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焦点:中国の豚肉需要が頭打ち、生産者を直撃する「健康志向」

Reuters のロゴ Reuters 2017/06/27
焦点:中国の豚肉需要が頭打ち、生産者を直撃する「健康志向」 © REUTERS 焦点:中国の豚肉需要が頭打ち、生産者を直撃する「健康志向」

Dominique Patton

[北京 20日 ロイター] - 中国の冷凍餃子メーカーは、売上げを伸ばす手軽な手段を発見しつつある。材料のうち、野菜の比率を上げて、肉を減らせばいいのだ。

焦点:中国の豚肉需要が頭打ち、生産者を直撃する「健康志向」 © REUTERS 焦点:中国の豚肉需要が頭打ち、生産者を直撃する「健康志向」

豚肉をたっぷり入れる伝統的な餃子と異なる新たな趣向は、多忙な若い都市生活者の人気を呼んだ。ファストフードに多く含まれる脂肪の摂取を減らそうと心がけているからだ。

「彼らは、1─2週間に1回程度は、もっと健康的な食事を取りたいと思っている。中国本土の消費者、特に20歳から25歳の世代では、これが大きなトレンドだ」と語るのは米食品大手ゼネラル・ミルズ(GIS.N)のマーケティング担当マネジャーとして上海で働くエリス・ワン氏。同社は、餃子の大手ブランドであるワンチャイ・フェリーを所有している。

これは中国内外の養豚事業者にとって、我慢できない厄介な傾向だ。生産者や市場専門家は、中国の豚肉需要は少なくとも2026年までは成長を続けると予想していた。

養豚農家のあいだで建設ブームが起きており、世界最大の豚肉市場である中国で、より大きなシェアを獲得するため、現代的な農場の建設が進めているところだった。海外の主要豚肉生産者も、中国の豚肉輸入基準を満たすよう、養豚の方法を変えつつあった。たとえば、中国で禁止されている成長ホルモンの投与を中止した生産者もいた。

中国は依然として、どの国よりも多くの肉を消費している。米農務省の試算によれば、同国民が今年食べる豚肉、牛肉、鶏肉は総計7400万トンで、米国の約2倍だ。その半分以上は豚肉であり、海外の生産者にとっては、特に欧米風の包装肉は大きな成長市場だった。

だが、大半の公式予測を大幅に前倒しして、豚肉需要は天井を打った。調査会社ユーロモニターのデータによれば、過去3年間、豚肉の販売量は低下している。昨年の販売量は、2014年の4249万トンに対し、4085万トンと、ここ3年で最低レベルに落ち込んだ。ユーロモニターは、2017年も微減すると予測している。

中国における食肉用ブタ価格は、公式統計によれば昨年に比べて供給が減少しているにもかかわらず、1月以来25%低下している。

<めったにない贅沢>

1970年代末に中国が豚肉市場を世界に開放し始めて以来、豚肉需要は平均5.7%のペースで2014年まで毎年拡大してきた。好景気が、何億人もの国民に、より頻繁に肉を食べることができる経済的余裕を与えたからだ。1949─76年、故毛沢東主席が君臨した時代は、多くの国民にとって肉を食べることはめったにない贅沢だった。

しかし今日では、肥満や心臓疾患に対する高まる懸念が、国民の購買習慣に影響を与えており、アボカドからフルーツジュース、スポーツウェアまでさまざまな商品の売り上げが伸びている。

「市場の需要は引き続き非常に弱い。この要因の1つは、肉の摂取を減らした方が健康的だと人々が考えているからだろう。これは新しいトレンドだ」。香港のラボバンクで食品・農業関連調査のエグゼクティブ・ディレクターを務めるパン・チェンジュン氏はそう語る。

またニールセンの調査では、昨年、冷凍餃子全体の売上高が7%伸びたのに対して、野菜のみを具とする餃子は30%成長している。

「野菜製品の需要は伸び続けており、われわれに大きな成長の余地をもたらしている」と語るのは、餃子メーカー業界第2位の思念食品で製品マネジャーを務めるチョウ・ウェイ氏。

ハーモニー・ケータリング(広州)によれば、同社が運営する300カ所の食堂で毎日食事をする100万人の労働者に対して、肉の提供量が減ったのは「健康志向」が主な要因だったという。

ハーモニーのリー・フアン副社長によれば、同社の顧客であるテクノロジー企業、銀行、石油大手企業の社員たちが消費する肉の量が5年前に比べて10%減少する一方で、緑色野菜の量は10%増加したという。「主としてメディアにより、健康というコンセプトが人々の意識に入ってきたことが理由だ」と彼は言う。

今のところ、食生活に対する関心を高めているのは、主として都市部のホワイトカラー労働者である。たとえば大学のキャンパスでは、ベジタリアン向けの食堂が急増している。だが政府は、食習慣の変化が全国的に広がることを望んでいる。

米ハーバード大学の研究者らが昨年警告したように、中国では子どもの肥満が急増しており、国民は心臓疾患の増大にも直面している。原因として指摘されたのは、赤身肉の消費増大と高い塩分摂取量だ。

中国保健省は4月、健康なライフスタイルを目的とする第2次10カ年計画を開始した。脂肪、塩分、糖分の摂取を控え、「健康的な食生活、健康的な体重、健康的な骨」を目指すよう促す取り組みだ。

中国政府は、2030年までに栄養に対する意識を顕著に改善し、国民1人当たりの塩分消費量を20%削減し、肥満率の上昇を鈍化させたいとしている。

一部の企業は、量よりも利益率の高い豚肉製品へとシフトすべく、販売する製品の構成変更を急いでいる。また、これまではあまり人気のなかったラム(仔羊)肉や牛肉の販売量も増大している。

ハーモニー・ケータリングのリー副社長は、豚肉の提供量は減らしているものの、料理に用いる牛肉やラム肉は増やしているという。

「人々は通常、牛肉のブリスケットのように、脂肪分の少ない牛肉やラム肉を食べているが、豚肉の場合は、「紅焼肉」(ホンシャオロウ)などで、脂肪分の多い部位と少ない部位の双方を取っている」と北京の栄養士チェン・シコン氏は、広い範囲で消費されている豚三枚肉蒸し煮を例に挙げ、そう説明する。

中国の豚肉生産者として首位に立つWHグループは高付加価値市場へと移行し、ソーセージやハムなど欧米スタイルの製品を中国で販売している。その多くは、2013年にWHが買収した米国の豚肉生産最大手スミスフィールドからの輸入品だ。

一部の生産者によれば、最近の豚肉消費の減少には、生産量の急減も部分的に影響している可能性があるという。2013年から2015年にかけて赤字経営が続いたため、農家はブタの肥育頭数を数百万頭も減らしたため、供給が打撃を受け、2016年には豚肉価格が過去最高水準まで上昇した。

だが中国の消費者のあいだでは、食品の価格に無頓着な人が増加している。近年、食肉に関連する安全性の問題が頻発したことで、都市部の中国人は食品の品質に非常に敏感になっている。

昨年ニールセンが中国で行った調査では、望ましくない成分を含まない食品であれば、価格がもっと高くてもよいとの回答が8割を超えた。世界平均の68%に比べて、かなり高い数値だ。

「中国は新たな段階に入っており、豚肉にせよ他の食品にせよ、もはや『たくさんあるほど良い』という単純な話ではなくなっている」と米農務省で上級エコノミストを務めるフレッド・ゲイル氏は指摘する。

(翻訳:エァクレーレン)

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