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清水翔太、デビュー10年にして見せた成長と力強さ 万感の思いで迎えた日本武道館公演

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/08/26 株式会社ブループリント
© Real Sound 提供

 清水翔太が、最新アルバム『FLY』を携えた全国ツアーを8月20日、地元の大阪・大阪城ホールにて完遂した。セミファイナルは東京・日本武道館2DAYS。そのうち2日目の8月13日に行われた公演の模様をレポートする。参考:Cornelius、清水翔太、ハルカトミユキ、LILI LIMIT、NUUAMM…新作の“歌とリズム”を聴く ライブは、夜の東京の街へ飛び立とう(=FLY)とする清水の映像から始まる。また、先に言ってしまうがアンコールで「Tokyo」という曲を歌いながら、清水は感極まって涙を流した。『HOME』でデビューして10年目、さまざまな苦悩を乗り越え『FLY』で再び花開いた清水翔太の音楽。中でも東京で生きながら感じたことを詰め込んだこの曲を、まさに東京の武道館で満員のファンが見つめる中歌っているという状況は、清水にとって特別なものであったに違いない。そんな点から、「東京」で見ることに意義深さを感じるステージだった。 主役の清水を囲むメンバー編成は、ギター、ベース、キーボード、ドラム、コーラス3人、DJからなるバンドと、男性ダンサー4人。ステージ中央の階段の上に清水が登場した瞬間から、彼とオーディエンスの呼吸はぴったり合っていた。「Sorry Not Sorry」「FLY」「CREAM」といったミドルチューンで序盤から大胆にオーディエンスの心を引き寄せると、清水も「最初の映像の時点でみんなの熱量が伝わってきて、超安心しながら3曲やりました。今日は俺、すごい歌歌っちゃうかもしれない(笑)」と笑顔を見せる。もとよりオーディエンスとの親密度が高い清水のライブだったが、さらに相思相愛ぶりが増し、また、ボーカルの訴求力がぐんと上がったことを痛感した。 最初のMCのあとは「過去曲を……」と前置きして、ソウルフルな「YOU & I」「ナツノオワリ」を披露。1フレーズ1フレーズ、間をためて入魂の歌声を絞り出すたびに大歓声が上がる様は、R.ケリーやジョン・レジェンドといった海外のソウルスターのライブをも彷彿とさせる。歌声だけで沸かせる20代の男性ボーカルは、今の日本で稀有な存在ではないだろうか。 そんな中、前半のハイライトとなったのは、最高傑作シングルと自ら語る「FIRE」とアルバムのリード曲「Because of you」だ。「FIRE」では何もかもを燃やしてでも愛する人に会いたいという激情を、赤い光に包まれながら切ない表情とエモーショナルな歌で表現。それに圧倒された客席の方々から「ヤバイ」「カッコいい」という声が漏れ聞こえたほどだ。一方、「Because of you」の前は「曲を作るとき、みんなの顔を思い浮かべてる。俺にとってゴールはライブなの。これはみんながサビで大合唱してくれたらいいなと思って作った」と話し、その通りの光景が実現。清水はステージのギリギリ前方に足を置いて、幸せを噛み締めるようにファンと一緒に声を響かせていた。 甲高いシャウトが印象的な「ANIMAL」で、ライブは後半戦へ。このパートでは「いつもBlue」「Drippin’ feat. IO, YOUNG JUJU」「夢がさめないように」といった『FLY』収録曲を連投し、クールなヒップホップチューン「Drippin’~」ではKANDYTOWNのIOとYOUNG JUJUが登場して貴重な生共演に会場が沸く。 現在、デビュー10周年イヤーをひた走っている清水。本編クライマックスではそのキャリアを振り返り、紆余曲折あった胸の内を赤裸々に語った。 デビュー曲「HOME」がいきなりヒットした清水。以降、自身が目指すものと世間から求められるもののギャップに苛まれながらもコンスタントに楽曲を発表したが、思うような結果が出ず、「すごく悔しかった。辞めたくなるときもあった」と当時を振り返る。転機は2015年にベストアルバム『ALL SINGLES BEST』をリリースした頃。「ここからは俺のやり方で、俺の音楽でヒットを出して、スタッフも周りも振り向かせよう」と奮起し、2016年にリリースしたシングル曲「My Boo」が10代・20代のカップルの共感を呼びロングヒットとなった。苦悩の末に自身の追い求める音楽でヒットを生み出せたことは、本人にとって主体性の伴ったうれしい出来事だったに違いない。ステージでは「すごく大きな追い風を吹かせてくれた曲。ここからもっともっと期待に応えられるように、この武道館に来年また帰ってこれるように、俺がんばるから」と固い決意を口にして、「My Boo」、そして「Damage」を万感の思いで歌い切った。 アンコールでは、屈指の人気を誇る「君が好き」で恒例の“君”指しパフォーマンスを盛り込み、最後は歌詞を<みんなが好き>に変えて素直な感情を爆発させる。さらに、ピアノとコーラスのみを従えて「speechless」、キーボード弾き語りで「HOME」を届ける。手拍子や合唱でハートウォーミングなムードに染まった会場を見渡して、清水は感慨深げな表情を浮かべながら「感謝しかない。この気持ちをずっとみんなに伝えていきたいし、分け与えていきたいから、これからも俺を見ててください」とファンに伝えた。 そして最後に披露した「Tokyo」。16歳で上京し、アウェイで生きる辛さを経験した上で、10年経った今の目に映る東京の景色を曲にしたというナンバーだ。「今日は泣かない」と豪語していた清水だが、曲中はしゃがみ込んで男泣き。東京で力強く生きていく決意の込められたリリックを、赤い目で情感たっぷりにラップする。終演後、本人はTwitterでこのときの心境を「泣かない宣言からの大号泣はもはやただの前振りwみたいになってましたが、人生を歌ってるから。悔しかった事とか、嬉しかった事とか、想いが沢山溢れて、、でした」とコメントしている。(参考:清水翔太 Twitter) アンコールのラストにはストロングスタイルを提示する、こんな頼もしい言葉も飛び出した。「今の日本の音楽シーン、俺はつまんないと思ってる。本当に真面目に音楽やってる奴とか面白い奴はいっぱいいるし、そんな人たちに『清水翔太がんばってるな、俺もがんばろう』って思ってほしいから、俺はもっと売れたい。俺の才能で、日本の音楽シーンをもっともっと面白くしていきたいと思ってる」。『FLY』を完成させプロップスを得たことで、シンガーソングライターとしてさらなる高みに上った清水翔太。9月9日には台湾・台北ATT SHOW BOXで初の海外公演も予定されており、その人気はよりグローバルなものへと成長していくはずだ。(鳴田麻未)

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