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焦点:貿易ハブか租税回避地か、中国「一帯一路」の現実

Reuters のロゴ Reuters 2017/06/05

[ホルゴス(中国・カザフスタン) 5日 ロイター] - 中国・カザフスタン国境に位置するホルゴスの国際自由貿易区は、習近平・中国国家主席が進める「一帯一路」構想のお手本と位置付けられ、中国国営メディアがその成功ぶりを伝えている。今年中国で最大の外交イベントである先月の一帯一路国際首脳会議では、ホルゴス経済の盛り上がりを伝えるプロモーションビデオが繰り返し流された。

焦点:貿易ハブか租税回避地か、中国「一帯一路」の現実 © REUTERS 焦点:貿易ハブか租税回避地か、中国「一帯一路」の現実

しかし、中国ーカザフスタン国際国境協力センター(ICBC)を最近訪れた企業経営者や投資家予備軍は、誇大宣伝と現実のギャップに失望させられたという。

ホルゴスは中国政府が思い描く21世紀の輝かしい貿易拠点というよりも、むしろ中国の租税回避地としての評判が高まりつつある。

焦点:貿易ハブか租税回避地か、中国「一帯一路」の現実 © REUTERS 焦点:貿易ハブか租税回避地か、中国「一帯一路」の現実

新疆ウイグル自治区の区都ウルムチから来たビジネスマンは「3時間見て回ったが、感銘を受けなかった。8時間かけて車でウルムチに戻った」と語った。微妙な話題だけに、彼は姓を「マ」とだけ名乗った。

このビジネスマンは高級クラブハウスの建設可能性を調査しに来た。企業経営者らは貧弱な計画や訪問者の少なさに不満漏らしているという。「安い中国製Tシャツでいっぱいのビニール袋を下げたカザフの農民を見かける」とも付け加えた。

中国側では、安価な消費者向け製品を扱う5つのショッピングモールがあるが、十分な客がいないと業者は不満気だ。

モールの衣料品販売店の店員(56)は「丸一日座っていても、1枚も売れない日がある。金持ちのカザフ人もいるが、大多数は貧しい。彼らはここで20元(2.93ドル)のTシャツをしつこく値切る」と語った。

5.3平方キロの貿易区が開設されてから5年以上経つが、カザフ側は空き地が目立つ。カザフ側のICBC広報担当者によれば、63件のプロジェクトのうち投資家がついたのは25件にとどまる。1日当たり3000ないし4000人がカザフ側から入り、中国側からは1万人程度だという。

新疆とホルゴスの当局は、取材に対しコメントを避けている。

ホルゴスを訪問したばかりの新疆ウイグル自治区政府幹部の黄三平氏は、北京での記者会見でロイターに対し「ホルゴスは運営が非常にうまくいっており、活気に満ちている」と話した。

<中国の租税回避地>

中央政府は、新疆の戦略的な国境都市であるホルゴスの活性化のために税制面で数々の優遇措置を打ち出した。ホルゴスは中国と中央アジアを結ぶ重要な結節点に位置している。

ホルゴスの税務当局によると、昨年2411社が現地で法人登記した。5年間は法人税が免除され、その後の5年間も法人税負担が半額になる税制上の優遇措置を利用するのが狙いだ。北京の投資銀行関係者は「ホルゴスでの法人登記は半数が税目的だ」とみている。

最近現地にオフィスを開設した税務サービス会社、神州順利弁の関係者によると、中国では製造業企業がホルゴスで登記を行っており、金融サービスやIT企業の登記が増えている。

しかし専門家によると、今の制度ではホルゴスや新疆での営業が義務付けられていないため、経済を潤す雇用や資金をもたらしそうもないという。

ある関係者は「理論上は地元経済活性化のためにとても良い政策だ。だが、中央政府は、多くの企業が中国経済の中心からあまりにも遠く離れたホルゴスで営業したがらないという事実を考えていなかった」と話した。

さらに貿易関係者は「自由貿易区」で中国、カザフ両国からの規制にも直面している。カザフが加盟するロシア主導のユーラシア経済連合(EEU)は、カザフ側のあらゆる物品について、無税での輸入を月間50キログラムまでに制限している。一方で中国は、需要が最も強い食品の多くでカザフからの輸入を禁じている。

中国の公務員から転身したあるビジネスマンは「EEUは大きな障害だ。ロシアやカザフ、他の中央アジア諸国は自国産業を育成したいと考えており、安い中国製品に日常的に依存したくないのだ」と指摘する。

清水河畔で牧畜業を営む男性(44)は、羊毛や漢方薬に使う薬草をカザフから中国に輸入したいという。彼は「政策転換がないか注視している。現在は羊肉や魚、薬草は輸入できない」と話した。

<物流は活発に>

一方、カザフ側では貿易量が急増し、並行特別経済区の計画が持ち上がっている。線路のゲージが違うため、中国の貨物列車からカザフ側の列車に貨物の積み替えが必要で、ホルゴスはその拠点となっている。カザフ側の商業部門担当者は「われわれの計画では、今年中に積み替える貨物の量を5倍に引き上げる予定だ」と話す。

米HPや富士康科技集団(フォックスコン)はホルゴスの積み替え拠点を経由して製品を出荷する。船便よりも速く、航空便よりも安いためだ。コンテナ1つを欧州に送る輸送費は、船は鉄道の3分の1で、空輸は5-10倍という。

先月、中国遠洋(COSCO)と連雲港は、カザフ側運営会社の株式の49%を取得した。先のカザフスタン側の責任者はこれについて、より多くの中国企業が引き寄せられるチャンスになると期待している。

(Sue-Lin Wong記者、Mariya Gordeyeva記者)

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