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移行を促進するのはiPhoneなのか?──主要3キャリアが争う中国TD-LTE(前編)

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/07 12:12 ITMedia
4G開始から4カ月、中国移動の店舗は「4G」の文字が目立つ 4G開始から4カ月、中国移動の店舗は「4G」の文字が目立つ

 中国の3事業者の4Gサービスが相次いで開始となった。各社はTD-LTE方式の免許を受け、中国全土にTD-LTEネットワークの構築を急いでいる。先行する中国移動が早くも強さを見せる中で、対抗する中国聯通、中国電信もスマートフォンでの巻き返しを図っている。

●先行する中国移動、スマートフォンを強化

 3社の中で最も早く2013年12月18日にTD-LTE方式で4Gサービスを開始した中国移動(China Mobile)は、サービスの強化を急速に進めている。4G開始直後は料金プランも少なく、また、スマートフォンも各地域ごとに2〜3機種と本格的なサービスインには程遠い状況だった。

 特にスマートフォンの種類がユーザーの意向を促すにはあまりにも少なく、そのため、まずはWi-Fiルーターを契約して4Gを体験してみようと考えるケースが多かった。しかし、そのWi-Fiルーターも品切れが長く続くなど、契約しようにも契約しにくいという状況がしばらく続いていたのだ。

 だが旧正月(2014年は1月30日)明けからは対応スマートフォンを立て続けに投入し、ルーターも低価格品が登場するなど、TD-LTE対応端末のラインアップを一気に増やしている。今や、中国移動の各店舗でTD-LTE対応スマートフォンは店頭の目立つ位置に展示しており、大都市を中心に4Gが主力サービスとして大々的にアピールする状況だ。対応スマートフォンの一部機種では早くも「実質無料」販売を行っており、低価格の1000元モデルも加わっている。

 数ある中国移動のTD-LTEスマートフォンの中でも、最大の目玉はやはりiPhone 5sとiPhone 5cだ。1月17日に発売した中国移動向けのiPhoneは、TD-LTEに加え同社が独自に提供する3G方式のTD-SCDMAにも対応した。中国移動によれば、4Gと3Gの高速回線が利用できることもあって、4Gサービスに加入する多くのユーザーがiPhone 5s、または、iPhone 5cを購入しているという。中国移動はiPhoneシリーズの販売台数を公表していないが、中国移動の店舗を訪問してみるとiPhoneの販売コーナーは常に人が集まっており、人気の高さを表している。

 中国移動が正式にiPhoneシリーズを販売するのは今回が初めてだ。だが、同社の加入者がこれまでiPhoneシリーズを利用できなかったわけではない。輸入販売の香港品や、中国国内で中国聯通向けに販売しているiPhoneシリーズはいずれもSIMロックフリーモデルなので、中国移動のSIMを利用できた。中国移動ではiPhoneを販売していないにも関わらずナノSIMカードを用意していたほどだ。

 だが、この状態で利用できる中国移動の回線は2GのGSMと無線LANだけで、外出中に自由に高速なデータ通信回線を利用することは難しかった。iPhone用に3Gのルーターを契約して利用するユーザーも多かった。中国移動からようやく正式に販売されたiPhoneは2年契約、または、3年契約により本体価格の大幅な割引を受けることも可能になり、購入者が一気に増えている。

●Androidの人気も高まりつつあるTD-LTE対応モデル

 最近では、中国移動のTD-LTE対応スマートフォンでは、iPhone 5sとiPhone 5c以外のモデルにも人気が集まっている。Androidスマートフォンで新製品を多数投入しており、サービス開始から4カ月経った2014年4月には約20機種を販売している。メーカーもサムスン電子、LG、HTC、ソニーモバイルコミュニケーションズといった海外メーカーを中心にTD-LTE対応品を用意した。

 サムスン電子が2014年春のフラッグシップモデルとして投入する「GALAXY S5」も中国でいち早く出荷を始めている。世界で採用例が多いFDD-LTE方式に対し、TD-LTE方式はまだ採用している国が少ないが、中国移動の端末ラインアップを見る限り、TD-LTEが「マイナー」とは思えない印象を受けるほどだ。

 Lenovo、Coolpad、Huawei、ZTE、Hisense、K-touchなど、中国の大手メーカーも続々とTD-LTEスマートフォンを投入している。各メーカーが注力するのは、4Gサービスに加入する利用者の多くがARPUの高い客ということを見込んでか、やはりハイエンドモデルになる。

●ファブレットから1000元モデルまで幅広くそろえるCoolpad

 一方で、Coolpadでは5.9型ディスプレイを搭載するファブレット「8970L」、5型ディスプレイ搭載のハイエンドモデル「8736」、そして、1000元を切る低価格モデル「8720L」と早くも3機種を投入した。ちなみに、Coolpadは2014年中に中国移動、中国聯通、中国電信向けにLTEスマートフォンを30機種程度投入する予定だという。中国移動向けだけでも年内に10機種以上が登場することになるだろう。

 Coolpadが1000元以下の製品を出したように、低価格の製品も3〜4機種が登場している。中国移動にとっても1000元クラスのLTE対応スマートフォンは2Gユーザーが3Gを飛び越え4Gへ移行する起爆剤になると考えて注力している分野だ。中国移動にとってLTEは高度な新しいサービスでもあるが、3Gの代替という位置づけでもある。そういう意味で、ターゲットユーザーは「中国13憶の全人口」であるに違いない。

 1000元を切る低価格スマートフォンでは、Lenovoが最初の製品を出したほか、ディズニーと提携した「Magic2」という製品にも注目だ。大学生やOLなどのディズニーファンをターゲットにしているだけでなく、’990元とTD-LTE対応スマートフォンの中では2014年4月時点で最安値であり、ディズニースマートフォンが高級モデルではなく1000元を切る普及価格で出てきたということは、中国移動が本気で4Gユーザーを拡大しようと考えていることを、実は最も分かりやすく示しているといえるだろう。

(後編では、中国聯通や中国電信など“後発”参入となった中国キャリアの反撃について紹介する)

[山根康宏,ITmedia]

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