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画面で指紋認証、デュアルカメラ、富裕層向けスマホ 中国の最新モバイルトレンド

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/07/06
画面で指紋認証、デュアルカメラ、富裕層向けスマホ 中国の最新モバイルトレンド: 指紋の登録方法は、従来と同様 © ITmedia Mobile 提供 指紋の登録方法は、従来と同様

 6月27日〜7月1日に、中国・上海にてMobile World congress Shanghai 2017(以下、MWCS)が開催された。例年春にスペイン・バルセロナで開催される世界最大級のモバイル関連の展示会「Mobile World Congress」のアジア版に位置付けられるイベントだ。

 筆者は初めて取材に訪れたのだが、国際色豊かなMWCに比べると、MWCSは「World」と名打つわりにはローカル色が濃く、出展するキャリアやベンダーのほとんどは中国企業。ブースによっては英語での取材は難しいという状況だった。

 スマホを展示するホールで最も目立っていたのはOPPO、Vivoといった中国国内で大きなシェアを持つメーカーだ。HuaweiとZTEは、ネットワーク機器やソリューションなど、B2B向けの展示が中心だった。なお、バロセロナのMWCでは大きなブースを構えるサムスン、LG、ソニーモバイルといった中国以外のアジアの主要メーカーは出展していなかった(サムスンのGalaxy S8は、中国キャリアの展示コーナーはあった)。

 しかし、今や世界最大のスマホ生産国ともいえる中国の現在を知るうえでは、注目すべき展示も多かった。今後のスマホに波及しそうな技術や、日本発売を期待したいデバイスなど、筆者が気になったものを紹介していこう。

●普及を期待したい オンスクリーンの指紋認証

 Vivoのブースでは、ディスプレイ上で指紋を認証する「Vivo隠形指紋」のデモが披露され、来場者の関心を集めていた。これは、米Qualcommのグループ企業が開発した「Qualcomm Fingerprint Sensors」という技術を用いたもので、ディスプレイに組み込まれたセンサーで指紋を読み取る仕組みだ。

 筆者も自身の指で試してみたが、読み取りに要する時間は、現在の一般的な指紋センサーと同等。ロックを解除するには、ディスプレイに表示される指紋のアイコンに触れるのだが、タップするだけでは解除されず、わりとしっかり触れる必要があった。しかし、パスワードを入力するのに比べると、圧倒的に簡単で速く、位置的にも非常に押しやすい。

 指紋センサーは背面、側面、ホームボタンと、機種にとって搭載位置が異なる。デバイスメーカーにとっては必要と認識しつつも、設計やデザインに影響を及ぼす悩ましい存在になっているのではないかと思う。この新しい指紋認証の精度がさらに上がり、認証する位置も自由に設定できれば、スマホのセキュリティロックの主流になるのではないかと思う。

●10mmのボディーにプロジェクターを搭載

 プロジェクター内蔵のスマホ「VOGA V」も注目を集めていた。青橙(Green Orange)というメーカーのブースの目玉として出展されていたので、最大70型のスクリーンに投影できるという。ただし、後で資料を見たところ、最大投影サイズは「200型超」となっていたので、実使用で見やすい画質を得られるのが70型ということかもしれない。

 VOGA Vに手にして驚いたのはサイズ感。5.5型のフルHDディスプレイを搭載する普通のスマホといった風情で、厚さは10mm、重さは203g。持ち歩きに気にならない大きさで、手に持ったままでも投影しやすく、ビジネスでのプレゼンにも使える印象だった。

 投影の解像度は720pで、斜めに投影しても長方形に補正する機能も備えているという。画質的には、フルHDのディスプレイが勝ることは言うまでもないが、2人以上で動画コンテンツを見たり、ゲームをしたりというときに重宝しそうだ。

 説明員から「すでに中国で販売している」との説明を受けたが、後でWebをチェックしたところ、クラウンドファンディングで人気を集めているようだ。ちなみに、青橙は、海外の数多くのメーカーのOEMを手掛けるRGKグループ(鋭嘉科集団)の企業。最近日本でも発売が開始された米国の「BLU」もRGKグループが製造しているそうだ。

●日本発売を期待したい「honor 9」

 Huaweiのブースは、招待客や事前にアポイントを入れてある関係者のみが入場できる体制で、メディアが取材できる時間帯にも制約があった。

 ただし、誰もが見られるオープンの展示コーナーもあり、日本でも発売中のHUAWEI P10シリーズや、MateBookシリーズなどが展示されていた。そこには、中国で発表されたばかりという「honor 9」もあった。

 honor 9は、5.15型のフルHDディスプレイを搭載。honor 8と同じく背面にデュアルレンズのカメラを搭載しているが、2000万画素+1200万画素に画素数が向上。背面パネルに曲面ガラスを施すなど、デザインの質感がグレードアップしていた。人物をいろいろな向きで撮影して、3D画像にしたり、動くアバターを作成できたりといった、遊べる機能も強化されていた。これらも、中国の若いユーザーの需要に応えてのことだろう。

 honor 9の中国での価格は2299元(約3万8000円)とのことで、HUAWEI P10よりも格段に安いことも特徴。honorシリーズは日本では楽天モバイルが独占販売しており、このhonor 9が発売されることも期待したい。

●高画素インカメラとデュアルレンズは当たり前

 中国メーカー製のハイエンドスマホは「デュアルカメラ」と「高画素インカメラ」がトレンドになっていた。中国では、自撮りの人気に加えて、ライブ配信もブームになっており、日本以上にインカメラの画質にこだわる人が多いようだ。

 Gionee(金立)が5月に発表したばかりの「S10L」は、アウトカメラが1600万画素+800万画素、インカメラが2000万画素+800万画素という、両面にデュアルカメラを備えたスマホだ。インカメラ側は、いわゆる“美人モード”で撮れるほか、広角レンズで大勢でのセルフィーにも適しているという。

 なお2016年、中国でのシェアが1位になり、世界シェアも4位に達したことで話題になったOPPOは、最新モデルの「R11/R11 Plus」のみを展示。背面が2000万画素+1600万画素のデュアルカメラを搭載。インカメラは2000万画素で、「前でも後ろでもきれいに撮れる」がセールスポイント。5.5型のフルHDディスプレイを搭載するR11は、厚さが6.8mmと薄く、シンプルなデザインや操作性も多くの人に受け入れられる印象を受けた。

 中国でのシェアが3位(ちなみに2位はHuawei)のVivoが、最新フラグシップとして展示していたのが「X9/X9 Plus」。背面は1600万画素カメラが1つだが、前面に2000万画素と800万画素のデュアルカメラを備えていることがセールスポイント。自撮りした画像の背景ボケを後から調整できるのが利点だ。

●富裕層向けのスマホも発見!

 Gioneeのブースには、外装に本革を用いた「M2017」というスマホも展示されていた。5.7型の2Kディスプレイを搭載し、7000mAhの大容量バッテリーを内蔵。さらにセキュリティ面も強化したというモデルだ。

 最も高いモデルは1万6999元(約28万円)とのことで、中高年の富裕層をターゲットにしたモデルだ。このスマホをかっこいいと思うか否かは個人の趣向に依存するのは思うが、日本でも「らくらくスマートフォン」ではなく、こういうプレミアム感のある端末が出てきてもいいのではないかと思った。

●耳慣れないOSが乱立する背景には…

 OPPOのスマホに搭載されているのは「ColorOS」、Vivoは「Funtouch OS」、そしてGioneeは「Amigo OS」と、中国のスマホは、メーカーによって搭載OSが異なる。いずれもAndroidをベースとしたOSではあるが、素のAndroidとはかなり異なる部分があり、むしろiPhoneのUI(ユーザーインタフェース)に近い印象を受けるOSもある。

 中国では、Googleサービスへのアクセスが規制されているため、Google検索、Gmail、Google Playなどは利用できない。Androidは、Googleサービスを快適に利用できることが特徴だが、中国ではAndroidをそのまま導入しても、その利点を生かせないわけだ。とはいえ、中国以外の国・地域に出荷する際は、Googleサービスは欠かせない。中国メーカーのスマホは、国内・国外どちらでも使いやすいOSを導入しているといえよう。HuaweiがAndroidに独自の「Emotion UI(EMUI)」を追加しているのも、そうした中国の事情も関係しているのだろう。

 なお、MWCSの会場には、「YunOS」を大々的にアピールするコーナーもあった。中国の大手EC、アリババが開発したOSで、ローエンドモデルを中心に、採用するメーカーが増えているそうだ。

 YunOSは、Androidベースというよりも、汎用(はんよう)OSとして普及を目指す新しいOSだ。中国では、WeChat Paymentやアリペイなど、スマホを用いたキャッシュレス決済が急速に普及している。MWCSの会場内でも複数の企業がデモを行っていたが、上海市内では、すでにモバイル決済が定着し、主権争いに移っているようにも見えた。中国で急速に普及する自転車のシェアリングもモバイル決済の登録者は簡単に利用できるそうだ。YunOSはアリペイをプリインするなど、モバイル決済やECサイトを利用しやすいことも特徴だ。

 日本でもインバウンド対策として、中国のモバイル決済に対応する店舗・施設が増えつつある。FeliCaを用いるおサイフケータイやApple Payとは異なり、端末に依存しない決済方法として、その利便性を実感する欧米人や日本人は少ないだろう。例えば、大手キャリアやネットワーク企業などが提携すれば、中国式のモバイル決済が、世界の主流となる可能性も否定できない。今後の動向も注視したい。

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