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米英政府による電子機器の機内持ち込み禁止令 生産性低下だけでなく発火を懸念する声も

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/03/23
米英政府による電子機器の機内持ち込み禁止令 生産性低下だけでなく発火を懸念する声も: (AP Photo/Michael Probst) © ITmedia NEWS 提供 (AP Photo/Michael Probst)

[AP通信] 米英政府が、国際線の一部の便でノートPCやタブレット端末の機内持ち込みを禁止するという最新の措置を打ち出した。現代の空の旅における侮蔑的待遇という点で、この措置は「セキュリティチェックで靴を脱がされること」と「爆発性物質がないかベビーフードやミルクをチェックされること」の中間あたりに位置するだろうか。

 米国への渡航者はもう十分にうんざりしているが、今回、米英政府が出した新たな禁止令により、中東と北アフリカの10空港から米国に向かう旅行者には、セキュリティという名目でさらにもう1つ、新たな不便が加わった。スマートフォンの全面禁止ほど破壊的ではなく、国籍に基づく入国禁止令と比べればまだましではあるが、今回の禁止措置は一部の人たちにとっては重大な影響をもたらす。

 「なぜ中東の航空会社だけが対象なのか」。今週24日にレバノンの首都ベイルートからロサンゼルスに帰国する予定だという博士課程の大学院生ケルシー・ノーマンさんはそう疑問を投げかける。機内でノートPCとKindleタブレットとデジタル一眼レフカメラをチェックしたいというノーマンさん。「不便で差別的な禁止令だ。これで、米国に対する世界の評価はさらに悪化の一途をたどるだろう」と語る。

●テロ対策の一環

 米国土安全保障省は今回、ノートPCのほか、タブレット端末、Kindle、一部のゲーム機、カメラ、携帯電話より大きい電子機器全般の機内持ち込みを禁止した。米政府はその理由について、具体的な脅威の内容は明かさず、テロ対策とだけ説明している。英政府も同様の禁止令を出した。どちらの禁止令も米国の航空会社は対象にならない。

 スマートフォン、布製バッグ、上着、ハンドローションの小瓶、スナック類、耳栓などの小さなものは、今後も機内への持ち込みが可能だ。

●ビジネス旅行客は生産性低下を懸念

 一部の人たち、特にビジネス旅行客は、ノートPCを受託手荷物として預けなければならない場合のデータの盗難、破損、改ざんの可能性を危惧している。これは十分に現実的な懸念だ。実際、この禁止措置が発表された直後から、フライトを他の空港からの便に変更しようという動きが出始めている。

 トルコ出身のバーヌ・アクデニズリさんは、17時間のフライトをノートPCなしで過ごさなければならないようでは、仕事のための貴重な時間を奪われ、カンファレンスの準備もできない、と困惑気味だ。

 「多くの人たちとっては些細なことに思えるかもしれない。だが対象地域からの搭乗客の多くはビジネス旅行者だ」。カタールの首都ドーハにある米ノースウェスタン大学のキャンパスでコミュニケーション学の准教授を務めるアクデニズリさんはそう語る。

●スマートフォンでの次善策

 該当する航空便を利用せざるを得ない場合、ノートPCやタブレット端末がなくてもある程度の仕事をこなすための方法が幾つかある。

 「Google Docs」に文書をインポートしておけば、ある程度まではスマートフォンでの作業が可能だ。ただしアプリケーションによっては、スマートフォンでの機能が制限される。例えば、Microsoftの「Office」はファイルを一度に1つしか開けない。

 シンプルな校正やちょっとした編集であれば、こうしたアプリケーションで十分だろう。だがもっと複雑な作業を必要とするユーザーには物足りないかもしれない。スマートフォンでは文字も小さい。ただし、小さい画面に合わせて一時的に書式を再設定する方法もある。

 メールで連絡を取り合ったり、受信箱にたまったメールを片付けたりといったシンプルな作業はスマートフォンでも実行できる。メールの送受信には機内のWi-Fiが必要だ。

 気分転換が必要なら、NetflixやAmazonの出番だ。出発前にコンテンツをスマートフォンにダウンロードしておけば、機内で簡単に楽しめる。

●発火を懸念する声も

 多くの旅行者にとっては、ノートPCやその他各種の電子機器よりもスマートフォンを持ち込めるかどうかが重要だろう。スマートフォンの持ち込みについても制限が課されることはある。だが少なくとも一番最近、最も注目を集めた例では、持ち込み禁止の理由は明確だった。

 韓国Samsungは2016年秋、発火事故が相次いだ同社のスマートフォン「Galaxy Note 7」のユーザーに対し、機内では電源を切り、使用を控えるよう呼び掛けた。この端末はその後、機内への持ち込みが全面禁止となり、さらにその後、リコールとなっている。

 このときの全面禁止令と今回の地域限定の禁止令との大きな違いは、Galaxy Note 7の場合、実際に端末が炎を上げて燃える様子が動画で広く出回ったという点だ。同じことが上空3万フィートで起きれば大変な事態になるのは明白だった。

 米英政府が今回引き合いに出している潜在的危険性は、そこまではっきりしたものではない。

 一方、今回の禁止措置をめぐっては、機内でノートPCを使えない不便さより、別の点を懸念する声もある。

 米国とイスラエルの二重国籍を持ち、エルサレムで暮らすニック・リーバーさんは4月にシカゴに行く予定だが、ヨルダンの首都アンマンを経由するため、今回の禁止措置の対象になるという。

 リーバーさんは機内でノートPCを使って仕事をしなければならない状況にはないが、ノートPCのリチウムイオン電池のことが気掛かりだという。貨物室に積んだ電子機器のリチウムイオン電池の発火が原因とみられる航空機の火災事故が、過去に複数回発生しているからだ。「今からもう既に不安だ」とリーバーさんは語る。

(日本語翻訳 ITmedia NEWS)

(C) AP通信

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