 一方、地下鉄内はまだLTEカバレッジはされておらず、3Gに落ちてしまう。今回は常時LTEを使うためにルーターのモードを4G固定にしていたが、地下鉄に乗るときは回線モードをオートにし、自動的に3Gに切り替わるようにしておいた方がいいだろう。E5375の各種設定や管理はブラウザで「192.168.1.1」を開き、ユーザー名とパスワードにそれぞれ「admin」を入れるという、他国で販売されている同社製ルーターと同じだ。

 毎月の利用分はオンラインで確認ができる。中国移動のWebページを開き「我的移動」をクリック。契約時に契約書に書かれた携帯電話番号と、設定してもらったパスワードを入力、画面表示されている確認コードも入力して「登録」をクリックすれば、現時点での利用分を確認できる。なお、当日の利用分は確認できず翌日にならないと反映されないこともたまにあるようだが、このあたりはスマートフォンのデータ利用分などから当日分を推測すればいいだろう。

 なお、毎月の無料データ分を超えた場合は0.29元/Mバイトの従量料金がかかると店員から説明があった。あらかじめ1年分の基本料金がプリペイドSIMには預け入れられているため、そのデポジット分からマイナスされてしまうので注意が必要だ。とはいえ、中国移動のWebサイトでの説明を見ると「無料データ分を使い切った場合はデータ通信は翌月まで利用できない」とも記載されている。このあたりはどちらが正しいのか、次回の中国訪問時に、1Gバイトを実際に使い切ってみて確認してみようと思う。

 最後に今回のルーター契約は1年契約だが、1年後は13カ月目、14カ月目に基本料金が請求されるものの、お金が入っていなければ13カ月目で利用が一時停止、そして15カ月目に自動解約になるとのこと。1年後に再訪問する場合はその場で解約すればよいし、再訪できない場合はそのまま放置して自動解約を選んでもいいようだ。

 中国の4Gサービスは始まったばかりであり、対応端末もまだ少ない。FDD-LTEのサービスが始まれば手持ち端末を利用できるなど、より使い勝手も高くなるだろう。とはいえ、年に数回の訪中予定のある人や、今すぐ中国でLTE回線を試してみたいという人は中国で4G契約を行ってみるのもいいだろう。一方、年に1〜2回程度の訪問ならば、中国で利用できるルーターのレンタルサービスを使った方がまだまだ簡便だろう。訪中の多い人は今回の契約を参考にしてほしい。

[山根康宏,ITmedia]

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